業務アプリを開発するには?種類や開発方法、ポイントを徹底解説

グローバル化やIT化など急速に変動するビジネス環境に対応するため、日本企業でも業種・規模の大小を問わず、業務能率や生産性を改善するさまざまな取り組みが実施されています。
数ある改善策の中でも、「業務アプリの導入」は業務生産性の向上に有用であるとして注目されており、既成の業務アプリを活用したり、自社の業務に合わせてカスタマイズをしたりするケースが多くあります。中には、自社専用のまったく新しい業務アプリをオーダーメイドで開発するという企業も少なくありません。
そこで今回は、オリジナルで業務アプリを開発する手順などについて詳しくご紹介します。
業務アプリとは?
そもそも業務アプリとは、どのようなものを指すのでしょうか。
有名な業務アプリとしてはMicrosoft社のWord、Excel、PowerPointなどが挙げられ、多くのビジネスシーンにおいて親しまれています。
また別の例として、名刺管理や各種会計処理など、色々な部門で使われている企業独自の業務アプリも数多くあります。
このように、システム開発企業が一般へ向けて開発・発売する業務アプリもありますが、個々の企業からの注文に対応して開発される業務アプリもあります。さまざまな種類の仕事で業務アプリは導入されており、企業のIT化を進めるために欠かせない要素です。
業務アプリの主な種類
次に、業務アプリにはどのような種類があるでしょうか。
業務アプリは、一般的な大分類として基幹業務アプリと情報系アプリに分けられます。以下に9種類を挙げてみましたが、そのうち「生産管理」「在庫管理」「受注管理」「販売管理」「財務・会計」「人材管理」は基幹業務アプリ、「データ分析」「グループウェア」「社内SNS」は情報系アプリに分類されます。
生産管理
生産管理アプリは、製造業において原材料・資材の購入および生産を計画的に管理するためのツールです。生産管理アプリの利用で、製品のマーケットにおける需要を予測し、売上が見込める数量を定めたうえで、生産各工程の稼働計画を立てられます。
モバイルに対応すれば、好きな時間と場所から製造現場の現状を把握することができ、刻々と変化するマーケット需要に対応した適切な生産管理が可能です。
在庫管理
在庫管理アプリは、倉庫にある製品の在庫量などの情報を管理できます。需要に応じた適切な数量に在庫を保つように管理できるので、在庫が余ってしまったり、品切れを起こしてしまったりすることを回避できます。
さらに、在庫管理アプリでは、在庫の情報の登録・編集・検索・確認ができ、在庫を写真で登録しておくことや、商品のバーコードやQRコードと在庫情報をリンクさせて扱うことも可能です。
受注管理
受注管理アプリは、顧客からの受注関連業務を管理します。顧客からの注文を受けて内容を確定し、出荷を管理するシステムにつなぎます。
受注管理アプリを導入することで、紙やExcelなどでの煩雑な作業を能率化や自動化でき、あってはならない受注漏れなどのヒューマンエラーを未然に防止することができるでしょう。
また、社員間で常時最新の受注状況を共有できることで、電話やメールでの細かい問い合わせを減らすことにもつながります。
販売管理
販売管理アプリは、製品・サービスの名称やコード、価格など、販売を適正に管理するためのアプリです。例えば、現金出納帳などの文書を自動で出力してくれるので、販売に関する数字やデータを細かく入力する必要がなくなり、エラーや事故のリスクも低減できます。
データ分析
データ分析アプリは、自社・他社・マーケットなどの各種データを収集・分析し、業務および経営戦略に有用な情報を取り出せるアプリです。データ分析アプリを上手に活用すれば、人間の頭脳思考だけではたどり着けなかった事実やアイディアを発見できるかもしれません。
財務・会計
財務・会計アプリは、業務遂行にかかったコストや売り上げた金額などの情報を入力して、損益計算書や貸借対照表を出力するアプリです。財務・会計の書類を自動で作成してくれるため、企業経営の透明性を高められ、人的ミスやエラーの削減にも有効です。
人材管理
人材管理アプリは、勤怠・シフト管理をメイン機能とするシステムです。紙のタイムカードに代わって、PCやスマートフォンから出退勤時間の打刻ができ、管理の方も容易に行えます。ほかにも、採用や教育・評価などに関わる社員情報を一元的に管理できる機能付きのアプリもあります。
グループウェア
グループウェアは、社内での情報共有をスムーズに行うためのさまざまなツールがまとめて組み込まれたアプリです。グループウェアにはメールやチャットなどのコミュニケーションツールが1つに組み込まれているので、デバイス上で同時にいくつものツールを立ち上げておく煩わしさから解放され、軽快に仕事の情報共有が可能です。
