アプリ開発の仕様書とは?作る目的と書き方の5つのポイント

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アプリ開発について調べていると「仕様書が重要」「仕様書なしでは失敗する」という話を耳にすることがあります。

「仕様書って何を書けばいいの?」「要件定義や設計書との違いは?」「どこまで詳しく書く必要があるの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。

アプリ開発における仕様書は、開発チームとの認識齟齬を防ぎ、期待通りのアプリを完成させるための重要なドキュメントです。特に外注開発では、仕様書の品質がプロジェクト成功の鍵を握ります。

本記事では、アプリ開発会社の株式会社ペンタゴンで代表を務める筆者が、仕様書の基本知識から実際の書き方まで、失敗しないポイントを詳しく解説していきます。

ちなみに、当社では数々のアプリ開発実績があり、お客様の仕様書作成もサポートしています。仕様書作成でお悩みの方は、ぜひ一度、株式会社ペンタゴンまでご相談ください。

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【この記事の監修者】山本 真矢 株式会社Pentagonの代表取締役社長
経歴:Y-Combinator StartUp School / Arizona State University / 2013年からスタートアップを中心に様々な企業のアプリ開発を支援。2018年に株式会社Pentagonを設立。2023年アプリ開発高速化する特許を取得(7184410)。アプリやWebサービスの開発に関する情報をYouTubeでも配信しています。
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ペンタゴンが提供する仕様書作成のサポート体制

仕様書作成の経験がない方に向けて、当社では包括的なサポート体制を整えています

サポート① デザイナー主導による画面要件定義からのスタート

当社では、システム開発の経験がない方でもわかりやすくプロジェクトを進行させるため、デザイナーが画面要件(目的を達成するのに、どんな画面が必要か整理する)から始めます。デザインツールを使ってアプリを設計しながら進めていくことで、抽象的な要求を具体的な形に落とし込めます。

技術的な専門用語や複雑な仕様書を理解する必要がなく、実際の画面を見ながら「ここにこの機能が欲しい」「この操作の流れを変更したい」など、直感的に要求を伝えられます。デザイナーが要求を視覚化することで、お客様と開発チーム双方の認識齟齬を防ぎ、期待通りのアプリを実現できます.

サポート② 要求整理ワークショップの開催

お客様のビジネス目標やアプリに求める機能を整理するワークショップを実施します。漠然としたアイデアを具体的な要求事項に落とし込み、優先順位を決定します。

ワークショップでは、デザイナーが中心となって、ステークホルダー全員の意見を整理し、曖昧な要求を明確化します。ビジネス目標の設定から、ターゲットユーザーの定義、必要機能の洗い出し、優先順位付けまで、体系的に要求を整理できます。また、技術的な制約や予算・スケジュールとの整合性も確認し、実現可能性の高い仕様書作成の基盤を作ります。

サポート③ スターターキットによる高速画面設計

当社では、スターターキットと呼ばれるデザインの汎用的なパーツを用意しています。これを組み合わせることで、高速に画面案を作成していくことができます。

スターターキットには、ボタン、入力フォーム、リスト表示、ナビゲーション、カード型レイアウトなど、アプリでよく使用される UI 要素が含まれています。これらのパーツを組み合わせることで、短時間で具体的な画面イメージを作成でき、お客様は完成形を想像しながら要求を伝えられます。また、デザインの一貫性も保たれるため、ユーザーにとって使いやすいアプリを効率的に設計できます。

サポート④ レビュー・フィードバックサービス

作成いただいた仕様書を専門チームでレビューし、不明瞭な点や不足している項目を指摘します。開発着手前に仕様の精度を高めることで、後戻りリスクを最小化します。

専門チームによるレビューでは、技術的な実現可能性、コスト・スケジュールへの影響、ユーザビリティの観点から仕様書を評価します。曖昧な表現の具体化、不足している要求事項の洗い出し、実装困難な要求の代替案提示など、開発フェーズでの問題を事前に防ぐための改善提案を行います。

