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アプリ開発の戦略、コンテンツストラテジーとは?コンテンツマーケティングとの違い

アプリ開発の方向性を定めて競合に対する優位性を勝ち取るために、コンテンツストラテジーは重要です。コンテンツマーケティングと混同されがちなコンテンツ戦略について整理し、戦略策定の方法を解説します。自社でオリジナルコンテンツを制作するのか、もしくはユーザーがコンテンツを作るのかといった運営の視点も必要になります。

コンテンツストラテジーとは何か

コンテンツストラテジーは、コンテンツ(情報の中身)+ストラテジー(戦略)を組み合わせた用語であり、Web制作やアプリ開発の企画・設計段階でよく使われます。しかし、マーケティング用語として理解していることが多いかもしれません。まず、そもそもコンテンツとは何か、ストラテジーとは何か概念を解説します。その後でコンテンツストラテジーを考察します。

コンテンツとは

コンテンツ(contents)は情報の内容を示します。Web制作の用語として一般化しました。雑誌などではインデックスという言葉とともに、コンテンツは「目次」の意味で使われています。インターネットをはじめとして、いわゆるマス4媒体のテレビ、ラジオ、新聞、雑誌というメディアには、情報の中身としてコンテンツがあります。コンテンツの面白さ、確かさ、豊富さなどがメディアの価値を定めます。

アプリ開発にフォーカスすると、たとえばモバイルアプリのコンテンツには以下のようなコンテンツが考えられます。

・ソフトウェア
・ゲーム
・記事や読み物(テキスト情報)
・映像
・写真やイラスト
・音声

このうちソフトウェアやゲームは、インタラクティブ(双方向)のコンテンツです。ユーザーの操作によってコンテンツが変化します。一方、テキスト情報によるニュース記事やブログのような読み物、映像、写真やイラストといったリッチメディアのコンテンツは、基本的にメディアからユーザーに配信される一方的なコンテンツです。しかし、コメントや「いいね!」5つの星など評価を付けることによって双方向なコンテンツになります。

SNSが浸透化した現在、コメントやレビューなどユーザーの投稿によるコンテンツがあふれています。このようなメディアをCGM(Consumer Generated Media)といい、そのコンテンツをUGC(User Generated Contents、ユーザー生成コンテンツ)と呼びます。

ストラテジーとは

ストラテジー(strategy)を日本語に訳すと「戦略」です。戦略とは、ある目的を達成するために長期的な視野とさまざまな視点から示した方向性を示します。もともとは「strategos」「strategia」という軍を率いることを示すギリシア語とわれています。日本語に訳したときにも「戦」という文字が入っていて、基本的には軍事用語です。しかし、ビジネスやスポーツなど、競争に勝つことが必要となるさまざまな場面において戦略の言葉が使わています。

戦略と対比されて混同しやすい言葉が「戦術」です。英語ではtacticsになります。端的な違いは以下のように考えられるでしょう。

・戦略:達成すべき「方向性」

・戦術:達成するための具体的な「方法」

つまり、戦略にしたがって、どのように戦うのか戦術を定めます。戦略は抽象度が高く、逆に戦術は具体的です。企業では、社長を含めた経営陣が経営戦略を立案し、その戦略達成のために社員に求められる実践の方法が戦術といえます。

コンテンツストラテジーとは

アプリ制作におけるコンテンツストラテジーとは、アプリ内の情報を考えるプロセスであり、その結果を示したものです。アプリでユーザーが目標に到達するために必要なコンテンツの方向性を定めます。

たとえば、動画投稿型エンターテイメントアプリのユーザー拡大を例に挙げてみましょう。以下のようなコンテンツストラテジーが考えられます。

・斬新なメタファを使ったUI/UXなどのデザイン戦略
・ユーザーのコミュニティ戦略
・サブスクリプションの課金による価格戦略
・新規ユーザー獲得のチャネル戦略
・マスメディアと連動したプロモーション戦略

こうした選択肢の中から、自社のアプリにとって最適な戦略を選択します。その選択によって具体的な施策、つまり戦術を考えていきます。これがおおまかなコンテンツストラテジーの流れです。

コンテンツストラテジーは必ずしも一本化する必要はなく、レイヤーによって複数の戦略を束ねるようなグランドデザインもできます。

なぜコンテンツストラテジーが必要か

「戦略がなくても、よいアプリを作って広告宣伝をすればユーザーに利用してもらえるのではないか?」と考えるかもしれません。しかし、コンテンツストラテジーは次のような理由から必要になります。

