【徹底解説】マッチングアプリの開発に必要な費用・機能・注意点とは?
インターネットの発展に伴って人との出会い方も様変わりしました。以前は会社や近所付き合い、趣味の集まりなどの身近なコミュニティーの中で人と出会うきっかけがあり、あるいは親戚や知人を介して身上書を交換する見合いなどの出会いの場がありました。
しかし、現在では人との直接的な接触が希薄になり、ネット上での交流が盛んになっています。全く面識のない者同士がネット上で意気投合して人間関係を構築していくというケースも増えてきました。また、外での出会いのきっかけが減った分、こうしたネット上での出会いに期待する人が増えており、LINEを始めとするコミュニケーションツールを使って通話やテキストチャットで人とつながることが一般的になってきました。
この記事では、このようなネット上での出会いの場を提供するインターネットサービスの1つであるマッチングアプリと、その開発の過程についてご紹介します。
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マッチングアプリとは?
マッチングアプリとは、人と人との出会いをサポートするツールであり、恋愛や婚活、友達探しなど、さまざまな目的に利用されるものです。マッチングアプリには、ビジネスマッチングやスキルマッチングなど、さまざまな種類が存在します。
元々は同じ嗜好や目的を持った人達が出会う場を提供するアプリで、恋人探しの他には、仕事や転職のためのマッチングアプリ、同じ趣味を持った人と出会うためのマッチングアプリ、ベビーシッターを探すためのマッチングアプリなど、さまざまなコンセプトのマッチングアプリがあります。今回、本記事で扱うのは恋愛や婚活、友達探しなどを目的とした、人と人との出会いをサポートするマッチングアプリです。
人と人との出会いをサポートするマッチングアプリは、おおまかに次の5つに大別できます。
- 恋人を探す恋活マッチングアプリ
- 結婚を前提とした相手を探す婚活マッチングアプリ
- 結婚相談所としてのサービスを提供する婚活コンシェルジェアプリ
- デートの相手を探すデーティングアプリ
- 普段一緒に遊ぶための友達を探す友達探し用のアプリ
それぞれ機能に若干の違いはありますが、本記事では全てに共通となる部分を中心に紹介します。
マッチングアプリに必要な機能
マッチングアプリに求められる基本的な機能は、以下のとおりです。
・新規会員登録機能 ・年齢確認 ・本人確認 ・会員ページへのログイン機能 ・会員データ管理機能 ・フォーム機能 ・検索機能/並び替え機能 ・SNS連携機能 ・メルマガ管理機能 ・年齢認証機能 ・決済機能 ・口コミ機能 ・退会手続き機能 ・メッセージ送受信機能 ・コンテンツ管理機能 ・ランキング機能 ・ポイント付与機能 |
あくまで例ですが、基本的にはこのようにさまざまな機能が必要となります。ここでは、その中でも特に重要な年齢確認・本人確認と、ブロック機能や違反報告機能について確認しておきましょう。
年齢確認・本人確認の重要性と実現する機能
マッチングアプリを開発する際には、年齢確認・本人確認を行う機能の実装が必須です。
マッチングアプリはインターネット異性紹介事業に該当し、国が年齢確認と本人確認を義務付けています。現在の法律では、メッセージのやり取りを行えるのは年齢確認を終えた18歳以上のみと定められています。そのため、健全な出会いを目的としたアプリでは、不適切な画像やメッセージのチェック、不正ユーザーの強制退会など、積極的に安心への取り組みが行われている状況です。年齢をごまかす人や身元が不確かな人を防止するため、運営は年齢確認や本人確認で細心の注意を払わなくてはいけません。
マッチングアプリの年齢確認・本人確認を実現するためには、以下のような機能が必要です。
・身分証明書提出機能
・プロフィール情報と身分証明書情報の照合機能
・セキュリティ対策
マッチングアプリのユーザーは、身分証明書を提出して年齢確認と本人確認を行う必要があります。プロフィールに登録している生年月日と、提出した身分証の生年月日が一致しているかを確認する機能が必要です。また会員情報は住所、氏名、年齢、職業、身長、学歴、収入など、多くの個人情報を含んでいます。それらがマッチングアプリを通して外部に流出しないように、送受信する情報を暗号化するSSLを備えるなど、セキュリティ対策も必要です。
さらに、運営は専門スタッフによる顔写真照合やWチェックなどによって、厳重なセキュリティ対策を行う必要があります。
