アプリのリニューアルを成功させるために重要な4つのポイント

お客様へのサービス提供のために、スマートフォンなどのアプリを運用している企業は少なくありません。しかし、アプリの運用開始から時間の経過にともない、徐々に効果が落ちてきたり、機能が不足してきたりと、いくつかの課題にも直面します。
そうした課題を解決するためには、アプリのリニューアルが有効です。そこでこの記事では、アプリのリニューアルを検討されている方に向けて、成功させるための方法やポイントなどを詳しく解説します。
アプリをリニューアルすべきケースとは?
まず、アプリのリニューアルが必要になるのはどういったケースでしょうか。
一般的なアプリのリニューアルのスパンは、約3年から5年が多いようです。ここでは、代表的な3つのケースについて解説します。
機能の追加
まず、機能追加を実現するためにアプリをリニューアルするケースが目立ちます。利便性の高い新機能を追加できればお客様からのイメージもアップするため、大掛かりなリニューアルを実施する場合も少なくありません。機能追加の例はさまざまで、コミュニケーションアプリであれば動画や録音機能、情報アプリであればキーワード検索機能、ショッピングアプリであればAR機能などが挙げられます。
機能追加を検討する際のポイントは、まず目的を明確にすることです。新機能のアイデアが豊富でも、機能の必要性が曖昧だとお客様に活用していただけません。
そして、新しい機能を実際に利用しているシーンも具体的にイメージできると良いでしょう。便利な機能を実装できれば話題になり注目される可能性もあるので、集客効果も期待できます。
ユーザビリティの改善
ユーザビリティの改善のためにアプリのリニューアルを検討する場合もあります。
例えば、アプリユーザーから何らかの不満や不具合、改善の希望などが届いている場合は、早急に対応策を講じるべきでしょう。一口にユーザビリティの解消といっても様々な側面が考えられますが、今回は中でもよくあるユーザビリティの改善箇所を3つ挙げてご紹介します。
まず一つ目がページデザインに関することです。アプリは日常的に触れるものであるため、分かりやすくまた使いたくなるようなデザインが欠かせません。単純に綺麗なアイコンや写真を活用するといった見映えの部分はもちろん、ユーザが遷移しやすいような導線配置になっているかどうか、タップしやすい位置にコンテンツが設置されているかどうかといった機能面におけるデザインも重要です。
二つ目は表示速度・読み込み速度に関することです。特に業務で活用するアプリなどにおいて、読み込み速度が遅く、アプリ内コンテンツを表示するのに時間がかかってしまうようでは有効活用できないでしょう。
そして三点目は操作性についてです。スマホやタブレットなど端末が変わっても問題なく扱えるかどうか、快適に操作できるかどうかよく確認しておきましょう。
その他、ユーザビリティに関連してアクセシビリティを担保することも大切です。利用するユーザーによって体験の差がでないようにすることが求められています。
管理・運用体制の変更
アプリの管理・運用体制を変更する際も、アプリのリニューアルを検討する良いタイミングです。
アプリを支えているチームのルールやメンバーの見直しは、影響力の大きな出来事です。管理・運用体制に大きな変更が加えられれば、既存のアプリの構成だと不具合が生じるケースも少なくありません。
例えば、お客様への問い合わせ対応を充実させるために運用方針が変わった場合、既存のアプリにメールやチャットなどの機能が不足していれば改善が必要です。ほかにも、セキュリティ強化が課題になれば、アプリの脆弱性に関する対策を行わなければならないでしょう。管理・運用体制を変更する機会に、抜本的に見直してみましょう。
アプリのリニューアルを成功させるポイント
それでは、アプリのリニューアルで押さえておきたいコツは何でしょうか。ここでは「開発を外注する場合」を想定して、成功するための4つのポイントを見ていきましょう。


リニューアルの目的を明確に
アプリのリニューアルの目的や改善したい指標などを、言語化や数値化して明確にしましょう。目的や指標が曖昧なままリニューアル作業を開発会社に依頼すると、スムーズに開発を進められません。
例えば、途中で機能を追加したいという要望が社内で生まれても、正しい判断を行えないでしょう。また、方向性も定まらないため完成したアプリに満足できないという事態も発生しかねません。
目的を決定するポイントとしては、リニューアルで求めている成果や効果をすべて列挙してみましょう。集客アップ・操作性の向上・ビジュアルの強化など漏れなく挙げ、集客を20%アップなど具体的な数値に起こすことがポイントです。そして、目的に優先順位をつけましょう。絶対に達成したい目的をここで明確にしておくと、リニューアル作業をスムーズに進められます。また、目的を決めていく作業はなるべくチーム全体で行うことをおすすめします。限られた人材で方向性を決めた場合は、チームの認識を揃えるためにも情報共有を徹底しましょう。
開発に時間をかけすぎない
リニューアルの開発作業は期限を設定して外注しましょう。必ずしも時間を多く費やすことはリニューアルの成功に結びつきません。
まず、開発に時間をかけすぎてしまうと、市場の情勢が変化するリスクが発生します。巷で話題になっている機能を自社のアプリにも採用しようとしても、開発期間が長期化したらブームは去ってしまうかもしれません。アプリのデザインも同様で、一生懸命リニューアルしても、お客様の関心や市場のトレンドが移り変わり時代遅れになる可能性があります。
また、開発期間が延長されればコストも比例して増加します。アプリのリニューアルは限られた予算で対応している企業がほとんどです。余計なリスクを背負わないためにもリニューアル作業は短いスパンで実施して、問題があれば改善作業を再度依頼する姿勢で望みましょう。
リニューアル項目を増やしすぎない
リニューアルで改善や追加する項目は増やしすぎないようにしましょう。リニューアル作業を開始すると、追加で改良したい項目を思いつく場合が少なくありません。アプリをより良くしたいという考えは大切ですが、明確にした目的を忘れないようにしましょう。
また、アプリのリニューアルは、限られた期間に目的を達成するために行われます。いくらでも時間があり自由に開発を依頼できる環境ではありません。アプリの根幹に影響するような重大なエラーなどの対応は追加で対応をお願いしても構いませんが、優先順位の低い追加の開発項目は次回以降のリニューアルで対応しましょう。闇雲にリニューアル項目を増やしてしまうと、アプリの目的が曖昧になり、開発期間も長期化します。
リニューアルの効果を測定できるようにする
アプリのリニューアル後の効果を測定できるように準備しましょう。ビジネスではPDCAのサイクルを回して業務改善を行いますが、アプリのリニューアルでも考え方は同様です。リニューアルの効果を正しく認識して、次のアクションへと繋げましょう。
アプリのリニューアル後の効果を測定するために、まずは明確なKPIの設定をしてください。KPIとは重要業績評価指標と呼ばれる指標で、アプリの目的を達成するため継続的に観測します。アプリでは登録者数・アクティブユーザー数・プッシュ通知の開封数などが指標として一般的です。重視したい項目をKPIとして定めましょう。
【1分で予約】アプリ開発の外注をご検討中の方はこちらからご相談ください。
アプリリニューアルの進め方とは?
