スマホアプリとWebアプリの違いは?どちらを開発すべき?

株式会社Pentagon代表の山本です。アプリ開発を専門に10年以上制作をしております。
「スマホアプリをつくるべきなのかWebアプリを作るべきなのかわからない」というご相談をいただくことが何度かありましたので、本記事では「スマホアプリをつくるべきなのかWebアプリを作るべきなのかわからない」方に向けて、スマホアプリとWebアプリの特徴を比較して解説したいと思います。
この記事を読み終えると、スマホアプリとWebアプリの特徴がわかり、自社のビジネスに適したアプリはどちらなのか知ることができます。
スマホアプリは、主にiOSやAndroidなどの特定のOS向けに開発され、デバイスにインストールして利用されます。一方、Webアプリはブラウザ上で動作し、インターネット接続があればデバイスやOSに依存せずに利用可能です。スマホアプリはネイティブ機能(カメラ、GPSなど)にアクセスしやすく、パフォーマンスが高い一方、Webアプリはクロスプラットフォーム対応が容易で更新が簡単です。
スマホアプリとWebアプリの特徴を表にまとめましたので、参考にしてください。
◆スマホアプリとWebアプリの比較表
【ビジネスサイドの観点における比較】
観点 | スマホアプリ | Webアプリ |
---|---|---|
通知機能 | プッシュ通知によりリアルタイムのユーザーエンゲージメントが可能。重要な通知を送ることで、利用促進が可能。 | スマホアプリほど効果ではない。メールでの通知となり開封率は低い。 |
開発コスト | AndroidとiOSの別々の開発が必要。審査やアップデートもあり開発・維持コストが高い。 | 審査がない。アップデート等も少ないので、スマホアプリより開発コストが低い。 |
インストールの手間 | インストールが必要。特に新規ユーザーのハードルになりえる。 | ブラウザから直接アクセスでき、インストール不要。 |
更新の管理 | Apple・Googleの審査があり、ユーザーがアップデートする必要がある。 | サーバー側で更新され、常に最新の状態で利用可能。 |
ユーザー集客 | アプリストアでの掲載により、新規ユーザーの目に留まりやすい。 | SEOやオンライン広告による集客が中心。オウンドメディアを構築していくのが効果的。 |
【ユーザー体験の観点における比較】
観点 | スマホアプリ | Webアプリ |
---|---|---|
アクセスの容易さ | アプリストアでの検索やインストールが必要。 | URLをシェアするだけで簡単にアクセス可能。 |
ユーザー体験 | インストール後、ホーム画面に表示されるので、スムーズな体験を提供可能。頻繁に利用するようなサービスであればスマホアプリが使いやすい。 | WebサイトのURLをお気に入り登録しておく、もしくは検索してサイトへアクセスするといった場面で、スマホアプリよりアクセスのしやすさが劣る。利用頻度が少ないサービスであればWebアプリでも問題ない。 |
コミュニケーション | 通知機能で、ユーザー同士のコミュニケーションが取りやすい。 | メールでの通知となるため、ユーザー同士のコミュニケーションには不向き。 |
機能 | デバイス固有の機能(GPS、カメラなど)をフル活用できる。カメラを中心に使うのであれば、スマホアプリの方が良い。 | デバイス固有の機能は制約が多い。 |
動作 | Webよりサクサク動く。 | ページ読み込みのたびに読み込みが発生し待機時間が生まれます。 |
それでは、まずはスマホアプリの特徴・メリット・デメリットからみていきましょう。
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スマホアプリ(ネイティブアプリ)の特徴・メリット・デメリット
それでは、スマホアプリのメリットとデメリットを解説します。以下の図は、スマホアプリのメリットとデメリットを簡単にまとめたものです。
◆ネイティブアプリのメリット・デメリット早見表
ネイティブアプリのメリット・デメリット | |
---|---|
メリット | デメリット |
ユーザーとのコミュニケーションが取りやすい | ダウンロードが必要 |
動作が速く、パフォーマンスが高い | 継続的な更新・コンテンツ提供が必要 |
プッシュ通知でユーザーの行動を促進できる | 制作・運用コストが高い |
端末機能(カメラ、GPS等)へのアクセスが容易 | 審査があり、リリースまで時間がかかる |
オフライン対応が可能 | OS別に開発が必要(iOS/Android) |
それでは、ネイティブアプリのメリットとデメリットを詳しく解説していきます。
【メリット①】ユーザーへ直接コミュニケーションが取れる
