Webサービスを立ち上げるメリットとは?マネタイズの方法や立ち上げの流れを解説
新規事業としてWebサービスの開発を検討しているものの、収益化やリリースまでの見通しが掴めていない担当者の方も多いのではないでしょうか。
当記事ではWebサービスを立ち上げるメリットやマネタイズの方法、立ち上げの流れを解説していきます。
それでは詳細について見ていきましょう。
新規事業でWebサービスを立ち上げる3つのメリット
新規事業でWebサービスを立ち上げるメリットは下記の通りです。
- 低予算で始められる
- プログラミングの知識が無くてもOK
- 在庫を抱えるリスクがない
詳しく解説していきます。
低予算で始められる
Webサービスの起業は低予算で始められるのが大きなメリットです。実店舗のように初期段階から高額な設備投資を行う必要はありません。
初期費用を抑えながらニーズの有無を確認し、需要がありそうなら本格的に稼働を進められるのが強みです。
プログラミングの知識が無くてもOK
起業が目的であれば、必ずしもプログラミングの知識は必要ありません。プログラミング言語を必要とせずとも、ノーコードのようにWebサイトやアプリを開発できる手法が生み出されています。
既存のテンプレートを利用し、画像や文字を変更すれば、簡単に自社の仕様に変更することが可能です。制作にかかる時間を短縮することで、費用や時間の削減にも繋がります。
またWebサービスの開発にあたって、マーケティング調査や運営にかかる費用の管理など、開発以外にかかる業務も多く発生します。外注や社内のエンジニアに開発を担ってもらい、自らは経営に特化するほうが効率的です。
在庫を抱えるリスクがない
Webサービスでは無形の商材を扱うため、在庫を抱えるリスクが少ないです。
有形の商材であれば倉庫の保管費用やオフィスの家賃が固定費として計上されますが、無形の商材であれば費用はかかりません。設備投資を行う必要もないので、初期費用を抑えることができます。
Webサービスをマネタイズする5つの方法
Webサービスをマネタイズする具体的な方法は下記の通りです。
- 広告収入
- 有料サブスクリプション
- アプリ内課金
- マーケットプレイス
- フリーミアム
広告収入
広告収入とは、自社が運営するWebサービスにユーザーを集客し、広告を掲載したり、掲載した広告がアクションされることで報酬を得る仕組みのことです。
具体的な広告収入のモデルは下記の通りです。
- 純広告(バナー広告、テキスト広告)
- 動画広告(Youtube、Instagram)
- アフィリエイト広告(ASP)
- アドネットワーク(Google AdSense)
かつてはバナー広告のように広告枠を販売する形式が中心でしたが、コンテンツに馴染ませる「ネイティブ広告」での広告配信が主流となっています。
有料サブスクリプション
サブスクリプションは、商品やサービスを所有・購入するのではなく、一定期間利用できる権利に対して料金を支払うことを指します。
具体的な種類は下記の通りです。
- 自動更新サブスクリプション
課金の期間中はサービスを継続的に利用できる
(例)Netflix,Spotify
- 非自動更新サブスクリプション
課金することで期間限定のサービスやコンテンツを利用できる
(例)ストリーミング配信のスポーツのシーズンパス
サブスクリプションを提供する企業側のメリット・デメリットは下記の通りです。
【メリット】 | 【デメリット】 |
安定した収入を得ることで、将来の利益を試算しやすくなる | 解約は簡単にできるので、解約リスクを考慮する必要がある |
顧客データの収集がしやすい | 無料トライアルのみを利用するユーザーに対するコストも発生する |
収集したデータの活用によってサービスの最適化を図ることができる | コンテンツを更新し続ける必要があるため最適化させる負担が大きい |
有料サブスクリプションは各分野で成功の可能性を秘めていますが、デメリットや課題も抱えていると抑えておきましょう。
アプリ内課金
アプリ内課金とは、アプリの一部の要素(機能)を有料で提供し、ユーザーからの課金を促すことです。アプリ内課金の種類は下記の通りです。