それでは、アプリをリニューアルするための進め方はどうすれば良いのでしょうか。
ここでは、4つのステップに分けて解説します。
現状の分析
リニューアルではアプリを新規で開発する場合と異なり、既存のアプリの現状分析から始めるのが一般的です。まずは運用しているアプリについて、さまざまな側面から分析を行いましょう。アプリの利用者数や売り上げ、利用率などの定量的なデータやKPIに設定している指標を中心に現状を正しく把握します。目標値と乖離の大きい部分はアプリの改善が必要な箇所ですので、課題として認識しましょう。
次に、アプリの定性的な意見にも注目します。アプリの使いやすさや印象など、数値では表しにくいポイントがあるはずです。総合的な視点でアプリの現状を分析して、リニューアルの目的や方向性を明確にしましょう。
企画・設計
アプリの現状分析を行ったら、次は企画と設計の段階です。企画ではアプリのリニューアルの目的や追加すべき機能などのアイデアを出し合います。アプリのリニューアルに関する項目を具体的に明文化できるように話し合いを進めましょう。そして、満足できる企画を行えたら、提案依頼書にまとめて開発会社に提出します。
次に、設計ではアプリのリニューアルで必要となる詳細部分を決定します。設計は大きく4つのパートに分かれており、要件定義・外部設計・内部設計・テスト設計の順に進める場合が一般的です。
要件定義では、リニューアルで実装する機能やシステム化する方法を決定します。要件定義は開発の設計図に該当する重要な作業のため、内容を入念に確認しておきましょう。
次に、リニューアル後のアプリの構成やデザインなどを決める外部設計、アプリのシステム部分を詳細に決定する内部設計を行います。そして、設計の最終段階として、アプリが正しく動作するか試験する方法を決めるテスト設計が行われます。
開発段階
企画と設計が決まったら開発段階へと移ります。開発段階は企画・設計をベースに、プログラミングやテストが行われる工程です。具体的なプログラミング内容、スケジュール、担当者などがすべて明確になっていればスムーズに開発を進められます。
テストではプログラミングをして作成したアプリが設計通りに動作するか確認します。テストにはいくつかの種類があり、まず行われるのが単体テストです。仕様書の指示通りにアプリが動作し、データベースに正しいデータが登録されるかがチェックされます。
次に、結合テストが行われ、複数のプログラムと連携した際に、動作に問題が起こらないか確認されます。
最後にアプリを発注した企業の担当者が、アプリの操作性や機能を実際に試す受け入れテストが行われ、問題がなければアプリの開発段階は終了です。
リリース前
アプリのリニューアルの開発が無事に終了したら、いよいよリリースです。リリースに向けて行うべきことは、お客様への十分な告知です。アプリのリニューアルで何が改善されたのか、アップデートの内容を分かりやすくまとめて通知しましょう。
通知方法としては、公式WebサイトやSNS、メールなどが一般的です。リニューアル内容が多岐にわたる場合は要点のみを文章で伝えて、資料などで補足する形がおすすめです。
また、まれにリニューアル内容を反映するためにお客様側で新アプリへの移行作業が必要になる場合もあります。そうした手間が発生する場合はお客様が混乱しないように、移行方法も説明するようにしましょう。
リニューアルを別会社に依頼することはできる?
最初にアプリを制作した制作会社とは別の制作会社に、リニューアルのみ依頼することも可能です。ただしその場合は、ソースコード一式や設計書などアプリの現状把握用の資料を準備する必要があります。
スムーズにリニューアル作業を進めてもらうためにもアプリの現状把握は大切です。スタートで認識を誤ってしまうと大きなトラブルにも繋がるので、関連する資料は忘れずに提出しましょう。
また、既存の開発会社との契約がある場合はそちらも考慮する必要があります。リニューアルを別会社に依頼しても問題がないかよく確認しましょう。
まとめ
アプリのリニューアルは機能を充実させたり、ビジュアルを強化したりするためには効果的な手段です。リニューアルを成功させるためにも、目的を明確にして限られた期間で開発が進むように工夫しましょう。そして、KPIを設定して定期的に効果測定を行うこともポイントです。
既存の制作会社とは別の企業にリニューアルの開発を依頼することも可能ですが、アプリの現状を把握できる資料を一式揃えておく必要があります。
アプリのリニューアルを成功させて、お客様により満足していただけるサービスを提供しましょう。