社内SNS
社内SNSでは、LINE・Facebookなど一般のSNSと同じように、タイムラインへの投稿、メッセージの送受信、データのアップロードおよびダウンロードなどの機能が利用できます。
社内SNSの導入によって、社員間のコミュニケーションを活発にして組織力を高め、エンゲージメントの上昇や離職防止の効果が得られます。さらに、グルーピング機能ではデータを簡単かつ効率的に送信できるため、利便性にも優れます。
業務アプリを利用するメリット


前述のとおり、業務アプリの種類は非常に多岐にわたります。では、実際に業務アプリを利用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。主要なものをいくつかご紹介します。
・業務効率化を実現できる
業務のIT化が不十分な場合、情報共有・スケジュール管理・名刺管理・経費精算などは紙媒体による共有や、Excelデータのやり取りなど、少々複雑な方法をとらなければなりません。
業務アプリを導入すれば、PCやモバイルデバイス端末から好きなタイミングで簡単に管理や共有が可能です。また、煩雑な記入作業や入出力作業も効率的に行えるので、ヒューマンエラー発生のリスクも軽減できます。
・リモートワークに有効
業務アプリの導入は、リモートワークにも有効です。オフィスとは離れた場所にある社員のデバイスで利用できる業務アプリを導入すれば、場所や時間の制約が軽くなり、働き方改革の推進にも大きな効果があります。加えて、会社への出社の必要性も最低限に抑えられるため、遠方の人や家庭の事情などで出社が難しい人でも働けるようになり、採用の幅が広がることにもつながるでしょう。
・業務の機動性や利便性が高まる
業務アプリをモバイルデバイスに最適化することによって、業務遂行の機動性や利便性がより高まります。業務アプリのモバイルデバイスへの最適化には、アプリの起動時間の短縮、操作性の向上、遅滞のないスムーズなコミュニケーションの実現などが含まれます。移動中や外出中でもアプリを使って業務を進められます。
業務アプリを活用することで、さまざまなやりとりや意思決定を高速化することにつながります。
・属人化の解消につながる
業務の中には、「作業工程の管理は決まった人しかできない」「書類作成はいつも特定の社員に任せている」など、属人化が進んでしまっているものもあるでしょう。このとき業務アプリの導入によって業務の仕組みや流れが誰にでも分かるように一般化され、業務の属人化の解消につながることがあります。
誰もが業務を遂行しやすいように作られているので、業務の詳細が特定の人しか分からない、という状況に陥ることはありません。また、業務の属人化が解消されることによって、担当者の異動や退職が発生した際の引継ぎがしやすくなります。
自社で業務アプリを導入するには?
では、実際に業務アプリを導入するためにはどういったステップが必要なのでしょうか。
自社に最適な業務アプリを求めているのならば、オリジナルのアプリ開発がおすすめです。オリジナルアプリを開発する場合、自社で開発する方法と、外部へ依頼する方法があります。ここではそれぞれの特徴を紹介します。
独自アプリの場合は外部への依頼がおすすめ
ここでは、独自の業務アプリを自社開発した場合と外注した場合、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
・自社で独自アプリを開発するメリット・デメリット
自社開発は費用が抑えられる点、自社にフィットするアプリが手に入る点がメリットです。自社の社員によるプロジェクトであれば、スケジュール調整や仕様の変更に関しても柔軟に対応できるでしょう。内製であるからこそ知識や経験が蓄積され、企業としての力もアップします。また、他社に重要な情報を預ける必要がない点もメリットと言えます。
一方で、アプリの自社開発は社内人材のスキルにそのクオリティが左右されてしまう点がデメリットと言えるでしょう。開発担当者のスキルが足りない場合、希望に合ったアプリが作れないおそれがあるのです。また、当初のスケジュール通りに開発が進まないというケースも考えられます。加えて、業務アプリを開発して運用する場合、セキュリティインシデントや障害発生時の対応など、リリース後のメンテナンスにかかる負担も大きいでしょう。
・外部へ依頼して独自アプリを開発するメリット・デメリット
アプリの開発を外部へ依頼するメリットは、専門知識を持つ開発会社に任せることで、クオリティの高いアプリをスムーズに開発できる点です。運用中のメンテナンスやバグの修正といったアフターサポートにも対応してもらえるので、余計な手間や時間がかかりません。
