ポータルサイト開発の流れや費用とは?成功のポイントも紹介

普段使用しているYahoo!JAPAN、SUUMO、食べログなどは全て「ポータルサイト」です。天気予報や株価、住宅情報に飲食店の口コミなど、このような情報が一度に閲覧できるポータルサイトは、今や我々の生活には欠かせない存在となっています。

 この記事では、例に挙げたようなポータルサイトを作る場合にはどのようなメリットがあり、どのような手順を踏む必要があるのか、ポータルサイトの基本から実際の制作手順を解説します。

ポータルサイトとは

ポータルサイトとは、「さまざまなコンテンツへの入口となるWebサイト」のことを指します。ポータル(Portal)には、玄関や入口といった意味があります。日本では、Yahoo! JAPANが代表的な例でしょう。

玄関口には各種コンテンツへの導線や検索機能などが用意されており、そこからニュースや天気予報など、さまざまな情報にアクセスできるようになっています。

ポータルサイトを開発するメリット

ポータルサイトの開発には、どんなメリットがあるのでしょうか。ここでは、利用者側のメリットと、提供側のメリットに分けて解説します。

利用者のメリット

利用者のメリットとして、求めている情報を容易に探せる点が挙げられます。インターネット上のさまざまな場所にある情報に簡単にたどり着ける上、情報を1箇所で見られるためです。

また、ポータルサイトの性質によって変わりますが、天気予報やニュースなど、生活に役立つ情報が見られるというのも大きな魅力です。

提供側のメリット

提供側がポータルサイトを作るメリットの一つに、たくさんの顧客にアプローチできることが挙げられます。企業の情報などを発信するコーポレートサイトでは、接点を作るのが難しいユーザーとの接点を得られ、サイトのアクセス数やPV数が増えるなどたくさんの顧客にアプローチできるのです。

また、アクセス数の多いサイトに成長すれば、企業の認知拡大が期待でき、自社のサービスの利用者が増えるきっかけにもなります。

さらに、広告枠を設けて収益を得られるため、収入源にもなるでしょう。

ポータルサイトの主な種類と特徴

ポータルサイトにはさまざまな種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。ここでは、5種類のポータルサイトを紹介します。

・総合型ポータルサイト

総合型ポータルサイトとは、話題のニュースや天気など、生活する上で役立つ情報が総合的にまとめられているサイトで、代表例として「Yahoo!JAPAN」が挙げられます。ただ、この総合型は運用費用が莫大になるため、最近では後述する専門分野に特化したものが増えてきています。

・検索型ポータルサイト

検索型ポータルサイトとは、検索エンジンに特化したサイトを指します。検索エンジンや交通情報や天気予報などのリンク集など、さまざまなコンテンツとサービスを提供するサイトで、代表例は「Google検索エンジン」です。総合型ポータルサイトとは異なり、あくまで検索エンジンがメインで、他の自社サービスも併せて提供しています。

・専門型ポータルサイト

専門型ポータルサイトとは、グルメや美容など、何か一つの分野に特化した情報が掲載されているサイトを指します。テーマが絞り込まれているためWeb集客がしやすく、SEOの効果を発揮できます。ただし、情報が膨大になるため、検索窓が必要になる傾向です。

代表例には「SUUMO」が挙げられます。不動産に特化したポータルサイトで、住まい探しをしているユーザー向けのサイトです。

・口コミ型ポータルサイト

口コミ型ポータルサイトとは、ユーザーが店舗や商品に対する口コミを投稿できるサイトを指します。代表例は「食べログ」です。飲食店の検索や口コミのチェックの他、予約などが行えます。

・社内ポータルサイト

社内ポータルサイトとは、企業の情報をまとめ、社内向けに公開しているサイトです。

他のポータルサイトとは大きく異なり、社内の情報伝達や情報共有などを目的に運営されています。一般公開はされておらず、その企業の従業員か関係者しかアクセスできません。