- 消耗型
アプリ内で消費するアイテムなどを購入する
(例)ゲームアプリでガチャを引くためのゲーム内通貨
- 非消耗型
一度購入すれば、アイテムやサービスを永続的に利用できる
(例)写真編集アプリで写真加工のための新機能のロックを解除
アプリ内課金はApp StoreやGoogle Playなどのプラットフォームの仕組みを利用して課金を行うため、事業者にとっては導入のハードルが低いのがメリットです。
一方でプラットフォームを提供する企業に対して売上の30%を手数料として支払う必要があり、非常に高額であることがデメリットです。
アプリ内課金はゲームで成功しているイメージがありますが、それ以外の分野でも成立するマネタイズの方法といえます。
マーケットプレイス
マーケットプレイスとは、売り手と買い手が自由に参加できるインターネット上の取引市場(電子商取引=EC)のことです。
マーケットプレイスのECサイトは、下記のような種類があります。
【特徴】 | 【代表例】 | |
マーケットプレイス | 店舗ではなく、商品の出品が中心 | Amazon |
テナント型 | ショッピングモールにテナント料を支払って店舗を構える | 楽天市場、Yahoo!ショッピング |
総合管理型 | ECサイトが各々でショップを展開する | アパレルメーカーやセレクトショップ |
マーケットプレイスでは、定期的な収入を得ることができたり、専門的な知識が乏しい出品者でも導入できるメリットがあります。一方で差別化やブランディングが難しく、運営会社が出品や決済に負う責任の割合が大きくなるというデメリットもあります。
フリーミアム
フリーミアムとは、基本となるサービスや製品を無料で提供し、より便利に使うための機能や上位プランに課金を必要とするビジネスモデルのことです。
フリーミアムはサブスクリプションと違い、基本のサービスは誰でも無料で使用できます。追加機能を使いたいユーザーのみが料金を支払う仕組みです。
フリーミアムの具体的な収益モデルは下記の通りです。
【収益モデル】 | 【特徴】 | 【代表例】 |
機能制限型 | 基本の無料を無料提供し、追加の機能は課金を行う | Spotify |
容量追加型 | 課金することでデータ容量が増える | iCloud |
会員限定型 | 有料会員になることで会員限定の特典を得られる | cookpad |
都度課金型 | 基本無料で、必要な機能やサービスは都度課金する | オンラインゲームの課金アイテムやガチャ |
フリーミアムは基本機能が無料のため、導入ハードルが低くユーザーを獲得しやすいというメリットがあります。一方で課金の見通しが立たないと、開発費用や運営コストを回収できないリスクもあります。
Webサービスの立ち上げ方
Webサービスを立ち上げるのに、内製するか外注するかは悩みどころではないでしょうか。
内製と外注でそれぞれのWebサービスの立ち上げ方について解説していきます。
内製
Webサービスの内製の立ち上げの具体的な手順は下記の通りです。
- 企画:仕様書の作成やWebサービスの開発に必要な情報をまとめる
- 設計:画面デザイン・機能・ボタンなどWebサービスの設計を行う
- 開発:設計をもとにWebサービスを開発 不具合が起きたら再度設計
- テスト:アプリの動作に不具合がないか確認 不具合があれば修正
- リリース:不具合を修正後にリリースする
Webサービスを内製する場合は、自社にWebサービス開発や立ち上げに関する知見を有している社員がいることが大前提です。エンジニアが不足しているのであれば、採用を行う必要がありますが、当然ながら採用コストが発生します。
またWebサービスを内製で開発するのが初めてなら、一部を外注することが有効な手段となります。内製を検討しているWebサービスの全体を把握し、内製が可能な工程や業務を絞り込み、見極めるようにしましょう。
外注
Webサービスの内製の立ち上げの具体的な手順は下記の通りです。
- 要件定義:外注先とWebサービスに関する要件について認識を共有する
