モバイルアプリの開発費用は300万円以上!開発費を抑える方法も紹介

当社が独自に調査した結果によれば、アプリの開発費用の相場は300万円以上となります。大規模なアプリですと、1000万円、 2000万円かかることも珍しくありません。アプリ開発の費用のほとんどはエンジニア・デザイナーの人件費です。例えば、一般的なエンジニアの費用相場は、初歩レベルで月額60万円~100万円、中堅レベルで月額80万円~120万円、管理職レベルで月額120万円~160万円とされています。

モバイルアプリにはECサイトやSNS、ゲームなどさまざまなアプリが存在しますが、2019年にはモバイルアプリのダウンロード総数が世界で2,040億件とダウンロード数が増加しています。モバイルアプリの利用が日常化していることを受けて、アプリの開発を検討する企業が増加していますが、開発費の目安がわからず、なかなか開発に踏み出せない企業も多いのではないでしょうか?

今回の記事では、モバイルアプリ開発にかかる費用相場から費用を抑えるための手段などをご紹介します。

モバイルアプリ開発の見積もりを複数社に依頼すると、見積りの内容や金額が大きく違って驚いたことはありませんか?その理由や費用を抑えるためのポイントなど、アプリ開発のお金にまつわる知識を詳しくまとめました。ぜひこちらもチェックしてみてください。【資料を読む】なぜアプリ開発費の見積もりはこんなにも差が出るのか?

モバイルアプリの開発費用の相場は?

アプリ開発にかかった費用は300万円以上

当社は、2023年2月インターネット調査を実施し、アプリ開発に携わったことがある354名にアンケート調査(以下、アンケート調査と呼ぶ)を行いました。その結果、アプリ開発にかかった費用はおおよそ半数が300万円以上と回答しました。また、大規模な開発には2,000万円以上かかる場合もあることが明らかになりました。

アプリ開発にかかった総額

当社の案件と比較すると...

当社では、1000万円前後でアプリを制作するケースが多くなっております。300万円未満となると、限定的な機能のアプリやシンプルなアプリになることが多いです。どんなアプリを制作するのかにもよりますが、法人が高品質なアプリを制作する場合、1000万円程度の予算はあった方が良いと考えております。 ※ものづくり補助金などを利用すると、2/3補助されるので、補助金を活用する方も多いです。

エンタープライズのお客様の場合は、2000万円以上になることは珍しくありません。エンタープライズの場合は、セキュリティ要件、自社システムとのつなぎ込み、数万、数十万人の利用者を想定する必要があるため、開発費が高くなる傾向にあります。

次に、モバイルアプリの開発費用の算出方法やジャンル・機能別の費用相場についてご紹介します。

モバイルアプリの開発費用を決定する要素とは?

モバイルアプリ開発費用の計算式

モバイルアプリの開発費は、開発者の人件費に開発工数をかけた費用がかかります。

外部の制作会社で開発依頼をする場合、システムエンジニアとプログラマーなどの人件費がかかり、技術力が高いほど人件費が高くなります。

一般的なシステムエンジニアの費用相場は、初歩レベルで月額60万円~100万円、中堅レベルで月額80万円~120万円、管理職レベルで月額120万円~160万円とされています。

また、プログラマーの費用相場は、個人や下請けの場合月額40万円~60万円、大手企業では月額50万円~100万円が相場です。

アプリ開発を一から外部に依頼することをスクラッチ開発と言いますが、自社開発よりも費用が高額で初期費用に1,500万円~2,000万円が必要になるケースもあります。また、開発する工数も自社開発より長期化しやすい傾向にあります。

対応OSによる違い

開発費用を考える上では、アプリを「iOS」と「Android」のどちらに対応させるか、あるいは両方に対応させるのかという点は重要です。両方のOSに対応させる場合、どちらか片方のみに対応させる場合と比べて、およそ2倍かそれ以上の費用がかかるケースがあります。これは、OSによって開発環境や言語が異なるためです。

また、同じOSでもバージョンの違いがあれば、開発にあたって別途費用の発生が想定されます。Androidの場合はiOSに比べて機種の種類が多いため、その分開発試験工数が増加することも考慮しなければなりません。対応OSの違いやOSのバージョン、機種によってコストはかさむ場合があることに注意しておきましょう。

