オークションアプリの開発を外注するには?必要な機能・費用など解説
インターネットの登場以前は、商品を購入するには消費者がお店まで足を運び、お金を支払って対面形式で販売者と取引を行っていました。しかし、近年はスマートフォンの普及と便利なアプリの誕生により、場所を選ばずに買い物ができるようになりました。
そして、スマートフォンのさまざまなサービスが増えるなか、オークションアプリも数多く登場しています。アプリになったことでオークションのハードルが下がり、ユーザーニーズの高まっているサービスです。
そこでこの記事ではオークションアプリの開発に注目し、外注するうえで必要な機能・費用・開発の流れなどを詳しく紹介します。これからオークションアプリを開発しようと検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
オークションアプリとは
オークションアプリとはネットオークションを身近に楽しめるアプリで、最大手のヤフーオークションなどさまざまなサービスが登場しています。
オークションアプリとよく似たアプリに、メルカリなどのフリマアプリがあり、一見すると同じように感じるかもしれません。オークションアプリとの違いには、価格決定方法・利用目的・利用者層・取引成立までの期間が挙げられます。
特に価格において、ネットオークションの場合は最終的な落札価格が出品物の価格になりますが、フリマアプリでは売り手が最初に決定します。そして、利用目的に関しても、ネットオークションの場合できるだけ高額での売却を出品者は目指しますが、フリマアプリでは手軽に持ち物を処分しようと考える方がほとんどです。
主要オークションアプリとその特徴
代表的なオークションアプリには以下があり、利便性の高い機能で他社と差別化を図っているサービスが人気です。
「ヤフオク!」
・業界最大手
・6300万点以上のラインナップ
・フリマ出品も選択可能
・取引満足度は96%
・匿名で取引可能
・月額費と手数料が無料
「モバオク」
・運営実績は15年以上
・200万点以上のラインナップ
・フリマ機能やサポートも充実
・携帯料金と一緒に決済可能
・プッシュ機能で気になる商品を常にチェックが可能
「ブランディアオークション」
・ファッション関連のブランド品に特化したアプリ
・取り扱いブランドは7000以上
・試着や下取りなどのサービスも充実
・利用実績は300万人以上
「泰星オークション」
・コインの取引に特化したアプリ
・高値更新時にプッシュ通知機能あり
・解像度も自由自在
・スワイプのみでオークションに参加可能
「Peace YouLive」
・ライブ配信に特化したオークションアプリ
・リアルタイムでコメントが可能
・フォローとブロック機能あり
オークションアプリにはどんな機能が必要?
ここからは、オークションアプリに必要な機能について解説します。
全員に共通の機能
オークションアプリの利用者すべてに共通して必要な機能としては、ユーザー登録機能や、返品・キャンセル・トラブル報告などカスタマーサポートに関する機能などが挙げられます。
また、個人間取引で不透明な部分を少しでも解消するために、購入者と販売者のレビュー機能もあると良いでしょう。レビュー機能によってお互いの評価が明確になるので、取引する相手として安心できるか判断材料として利用できます。
ただし、オークション利用者のレビューが活用されていても、トラブルへの対応策は軽視できません。返品や急なキャンセル、クレームなどに対応するカスタマーサポート機能や問題解決に対応可能な社内体制も整備しましょう。
また、ネットオークションは操作性から敷居が高いと感じる方も一定数いるため、UI/UXに十分配慮した、見やすい画面と簡単な操作のみで取引が行える環境構築も重要です。
購入者のみに必要な機能
オークションアプリの購入者側に必要な機能としては以下が挙げられます。
・商品検索機能
商品のタイトルや紹介文は出品者に依存するため、一覧表示だけでは目当ての商品にたどり着けません。数ある商品から目的の商品を効率的に探せる検索機能は必要不可欠です。
キーワード検索や価格や出品日時などの条件指定など、ユーザーの立場に立って必要としている商品にすぐに辿り着ける商品検索機能を搭載しましょう。
・入札機能