ポータルサイトを開発する際に必要な機能

ここでは、ポータルサイトを開発するにあたって必要な機能を、ユーザー側・管理側に分けて解説します。

まず、ユーザー側で最低限必要な機能は以下の3つです。大手の大規模サイトに限らず、多くのポータルサイトが採用しています。

・会員登録機能

会員登録機能を搭載することで、会員と非会員で区別して異なるサービスの提供が可能になります。

・ログイン機能

ログイン機能は、本人かどうかを確認するための重要な役割を担っています。会員登録時に入力した個人情報を守るためにID・パスワードを設定します。

・会員情報変更/退会機能

ログイン機能が利用できるほとんどの会員制サイトに搭載されているのが、会員情報の変更や大会に関する機能です。

続いて管理側で必要となる機能には、以下のようなものが挙げられます。

・カテゴリ機能

多くの情報を扱うポータルサイトでは、ユーザーが探しやすいよう情報をカテゴリ別に整理しているのが一般的です。

・クーポン機能

サロンや飲食店などを取り扱っているポータルサイトでは、クーポン機能が付いていることが多くあります。クーポンをつけることで付加価値を高め、ユーザーの定着や新たなユーザーを増やすのが狙いです。

・掲示板機能

ユーザー同士でコミュニケーションをとれる機能です。運営側はユーザー同士のコミュニケーションを、マーケティングの一環としてウォッチできます。

この他にもカート機能やメッセージ機能など、ポータルサイトの性質によってさまざまな機能があります。

ポータルサイト開発の流れ

実際にポータルサイトを開発するにはどのような準備が必要なのでしょうか。ここでは、制作を外注することを前提に、事前準備から制作会社が担う部分の流れについて解説します。

なお、外注先の企業を選ぶときのポイントについては、こちらの記事で詳しくご紹介していますので、あわせてチェックしておいてください。

注意すべきポイントも解説!アプリ制作会社の選び方とは

事前準備:要件定義

要件定義とは、発注側の要望とその要望をどのようにして実現するのかを文書でまとめたものです。その後の制作フロー全体に影響を与えるため、ポータルサイト構築で重要なステップといえます。

ポータルサイトの種類や規模はさまざまです。「どのようなポータルサイトを作りたいのか」「どのような機能を実装するか」など、ポータルサイトの仕上がりを具体的に想像しながら、必要な機能や要件を要件定義としてまとめます。

「要件定義書」は制作会社が作りますが、発注側が実現したいことを整理・把握していないとトラブルの原因になってしまいます。納得いくまで制作会社と話し合いをしましょう。

事前準備&制作会社:構成作成

要件定義ができたら、その要件をもとにポータルサイトの構成(設計図)を作ります。いわゆるワイヤーフレームの作成で、具体的にどのコンテンツをどこに配置するかを決めましょう。

簡単なもので問題ないため、発注側でも用意しておくと制作会社とのイメージの共有がしやすくなります。

制作会社:デザインの作成

構成案・フレームワークをもとに、実際のページデザインを作成します。デザイン自体は一般的なWebサイトと大きな違いはありませんが、ポータルサイトでは情報量が多くなるため、見やすさよりも使いやすさを優先したデザインになることが多い傾向です。デザインは、シンプルでどこに何があるかが誰にでもわかるものが良いでしょう。

制作会社:コーディング

設計図やデザインをもとに、Webで各ページを表示できるようコーディングしていきます。コーディングとは、プログラミング言語を使ってコードを記述することです。

この段階になってから要件やデザインの修正をすると、「構成作成」まで手戻りが生じます。予算の超過に直結するため、どれだけ遅くなったとしても、要件の修正・変更は「構成作成」まで、デザインの修正・変更は「デザイン作成」までにすることが重要です。

制作会社:システム構築

コーディングと並行して行われるのが、システム構築です。

ユーザーの目に触れる部分をフロントエンドと呼ぶのに対し、データベースやサーバーなど、ユーザーの目に触れない部分をバックエンドと呼び、それらを構築することをバックエンド構築と呼びます。

制作会社:運営者・掲載企業の管理画面構築

ポータルサイトでは、ユーザーが使用するフロントエンドの他、運営者や掲載企業がコンテンツを管理するための「管理画面」が必要になります。

管理画面は、何よりもUX(インターエクスペリエンス)やUI(ユーザーインターフェース)を意識した使い勝手のいいデザインを採用することが大切です。具体的には、入力フォームの手順をスムーズにしたり、デザインやレイアウトを見やすくしたりなどです。

なお、UXとはユーザーがサービスや商品を通して得られる体験(エクスペリエンス)をいいます。UIとは、UXに含まれる概念でユーザーとサービス・商品との接点(インターフェース)を意味します。

制作会社:コンテンツの作成

ポータルサイトをローンチした時点で十分な量のコンテンツが用意されているのが理想です。「構成作成」時点で、掲載するコンテンツの制作に取り掛かると良いでしょう。

ポータルサイトの製作費とは?