ただ、近年ではクロスプラットフォーム開発技術の進歩により、複数のOSに対応させる場合でも費用や工数を抑えることは可能になってきています。

OSによるアプリ開発における違いについて、こちらの記事でも詳しくまとめております。

モバイルアプリのジャンル別・機能別の費用相場まとめ

モバイルアプリのジャンル別相場

モバイルアプリにはさまざまな種類のアプリが存在し、開発費用はアプリの種類によって異なります。ここではネイティブアプリをフルスクラッチで開発する場合のアプリの費用相場について、ジャンル別にご紹介します。

ジャンル開発費の相場・目安
カタログ系アプリ50万円〜200万円
チャットアプリ200万円〜500万円
ニュースアプリ300万円〜500万円
写真アプリ250万円〜1,000万円
教育・学習系アプリ300万円〜1,000万円
SNSアプリ500万円〜1,000万円
業務系アプリ500万円〜2,500万円
ECアプリ800万円〜1,500万円
マッチングアプリ・フリマアプリ800万円〜1,500万円
デリバリーアプリ1,500万円〜3,000万円
オークションアプリ1,500万円〜3,500万円
ゲームアプリ3,000万円~数億円

カタログ系アプリの開発費は50~200万円

電子書籍やモバイルカタログなどが該当します。一般的な費用相場は50〜200万円ほどで開発できます。カタログが少なければ50〜100万円程度、カタログ数が多い場合は200万円程度の開発費がかかります。

種類にもよりますが、複雑なシステム設計の場合やユーザーの認証などが必要となると、200万円以上の開発費用が必要となります。

チャット・メッセージアプリの開発費は、200万円〜500万円

特定のユーザーとのみテキストでチャットができるといったシンプルなアプリを開発する場合であれば、200万円程度が相場となります。LINEのようにスタンプ機能をつける、リアルタイムにする、リアクション機能をつける、ファイル添付を可能にする、など多機能なチャットとなってくると開発費が大きくなりがちです。こうした多機能なアプリを開発するには、500万円程度が相場となってきます。

ニュースアプリの開発費は、300万円〜500万円

ニュースアプリを開発する場合は、ニュースコンテンツのどのように用意するのか考える必要があります。外部からニュースを取得するか、自前で記事を入稿するのかによって開発項目が変わってきます。また、広告機能やPUSH通知も重要な機能となります。

シンプルなニュースアプリであれば、300万円程度が相場となります。お気に入り機能、コメント機能、広告機能、記事の入稿機能等が必要となってくると500万円程度が相場となります。

写真アプリの開発費は、250万円〜1000万円

写真の色合いを変えるなど、簡易的な機能の写真加工アプリを開発する場合、250万円程度が相場となります。写真にスタンプを合成したり、文字を書き込むなど高度な技術が必要となるケースでは、工数が多くなり開発費が大きくなります。

コラージュ、モザイク、切り抜き、AIによる認識、課金機能など豊富な機能を搭載したアプリとなると、500 - 1000万円程度が相場となってきます。

教育・学習系アプリの開発費は、300万円〜1,000万円

単語帳アプリやクイズアプリのようなシンプルなものであれば300万円程度が相場と言えます。教育系の学習アプリの教材を管理するWeb管理画面の開発も必要となります。アプリ単体ではなくWeb管理画面と連動するアプリの場合、500 - 800万円程度が相場となってきます。動画・音声配信を加えると1,000万円程度の開発費がかかってくる場合もあります。

SNSアプリの開発費は、500万円〜1,000万円

SNSアプリは、大きくtwitterのような文章を投稿するアプリやInstagramのような画像を投稿する機能があります。

SNSアプリの場合、誹謗中傷を防止するための機能を実装する必要があり、不適切なユーザーを通報できるようにしなければなりません。また、コメントやチャット機能も必要となります。シンプルなSNSアプリは500万円程度、高機能なSNSアプリを開発する場合は、1000万円程度かかる場合があります。

業務系アプリの開発費は、500万円〜2,500万円

業務系のアプリはどんな業務をシステム化するのかによって費用が大きく変わってきます。どんなアプリを開発するかによって費用は大きく変わってきますが、多くの場合、既存業務のワークフローに合わせて、システム開発をする必要があり、開発費が高額になりがちです。ワークフローをシステム側に合わせるなどして開発費を抑えることがポイントなってくるでしょう。