入札機能は購入者にとって検索機能と同様に大切な機能です。入札後もプッシュ通知で高値更新をお知らせできれば、購買意欲をさらに高める効果もあります。
・ウォッチリスト機能
気になる商品を登録して自分だけのリストを作成できます。複数の商品を比較検討したいと考えるユーザーは多くいるため、定番のネットオークションアプリには搭載されている機能です。
また、関連商品を表示する機能とのシナジーも高く、いつでも入札状況のトレースが可能なためアプリの利便性が大きく向上します。
・決済機能
クレジットカード決済が主流ですが、銀行振込・ネットバンク・コンビニ決済・電子決済など、あらゆる決済方法を導入すれば多くのユーザーのニーズに応えられます。
出品者のみに必要な機能
オークションアプリの出品者に必要な機能としては以下が挙げられます。
・出品機能
出品者にとって必須の機能で、オークション開始価格・商品紹介・掲載期間・決済方法・商品写真などの項目があります。設定できる項目のボリュームがそのまま他社との差別化に繋がる場合もあるため、なるべく多くの項目を用意しましょう。
・売上管理機能
商品の売上を管理するための機能で、クレジット決済だけでなく各種銀行への振込や電子決済へのチャージ機能まで搭載されているサービスが主流です。さらに、ポイントでオークションに参加できる環境を整えると、アプリに好循環が生まれます。
・商品管理機能
複数の商品を扱うようになると、カテゴリ別での区分けや掲載期間が終了したオークションをまとめて把握する必要性があるため、重視したい機能です。
オークションアプリの開発を外注すべき理由
オークションアプリを外注すべき最も大きな理由は、専門知識を持つプロに依頼できる点が挙げられます。
特に、オークションに関しては、購買意欲を高めるリアルタイム性やUI/UXによって、そのアプリの満足度が大きく左右されます。そうした際にプロの意見を積極的に取り入れれば、高品質のオークションアプリの開発が実現できるでしょう。
そして、何よりもアイデアからアプリを形にできる高い技術力は欠かせません。アプリ開発のノウハウのある企業以外は、基本的に外注という選択が必要です。
オークションアプリ開発の費用と期間
オークションアプリの開発費用は、検索機能・出品機能・入札機能といった、最低限度の機能のみを搭載する場合や、既存のパッケージを利用するパッケージ開発を活用するケースでは、およそ150万円〜200万円程度です。
一方で、差別化を重視してオリジナルのシステムを構築するフルスクラッチ開発の場合、おおむね900万円〜という費用感になります。さらに、そこからさまざまなオプションを追加していくと2,000万円以上かかる場合もあります。
次に、開発の期間ですがオークションアプリのようなCtoCアプリはユーザーが販売者と購入者の2パターンある特性があるため、BtoCアプリと比較して開発が難しい傾向にあります。テストに多くの期間を割く必要もあるため、7ヶ月〜1年程度の開発期間を想定しておきましょう。
オークションアプリ開発の流れ
ここからは、オークションアプリ開発の流れについて紹介します。
一般的にアプリ開発の進行は「企画」「制作・開発方法の決定」「開発」「テスト」「リリース~運用」の順番です。では、各ステップ毎に詳しく確認してみましょう。
・企画
まずは、どういったオークションアプリを開発するか企画書を作成します。企画書には、アプリの開発目的・対応するOS・オークションのコンセプト・ターゲットユーザー・オークションの専門性・搭載する機能などを盛り込みましょう。
アプリの仕様だけでなく、運用後にどのようなサービスにしたいかなど、最終的な目的も盛り込んでおくと安心です。
最終的な目標を制作会社と共有しておくことで、運用後のトラブルも少なくなるでしょう。
・外注先決定
作成した企画書をもとに制作会社に見積もりを出してもらい、それを参考に外注先を決定します。
その際、必ず複数の制作会社に見積もりを依頼し、なるべくオークションアプリのようなCtoCアプリ開発の実績が豊富な制作会社に依頼しましょう。
・開発
外注先が決まったら設計と開発に取り掛かります。アプリ開発には仕様変更なしで開発を行うウォーターフォール開発と、こまめな仕様変更が想定されたアジャイル開発があり、オークションアプリの場合はアジャイル開発が選定されるケースが目立ちます。
