【発注者向け】アプリ開発の方法を基礎からわかりやすく解説

アプリ開発はビジネスの成長やサービスの向上に欠かせない要素です。しかし、初めてアプリを発注する方にとっては、そのプロセスや方法が分かりづらいことも多いでしょう。

アプリの開発形態は以下の3つの種類に分類されます。

  • ① ネイティブアプリ
  • ② Webアプリ
  • ③ ハイブリッドアプリ

それぞれのアプリには独自の特徴と利点があり、開発の難易度やコストも異なります。

本記事では、アプリ開発の基本的な流れや手法をわかりやすく解説します。自社のニーズに合ったアプリを開発するためには、どのようなステップを踏むべきか、また外注する際のポイントや注意点についても詳しく紹介します。これにより、発注者が自信を持ってアプリ開発に臨むための基礎知識を身につけることができます。アプリ開発の全体像を理解し、成功に導くための第一歩を踏み出しましょう。

本記事では、アプリ開発会社「株式会社ペンタゴン」でエンジニアである筆者が、アプリ開発の方法について詳しく解説します。アプリ開発を成功させるためには膨大な知識と経験が必要となります。アプリ開発を検討中の方や、不明点を解消したいとお考えの方は、ぜひ株式会社ペンタゴンまでご相談ください。

3種類の「モバイルアプリ」の開発難易度を徹底比較

モバイルアプリは、ユーザーのニーズに応じてさまざまな形態で提供されています。主に「ネイティブアプリ」「Webアプリ」「ハイブリッドアプリ」の3つの種類に分類されます。それぞれのアプリには独自の特徴と利点があり、開発の難易度やコストも異なります。本記事では、これら3つのアプリの特徴を比較し、開発しやすさについて詳しく解説します。

◆3種類のアプリ開発難易度、コスト、パフォーマンスを比較

アプリ開発の種類特徴開発の難易度コストパフォーマンス
①ネイティブアプリの開発- 特定のプラットフォーム(iOS/Android)向けに開発
- 高いパフォーマンスとユーザー体験
- デバイスの機能(カメラ、GPSなど)へのアクセスが容易
高い高い非常に高い
②Webアプリの開発- ブラウザ上で動作するアプリ
- プラットフォームに依存しない
- 更新が容易で、ユーザーは常に最新のバージョンを使用可能
低い低い中程度
③ハイブリッドアプリの開発- ネイティブアプリとWebアプリの特徴を併せ持つ
- 一度の開発で複数のプラットフォームに対応可能
- ネイティブ機能へのアクセスも可能
中程度中程度高いがネイティブには劣る

この比較表を参考に、どのタイプのアプリがプロジェクトに最適かを検討していきましょう。それぞれのアプリの特性を理解し、目的に応じた選択を行うことが重要となるため、個別の解説を行います。

アプリの種類① ネイティブアプリの開発

ネイティブアプリとはスマートフォンやタブレットなどのモバイルオペレーティングシステムに特化したソフトウェア開発キット(SDK)を使用して開発されたアプリです。これらのアプリは、Google PlayやApp Storeなどのアプリケーションストアを通じてインストールされ、使用されます。

◆ネイティブアプリの開発面の特徴

特徴開発の難易度開発しやすさ・難しさ注意点
- 特定のプラットフォーム(iOS/Android)向けに開発
- 高いパフォーマンスとユーザー体験
- デバイスの機能(カメラ、GPSなど)へのアクセスが容易
高い難しいプラットフォームごとに異なる言語やSDKを使用する必要があるため、開発者のスキルが求められる。- ストア手数料が発生する
- 複数のOSに対応する場合、別々のコードベースが必要
- 開発コストが高くなる傾向がある。

特徴

  • パフォーマンス: プラットフォームに特化しているためデバイスの機能をフルに活用でき、スムーズで直感的なユーザーインターフェースを提供します。
  • オフライン機能: アプリは端末に直接インストールされるため、高速で起動しオフラインでも動作可能です。
  • ユーザー獲得: ストア経由でのダウンロードプロセスは利用へのハードルを生む一方で、ロイヤリティの高いユーザーを呼び込むことが期待できます。