ECアプリ・ショッピングカート系のアプリ開発費は、800万円〜1,500万円

新規でシンプルな機能のものであれば、800万円程度が相場となります。EC・ショッピング系のアプリの場合、ユーザー認証、決済機能、購入履歴機能、配送先管理機能、在庫管理機能など多くの機能が必要となってきます。こうした多機能のアプリを開発する場合は、1000万円以上の開発費が必要となります。

マッチングアプリ・フリマアプリの開発費は、800万円〜1,500万円

2者間のマッチングを行うアプリの場合は、例えば、男性側と女性側で機能が違ったり、販売者と購入者とで機能が違ったりします。そのため開発及びテストの工数が多くなりがちです。身分証の確認や課金機能が含まれると800万円〜が開発費の相場となります。

フリマアプリの場合は、配送先設定や購入機能などを実装する必要があります。購入のキャンセル、複数人から購入依頼が来た時の処理など、考慮することが多く、1200万円〜1500万円程度が開発費の相場となります。

デリバリーアプリの開発費は、1,500万円〜3,000万円

デリバリーアプリの開発には、およそ3,000時間の開発時間が必要で、一般的な相場では約1,500万円以上かかるとされています。購入者向けアプリ、配達員向けアプリ、店舗側向けシステム、運営者向けシステム、の4つを制作する必要があるため、豊富な機能を含むアプリとなると3000万円程度必要となってくるケースもあります。

オークションアプリの開発費は、1,500万円〜3,500万円

ヤフオクのような高機能なオークションアプリを開発したい場合の開発の相場は、約3,500万円程度が相場となります。オークションアプリでは、購入者側と販売者側の2者に対してアプリを開発する必要があるため、開発及びテストの工数が多くなりがちです。オークションの入札機能にリアルタイム性が必要な場合は、高度な技術が必要となります。

ゲームアプリの開発費は3000万円~数億円

ゲームアプリの開発には、企画やストーリー設計、キャラクターデザイン、課金機能など様々な機能が必要となってきます。有名なゲームアプリの開発費は、数億円にのぼると言われています。どのようなアプリを開発したいかによって費用に大きな開きがでてきます。多くのユーザーが利用するゲームの場合、多数の同時接続に耐えられるサーバーを構築するなど、開発費・運用費・保守費が大きくなりがちです。

モバイルアプリの機能別費用相場

モバイルアプリの開発費は、アプリの種類だけではなくアプリ内に搭載する機能によっても変動します。ここでは、4つの機能をピックアップし、搭載させるための費用についてご紹介します。

ログイン機能の開発費は25~50万円

アプリのなかには、メールアドレスとパスワードを入力してログインするものと、SNSアカウントと連携させてログインする方法の2種類があります。一般的には、前者の場合の費用相場は25万円~50万円、後者の費用相場は10万円~25万円とされています。

価格帯の差が生まれる理由は、それぞれのログインは仕組みが異なっており、必要となる機能が異なっているためです。メールアドレスとパスワードでログインする機能を実装する場合、メールアドレスの変更やパスワードの変更、パスワードを忘れた場合の処理を実装する必要があるため、SNSログインよりも多くの機能が必要となります。

ちなみにiOS向けアプリの場合、SNSログインを実装する際にはAppleのガイドラインによって、「Sign in with Apple」を実装しなければなりません。この機能の導入を含めた場合、メールアドレスとパスワードによるログイン機能と、それほど費用は変わらなくなっています。

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プッシュ機能の開発費は10~100万円

プッシュ機能は、アプリから何らかのお知らせがある際に、通知内容をスマホに表示させる機能です。プッシュ機能は、AppleやGoogleのサーバーと連携するので専門一般的な費用相場は10万円~100万円になります。

誰にどんな条件でプッシュ通知を送るのかによって開発費用が変わってきます。プッシュ通知を送る条件が複雑であったり、決まった時間に自動的にプッシュ通知を送る等の機能を開発する場合、50〜100万円程度が相場となります。