サポート⑤ 継続的な更新サポート

開発過程で仕様変更が発生した際の文書更新もサポートします。変更履歴の管理や影響範囲の分析も含めて対応いたします。

開発プロジェクトでは仕様変更が避けられませんが、適切な変更管理により、プロジェクトの混乱を防げます。変更内容の影響範囲分析、追加コスト・スケジュールの算定、関連文書の更新まで一貫してサポートし、プロジェクトの透明性を維持します。

弊社「株式会社ペンタゴン」では、アプリに特化して制作をしております。  アプリ開発をお考えの場合は、以下のバナーをクリックして弊社までご相談ください。経験豊富なアプリエンジニアがご相談を承ります。
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アプリ開発で知っておくべき仕様書の種類と作成者

アプリ開発では複数種類の仕様書が必要となりますそれぞれの役割と作成者を明確にしましょう

◆ 仕様書の種類と作成者一覧

仕様書の種類作成者目的作成タイミング
要求仕様書発注者(お客様)ビジネス要求の明確化プロジェクト開始時
基本仕様書開発会社システム全体設計要求仕様書完成後
詳細仕様書開発会社実装詳細の定義基本仕様書完成後
テスト仕様書開発会社品質保証計画詳細仕様書完成後
API 仕様書開発会社外部連携定義基本仕様書と並行

それでは、それぞれの仕様書について解説していきます。

資料①要求仕様書

作成者: 発注者(お客様)

目的: ビジネス目標と機能要求の明確化

要求仕様書は、お客様が「なぜそのアプリが必要なのか」「何を実現したいのか」を明文化するドキュメントです。技術的な詳細ではなく、ビジネス視点での要求事項を記載します。

この文書が曖昧だと、開発会社は適切な提案ができず、期待と異なるアプリが完成してしまうリスクがあります。逆に、詳細で明確な要求仕様書があれば、開発会社は最適な技術選択と実装方法を提案でき、プロジェクトの成功確率が大幅に向上します。

なお、開発会社への提案依頼時には、要求仕様書と合わせて RFP(提案依頼書)の作成も重要です。詳しくは「RFP の書き方」アプリ開発の品質が上がる無料テンプレ付きをご参照ください。

記載内容例

  • アプリ開発の背景・目的
  • ターゲットユーザーの定義
  • 解決したい課題
  • 必要な機能(概要レベル)
  • 成功指標(KPI)

資料②基本仕様書

作成者: 開発会社

目的: システム全体のアーキテクチャ設計

要求仕様書を基に、開発会社が技術的な実現方法を設計したドキュメントです。システム全体の構成や主要機能の概要を定義します。

基本仕様書では、要求されている機能をどのような技術で実現するか、システム全体をどのように構成するかを決定します。この段階で技術的な大枠が決まるため、後の詳細設計や実装の方向性に大きく影響します。

記載内容例

  • システム構成図
  • 画面遷移図
  • データベース設計概要
  • 外部連携仕様
  • 非機能要件(性能・セキュリティ等)

資料③詳細仕様書

作成者: 開発会社

目的: 実装レベルの詳細定義

実際のプログラミングに必要な詳細レベルまで落とし込んだドキュメントです。開発者が迷わず実装できるレベルまで具体化します。

詳細仕様書は、基本仕様書で決めた大枠を、実際にコードを書くレベルまで詳細化したものです。どの画面にどんなボタンがあり、ボタンを押すとどんな処理が実行され、どんなデータがどこに保存されるかまで、具体的に定義します。

記載内容例:

  • 画面仕様(レイアウト・入力項目・バリデーション)
  • API 仕様(リクエスト・レスポンス)
  • データベーステーブル設計
  • ビジネスロジック詳細
  • エラーハンドリング仕様

資料④テスト仕様書

作成者: 開発会社(QA チーム)

目的: 品質保証の計画と手順

アプリが仕様通りに動作することを確認するためのテスト計画と手順を定義します。

テスト仕様書により、品質保証の観点から仕様の妥当性を検証できます。また、リリース前に発見すべき問題を体系的に洗い出し、高品質なアプリをリリースするための指針となります。

記載内容例:

  • テスト方針・範囲
  • テストケース一覧
  • 期待値の定義
  • テスト実行手順
  • 品質基準(合格条件)

資料⑤その他の関連ドキュメント

運用仕様書: リリース後の運用・保守に関する仕様

セキュリティ仕様書: セキュリティ要件の詳細定義

インフラ仕様書: サーバー・ネットワーク構成の定義

これらの関連ドキュメントも、アプリの性質や要求事項に応じて作成されます。特に企業向けアプリや金融系アプリでは、セキュリティ仕様書が重要になります。

なぜアプリ開発に仕様書が必要なのか?