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ブロック機能や違反報告機能も必要
マッチングアプリは、AppleとGoogleの審査が厳しいため、不適切ユーザーのブロック機能や違反通報機能などの実装が必要です。具体的には、以下のような機能の搭載が求められます。
・不適切ユーザーのブロック機能
・違反報告機能
・監視機能
・メッセージ機能のNGワード設定
ブロック機能は、不適切なユーザーからの接触を防ぐために重要です。ユーザーは相手のプロフィールからブロックでき、その後はメッセージやマッチングができなくなります。
違反報告機能は、不適切な行動や規約違反をアプリ運営に通報するための仕組みです。ユーザーは相手のプロフィールやメッセージから問題を報告できます。
アプリ運営は、不適切な行動や規約違反を監視することが必要です。監視はユーザーの安全性と信頼性を保つために欠かせません。
NGワード設定は、特定の単語やフレーズを含むメッセージを自動的にフィルタリングする機能です。不適切な内容を防ぐために活用されます。
特に、Appleは審査が厳しいため、これらの機能をしっかりと搭載している必要があります。このような不適切なユーザーを駆逐した後に再度登録を行えないよう、退会後一定期間は会員登録ができないようにしているマッチングアプリもあります。
マッチングアプリの開発にかかる費用の相場
開発以外にも費用がかかる
マッチングアプリを運用するためには、開発以外にも費用が必要です。
費用名 | 用途 | 相場 |
サーバー構築費用 | 会員情報やログの管理費用 | 40万円から80万円前後(※アプリの機能やユーザー数による) |
テスト/モニター費用 | アプリのリリース時に、動作上の問題はないか、ユーザーが使いやすいか、要件仕様を満たしているかをテストするために必要な費用 | 60万円から120万円前後 |
アプリストアの登録費用 | App StoreやGoogle Playの登録費用 | ・App Store:年間1万1,800円・Google Play:初回約2,800円 |
上記の表の他、運営のために以下の費用も必要となります。
費用名 | 用途 | 相場 |
運営費用 | アプリの運営・運用 | 10~100万円以上 |
維持費用 | サーバー費用 | 5~10万円/月 |
修正・追加開発費用 | ユーザーの声を反映したアプリ改善 | 20万円以上 |
開発が終わってもマッチングアプリの運営・運用には費用が必要なため、開発前の段階で運営開始後の資金についても検討しておきましょう。
そして、忘れてはいけないのが集客・マーケティング費用です。いくら良いマッチングアプリを開発しても、使ってくれるユーザーが集められなくては意味がありません。
マッチングアプリの集客・マーケティングは、以下のような方法が一般的です。
費用名 | 用途 | 相場 |
プロモーション動画費用 | アプリの特徴や使い方を視覚的に伝えるために有効 | 30万円~ |
SNSや公式Webサイトで発信する費用 | 新機能の紹介やユーザーの声を共有することで、アプリの魅力を広める | 自社のSNSアカウントからの発信の場合費用は発生しない |
Web広告の出稿やASO対策費用 | 検索エンジン最適化(SEO)と同様に、App Store Optimization(ASO)はアプリを見つけやすくするために重要 | ・Web広告:広告費は自由に設定可能・ASO対策を外部に依頼した場合、40万円/年程度 |
店頭など、オフラインでの宣伝費用 | リアルな場所での宣伝 | 規模によって異なるが、100~200万円以上が相場 |
インフルエンサーの活用費用 | 信頼性と影響力を持つ人物による推奨は、新規ユーザー獲得に役立つ | 1回のSNS投稿で「フォロワー数×2~4円」が相場 |
イベント・キャンペーン費用 | 限定的なイベントやキャンペーンは、既存ユーザーのエンゲージメントを高め、新規ユーザーを引き付ける効果がある | 規模によって異なるが、100~200万円以上が相場 |
なお、マッチングアプリの集客、マーケティング費用は、内容次第で大きく異なるため、業者へ相談する際に確認しておきましょう。
アプリリリース後の保守運用に関する作業にかかる費用について、詳しくはこちらの記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
アプリ開発はリリース後の費用にも注意!アプリの運用コストとは?