注意点

  • コストと手数料: 課金アプリの場合、アプリストアに支払う手数料が発生します。また、ゼロからのスクラッチ開発はコストや開発期間がかさむ傾向があります。
  • 複数OS対応の難しさ: 異なるOSに対応する場合、それぞれのOSごとに別々のコードベースを用意する必要があり、開発の手間が増えます。

このように、ネイティブアプリは高いパフォーマンスとユーザー体験を提供しますが、開発には高いスキルとコストが求められるため、プロジェクトの目的やリソースに応じた慎重な検討が必要です。

アプリの種類② Webアプリの開発

Webアプリは、ボタンやレイアウトがネイティブアプリと似ている場合もありますが、その仕組みは大きく異なります。WebアプリはHTML5で構築され、デバイスのブラウザ上で動作するため、ネイティブアプリのようにアプリストアからのダウンロードは不要です。これにより、課金アプリであってもストアへの手数料が発生しません

◆Webアプリの開発面の特徴 

特徴開発の難易度開発しやすさ・難しさ注意点
- HTML5で作成され、ブラウザ上で動作
- ストア経由のダウンロード不要
- マルチデバイス対応が容易
低い開発が比較的容易単一のコードベースで複数のデバイスに対応できるため、効率的に開発可能。- 動作速度がネイティブアプリに劣る
- デバイス機能へのアクセスが制限される
- ユーザーの利用意欲を喚起しづらい。

特徴

  • コスト削減: Webアプリの最大のメリットは、開発や保守にかかるコストを大幅に削減できる点です。単一のコードベースを使用することで、マルチデバイスに対応できるため、OSごとに異なる開発を行う必要がありません。
  • アップデートの容易さ: ストアを経由せずにアプリのアップデートを配信できるため、ユーザーは常に最新のバージョンを利用できます。

注意点

  • 動作速度: Webアプリはネイティブアプリに比べて動作速度が劣ることがあります。特に、複雑な処理やリアルタイム性が求められるアプリでは、パフォーマンスに影響が出る可能性があります。
  • デバイス機能への制限: サンドボックス化により、デバイスの機能(カメラやGPSなど)へのアクセスが制限されるため、ネイティブアプリに比べて性能が劣ることがあります。
  • ユーザーの利用意欲: アプリストアの縛りがないため、ユーザーはサイトにアクセスするだけで利用できますが、これが逆に積極的なアプリ利用のモチベーションを喚起しづらいという難点を生むことがあります。

このように、Webアプリは開発コストやアップデートの容易さにおいて大きな利点がありますが、パフォーマンスやユーザーの利用意欲に関しては注意が必要です。プロジェクトの目的に応じて、Webアプリの採用を検討することが重要です。

アプリの種類③ ハイブリットアプリの開発

ハイブリッドアプリは、ネイティブアプリとWebアプリの長所を組み合わせた「いいとこ取り」を狙ったアプリです。Webアプリと同様にウェブページ作成の開発方法を用いながら、アプリストアを通じて入手するため、動作はネイティブアプリに準じており、デバイス固有の機能を活用することができます

◆ハイブリッドアプリの開発面の特徴 

アプリの種類特徴開発の難易度開発しやすさ・難しさ注意点
ハイブリッドアプリ- ネイティブアプリとWebアプリの長所を組み合わせたアプリ
- アプリストア経由で入手し、デバイス固有の機能を活用可能
中程度開発が比較的容易1つのソースコードでクロスプラットフォームに対応できるため、効率的に開発可能。- 動作速度やスムーズさがネイティブアプリに劣る
- 開発環境が制限されることがある
- リリース審査が厳格な場合がある。

特徴

  • クロスプラットフォーム対応: 1つのソースコードで複数のプラットフォームに対応できるため、開発期間やコストを大幅に削減できます。
  • アップデートの容易さ: リリース後のアップデートも迅速に行えるため、ユーザーに常に最新の機能を提供できます。
  • 質の高いユーザーの獲得: アプリストア経由での入手により、質の高いユーザーを選別できる点は、ネイティブアプリの利点を引き継いでいます。