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アプリ内の決済機能の開発費は40万円〜80万円

最近では、電子マネーやQRコード決済サービスなど、さまざまな決済がスマホで可能になりました。以前は決済機能の開発は、スマホやサーバから情報を取得するためのデータ処理機能が必要で、開発費用が高額になっていました。しかし、昨今は多様な決済システムが充実してきたことで開発費用を抑えた開発が可能となり、一般的な費用相場は40万円〜80万円です。

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チャット・メッセージ機能の開発費は20~40万円

スマホ利用者にもっとも利用されている機能で、一般的な費用相場は20万円〜40万円です。なお、チャット・メッセージ機能には利便性を高めるためのオプション機能が付属されていることが多く、オプション機能を充実させたい場合は、費用が加算される仕組みです。

開発手法ごとの違い

モバイルアプリの開発手法は、主に「フルスクラッチ型」「パッケージ型」「クラウド型」に分けられます。開発手法によってかかる費用は異なります。

フルスクラッチ型開発では、既存プラットフォームを利用せずゼロからアプリを開発するため、独自性の高いアプリを自由に開発することが可能です。この開発手法は「フルオーダーメイド」という言葉で表すのが適切でしょう。自社需要に合わせて開発でき、開発後の機能拡張や改善にも柔軟に対応できる点や、競合アプリとの差別化を図れる点が魅力です。

一方、ゼロから開発するためその期間は長期化しやすく、開発費用も3種類の開発手法の中では最も高額になりやすいのが難点といえるでしょう。

相場の目安としては300万円~2,000万円と、開発規模によってかなり幅があります。

パッケージ型開発では既存のシステムを購入の上、部分的にカスタマイズしてアプリを開発します。初期費用、開発費用ともに安価に抑えることができ、開発期間もフルスクラッチ型ほど長期化することはない点が魅力です。

難点として、既製品のカスタマイズで成り立つアプリとなるため、自由な開発はできず制限が課されてしまいます。独自性の高いフルスクラッチ型に比べて、競合アプリとの差別化は図りづらい点に注意が必要です。

クラウド型開発では、ツールやプラットフォームといった既存システムを利用してアプリを開発します。そのため、開発費用は3種類の中で最も安価です。相場としては、データベースの連携がない場合で200万円~、連携がある場合で400万円~となります。

パッケージ型開発と同様に、自由な開発は期待できませんが、サーバーの保守運用がサービスとして提供される場合もあるのが特徴といえるでしょう。

開発予算や開発期間に余裕がある場合や、自由度の高いアプリ開発を行いたい場合はフルスクラッチ型を、余裕がない場合はパッケージ型かクラウド型の選択をおすすめします。

こちらのページでは、フルスクラッチ型のアプリ開発を行った場合の費用シミュレーションが可能です。あくまでも目安となりますが、参考にご活用ください。

【事例有り】アプリ開発費用シミュレーション|フルスクラッチ開発

モバイルアプリの種類ごとの違い

モバイルアプリには「ネイティブアプリ」「Webアプリ」「ハイブリッドアプリ」の3種類が存在しますが、この種類によっても開発費用は変動します。

ネイティブアプリとは、AppStoreやGooglePlayといったiOSやAndroidの端末向けのアプリストアからダウンロードするアプリを指します。ネイティブアプリ開発に際しては、開発環境も言語も異なるiOSとAndroid双方に対応させる必要があるため、開発費用は高額になる場合がほとんどでしょう。

これに対してWebアプリやハイブリッドアプリはネイティブアプリほど高額な開発費用はかからない傾向にあります。WebアプリはWebブラウザにアクセスの上使用できるアプリで、ハイブリッドアプリはWebサイトの開発環境下で開発されるiOSやAndroid端末向けのアプリです。つまり、双方の特徴を併せ持ったアプリといえます。

2種類のOSに対応させる開発工程が不要なため、Webアプリとハイブリッドアプリは比較的安価で開発できます。

ハイブリッドアプリについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

モバイルアプリは開発以外にも費用がかかる

モバイルアプリを開発する場合、発生する費用は開発費だけではありません。具体的には、以下のような費用発生を見込まなくてはなりません。

  • サーバの費用
  • デザインの費用
  • 検証環境の整備にかかる費用
  • 保守・運用・メンテナンス費
  • ストアへの登録、SSL証明などの諸費用

ここでは、それぞれの費用について確認しておきましょう。

サーバーの費用

一般的にアプリ開発で使用するサーバは3種類あります。まず、アプリの開発者がテストとして利用する「開発サーバー」、運用担当者が運用するにあたり支障がないかを確認する「検証用サーバー(ステージングサーバー)」、実際に運用する本番環境の「本番サーバー」です。