仕様書がプロジェクトにおいて果たす重要な役割と、作成する目的について解説します。

理由① 認識齟齬の防止

口約束や曖昧な表現では、発注者と開発者の間で認識のズレが生じがちです。仕様書により、期待する成果物を明確に共有できます。

プロジェクト失敗の最大要因は「作りたいものと作られたものが違う」ことです。仕様書により、全関係者が同じ完成イメージを持つことで、このリスクを大幅に軽減できます。特に機能の動作や画面の見た目など、言葉だけでは伝わりにくい部分を正確に共有できます。

理由② 開発効率の向上

詳細な仕様があることで、開発者は迷わず実装に集中できます。仕様の確認や修正のための打ち合わせ時間も削減できます。

仕様が曖昧だと、開発者は実装中に度々確認を取る必要があり、開発効率が大幅に低下します。明確な仕様書があれば、開発者は仕様に集中して効率的に実装を進められ、結果的にプロジェクト全体のスピードアップにつながります。

理由③ 品質の担保

仕様書に基づいてテストケースを作成することで、漏れのない品質確認が可能になります。

仕様書に記載された全ての機能と動作について、網羅的にテストケースを作成できます。これにより、リリース前に潜在的な問題を発見し、高品質なアプリをユーザーに提供できます。また、仕様変更時の影響範囲も明確になり、回帰テストの範囲を適切に設定できます。

理由④ スコープの明確化

何が開発範囲に含まれ、何が含まれないかを明確にすることで、追加費用の発生を防げます。

仕様書により開発範囲が明確になることで、追加要求と仕様変更を区別できます。当初の想定にない機能追加は追加費用が発生することを事前に合意でき、予算オーバーのリスクを防止できます。

理由⑤ 変更管理の基準

仕様変更が発生した際の影響範囲や追加工数を正確に算定できます。

開発プロジェクトでは仕様変更が避けられませんが、詳細な仕様書があることで、変更の影響範囲を正確に把握し、追加コストとスケジュール延長を適切に算定できます。これにより、変更による混乱を最小限に抑えられます。

開発手法によって仕様書の重要度は異なる!

開発手法により、仕様書の作成方法や重要度が変わります。

手法①ウォーターフォール開発

ウォーターフォール開発とは、事前にすべての仕様を確定してから開発着手です。

仕様書の重要度: ★★★★★(最重要)

ウォーターフォール開発では、開発開始後の仕様変更は困難で高コストになるため、事前の仕様確定が極めて重要です。詳細で正確な仕様書により、後戻りのリスクを最小化できます。

◆必要な仕様書

  • 要求仕様書(詳細レベル)
  • 基本仕様書(完全版)
  • 詳細仕様書(実装レベル)
  • テスト仕様書(全項目)

仕様書を作成する時のポイント

ウォーターフォール開発では、開発着手前にすべての仕様を確定することが最も重要です。変更が発生した場合は正式な変更管理プロセスを経る必要があり、ドキュメントの網羅性と正確性が プロジェクト成功の鍵となります。

適用場面

大規模システムや金融・医療などの規制業界、要求が明確で変更が少ないプロジェクトに適用されています。これらの分野では事前の詳細な計画と文書化が法的要求や品質基準を満たすために不可欠です。

手法②アジャイル開発

アジャイル開発とは、短期間で開発・テストを繰り返し、段階的に完成をさせていく開発手法です。

仕様書の重要度: ★★★☆☆(中程度)