注意点

  • 動作速度の課題: クロスプラットフォーム対応が可能であるものの、動作速度やスムーズさにおいてはネイティブアプリに劣ることがあります。
  • 開発環境の制限: ハイブリッドアプリでは、ネイティブアプリと同等のフレームワークや機能が期待できない場合があり、期待通りのデザインや操作性を実現できないことがあります。
  • リリース審査の厳格さ: リリース時の審査がネイティブアプリよりも厳格な場合が多く、リリースが遅れる可能性があるため、注意が必要です。

このように、ハイブリッドアプリは開発効率やコスト面での利点がありますが、パフォーマンスや開発環境に関する制約も存在します。プロジェクトの目的やリソースに応じて、ハイブリッドアプリの採用を検討することが重要です。

モバイルアプリの2つの開発手法

モバイルアプリの開発には主に「スクラッチ開発」と「アプリ開発ツールの活用」という2つの開発手法があります。それぞれの手法には独自のメリットとデメリットがあり、プロジェクトの目的やリソースに応じて最適な選択をすることが重要です。以下では、これらの開発手法を比較し、それぞれの特徴を明らかにします。

◆開発手法の比較

開発手法メリットデメリット
①スクラッチ開発- 完全にカスタマイズ可能
- 特定のニーズに応じた機能を実装できる
- 高いパフォーマンスが期待できる
- 開発コストが高い
- 開発期間が長くなる可能性がある
- 専門知識が必要
②アプリ開発ツールの活用- 開発が迅速に行える
- コストを抑えられる
- プログラミングの知識が少なくても利用可能
- カスタマイズの自由度が低い
- 複雑な機能の実装が難しい場合がある
- パフォーマンスが劣ることがある

開発方法① スクラッチ開発

スクラッチ開発は、ゼロからアプリを開発する手法です。この方法では、開発者がすべてのコードを自ら書き、アプリの機能やデザインを完全にカスタマイズできます

メリット

  • 完全なカスタマイズ: アプリの機能やデザインを自由に設計できるため、特定のニーズに応じたアプリを作成できます。
  • 高いパフォーマンス: ネイティブコードで開発するため、アプリの動作がスムーズで高性能です。
  • 独自の機能実装: 他のアプリにはない独自の機能を実装することが可能です。

スクラッチ方式を採るメリットは、自由度が高いということです。自社のマーケティング戦略を踏まえた入念な設計を経たうえで、必要と思われる機能を技術や予算が許す範囲内で、アプリ内に存分に反映させることが可能です。

特に、デザインの質の向上を目指したり、独自機能の設定によって競合他社との差別化を図ったりといった、ブランディングを追求したい時にふさわしいやり方です。

さらに、設計完了後に修正する必要が出た時にも、自社で手掛けていれば素早い対応が期待できます。

デメリット

  • 高い開発コスト: 開発にかかる人件費や時間が高くつくことがあります。
  • 長い開発期間: ゼロからの開発には時間がかかるため、リリースまでの期間が長くなる可能性があります。
  • 専門知識の必要性: プログラミングやデザインに関する専門知識が必要です。

一方、デメリットもあります。自由度の高さは、オリジナリティやクオリティの追求を目指すほど開発工数が多くなり、リサーチや開発作業に要する時間とコストの増大を招くでしょう。

また、そもそもアプリを独自に開発していけるだけの社内人材を確保できているのか、という問題もあります。スクラッチ開発にかかる工程は長丁場になります。計画・設計から実装・開発に至るフローを踏まえたスケジュール作成と、必要な人員や工数の割り出しには高度なプロジェクト管理スキルが必要です。そのため、すべてを滞りなくこなせる人材は希少と言っても過言ではありません。

開発方法② アプリ開発ツールの活用

アプリ開発ツールを活用する方法は、既存のプラットフォームやツールを使用してアプリを開発する手法です。これにより、開発プロセスが簡素化され、迅速にアプリをリリースすることが可能です。

メリット

  • 迅速な開発: 開発ツールを使用することで、アプリの開発が迅速に行えます。
  • コスト削減: 開発にかかるコストを抑えることができるため、予算に優しい選択肢です。
  • プログラミング知識が不要: プログラミングの知識が少なくても、直感的にアプリを作成できるツールが多くあります。