ネイティブアプリはプッシュ通知機能を活用して、アプリ開発者・運営者からユーザーへ直接メッセージを届けることができます。LINE、Instagram、FacebookなどのSNSアプリでも活用されているこの機能により、ユーザーのスマホのホーム画面に通知を表示させることができます。
一方、Webアプリでもプッシュ通知は技術的には可能ですが、機能面で大きな制約があります。Webアプリのプッシュ通知は、アプリが完全に閉じられている状態では通知が届かない場合が多くあります。また、iOSのSafariでは長らくWebプッシュ通知がサポートされておらず(2023年にようやく対応)、Android中心の機能となっているのが現状です。
アプリ開発者・運営者はプッシュ通知を通じて、新機能のお知らせやセール情報などを直接ユーザーに届けることができ、ユーザーの行動を促すことが可能です。また、リアルタイム通知機能を実装することで、ユーザーの反応を把握したり、適切なタイミングで情報を提供したりすることができ、ユーザーエンゲージメントを高めることができます。ネイティブアプリの場合、OSレベルでの安定したプッシュ通知が保証されているため、確実にユーザーへリーチできる点が大きなアドバンテージです。
こちらの図をご覧ください。

GMOおみせアプリの資料によれば、「4割の人がPUSH通知をキッカケに行動したことがある」と回答しています。例えば、通販アプリでは、タイムセールの情報や新着商品をユーザーに送ることができ、行動を促すことも可能です。
【メリット②】Webアプリより動作が速い
Webアプリの場合は、ページ移動のたびに通信が発生し待機時間が生まれます。また、ブラウザがWebページを表示するのに時間がかかります。一方、ネイティブアプリの場合は、必要なタイミングで必要なデータだけを読み込めば良いので、Webアプリよりサクサクと動きます。また、あらかじめ画像やデータをアプリに埋め込んでおくことで、通信することなくデータを表示することも可能です。
【メリット③】デバイス機能を最大限に活用できる
ネイティブアプリの大きな強みは、スマートフォンのハードウェア機能を直接活用できる点です。以下のような機能を使うことができます。
◆スマホアプリで利用できるハードウェア機能の一覧
- カメラ
- GPS
- 加速度センサー
- 生体認証(指紋・顔認証)
- AR(拡張現実)機能など
デバイスが持つ様々な機能に制限なくアクセスできます。
例えば、フィットネスアプリでは加速度センサーを使って歩数をカウントしたり、EC・小売アプリではQRコードスキャンでスムーズな決済を実現したり、金融アプリでは生体認証によるセキュアなログインを提供したりすることが可能です。これらの機能を活用することで、ユーザー体験を大幅に向上させ、競合サービスとの差別化を図ることができます。
【デメリット①】ダウンロードが必要
スマホアプリの最大の欠点は、ユーザーにダウンロードしてもらう必要があるということです。。さらに、アプリの機能追加や改善のためのアップデート時にも、ユーザーに再度データをダウンロードしてもらう必要があります。アップデートを行わないユーザーは古いバージョンを使い続けることになり、セキュリティリスクや機能の不整合が生じる可能性もあります。
アプリ分析サービスApp Ape (アップエイプ) を提供するフラー株式会社(以下「フラー」)が、2019/1 -2019/12の間、国内約3万台のAndroid端末を分析した調査によれば、2019年12月時点での「1人当たりの平均所持アプリ数は99.3個」「1人当たりの平均利用アプリ数は37.5個」という調査結果になっております。
スマホアプリは公開して放置しておけばダウンロードされるわけではないので、ユーザーにダウンロードしてもらうためのマーケティング活動が重要になってきます。また、ダウンロード数を増やすために、ASO (アプリストア検索最適化) と呼ばれる業務も発生します。ASOとは、アプリストアで検索したときに、より上位に表示されるように調整したり、もっとダウンロードしてもらうためにアイコンやスクリーンショット画像・アプリ説明文などを調整していくことです。
【デメリット②】コンテンツを更新をしないとあまり意味がない
特に情報を提供するアプリの場合、アプリを開くたびにコンテンツが変わっていないとユーザーは飽きてしまいます。頻繁にアプリのコンテンツが更新されていると、ユーザーは「アプリを開いてチェックしよう」と思いアプリを開くので、アプリの情報を更新する体制も必要となってきます。
【デメリット③】制作・運用のコストが高い
ネイティブアプリは、Webアプリに比べて制作にコストがかかります。モバイルアプリの開発費用はいくら?ジャンル・機能別に紹介 でも一般的な費用相場を解説していますが、iPhone・Androidの両方のアプリを開発する場合、500万円以上かかってくることも少なくありません。
予算にある程度の余裕がないと、アプリでのビジネスを成功に導くことが難しくなってきます。「予算をあまりかけずにスモールスタートしたい」という場合は、アプリの開発よりもWebアプリでの運用を検討してみた方が良いかもしれません。