アジャイル開発では、詳細すぎる事前仕様よりも、反復的な改善により要求を精緻化していくアプローチを取ります。最小限の仕様から開始し、ユーザーフィードバックを基に継続的に改善します。

◆アジャイル開発で必要な仕様書

  • ユーザーストーリー(機能単位)
  • スプリント仕様書(短期間での実装範囲)
  • プロダクトバックログ(優先順位付き機能一覧)

作成のポイント

アジャイル開発では、必要最小限の仕様から開始し、スプリント毎に仕様を詳細化していく段階的なアプローチを取ります。ユーザーフィードバックを積極的に取り入れて仕様修正を行い、実際のニーズに合わせて柔軟に対応することが重要です。

適用場面

アジャイル開発は、スタートアップや新規事業、実験的プロジェクトなど、要求が変化しやすい環境に適用されています。市場の反応を見ながら方向性を調整していく必要があるプロジェクトでは、この柔軟性が大きな利点となります。

開発手法の選択基準

以下の表はプロジェクトの特性と適した開発手法をまとめたものです。

◆ プロジェクト特性別の適用開発手法

プロジェクト特性推奨手法仕様書の詳細度
要求が明確・変更少ウォーターフォール詳細レベル
要求が曖昧・変更多アジャイル概要レベル
大規模・長期間ウォーターフォール詳細レベル
小規模・短期間アジャイル最小限レベル
規制・コンプライアンス重視ウォーターフォール詳細レベル
革新性・スピード重視アジャイル概要レベル

この表を参考に、プロジェクトの特性に応じて適切な開発手法と仕様書のレベルを選択することが重要です。

「伝わる」要求仕様書を書くための5つのポイント

発注者側が作成する要求仕様書の書き方のポイントを解説します。

ポイント ① プロジェクトの目的・背景の明確化

Why(なぜ)の明確化が最重要

開発会社が適切な提案をするためには、アプリ開発の背景と目的を理解する必要があります。

技術的な機能の説明だけでは、開発会社は最適な実装方法を選択できません。なぜその機能が必要なのか、どんな課題を解決するのかを明確にすることで、開発会社はより良い代替案や追加提案ができます。

記載すべき内容例

■ 背景

当社は全国50店舗を展開する飲食チェーンですが、既存の電話予約システムでは以下の課題が発生しています。

- 電話対応による人件費増加(月間40万円)
- 予約ミスによるクレーム(月10件)
- 席の空き状況がリアルタイムで把握できない

■ 目的

アプリによる予約システムを導入し、以下を実現したい。

- 人件費30%削減
- 予約ミス0件
- 席稼働率10%向上

ポイント ② 要求事項を具体的・定量的に記載

曖昧な表現は誤解の元

「使いやすく」「高速に」などの抽象的表現ではなく、具体的・定量的な表現を心がけます。

抽象的な表現は、関係者それぞれが異なる解釈をしてしまい、完成後に「期待と違う」という問題が発生します。可能な限り数値で表現し、判断基準を明確にすることが重要です。

良い例・悪い例の比較

悪い例(曖昧)良い例(具体的)
高速に動作するページ表示は 3 秒以内
使いやすい UI新規ユーザーが操作方法を 5 分以内に理解できる
セキュアな設計SSL 通信、パスワード暗号化、2 段階認証を実装
多くのユーザーに対応同時接続 1000 ユーザーまで対応

ポイント ③ ターゲットユーザーとユースケースの詳細化

ペルソナ設定とユーザーストーリー

誰がどのような場面でアプリを使うかを具体的に描写します。

抽象的な「ユーザー」ではなく、具体的な人物像を設定することで、開発会社はユーザー体験を考慮した設計を行えます。また、実際の利用シーンを想定することで、必要な機能と不要な機能を明確に区別できます。

記載例

【ペルソナ】

名前:田中花子
年齢:28歳
職業:会社員(営業)
スマホスキル:中級
利用シーン:ランチタイムの店舗予約

【ユーザーストーリー】

田中さんは忙しいランチタイムに、スマホで手軽に近くのレストランを
予約したいと考えています。以下の流れで利用します。

1. 現在地周辺の空いている店舗を検索
2. 12:00-13:00の時間帯で2名テーブルを予約
3. 予約確認メールを受信
4. 店舗到着時にQRコードで予約確認