メリットは、クロスプラットフォーム機能や異なるアプリストアへの登録申請が簡単にできることにより、工期短縮とコスト削減の同時達成を目指すことができる点です。また、アプリが完成した後も、セキュリティパッチの配布やバージョンアップなどのアップデートを自前で行う必要はなく、開発ツール上での対応で事足りる点も魅力です。

デメリット

  • カスタマイズの制限: 開発ツールによっては、カスタマイズの自由度が低く、特定のニーズに応じた機能を実装するのが難しい場合があります。
  • 複雑な機能の実装が難しい: 高度な機能や独自の要件を実装する際には、制約が生じることがあります。
  • パフォーマンスの低下: ツールを介して開発するため、ネイティブアプリに比べてパフォーマンスが劣ることがあります。

こうした多くのメリットを持つ一方で、あらかじめ用意されているテンプレート等を使うため、スクラッチと比較すると自由度の点で劣ります。他社との差別化を図ることはあまり期待できないので、独自性をそれほど求めないアプリの開発にふさわしいやり方です。


スクラッチ開発とアプリ開発ツールの活用は、それぞれ異なるメリットとデメリットを持っています。スクラッチ開発は完全なカスタマイズが可能で高いパフォーマンスを提供しますが、コストや開発期間がかかるため、専門知識が必要です。一方、アプリ開発ツールの活用は迅速な開発とコスト削減が可能ですが、カスタマイズの自由度やパフォーマンスに制約があることがあります。プロジェクトの目的やリソースに応じて、最適な開発手法を選択することが成功の鍵となります。

アプリは自社開発か外注か?

アプリ開発において、自社で開発するか外注するかは重要な選択です。それぞれの手法には独自のメリットとデメリットがあり、プロジェクトの目的やリソースに応じて最適な選択をすることが求められます。以下では、自社開発と外注の比較を行い、それぞれの特徴を明らかにします。

手法メリットデメリット
自社開発- プロジェクトに対する深い理解が得られる
- 迅速な意思決定が可能
- 継続的なメンテナンスが容易
- 高い人件費がかかる
- 専門知識やスキルが必要
- 開発リソースが限られる場合がある
外注- コスト削減が可能
- 専門的な技術や知識を持つチームに依頼できる
- 開発リソースを柔軟に調整可能
- コミュニケーションの課題が生じる可能性
- プロジェクトの理解度が低くなることがある
- 品質管理が難しい場合がある

自社で開発

メリット

  • プロジェクトへの理解: 自社のビジョンやニーズに基づいて開発が進められるため、プロジェクトに対する深い理解が得られます。
  • 迅速な意思決定: 内部チームでのコミュニケーションがスムーズで、迅速な意思決定が可能です。
  • メンテナンスの容易さ: アプリのメンテナンスやアップデートが容易で、長期的なサポートが期待できます。

デメリット

  • 高い人件費: 開発チームを維持するための人件費が高くつくことがあります。
  • 専門知識の必要性: 特定の技術やスキルが必要な場合、社内での教育や採用が求められます。
  • リソースの限界: 開発リソースが限られている場合、プロジェクトの進行が遅れる可能性があります。

アプリ開発会社に外注

メリット

  • コスト削減: 外注することで、開発コストを削減できる場合があります。
  • 専門的な技術: 特定の技術や知識を持つ専門チームに依頼できるため、高品質な成果物が期待できます。
  • 柔軟なリソース調整: プロジェクトの規模に応じて、外注先のリソースを柔軟に調整できます。

デメリット

  • コミュニケーションの課題: 外部チームとのコミュニケーションが難しくなることがあり、誤解やミスが生じる可能性があります。
  • プロジェクト理解度の低下: 外注先が自社のビジョンやニーズを十分に理解していない場合、期待通りの成果が得られないことがあります。
  • 品質管理の難しさ: 外注先の品質管理が難しく、納品物の品質にばらつきが出ることがあります。

自社開発と外注にはそれぞれのメリットとデメリットがあり、プロジェクトの目的やリソースに応じて最適な選択をすることが重要です。自社開発はプロジェクトへの理解が深まり、迅速な意思決定が可能ですが、高い人件費や専門知識が必要です。一方、外注はコスト削減や専門的な技術を活用できる一方で、コミュニケーションや品質管理の課題が生じる可能性があります。どちらの手法が最適かを慎重に検討することが成功の鍵となります。