そのため、直接の開発費用以外に上記で挙げた3つのサーバーのレンタル費用が必要です。費用相場は開発するモバイルアプリの種類などによりますが1,000円~数万円がかかります。

デザインの費用

モバイルアプリを開発する場合には、デザイン費用も必要です。アプリデザインの費用は、発注先や依頼内容により大きく異なります。

デザインの発注先別の一般的な相場ですが、

  • フリーランスなど個人への依頼:10~100万円
  • 制作会社(中小企業)への依頼:100~500万円
  • 制作会社(大企業)への依頼:500~2,000万円

このようになっています。

費用の決定要因としては、人件費と業務内容が挙げられます。人件費はデザイナーのスキルや経験により異なり、例えば経験が浅いプレイヤーで100万円/月程度、アートディレクターで120万円/月程度、マネージャー層となると150万円/月からそれ以上の金額が相場です。

検証環境の整備にかかる費用

アプリ開発の工程には、アプリが正しく動くかの確認する作業があります。企業によっては、事前に確認用のスマホを準備している場合もありますが、用意していない企業は確認用のスマホを購入しなければいけません。

アプリ開発を検討の際は、事前に確認用スマホがあるかチェックしておくといいでしょう。

保守・運用・メンテナンス費

アプリを開発した後は、ユーザーによりアプリを快適に利用してもらう環境を構築するべく、セキュリティチェックやバグの修正、新しい機能の追加などの保守や運用費が必要になります。

外部に依頼する場合には、案件のレベルや人件費によって違いがありますが、およそ開発費用の15%ほどが保守費用の目安と言われています。

また、運用や保守だけではなく、OSのアップデートに対応するためのメンテナンス費も必要です。アップデートを怠ってしまうと、快適な環境でアプリを利用することができずに、ユーザー離れの要因になってしまう可能性があります。

さらに、アプリに不具合があった場合には、再開発やメンテナンスに膨大なコストがかかる恐れがあるので、事前に不具合があるリスクを考えておく必要があります。

アプリ開発はリリース後の費用にも注意!アプリの運用コストとは?

アプリの保守費用の相場

当社が実施したアンケート調査によると、アプリの毎月の保守費用に関して、約半数以上が10万円以上要していることが判明しました。

アプリの運用保守費

ただし、アプリ開発費用に比例して、保守費用も高額になります。アンケート調査でアプリ開発に「2,000万円以上かかった」と答えた14名のうち、12名が保守費用は71万円以上と回答しています。

アプリ開発にかかった総額と運用保守費の関係図

開発費用が高額な場合は、開発に要する期間は長くなり、保守費用も高くなるため、初期の計画で考慮する必要があるでしょう。

アプリ開発はさまざまな項目にお金がかかります。自社にとって必要な項目の依頼を漏らさないためにも、見積もりの段階でポイントをしっかり押さえておきましょう。こちらの資料では見積もりの見方から、開発会社によって金額に差が出る理由など、開発費用に関する基礎知識を詳しく解説します。

【資料を読む】なぜアプリ開発費の見積もりはこんなにも差が出るのか?

ストアへの登録、SSL証明など諸費用

アプリの開発が終わったら、App StoreやGoogle Playなど、ストアへの登録やSSL証明などを実施しなくてはならず、そのための費用も必要です。ここでは、ドメイン管理とSSL証明書、ストアへの登録費用について解説します。

ドメイン管理費用

ドメインの取得費用は、種類によって異なりますが、一般的には数百円から数千円程度です。例えば、.comドメインは0~2,000円程度、.jp ドメインは350~3,000円程度で取得できます。

更新費用は基本的に1年ごとに発生し、.com ドメインの更新費用は約2,000円~、.jp ドメインの更新費用は約4,000円~です。なお、ドメインを別の管理会社に移す場合は移管費用が発生します。移管費用は1,000円~5,000円程度で、ドメインの種類や管理会社によって異なります。