マッチングアプリの内容によっては審査のハードルが高くなる
アプリを開発する際、Google PlayやApp Storeに申請して所定の審査を受けなければいけません。マッチングアプリのようにユーザー同士でコミュニケーションができる機能があるアプリは、出会い系サイトの1つと見なされます。そのため、「出会い系サイト規制法」という法律に準拠する必要があり、審査が一般のアプリよりも厳しくなります。
サイトが健全に運営できるように、未成年が参加できない仕組みの構築や、不適切な書き込みがないようにするなど、守らなければいけないルールがあります。審査の結果、求められる基準を満たしていないと判断されると申請が拒否され、指摘された内容を修正した後に再度申請をして審査を受け直さなければなりません。
マッチングアプリ開発会社の中には、申請拒否のリスクを負いたくないとして、ソース納入までしか請け負わない会社もあります。また、マッチングアプリの中には、拒否・再申請を繰り返しているケースもあります。このようなリスクはどのようなマッチングアプリにも多かれ少なかれありますが、出会い系のマッチングアプリは特に審査が厳しいことから、起こる可能性が高くなります。
このようにマッチングアプリは法律との絡み、個人情報の取り扱い、課金機能のセキュリティー対策などから審査のハードルが高くなり、手間がかかるうえに申請拒否のリスクがあるため、開発コストがかさみます。審査に合格しなければアプリを公開することができないため、非常にリスクが高いのです。
また、iOS向けマッチングアプリの場合、アップル社がApp Reviewという審査プロセスのガイドラインを公開しており、開発者が参照できるようになっています。事前に確認し、リリースのハードルが通常のアプリと比べて高いことを確認しておくことをおすすめします。
マッチングアプリ開発を成功させるためには、実績のある開発パートナーへの依頼と、企画段階での詳細なプランニングが重要です。こちらの資料でBtoCアプリマーケティングの基礎知識を詳しく解説しています。
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マッチングアプリの開発を依頼する際に注意する点
続いて、マッチングアプリ開発依頼に際しての注意点を解説します。
盛り込む機能を明確にしておく
マッチングアプリの開発は、どのような機能を盛り込むかで開発期間と開発費用が決まります。新規会員登録機能、SNS認証機能、検索機能、並び替え機能、メッセージ送受信機能、課金機能、決済機能といったマッチングアプリで一般的に求められるベーシックな機能を盛り込む場合、一般的には開発期間は4ヶ月から5ヶ月、開発費用は850万円から1,000万円程度が相場となります。
ここにさらに機能を追加すると、1つ追加するごとに開発期間と開発費用が大きく変動します。盛り込むべき機能が決まっておらず、開発要件が明確になっていない場合は、開発会社の担当エンジニアによるヒアリングで案件を具体化するサービスを提供する会社もあるので、それを利用するのもいいでしょう。
開発要件の定義ができたら複数社から見積もりを取り、費用、開発期間、開発能力の技術的信頼性を比較・検討し、要望に合った会社を探します。マッチングアプリは主にCtoC(消費者間の取引)であり、個人間のマッチングを主目的とすることから、多くの人がスマホを用いて利用しています。したがって、スマホに最適なユーザーインターフェースでそれぞれの機能がストレスなく使えるものであることが成否の鍵を握ります。
依頼先はマッチングアプリの開発実績があるか
マッチングアプリの開発を依頼するにあたって、マッチングアプリの開発の実績がある開発会社を選ぶことをおすすめします。過去に同様のマッチングアプリを開発した実績があればそれを流用して開発してもらうことができ、開発工数を削減し、開発費を低く抑えることができます。