アプリ開発の8つの工程

モバイルアプリの開発にあたり、基本となる開発の手順をしっかり把握しておくと安心です。ここでは、モバイルアプリ開発の工程に必要な手順を8つに分けて解説します

工程① 企画

アプリ開発は、最初に行う企画の立案が非常に重要です。企画の段階で開発の目的やターゲットにするユーザー、アプリの具体的な中身を立案しましょう。開発の概要を明確にすることで、完成したアプリがどういった機能を搭載しているのかを共有できます。もし企画が不十分だとチームの意思疎通がうまくできなかったり、開発したアプリが当初のイメージとはかけ離れたものになってしまったりといったトラブル発生につながります

また、アプリの機能や開発の目的や主要なターゲットを決定するだけでなく、費用対効果についても企画段階で検討し、開発の予算やリソースなども具体的にしましょう。

アプリ開発における企画書の書き方について、こちらの記事で動画付きで解説しています。

工程② 設計

企画が決まったら、次は設計へと移ります。

ここで重要となるのが「サービスデザイン」の視点を取り入れることです顧客満足度を最大化するためには、サービスそのものに優れた顧客体験を実現するための仕組みがデザインされている必要があります

サービスデザインの概念とCXデザイン、UXデザインなどの関連性についてこちらの記事で解説しています。

サービスデザインによって土台を作った上で、それを形に落とし込む要件定義へと移っていきます。要件定義とは具体的にどのような機能を搭載するのか、デザインやレイアウト、システムなどを定めることです。開発アプリの概要や機能、利用するデータ、開発の目的や経緯などは要件定義書に記載します。個人で小規模なアプリを開発する場合は要件定義書を作らないこともありますが、チームで開発に取り組む場合は作成するのが基本です。

設計には内部設計と外部設計があり、システムやデータ処理などの設計を行うのが内部設計、アプリの操作方法やレイアウトなどが外部設計となります。

設計段階で特に注意が必要なのが、アプリに搭載する機能を増やしすぎてしまうことです。機能が増えることによってユーザビリティが低下したり、予算を超過してしまうなどの問題があります。

実装したい機能がたくさんある場合は、レッドルートを描くことで、本当に重要な機能を明らかにし、アプリ開発における優先度をつけることが可能です。

レッドルートについて、詳しくはこちらの記事で解説しています。

工程③ デザイン

外部設計であるデザインは、おもに以下2つの工程に分かれます。

【1】UI/UXデザイン

アプリ画面構成やレイアウト、操作方法などをデザインする工程です。

このUI/UXデザインを進める中で重要な役割を担うのが「ワイヤーフレーム」です。これはアプリの設計図でありプロトタイプでもあります。ワイヤーフレームをもとに関係者内でアプリのイメージを共有し、フィードバックを集め、よりよい形を模索していきます。

ワイヤーフレーム作成の目的や作り方については、こちらの記事で解説しています。

【2】ビジュアルデザイン

ビジュアルデザインでは、「ロゴ」「キャラクター」「グラフィック」など、アプリ内の各種要素に関するデザインを行います。また、アプリストアに掲載する際に使うスクリーンショットデザインも含まれます。

工程④ 開発

開発は、要件定義や設計内容に沿って行う作業です。この工程はプログラミングをして開発を進めるため、コーディングフェーズとも呼ばれます。プログラミングをしながら動作確認や修正を加えていく流れであるため、具体的なプログラミングの内容やスケジュールが決まっていれば、開発はスムーズに進みます。

要件定義や設計を基にしているため、開発時に急な変更を加えると設計通りになりません。トラブルなく開発を行うには、設計通りに進めましょう。

工程⑤ テスト・検収

アプリの開発が完了したら、設計した通り正常に動作するのか確認します。

テストは「単体テスト」「結合テスト」「受け入れテスト」の3つです。単体テストは要件定義に沿ってアプリが起動するかどうか、そしてデータ登録が正確かどうかをチェックします。結合テストは、複数のプログラムを合わせた時にきちんとデータのやり取りが行われているかを確認する作業です。受け入れテストでは目的通りのアプリになっているか、不具合が生じていないか、ユーザーが使いやすいと感じるかどうかを確認します。