SSL証明書の費用

SSL証明書は、Webサイトやモバイルアプリのセキュリティを向上させ、ユーザーとサーバ間の通信を暗号化するために必要なデジタル証明書です。ユーザーが入力した情報の盗聴や改ざんを抑止できます。

SSL証明書は種類によって費用が異なり、無料のものから年間10万円程度のものなどさまざまです。個人情報など機密性の高いデータを扱うWebサイトやモバイルアプリには、SSL証明書の導入が欠かせません。

ストアへの登録費用

モバイルアプリを公式ストアに登録する際には、ストア登録料として20,000円程度の費用が必要になることがあります。この費用は、アプリのアップロードやストア審査のために支払うものです。モバイルアプリの種類や提供プラットフォームによって異なり、一度だけの支払いと年間更新が必要な場合があります。

登録料を支払うことで、開発者はモバイルアプリを全世界のユーザーに公開し、ストアのマーケティングツールや分析ツールを活用してパフォーマンスを向上させることも可能です。

費用をできるだけ抑えるには

アプリ開発を外部に依頼する場合には、長期におよぶ作業工数と開発費用がかかります。ただし、外部開発でも費用を抑えることができるポイントがいくつか存在します。

ここでは、開発費用を抑える方法について6つご紹介します。

アプリの要件を具体的に固めておく

まずは、外注先に詳細な要件を伝えることが重要です。アプリ開発費用が想定していたものよりも高額になってしまう原因として、詳細かつ適切な要件定義ができていないケースが挙げられます。具体的にどのようなアプリを開発して欲しいのか、外注先のエンジニアに明確に伝わるような要件定義書を作成しましょう。

大まかに「開発方法」「機能」「UI」について、具体的には「機能の優先順位」「操作手順」について細かい点まで詰め、「ワイヤーフレームの活用」を行います。社内で要件定義書を作成するにあたって、社員の知識や経験が浅かったり不足していたりする場合は、開発したいアプリと似た既存のアプリを参考として提示するのも有効です。

なお、Pentagonではモバイルアプリの開発に際して、企画段階からともに要件を詰められます。自社内にモバイルアプリ開発の専門的知識や経験のある社員がいない場合でも、これまでの実績に基づく提案はもちろん、画面設計やプロトタイプ制作も可能です。

複数社への見積もりを依頼する

モバイルアプリの開発を外部に依頼する際には、適切な業者を選定するのも非常に重要なポイントです。まずは、明確かつ適切な内容の要件定義書を作成の上、複数の業者に相見積もりを依頼することから始めましょう。

外注の経験が少ない企業の場合、そもそもどの業者に開発を依頼すればよいのか、という点でつまずいてしまう恐れがあります。自力で自社に合った業者を探し出すのは骨が折れる作業のため、複数の業者に対する一括見積もりサービスを利用するのが最も効率的でおすすめです。

相見積もりの結果、業者ごとに見積もり金額を提示してくれますが、この際に注意すべきポイントがあります。それは、「機能ごとに細かい費用を算出して提示してくれる業者」を優先して選ぶことです。このような業者は、実際に開発が始まってから見積もり金額以上に費用が膨らむ恐れが少ないため、安心して外注できます。一方、大まかな見積もり金額しか提示してくれない業者は、開発が始まってから費用がかさんでいく恐れがあるため注意しましょう。

機能を見直す

アプリをより多くのユーザーに使ってもらうために、さまざまな機能を盛り込みたいと考える方も多いでしょう。しかし、機能が多ければそれだけ開発コストがかかります。また、現時点で人気の機能がアプリのリリース時にも必要とされているかどうかはわかりません。

したがって、最初は最小限の機能で開発を進めてリリースし、ユーザーのニーズやアプリで実現したいことが増えた段階で機能を加えるというのもコストを抑える方法の1つです。

無駄な機能をつけたばかりに開発費用がかさんでしまうことのないように、機能の選定は慎重に行いましょう。

Flutterの採用を検討する

Flutterとは、2018年にGoogleが開発したモバイル向けのフレームワークです。フレームワークとは、システム開発を効率化させる機能群を意味します。今までは、モバイルアプリやwebアプリなどに対応したアプリの開発には、それぞれの開発環境が異なるために2倍の作業工数と費用がかかっていました。