- 提案・見積もり:提案書による「開発方針」「工程表」「価格」を踏まえて発注
- 設計:要件定義と提案書をもとに、Webサービスの設計を行う
- 開発:設計書をもとに、外注先が実際にWebサービスの開発に入る
- テスト:開発が完了し、Webサービスのテストを行う
- 納品:テストが完了したら、研修完了の報告を行う
Webサービスを外注するのであれば、外注先に求めることを明確にするなど、外注を成功させるポイントを抑えることが大切です。
Webサービスの立ち上げの流れ
Webサービスの立ち上げの流れの中でも、特に重要な工程について解説していきます。
事業計画の作成
Webサービスを立ち上げるとなれば、企画段階の時点で事業計画を作成するべきです。
具体的にWebサービスを企画する前に考えるべきポイントをまとめています。
- 何故そのWebサービスを作るのか
- ターゲットとなるユーザーの心理を理解できているか
- ユーザーに価値をもたらすものになっているか
- 最低限実装するべき機能は何か
- どのような収益モデルでマネタイズをするのか
上記の段階から外注先に丸投げしてしまう方法もありますが、企業の担当者が企画段階から構想をしっかりと練っていれば、より質の高いWebサービスの開発が可能になります。
人材の確保
Webサービスの開発にあたっては、人材確保が必要です。人材確保の方法は、下記の通りです。
- 新規で人材を採用:転職市場の動向をチェックし、求人サイトや自社HPから募集を行う。エンジニアの場合はSNSやリファラル採用(社員紹介)も有効。
- 外部人材の活用:派遣やフリーランス、アウトソーシングを活用
- 社内の人材育成:教育体制を強化することで既存のIT人材のスキルを強化する
- オフショア開発:海外の企業に開発を委託する
自社のWebサービス開発に必要なIT人材のスキルを定義することで、どのような人材確保の方法が適切なのか考えてみましょう。
テストローンチ
設計から開発が完了すれば、Webサービスのテストローンチを行う目的は下記の通りです。
- クライアント(発注者)の求める要件を満たしているか
- 致命的な不具合が生じないか
- セキュリティに問題はないか
リリースしてからバグや不具合が発生するのを防ぐためにも、テストローンチの工程は重要となります。
Webサービス立ち上げにかかる費用
Webサービスの立ち上げにおける費用は、下記の種類が挙げられます。
- PCやソフトウェアの使用料金
- ドメイン料金
- サーバー料金(保守・運用含む)
- 人件費や求人費用
- 外注費
- 広告費
- 雑費(書籍代など)
費用の大半はエンジニアの人件費によって占められます。立ち上げにかかる費用自体は50~100万円程度に抑えることも可能です。
資金調達
Webサービスの開発にあたって、資金調達をするための方法は下記の通りです。
- 補助金を活用する
補助金は「国や自治体が募集を行い、審査を通過した事業者に対し、資金の一部を給付する」という仕組みです。注意点としては、事業を行った後にお金が戻ってくるという点です。一定の自己資金を確保しており、負担を軽くしたいという状況であれば、有効な手段となります。
- 金融機関からお金を借りる(デットファイナンス)
民間の金融機関や日本政策金融公庫と呼ばれる政府系の金融期間から受ける方法です。事業の将来性や返済の目処が立つのか、厳しく審査される点に注意しましょう。
- 出資を受ける(エクイティファイナンス)
外部の企業やファンドから出資を受ける方法も存在します。どちらも株式を渡すかわりに資金援助を受けるという流れです。事業が失敗してもお金を返す必要はありませんが、自由に経営ができなくなるデメリットもあります。
- クラウドファンディングを受ける
クラウドファンディングとは「インターネットを介して不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達する」ことです。他の資金調達の方法と比べると、より手軽で拡散性が高いのが魅力です。ただし実施方式によっては、目標達成金額を達成しないと資金調達できないリスクもあります。