工程⑥ 審査・リリース

開発・テストの両方をクリアしたら、アプリのリリースに入ります。モバイルアプリの場合、リリースの手順や審査がiOSとAndroidで異なるため注意しましょうiOSは事前に審査されますが、Androidは登録後に審査が行われます

リリースの流れとして、iOSの場合はiTunes Connectに登録後、AppStoreに申請可能です。Androidの場合、Googleplayにアプリを登録すると申請できます。なお、審査にはある程度の時間がかかります。実際にどのくらいの時間を要するのか、実体験やデータをもとに記事にて解説しておりますので、そちらもぜひ参考にしてください。

工程⑦ 保守運用

アプリは開発して終わりではありませんアプリをリリースした後でも、ユーザーが利用しやすいようにアップデートや機能の改善、不具合の対応などを行う必要があります。そのため、アプリの開発が決定したら保守運用に関しても考えておかなければなりません。ユーザーがアプリを快適に利用できるように、より良い改善をしていくことが重要です。

アプリの保守運用には当然ながら費用がかかります。必要となる項目やそれぞれの相場について、こちらの記事にて解説しています。

工程⑧ マーケティング

モバイルアプリの開発・運用によって、ユーザーエンゲージメントの強化が可能です。アプリの種類はさまざまですが、例えばアプリで商品の情報発信やクーポンの配信などをすることで、ユーザーの購買意欲を促進できるといった強みがあります。

こちらでは、アプリ開発の流れについてより詳細な手順をご紹介しています。アプリの開発を検討中の方はぜひご覧ください。

アプリ開発にかかる費用の相場は300万円~

当社は、2023年2月インターネット調査を実施し、アプリ開発に携わったことがある354名にアンケート調査(以下、アンケート調査と呼ぶ)を行いました。その結果、アプリ開発にかかった費用はおおよそ半数が300万円以上と回答しました。また、大規模な開発には2,000万円以上かかる場合もあることが明らかになりました。

◆アプリ開発にかかった費用

モバイルアプリの開発費用は、アプリに組み込む機能や種類によって差があります。一般的に、機能が多くないシンプルなアプリでは約300万円一般的なアプリの場合は約800万円多機能なアプリであれば約1,000万円が相場となります。

アプリにはニュースアプリやチャットアプリ、ゲームといったさまざまな種類がありますが、ジャンルごとに開発費用の相場が異なることに注意しましょう。電子書籍といったカタログ系のアプリ約50万円〜200万円クイズなどの学習系アプリでは約300万円〜1,000万円が相場です。ちなみに機能が多く搭載されたゲームアプリの場合、開発相場は3,000万円〜数億円規模にのぼることも少なくありません。

また、モバイルアプリの開発にはサーバー費用や保守運用の費用なども発生します。こちらでは詳しい費用について解説していますので、相場も含めてご覧ください。

アプリを開発するメリットとは?法人と個人に分けて解説

モバイルアプリの開発がもたらすメリットは、法人と個人とで異なります。ここでは、双方のメリットを見ていきましょう。

法人の場合

法人として自社サービスに関連するモバイルアプリを開発するメリットは、自社の売上アップが狙える点です

自社のサービスそのものをアプリで提供するケースや、自社のサービスの集客のためにアプリを活用するケースなどがあります。

どちらのケースでも、顧客にアプリをダウンロードしてもらうことで接触経路を確保することにつながり、自社からの情報を顧客に発信しやすくなります。また、顧客のさまざまな情報を取得することも可能です。これにより顧客ニーズを収集し、サービスに生かすことができます

個人の場合

個人でモバイルアプリを開発する場合、収入増加とスキルアップが主なメリットです。中には、副業として開発に取り組んでいる人もいるでしょう。本業の収入とは別に、アプリ開発で副収入を得ようとしている人は数多く存在します。アプリの開発で収入を得るためには有料での販売や課金、広告掲載などがあり、個人で開発する際は自分に合った方法を選択します。有料で販売する場合は手数料が発生しますが、売れた分だけ収入が確保できるのです。なお、広告掲載はアプリ内の広告にユーザーがアクセスすることで、広告収入を得られる仕組みです。