しかし、Flutterを利用することで1つのコードでモバイルアプリやwebアプリもすべてまとめて開発することが可能です。まとめて開発できることにより、作業工数も半分程度に抑えられることもあり、労働生産性も向上します。実際に、100万円程度の費用削減に繋がった事例もあります。

Flutterとは?Flutterの特徴・メリット・デメリットを解説

安易な自社対応は要注意

外部開発の開発費用を抑える手段として、自社でできる作業は自社で対応して費用を抑えよう、と考える方も多いかもしれません。たしかに、アプリのデザインなどを自社で行えば数十万円のコストカットが可能になり、費用を抑えることが可能です。

しかし、アプリ開発の知識・経験がない社員がデザインを作成してしまうと、アプリの実装時に余計に費用がかかる恐れがあります。また、外部に依頼するものよりもクオリティが落ちてしまうことも懸念されます。

自社内に十分なノウハウがある場合は問題ないですが、そうでなければ、アプリ開発に関しては安易な自社対応は避けて、プロに任せた方が結果としてコストが抑えられる可能性が高いです。

アプリ開発においてデザインは内製すべき?外注すべき?疑問を解決

レベニューシェアの検討

レベニューシェアは、自社と制作会社がアプリをリリースした後に得る利益を分配する方法です。利益の分配条件によっては、制作会社がアプリ開発にかかる費用の一部または全額を負担してくれる可能性があります。負担金額や分配金額は、制作会社との交渉次第で変動するので細かなやり取りが重要です。

アプリ開発をしたくても予算が足りない企業にはおすすめの手段です。ただし、レベニューシェアで開発費用を負担してもらうためには、自社の企画力が重要になります。

アプリ開発の費用を抑えるためには、開発パートナーと綿密なすり合わせが必要です。まずはアプリの何にどのくらいお金がかかるのか事前に把握しておきましょう。こちらの資料でアプリ開発の「お金」の知識を詳しく解説しています。

【資料を読む】なぜアプリ開発費の見積もりはこんなにも差が出るのか?

補助金の活用

モバイルアプリを開発する企業が活用できる補助金もあります。ここでは、4種類の補助金を紹介します(本記事は2024年8月時点の情報をもとに作成しています)。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が生産性の向上や生産プロセスの改善を目指して設備投資を行う際に支援するための補助金です。

ものづくり補助金は、モバイルアプリ開発にも適用可能です。製造業向けの補助金という印象が強いですが、アプリ開発の例も多くあります。

ただし、自社でのアプリ開発の人件費は対象外となるため、注意が必要です。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者の業務効率化やデジタルトランスフォーメーション(DX)、セキュリティ対策に向けたITツールの導入費用を支援する制度です。

IT導入補助金の対象にはソフトウェア購入費、クラウド利用料、関連サービスが含まれるため、モバイルアプリ開発にも利用可能です。

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響で経営が困難になった企業が新たな成長路線に乗るための取り組みを支援する補助金です。さまざまなビジネスモデルが対象であり、アプリ開発も補助の対象となります。

モバイルアプリの導入によって、3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%)以上の増加、または従業員1人当たりの付加価値額の年率平均3.0%(同5.0%)以上の増加が見込まれることが要件です。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者や個人事業主が持続的な経営を実現するために行う、経営計画に基づく販路開拓や業務効率化の取り組みについて、経費の一部を補助する制度です。アプリ開発関連の経費も補助対象となる可能性があります。

通常枠、特別枠どちらで申請する場合も補助率は2/3ですが、賃金引き上げ枠や赤字事業者の要件を満たせば、補助率を3/4に引き上げることが可能です。

まとめ

今回の記事では、モバイルアプリ開発費用の相場についてご紹介しました。自社開発の環境が整っていない場合は、外部に依頼するのが一般的ですが、費用がかかります。また、開発以外にも費用がかかるため、モバイルアプリリリース後の運用まで見越した予算を組んでおくようにしましょう。

外部開発でも費用を抑える方法はいくつかあるので、自社に適したモバイルアプリ開発を検討してみてはいかがでしょうか。

アプリ開発は費用のほかにも知っておくべき知識がたくさんあります。アプリの種類から開発の流れ、費用、成功のポイントなど基礎知識をこちらの記事に詳しくまとめました。

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