対するデメリットは、自社開発に比べて費用がかかるという点です。
上記でも説明したように、自社でアプリを開発して運用する場合はそれなりの知識やスキルを持った人材が必要であり、運用中の対応も非常に大変です。そのため、独自アプリを開発する場合は費用が多めにかかったとしても外部へ依頼することをおすすめします。
業務アプリ開発の依頼時に押さえておきたいこと
それでは制作会社に業務アプリの開発を依頼するとき、どういったポイントを押さえておく必要があるのでしょうか。
代表的な4つのポイントをそれぞれ解説します。
実現したいアプリのイメージを固めておく
開発を依頼する前に実現したい業務アプリのイメージを自社でしっかりと固めておきましょう。どの業務に使うアプリなのか、どのような機能があれば自社の業務の流れにマッチして状況を最適化できるのか、具体的に考えておくことが大切です。
そして、業務アプリの開発依頼が必要な理由を明確にできたら、開発会社に伝えることも忘れてはなりません。開発して欲しい業務アプリのイメージは、提案依頼書に明記して開発する企業に提出しましょう。
提案依頼書は自社がアプリ開発に関する要件をまとめて、発注先の開発会社に具体的・詳細に提案するための資料です。提案依頼書に盛り込む内容としては、開発依頼に至った背景・目的・予算規模・スケジュール・機能要件・運用・保守要件などがあります。説明資料を十分に準備せずに口頭だけで提案しようとすると、想定外のミスや失敗に繋がるかもしれません。自社の業務戦略に沿って、計画的に提案依頼書を作成しておきましょう。
また、業務で使うアプリの場合は、ディスプレイに表示する情報量が多くなる場合もあります。スマートフォンアプリだけではなく、タブレット版のアプリや、PCのブラウザでも使えるWebアプリも視野に入れて、検討しておくといいでしょう。この点については、実現したいアプリのイメージに含めて考えておき、提案依頼書に盛り込んでおきたいポイントです。
要件定義書・仕様書を確認
依頼先の開発会社から提出される要件定義書および仕様書をよく確認しておきましょう。これらの書類によって双方の確認が取れたうえで、開発企業は業務アプリの開発を進めます。また、要件定義書と仕様書で規定された内容に沿って、実際の開発が正しく進行しているかを、自社の方でも定期的にチェックするようにしましょう。
要件定義書および仕様書は、開発の土台となる資料です。ここで両者に認識のずれや間違いがあると、後から大変なやり直し作業が必要になる恐れがあります。
業務アプリの制作実績がある企業をパートナーに選ぶ
業務用アプリの制作実績が豊富な開発企業を選ぶようにしましょう。誇れる制作実績はコーポレートサイトにも明記されているので、必ずチェックしておきましょう。
特に、システム開発なら守備範囲の広い企業よりも、「業務アプリに強い」と明言している開発企業を選ぶことをおすすめします。
候補の企業が複数社決まった段階で、「提案依頼書」などをもとに見積もりを行いましょう。
継続的な改善が可能か
開発後も継続したアプリの改善対応が可能であるか、というポイントも重視しましょう。
開発にスピード感が必要なのはもちろんですが、開発後に現場ユーザの声を反映し改善を行えるシステムの柔軟性は大切です。
業務アプリの開発・運用においてもPDCAサイクルを繰り返し行う姿勢が肝心です。業務アプリが完成したら終わりではなく、継続してアフターサポートにも誠意を持って対応してくれる開発企業を選ぶようにしましょう。もしくは、自社で容易に改善作業を行えるように業務アプリを設計してもらいましょう。
まとめ
今回は、業務アプリとは何か、業務アプリの種類、業務アプリ利用のメリット、自社に業務用アプリを導入する方法、業務アプリ開発のポイントについて解説しました。
業務アプリの開発をご検討中の場合は、ぜひPentagonまでご相談ください。Pentagonには、高い技術力はもちろん、魅力的なデザインの提案などいくつもの強みがあります。お客様のご要望に沿って最適なコスト・内容の業務アプリを開発いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
本記事でご紹介した内容のほかにも、アプリ開発を進めるにあたって知っておくべき知識がたくさんあります。アプリの種類から開発の流れ、費用、成功のポイントなどの基礎知識をこちらの記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
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