ポータルサイトでは誰でも閲覧できるメインページの他に、ユーザー/掲載企業/運営者のために三つの管理画面を開発する必要があります。

それぞれの管理画面にどんな機能を設けるかなどによっても費用が大きく変わりますが、一般的な制作費の相場としてはシンプルなものであれば150万〜300万円程度が相場です。もちろん機能を作り込むなどすれば費用はさらに増えます。

また、完成後も運用や保守を依頼する場合には毎月費用が発生します。社内にエンジニアがいないのであれば開発をしてくれた会社に依頼した方が良いでしょう。

料金・費用はサポート内容によって大きく変わりますが、開発費の10%〜15%程度が相場です。その他、サーバー・ドメイン・SSLなどの費用もかかります。

事前に運用・保守を依頼するといくらくらい費用がかかるか、サーバー代などの実費でかかる費用はいくらくらいか確認しておきましょう。

アプリ開発の費用についてはこちらの記事でも解説しています。

【相場】モバイルアプリの開発費用はいくら?開発費を抑える方法も紹介

ポータルサイトは開発してからが重要

ポータルサイトは開発が終われば良いというわけではありません。開発がおわった時点がスタートであり、その後どのように運用していくかが重要なのです。ここでは、特に重要な2点について解説します。

どのように集客するか

新規ユーザーの獲得には、SNSの運用やリスティング広告などのWeb広告、コンテンツマーケティングを行う必要があります。事前の企画段階ではポータルサイトをどう作るかだけでなく、どう集客を行っていくかなどについても考えておくべきです。どのタイミングで、どのような施策を、どれくらいの予算と時間をかけて行うべきか、事業計画に合わせて計画します。

ユーザーがポータルサイトに集まりはじめ、アクセスデータがそろった段階でWebサイトの分析を行いましょう。ユーザーが実際にはどのようなコンテンツを見ているのか、どのコンテンツに興味があるのかなど、分析と改善を繰り返し行いながら、アクセスしてくれたユーザーの満足度を高めていきます。その結果が、お問い合わせや商品購入といった目的達成につながっていくのです。

情報を更新し続ける

ポータルサイトに限らず、Webサイトは作った後の情報更新が非常に大切です。

特にポータルサイトはさまざまな情報が集まってくるWebサイトであるため、通常のWebサイト以上に日々の更新・運用が重要になります。より多くのユーザーに利用してもらうためには、継続的な情報の発信が必須といえるでしょう。

このほかにも、使い続けられるサービスとなるためにはサービスデザインの視点も重要となります。こちらの記事では、継続して利用されるサービスとなるために重要なポイントをまとめています。アプリをメインとして記事ですが、Webサービス全般にも通じる内容を解説していますので、ぜひご覧ください。

サービスデザインとは?顧客理解とサービス理解で「選ばれ続けるアプリ」を開発しよう

まとめ

ポータルサイトの運営には、利用者側・運営側それぞれに異なるメリットがあります。

利用者側ではニーズに合った情報を探しやすく、インターネット上のさまざまな場所にある情報に簡単にアクセスできる点、情報を1箇所で見られる点が挙げられるでしょう。運営側ではたくさんの顧客にアプローチでき、広告枠を設けることで広告収入が期待できます。

ポータルサイトの開発で一番大事なのは事前準備です。ポータルサイトの種類や規模はさまざまで、決めるべきことはたくさんあります。それらを一つひとつ熟考し、自分たちが作りたいポータルサイトのビジョンを明確にする必要があるのです。

どのWebサイトにもいえることですが、ポータルサイトは作っておわりではありません。完成後は常にアンテナを張り、新鮮な情報を提供し続けることが大切です。ユーザーの「知りたい」という気持ちを満足させ、ポータルサイトの運営を成功させましょう。

ポータルサイト・ポータルアプリ開発において知っておくべきポイントについて、こちらの記事に詳しくまとめています。ぜひチェックしてみてください。

【モバイルアプリ開発のはじめかた】開発の流れや外注の方法を解説

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