ポイント ④ UI・画面遷移のイメージを作成

ビジュアルによる仕様の明確化

文章だけでは伝わりにくい UI や操作の流れは、図やモックアップで視覚化します。

言葉で説明しきれない画面レイアウトや操作感は、実際に見せることで正確に伝えられます。完璧なデザインである必要はなく、ラフなスケッチでも十分効果があります。

◆推奨ツール

  • Figma: 高機能な無料 UI デザインツール(★おすすめ)
  • Adobe XD: プロトタイプ作成に適している
  • Sketch: Mac 専用の定番 UI デザインツール

作成すべき成果物

  • ワイヤーフレーム(画面構成の骨組み)
  • 画面遷移図(画面間の移動ルート)
  • プロトタイプ(実際の操作感)

株式会社ペンタゴンでは、UI/UX デザインの専門チームが在籍しており、ユーザビリティテストに基づいた最適な画面設計を提案できます。Figma を用いたプロトタイプ作成から、実際のユーザーテストまで一貫してサポートし、使いやすいアプリ設計を実現します。また、iOS・Android の各プラットフォームガイドラインに準拠した設計により、アプリストアの審査もスムーズに通過できます。

UI/UX デザインの詳細については「【スマホアプリ企画者向け】UI/UX デザインの作り方 5 ステップ」をご参照ください。

ポイント ⑤ 優先順位と制約条件の明示

開発スコープの明確化

限られた予算・期間の中で何を優先するかを明確にします。

全ての機能を同時に実装することは現実的ではないため、優先順位を明確にすることで、段階的な開発計画を立てられます。また、制約条件を明示することで、実現可能な提案を受けられます。

記載例

【機能優先順位】

■ Must Have(必須機能)
- ユーザー登録・ログイン
- 店舗検索・一覧表示
- 予約機能
- 予約確認・キャンセル

■ Should Have(できれば欲しい機能)
- レビュー・評価機能
- お気に入り店舗登録
- プッシュ通知

■ Could Have(あれば良い機能)
- SNS連携
- ポイント機能
- クーポン配信

【制約条件】
- 予算:500万円以内
- リリース希望日:6ヶ月後
- 対応OS:iOS 13以上、Android 8以上
- 運用体制:社内2名での対応

仕様書作成のアクションプラン

「具体的に何から始めればいいの?」という疑問を持つ方のために、仕様書作成のための実践的なアクションプランをご紹介します。

2 週間で完成する仕様書作成プラン

Week 1:要求整理と基本構想

▢ ビジネス目標と課題の明確化
→ なぜアプリが必要なのか、どんな問題を解決するのかを文書化

▢ ターゲットユーザーの詳細な定義
→ ペルソナ設定とユーザーストーリーの作成

▢ 競合アプリの調査と分析
→ 類似アプリの機能と UI を調査し、差別化ポイントを明確化

参考:ビジネス目線で見るアプリ開発のコツ【その機能、本当に必要ですか?】

▢ 必要機能の洗い出しと優先順位付け
→ Must Have、Should Have、Could Have に分類

Week 2:詳細仕様の作成

▢ 画面遷移図とワイヤーフレームの作成
→ Figma や Adobe XD を使用してビジュアル化

▢ 各機能の詳細仕様書作成
→ 入力項目、バリデーション、エラーハンドリングまで具体化

▢ 非機能要件の定義
→ パフォーマンス、セキュリティ、運用要件を明記

▢ 制約条件と前提条件の整理
→ 予算、期間、対応プラットフォームなどを明確化

予算の参考としてこちらの記事をご覧ください。アプリ開発の費用相場は 300 万円〜シミュレーションと内訳を解説

仕様書品質向上のチェックポイント

完成した仕様書について、以下の観点で品質をチェックしてください:

明確性のチェック

▢ 専門用語を使わずに説明できているか
▢ 曖昧な表現(「高速に」「使いやすく」など)を排除できているか
▢ 数値で表現できる部分は定量化されているか

完全性のチェック

▢ 全ての必要機能が網羅されているか
▢ エラーケースや例外処理まで考慮されているか
▢ セキュリティやプライバシーへの配慮が含まれているか

実現可能性のチェック

▢ 技術的に実現可能な仕様になっているか
▢ 予算と期間の制約内で開発可能か
▢ プラットフォームの制約やガイドラインに準拠しているか

よくある仕様書の問題と対策

問題 1:機能が抽象的で開発会社が迷う

対策:具体的なユーザーアクションまで記載する

悪い例:「ユーザー管理機能」

良い例:「ユーザーがメールアドレスとパスワードを入力してログインし、ログイン状態が 7 日間保持される機能」

抽象的な機能名だけでは、開発会社は具体的な実装方法を判断できません。「ユーザー管理機能」という記載では、新規登録なのか、ログインなのか、パスワード変更なのか、どこまでの機能が必要なのかが不明です。

具体的に記載することで、開発会社は適切な工数見積もりができ、期待通りの機能を実装できます。また、ログイン状態の保持期間やセキュリティ要件なども明確にすることで、後から「想定と違う」というトラブルを防げます。

問題 2:UI 要件が曖昧で期待と違うデザインになる

対策:参考アプリのスクリーンショットや簡単なモックアップを添付

悪い例:「シンプルで見やすいデザイン」

良い例:「Apple 標準の UI デザインガイドラインに準拠し、添付のモックアップのようなレイアウト」

デザインに関する要求は最も主観的で、人によって解釈が大きく異なる部分です。「シンプル」という表現も、ミニマルなデザインを想像する人もいれば、機能を削ったシンプルさを想像する人もいます。

参考となるアプリのスクリーンショットや、簡単でも良いのでモックアップを作成することで、具体的なイメージを共有できます。また、色調やフォント、ボタンの形状なども明確にすることで、ブランドイメージに合ったデザインを実現できます。

問題 3:非機能要件が不明確で性能に問題が発生

対策:具体的な数値目標を設定

悪い例:「高速に動作すること」

良い例:「画面表示時間は 3 秒以内、同時接続ユーザー数 1000 人まで対応」

性能要件は、アプリの成功に直結する重要な要素ですが、曖昧に記載されることが多い分野です。「高速」の基準は人それぞれ異なり、開発会社は最低限の性能で実装してしまう可能性があります。

具体的な数値目標を設定することで、開発会社は適切なアーキテクチャを選択し、必要なリソースを確保できます。また、テスト時の合格基準も明確になり、品質の高いアプリを確実にリリースできます。サーバー負荷やデータベース設計にも影響するため、事前の明確化が不可欠です。

まとめ

アプリ開発における仕様書は、プロジェクト成功の基盤となる重要なドキュメントです。

成功のポイント

  • 開発手法に応じた適切な仕様書を作成
  • 目的・背景を明確にして Why(なぜ)を伝える
  • 具体的・定量的な表現で曖昧さを排除
  • ビジュアルツールを活用して UI を視覚化
  • 優先順位と制約条件を明示してスコープを明確化

仕様書の品質が、最終的なアプリの品質と開発プロジェクトの成功を大きく左右します。特に外注開発では、仕様書が唯一の意思疎通手段となるため、十分に時間をかけて作成することが重要です。

株式会社ペンタゴンでは、お客様の仕様書作成から開発完了まで、一貫したサポートを提供しています。仕様書テンプレートの提供、記載内容のレビュー、開発過程での仕様変更管理まで、包括的にサポートいたします。

今回ご紹介した「仕様書作成のポイント」を参考にして、アプリ開発プロジェクトを検討しましょう。アプリ開発の全体的な流れについては「担当者が知るべき『アプリ開発の流れ』7つの手順をプロが解説」も併せてご確認ください。

もし「仕様書の書き方が分からない」「開発会社との意思疎通を円滑にしたい」などお考えでしたら、アプリ開発会社の株式会社ペンタゴンをご検討ください。

» 公式ホームページ|株式会社ペンタゴン

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Posted by 山本 真矢