また、開発の際は、制作会社にすべて委ねるのではなく、完成後の運用イメージや仕様変更の可能性を考慮して、定期的なチェックを行いましょう。
・テスト
オークションアプリの開発が完成したらテストを行います。オークションアプリで一番大切な工程であるため、仕様変更があればこまめに制作会社と連絡を取り何度もテストを行いましょう。
アジャイル開発の場合はそれぞれの工程の途中で複数のテストを実施して、改善や修正を行いながらアプリの質向上を目指します。
・リリース
テストをクリアしてアプリが完成したら、依頼元へと納品されます。納品されたアプリは正常に動作するか検品した後に、対応OSで配信して問題ないか審査が行われます。そして、審査を無事通過できればついにアプリのリリースです。
オークションアプリ開発で重要なポイント
最後に、オークションアプリを開発するうえで重要なポイントについて紹介します。
他社サービスとの差別化ポイントを明確に
オークションアプリ開発では企画段階が重要です。どのようにして他社と差別化を図るか、現在の市場ではどんなものが流行っていて、今後どのようなニーズ換気が予想されるかなど、さまざまな項目を考慮して企画を練りましょう。
また、アプリのコンセプト決定に時間をかけて工夫できるほど、アプリの完成度やオリジナリティに直結します。反対に、コンセプトが曖昧だったり、全く差別化ポイントがなかったりすると、開発工程で不必要な修正を繰り返し、費用だけ莫大に膨れ上がりかねません。市場調査を徹底し、作りたいオークションアプリのイメージを具体化させましょう。
自社が持つ既存のサービスとのシナジーを狙ったり、機能を制限する代わりに扱う商品の専門性に特化したりと、差別化のポイントは数多く存在します。
UI/UXを大切に
オークションアプリは操作が複雑というイメージを抱いている方も存在します。また、アプリ全体で考えても、UI/UXによってダウンロード率や利用率は大きく影響を受けます。そのため、どのようにして予算内でUI/UXを最大限工夫できるかも、オークションアプリ開発において重要な項目です。
あくまでアプリユーザーの立場に立って考える、ユーザーファーストの視点を常に持つように心がけましょう。
初期の段階から機能を盛り込みすぎない
現在、魅力的なオークションアプリは沢山あるため、差別化を図ろうと搭載する機能の候補が多くなるのは当然です。しかし、予算を無視して機能を詰め込み過ぎることは好ましくありません。
特に、オークションアプリでは複数回のテスト実施を前提とするアジャイル開発が推奨されているため、こまめにPDCAサイクルを回すことが必要です。そのため、搭載したい機能が多数ある場合でも、テスト中に試しに一つずつ実装する形を採用して、何がユーザーのニーズのある機能なのかを検証しましょう。ウォーターフォール開発とは違い、アジャイル開発であれば、不具合が発生してしまった場合でも、戻る工程を最小限に抑えられるメリットもあります。
アプリ開発と並行してユーザー獲得戦略も走らせる
アプリの長期運用を考えるうえでどのようにして新規ユーザーを獲得するかは、アプリ開発と並行して行わなければならない項目です。具体的な方法の例としては、Web広告やバナーをはじめ、インフルエンサーに案件を依頼したり、ローンチの際に合同誌にプレスリリースを掲載したりするなど、少ない予算でも、工夫次第で多くのターゲット層に発信できます。
ユーザー獲得の戦略は、上記の方法以外にもソーシャルメディアの活用、アプリストアの最適化を試みると、ダウンロード率や継続利用率が上がる傾向にあります。これからゼロベースでオークションアプリを開発するという方はぜひ実践してみましょう。
まとめ
今回はオークションアプリの開発方法と、外注するために必要な手順・費用を解説しました。
まずは、ターゲット層やアプリの目的を明確にしましょう。そして、操作性を工夫して競合他社との差別化に成功できると、新しいアプリとして成功できる可能性が高まります。そして何よりも、これらのポイントをどのように優先順位を決めるかで、オークションアプリの方向性が決まります。
万人受けしやすいコンテンツで機能重視のアプリにするか、既存のサービスと掛け合わせた今までにない新しいオークション形式のアプリにするか、社内や制作会社の方と議論を重ねてアプリ開発を進めましょう。