・競合企業のアプリと差別化して優位性の維持

・ユーザー数の拡大と利用促進

・アプリによる利益の獲得

・企業の理念などに対する整合性

・開発のプロジェクトに関わる共通認識の確認

なぜかといえば、言葉と定量的な指標によってコンテンツストラテジーを明確にすることにより、競合他社に対する優位性が際立ち、どこに向かってアプリの開発が進めばよいのかプロジェクトメンバーの意思統一をはかるとともに、アプリを利用してほしい潜在顧客に有効な施策(戦術)を打ち出せるようになるからです。

「良い製品を作れば売れる」という考え方はプロダクトアウトの発想ですが、成熟したアプリ市場では、それだけでは成功は望めません。また、戦略なしに広告を打つことは決して賢明とはいないでしょう。企業理念とまったく関係のないエンタメ系アプリを製品化するような場合は、企業姿勢を問われます。

もちろん具体的な実践として戦術は大切です。しかし、戦術ばかりに注力すると、目標を見失ってアプリが迷走することがあります。老舗の大企業であれば、コーポレートアイデンティティを踏まえて、アプリが影響を与えるブランディング効果も考慮すべきです。

コンテンツストラテジーとコンテンツマーケティングの違い

コンテンツストラテジーは、コンテンツマーケティングに関連して使われる場合が多いようです。どちらもコンテンツという言葉が使われているからかもしれませんが、この違いを分けて考えることが大切です。コンテンツマーケティングとは何か解説したあとで、違い探っていきます。

コンテンツマーケティングとは

マーケティングは「売れる仕組みづくり」と言われることがあります。この解釈にしたがうと、コンテンツマーケティングは情報の中身であるコンテンツを使った売れる仕組みづくりのことになります。

化粧品という商材を例に挙げます。新規顧客を獲得してファンを醸成し、継続的な購入を促すような仕組みづくりがマーケティングです。たとえばアフィリエイトブログ、ランディングページ、メールによるアプローチなどのコンテンツが考えられます。InstagramなどのSNSを利用して口コミによる拡散、インフルエンサーの起用、動画やセミナーを使う方法も効果的です。

このように販売促進のためにコンテンツを利用する、コンテンツを使ってユーザーとのコミュニケーションを活性化し、リレーションシップを築くことが「コンテンツマーケティング」です。

コンテンツストラテジーは上位概念

コンテンツストラテジーは、マーケティングつまり「売れる仕組みづくり」とは異なります。

魅力的なコンテンツをマーケティングに活用すること、見込み客や顧客を引き付けて商品を買ってもらい、持続的な関係性を築き、最終的に収益を上げる仕組みづくりがコンテンツマーケティングです。

一方、コンテンツストラテジーには、品質を向上させるための戦略もあれば社会を変える戦略もあります。コンテンツの戦略の「戦術」のひとつとして、コンテンツマーケティングを活用が考えられます。違いをまとめると以下のようになります。

・コンテンツマーケティング:コンテンツを使った売れる仕組みづくり

・コンテンツストラテジー:コンテンツそのものの方向性や目標

コンテンツストラテジーは上位概念であり、その具体的な施策のひとつとしてコンテンツマーケティングがあると考えるとよいでしょう。

コンテンツストラテジーを策定する方法

アプリ開発のコンテンツストラテジーを策定する方法は、経営戦略の立案に使われるフレームワークが役立ちます。ユーザー、競合他社、自社といった「3C 」が代表的です。こうした枠組みを使いながら方向性や到達目標を定めていきます。

5W1Hでユーザーを見極める

アプリの戦略を定める上では、まずユーザーに着目します。ユーザー像のとらえかたにはペルソナのように具体像を具体的に描く方法もありますが、5W1Hによる整理が効果的です。以下のような観点でコンテンツを考察します。

・Who(だれが):ターゲットとなるユーザー

・When(いつ):コンテンツに接触する時間

・Where(どこで):コンテンツを利用する場所

・What(何を):コンテンツに求めるもの、理想や価値観

・Why(なぜ):利用の理由、利用するときのペイン(取り除きたい痛み)

・How(どのように):アプリの使い方

ユーザーストーリー、レッドルートを描く

さらにユーザーの行動を時系列で探り、優先度を明らかにします。ユーザーの行動を時系列で整理して機能をピックアップする方法にはユーザーストーリーがあります。また、ユーザーの利用時間や利用する人数から考えるレッドルートというフレームワークを使って考えることもできます。