プログラマーやエンジニアとして仕事をしている傍ら、副業として個人で開発している人だけでなく、本業が全く別の仕事でアプリの開発を進めている人もいます。モバイルアプリの開発はプログラミングスキルの他、企画力やマーケティング、デザインなどのスキルアップにつながる点が魅力です。

開発に踏み出す前に、押さえておくべき3つのポイント

モバイルアプリの開発に関していずれのやり方を採るにしても、その道のりは決して平坦なものではありません。ここでは、 開発に踏み出す前に押さえておくべきポイントを紹介します。

ポイント① モバイルアプリの多くが失敗に終わる

モバイルアプリの開発に乗り出す前によく理解しておくべきことは、「モバイルアプリの多くが失敗に終わる」という事実ですただし、大切なことは、失敗から得られた教訓を次に活かしていくことであり、実際に失敗があったからこそ生まれた成功例も少なくありません

たとえば、開発途中での資金不足が原因と考えられるのであれば、予算の検討をもっとしっかり行う必要があることが分かります。また、リリースしてみて期待していた数のユーザーが獲得できなかった場合には、ニーズ把握のための事前のリサーチ不足が考えられるでしょう。

さらに、ユーザーの定着率の悪さが、アプリにバグや不具合が多いためということが明らかになれば、開発段階でのテストの精度向上の必要性を示唆しているのかもしれません。

このように、失敗したアプリ開発の原因を正確に把握することが大切です。次回の開発に活かせる改善策を見出す姿勢を持ち続けていれば、失敗は決して無駄ではありません。

ポイント② 自社内で作りたいアプリを明確に

自社内で作りたいアプリを事前に明確にしておきましょう。目指すべきアプリ像が具体的になってはじめて、盛り込むべき機能を明らかにすることができます。また、長いスパンでの運用に耐えうる、ユーザーにとって使い勝手の良いアプリを開発することができるでしょう。

アプリ開発の目的を明確化するには、開発チームにおいてアプリを用いてやりたいことを議論し、優先順位をつけながら提供するサービスやそれにふさわしい機能を絞っていくことが重要です。

そして、アプリを使う目的が明確になったら、具体的な数値を伴った目標を設定します。基本的な指標である「ダウンロード数」や「アクティブユーザー数」はもちろん、課金アプリ開発であれば売上目標の設定が必要です

アプリを使う目的が定まり、シンプルで扱い易いサービスにすることができれば、顧客満足度の向上が期待できるだけでなく、企業にとっても保守・運用が容易になるメリットがあります。

ポイント③ 開発コストだけでなく運用コストにも注意

モバイルアプリの開発にあたっては、 開発コストだけでなく運用コストにも注意を払う必要があります。

まず、「サーバー費」「システム保守費」などが毎月の運用コストとして必ずかかります。そして、ユーザーからのフィードバックを活かした機能の追加や修正など、アプリの継続的な改善にかかるコストについても必要経費として予算計画に入れておくべきです

また、リリース後に生じる不具合への対処をあらかじめ想定しておくことも大切です。アプリのバージョンアップ時につきものであるバグやトラブルへの対処、ユーザーからのクレームへの対応にかかる人的コストなどについても、必要な運用コストとして考えておくとよいでしょう。

まとめ

この記事では、アプリ開発の方法についての基礎知識と開発方法のポイントについて解説してきました。多様化の傾向が強まるユーザーの購買行動に企業が的確に対応していくために、モバイルアプリの活用は今や不可欠のマーケティング戦略です

この記事でご紹介した内容を参考に、自社アプリの開発を進めてみてはいかがでしょうか。

今回ご紹介したアプリ開発の方法を参考に、アプリ開発企画を進めていきましょう。もし「自社の事業向けアプリを作りたいけど、実際にアプリ開発の費用は、どれくらいになるのか?」「アプリ開発の外注を検討していて、一度相談したい」などお考えでしたら、アプリ開発会社の株式会社ペンタゴンをご検討ください。

株式会社ペンタゴンの開発実績については、こちらをご覧ください。

下記よりお問い合わせできますので、お気軽にご相談ください!

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