Webアプリ/Webサイトのメリット・デメリット
続いて、WebアプリとWebアプリのメリットとデメリットを解説します。
◆Webアプリのメリット・デメリット早見表
Webアプリのメリット・デメリット | |
---|---|
メリット | デメリット |
ダウンロードの必要がない(即アクセス可能) | ユーザーとのコミュニケーションがとりづらい |
SEO対策でより多くのユーザーを獲得できる | デバイスの機能を十分に活用できない |
開発・運用コストが抑えられる | オフライン対応が難しい |
クロスプラットフォーム対応が容易 | ブラウザ依存のため表示差異が生じることがある |
更新が即時反映される(審査不要) | 通信環境に依存するためパフォーマンスが不安定 |
それでは詳しく解説していきます。
【メリット①】ダウンロードの必要がない
Webアプリの特徴は、URLをクリックしてすぐにアクセスすることができる点です。ネイティブアプリはストアからダウンロードが必要なのに対し、即座にサービスを提供できるので、より多くのユーザーにサービスを提供することに向いています。
【メリット②】より多くのユーザーを獲得できる
SEO対策をすることで、GoogleやYahooなどの検索エンジンからのユーザー獲得が見込めます。ロングテールキーワード(検索数の少ない複数語からなる検索ワード)を狙ってSEO対策をすれば、ビジネスのターゲットユーザーをピンポイントで集客することができます。
【メリット③】ネイティブアプリの制作よりもコストがおさえられる
ネイティブアプリを開発する場合、iPhone・Androidと両方のOSに対応する必要があり、アプリ提出後の審査もあります。アプリの審査には数日〜数週間かかることもあります。更に、アップデート時には、アプリを修正してアプリを再度審査に出す必要があります。
一方で、Webアプリの場合はOSに依存しないので、1つのプログラムでPCはもちろんスマホにも対応することができます。またアップデートに関しても、Webの場合は審査もなく好きなタイミングで更新をかけられます。
したがって、開発コストやアップデートにかかるコスト、審査コストを削ることで費用を抑えることが可能です。
【デメリット①】ユーザーとのコミュニケーションがとりづらい
Webの場合、ネイティブアプリと違ってPUSH通知を送ることができません。Webサービスではユーザーに通知する場合、メールでの通知になるので、メールボックスに埋もれてしまい、開封されないことも少なくありません。平均的な開封率の目安としては15%〜25%と言われています。
メールを経由した通知は、ユーザーに行動させるステップが多くなる(メールを開封→メールのURLをクリック→Webサイトへアクセス)ため、スマホアプリよりもコミュニケーションがとりづらいと考えられます。
【デメリット②】デバイスの機能を十分に活用できない
Webアプリはブラウザ上で動作するため、カメラやGPS、加速度センサーなどのデバイス機能へのアクセスが制限されています。最近のWeb技術では一部の機能にアクセスできるようになってきていますが、ネイティブアプリほど柔軟に利用することはできません。
例えば、バックグラウンド処理やオフライン機能、複雑なアニメーションなどの実装は、Webアプリでは制限があります。ユーザー体験を最大化したいアプリケーションでは、この点が大きな制約になることがあります。
【デメリット③】オフライン対応が難しい
Webアプリは基本的にインターネット接続が必要です。Progressive Web Apps (PWA)などの技術でオフライン機能を一部実装できるようになってきていますが、ネイティブアプリほど柔軟なオフライン対応は難しいのが現状です。通信環境が不安定な場所でのユースケースがある場合は、この点を考慮する必要があります。
スマホアプリとWebアプリ、最適なのはどちら?選択のポイント
ビジネスの目的や予算、ターゲットユーザーに合わせて最適な選択をすることが重要です。以下のポイントを参考にしてください。
ネイティブアプリが向いているケース
- ユーザーと頻繁にコミュニケーションを取りたい場合
- 高度なユーザー体験や端末機能を活用したい場合
- 既存の顧客リストがあり、ロイヤルカスタマー向けのプラットフォームとして活用したい場合
- オフライン機能が重要な場合
Webアプリが向いているケース
- 複数プラットフォームで統一したユーザー体験を提供したい場合
- 少ない予算でスモールスタートしたい場合
- 幅広いユーザー層へ素早くリーチしたい場合
- 頻繁に更新が必要なコンテンツを提供する場合
すでに顧客のリストがある場合であれば、ネイティブアプリのデメリットであるユーザー獲得は問題ないでしょう。これから起業してまずは多くの人に知ってもらいたい場合であれば、スマホアプリよりもWebアプリを制作する方が良いこともあります。