また、実績を積んだ会社ならどんな機能を盛り込むべきか、どんなカテゴリーがあれば使いやすいか、どんなページがあれば便利か、拡張性を高くするためにはどのような設計をしたらよいのかといったトレンドをしっかり把握していることが期待できます。
開発後のサポート体制は万全か
マッチングアプリを開発して公開を始めてからも、日々の運営管理、集客、機能の改善・追加、操作性の向上、画面のアップデートなどのメンテナンスが日常的に必要とされます。そのため、開発後も開発会社の継続的なサポートが欠かせません。
より使いやすいシステムへの改善、利用者のマッチングしやすさの改善、マッチングに至るまでの確度の向上、ビジネスモデルとして収益化していく過程など、開発後も時代の流れに即したアップデートが求められます。日々の運営についてもカスタマーサポート体制の構築、不適切な利用を防ぐ監視体制が必要です。その運営ノウハウも含めて開発後もサポートをしっかりしてくれる開発会社を選ぶことが大切です。
一般的には、規模が大きい会社の方が自社でプログラマーやシステムエンジニアを抱えているので、運営管理体制がしっかりしており、サポート体制も充実しています。しかし、その分の人件費がかかるため、全体としての開発費用が高くなりがちです。
しかしながら、費用が安いか高いかだけで判断すると、開発能力やノウハウの充実度、サポート体制の手厚さといったマッチングアプリに求められる本質的な要素を考慮せずに開発会社を選んでしまう恐れがあります。なぜ安いのか、高いのか、その理由を十分に吟味して注意深く選考していくことが重要です。
保守運用費用は定期的に見直す
マッチングアプリの運営には、維持費としてサーバー費用や保守運用費用が必要になります。
ただし維持費は、アプリを長期的に運営していくと抑えられる可能性のある費用です。特にバグやトラブル対応のための「保守運用費用」は、定期的な見直しをおすすめします。
リリース前にテストを行っていても、アプリのリリース当初はバグやトラブルが発生しやすいものです。しかし、その都度修正しながら長期的にアプリを運用することで、アプリのシステムは安定するようになります。安定したサービスが提供できるようになってきたタイミングで、保守運用の内容や費用を見直してみると良いでしょう。
例えば、リリース直後はバグやトラブル対応が月に5件前後あったとしても、1年経過したころには月に1,2件程度まで減る可能性があります。ここで保守運用費用の見直しをすることで、現状より費用を抑えられるかもしれません。
まとめ
全国の男女6,000人を対象にしたマッチングアプリの利用状況に関するアンケート調査では、1,900人以上の人が使ったことがある、または使っているという結果が出たそうです。約3人に1人は利用経験があることになります。中には会員数が1,000万人を超えるマッチングアプリもあり、世の中に広く浸透していると言えるでしょう。
マッチングアプリが普及し始めたのは2015年頃からと歴史は浅いですが、LINEやSNSを介した人との交流が当たり前になった現在、今後は健全な出会いの場としてさらに利用者層を拡大していくことが考えられます。
マッチングアプリの開発を外部委託する場合は、適切な開発会社を選んで、スムーズな開発・リリースを目指しましょう。
本記事でご紹介した内容のほかにも、マッチングアプリ開発を進めるにあたって知っておくべき知識がたくさんあります。開発の流れ、費用、成功のポイントなどの基礎知識をこちらの記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
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