資金調達を受けるには具体的な事業プランが無ければ、実現可能性は低くなってしまいます。Webサービスの企画書を作成するなど、事前に対策を練っておきましょう。
おすすめのWebサービスを紹介
新規事業の検討候補として、おすすめのWebサービスを紹介していきます。
CtoCマッチング
CtoCマッチングとは、消費者と消費者という個人間取引のマッチングサイトです。利用者側のハードルが低く、多くの人に利用してもらいやすいメリットがあります。
CtoCマッチングで作れるWebサービスは幅が広く、多くのジャンルで展開が可能です。特に需要が高いジャンルを解説していきます。
- 物と人
個人同士が物を売買するプラットフォームが中心です。代表例はメルカリやAmazonのマーケットプレイスが挙げられます。またレンタルサービスもあり、Airbnbでは個人が自分の空き部屋を貸し出し、旅行者はその部屋を利用して宿泊することができます。
- 人とマッチング
個人同士がサービスを提供・受け取るプラットフォームが中心です。代表例はクラウドワークスなどのフリーランスプラットフォームや、Tinderなどの恋愛マッチングアプリが挙げられます。クラウドワークスでは、Webエンジニアのようなフリーランスが自分のスキルを提供し、個人や企業からの仕事を受けることができます。
- スキルシェア
個人同士がスキルや知識を共有するプラットフォームが中心です。代表例としてUdemyが挙げられます。Udemyは、インストラクターが専門分野に関するコースを提供し、受講者が視聴するオンライン学習プラットフォームです。
CtoCマッチングの構築・開発方法や費用は下記の通りです。
- パッケージ開発
パッケージ開発とは、既存のプログラムを利用して、必要な機能やデザインをカスタマイズする方法です。Webサービスを簡単に構築できる一方で、独自の機能を追加するのが難しいという欠点があります。費用の目安は100~400万円です。
- スクラッチ開発
スクラッチ開発とは、ゼロからサイトを開発する方法です。必要な機能やデザインを全て自社で開発するため、独自性が高い特徴があります。しかし、開発期間が長く、コストも高くなりやすい可能性があります。費用の目安は1000万円です。
- パッケージ+スクラッチ開発
パッケージ+スクラッチ開発とは、パッケージ開発で作成したベースとなるシステムに、自社の独自の機能やデザインを追加する方法です。双方の利点を兼ね備えているので、比較的短い期間で、独自性のあるWebサービスを構築することができます。
どの方法を採用するかは、企業や開発者の目的や予算、スケジュールなどによって異なります。
動画配信
動画配信システムとは、特定の企業・人だけが動画を視聴できるようなシステムを指します。動画配信システムの活用方法は下記の通りです。
- ノウハウの継承や社員の育成・情報共有
- 社外(顧客)への動画コンテンツ提供
- 音楽イベントなどの配信プラットフォームとして活用
- 塾や予備校の映像配信
動画配信システムの構築・開発方法はパッケージ開発とスクラッチ開発とクラウド構築が挙げられます。パッケージ開発の費用は80~100万円、スクラッチ開発の費用は150万円以上となります。
クラウド構築では、特殊な機能を必要とせずデザイン面のこだわりが少ないなら、おすすめの方法です。「法人向けクラウド動画配信システム」が数多くリリースされており、安価に事業展開することが可能となります。費用は10万円~とリーズナブルです。
まとめ
Webサービスでの起業は、創業融資や補助金を活用することでリスク低く始めることが可能です。また、既存事業に関連するWebサービスを提供することで、既存事業にシナジーを持たせて、相乗効果を生み出すこともできます。
Webサービス開発の外注を成功させるポイント でも解説していますが、Webサービスを始める場合、「Webサービスが誰にどんな価値を提供するのか」を徹底的に考えるのがポイントです。そのコンセプトから逆算して、機能に落とし込むことで、ユーザーにとって魅力的なサービスを作り上げることができます。
Webサービスの開発でお悩みの方は、ぜひ一度お問い合わせください!