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ハイブリッドアプリ、PWAなど第3の選択肢も
スマホアプリとWebアプリの中間的な特徴を持つ開発手法として、ハイブリッドアプリやPWA(Progressive Web App)という選択肢もあります。これらはスマホアプリとWebアプリの両方の良いところを組み合わせた技術として注目されています。
ハイブリッドアプリ(Flutter / React Nativeなど)の特徴
ハイブリッドアプリは、Web技術(HTML、CSS、JavaScript)を使ってネイティブアプリのような動作を実現する開発手法です。Web技術で作られたアプリをネイティブアプリの外枠(WebView)に組み込むことで、アプリストアで配布できるスマホアプリとして提供できます。
一つのコードベースでiOSとAndroid両方に対応でき、Web開発のスキルを活かしながらアプリ開発ができるため、開発コストと期間を大幅に削減できます。ただし、ネイティブアプリに比べてパフォーマンスが劣る場合があり、複雑な処理や高度なデバイス機能の活用には制約があります。
詳細は以下の記事で解説しています。
PWA(Progressive Web App)の特徴
PWAは、Webアプリでありながらスマホアプリのような体験を提供できる技術です。ホーム画面への追加、オフライン対応、プッシュ通知など、従来のWebアプリでは難しかった機能を実装できます。
アプリストアを経由せずに配布でき、更新も即座に反映されるため、Webアプリの利便性を保ちながらスマホアプリに近いユーザー体験を提供できます。TwitterやInstagramなどの大手サービスでもPWA版が提供されており、実用性の高い技術として普及が進んでいます。
詳細は以下の記事で解説しています。
スマホアプリを開発するべき?企業導入事例
そもそもアプリを開発するべきか?悩んでいる方も多いかと思います。一例ですが、法人がアプリを開発するメリットを紹介したいと思います。
スマホアプリの事例①スターバックス

スターバックスは、アプリをチャンネルの1つとしてマーケティング戦略に取り入れています。アプリをロイヤルカスタマー向けのプラットフォームとして考え、顧客体験をより良くすることに成功しています。
スマホアプリの事例②ナノ・ユニバース

「スマートフォンにアプリをインストールしてくださるお客さまは弊社の大切なロイヤルカスタマーで、お買い上げ額も平均を上回っていることがデータから明らかになっています。またアプリで下調べしてから来店されるお客さまの購買率も高いことから、アプリでECと実店舗をつなぎ、 併用されるお客さまを大切にすることが重要だと考えています」出典:ICT導入事例
ナノ・ユニバースもアプリユーザーをロイヤルカスタマーとして考えており、実際にアプリを利用してくれるユーザーからの売上高は平均よりも高くなっていると話しています。
既存のWebのECサイトやLINEなどがある中で、アプリを開発することは、ロイヤルカスタマーの動向を把握するため、ロイヤルカスタマーにより良いサービスを提供するためにも、重要なプラットフォームとなると言えるでしょう。
Webアプリの事例③freee

クラウド会計ソフトのfreeeは、Webアプリとして提供されることで急速な成長を遂げました。ソフトウェアのインストールが不要で、ブラウザがあればどこからでもアクセス可能なため、個人事業主から中小企業まで幅広いユーザーに受け入れられています。自動アップデートにより常に最新機能を利用でき、税制改正などへの対応も即座に反映されるため、ユーザーは安心してサービスを利用できます。
まとめ:競合調査も大切
最後に、ビジネスをする上で、競合調査は不可欠といえます。Webアプリでは競合がたくさんいても、ネイティブアプリだと競合が少ない場合もあります。競合が少なければ、ユーザーを獲得しやすくなります。
ネイティブアプリは、プッシュ通知によるダイレクトなコミュニケーション、高いパフォーマンス、デバイス機能の活用などの強みがあります。一方、Webアプリはインストール不要で手軽に利用でき、開発コストを抑えられるといった利点があります。
ネイティブアプリやWebアプリの特性を理解して、あなたのビジネスに適しているのはどちらなのか様々な観点から検討してみましょう。
当社Pentagonでは、仕様が決まってない状態からでも、アプリ制作を支援することが可能です。ご予算に合わせてご提案させていただくことも可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
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