競合他社のアプリの特長を洗い出す

ユーザーの次に考えたいのは、競合分析です。競合となるアプリの特長を分析します。競合分析ツールを使って定量的なデータをもとに分析すると明確な指標を設定しやすくなります。ストアのレビューなどからコンテンツの評価を調べることも大切です。

自社アプリの優位性や強みを明確にする

ユーザー分析ならびに競合分析の結果を参考にしつつ、自社アプリの優位性や強みを明確にしていきます。技術的な優位性のほか、企画やデザイン性も重要です。価格やアプリを配布するチャネルの戦略も考えられます。当然のことながら強みだけでなく弱みにも着目すべきです。戦略を確かなものにするためには、多様な視点が必要です。

達成すべき目標を定める

ここまでいわゆる3Cという基本的なユーザー、競合他社、自社の分析を取り上げましたが、他にも戦略を立案するためのフレームワークはあります。こうした分析の後で、戦略の方向性や提供する価値を言葉で表現するとともに、測定可能な目標値を設定します。

戦略の達成度を測定するための指標としては、リードの獲得やダウンロード、問い合わせ件数など、さまざまなものがあります。しかし、戦略の方向性に合った指標を定めることがポイントです。ニッチな分野をねらったアプリでは利用人数は少なかったとしても、ひとりあたりの課金と継続的な利用を指標とする戦略も考えられます。

コンテンツ制作の3つのケースとストラテジー

コンテンツストラテジーを定めるときには「コンテンツをどのように作るか」という視点により戦略も変わります。

多くの場合、オリジナルコンテンツをゼロから制作しなければならないと考えるかもしれません。しかし、たとえば地図情報や天気など既にデータベース化されている情報をコンテンツとして利用する方法もあります。また、SNSなどのプラットフォームを利用したUGCでは、ユーザーがコンテンツを作り上げます。3つの場合に分けて解説します。

運営側がコンテンツを制作

まず、完全に自社のオリジナルコンテンツを制作するケースです。この場合には、ユーザーの視点からコンテンツストラテジーを検討する必要があります。仕掛けるという言葉はやや適切ではないかもしれませんが、ユーザーの思考や行動を先取りして先手を打ちます。

利用する情報、求めている価値はもちろん、ユーザーの利用する時間、曜日、場所などを考慮して、最適な戦略を描くことが求められます。コンテンツによっては鮮度が重要になり、離反を防ぐためには定期的なアップデートが必要です。パーソナライゼーションによる個別の情報提供、季節に合わせたスペシャルコンテンツ、キャンペーン展開なども踏まえた上で戦略を立てます。

既にあるコンテンツを利用

初めてアプリを開発するときには「オリジナルコンテンツを作るのは大変だ」と考えるかもしれませんが、アプリではAPIを使って他社が作ったコンテンツの利用が可能です。

APIには地図情報などのデータベースのほか、音声合成や多言語化を実現する自動翻訳などAIもあります。実装するためには提供している会社に登録が必要ですが、APIの活用により開発の迅速化、効率化が可能になります。ただし、他社の機能や情報を利用しているため、仕様変更などがあった場合に注意する必要があります。

コンテンツをユーザーが作成

開発側はプラットフォームを提供して、コンテンツはユーザーが投稿する場合です。消費者向けのSNSや動画投稿サイトなどのコミュニティが代表的であり、企業向けとしては社内の情報共有システムやチャット、ビデオ会議のアプリなどが挙げられます。

ユーザーニーズにマッチすれば反響がある一方、導入段階(オンボーディング)のサポートにより活用を促したり、投稿された内容の監視をしたり、運用面に大きな負荷がかかる場合があることを考慮しなければなりません。

戦略の効果測定と見直し

戦略は効果測定を行い、社会的な変化に合わせて見直すことが求められます。定量的な指標を設定することで、効果測定が可能になります。指標を達成したかどうか定期的にチェックして、課題があれば戦略自体の見直しを図るべきです。

たとえばコロナの影響により外出を自粛することによって、ECサイトの需要拡大、動画視聴の時間が増加するなどの大きな変化がありました、このような変化がアプリのコンテンツに影響を与えることがあります。戦略の見直しにはマクロとミクロの視点が必要です。

まとめ

戦略というと抽象的な概念のイメージがあり、難しく感じる人が多いかもしれません。また、コンテンツストラテジーは集客施策や、コンテンツマーケティングと混同しやすい言葉です。しかし、単なる制作や開発の目標にとどまらず、経営戦略やブランディングと連携しなければならない大切な考え方になります。特に大企業のアプリ開発に携わるマネージャーのみなさんは、アプリのコンテンツストラテジーを見直してみてはいかがでしょうか。

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