アプリ開発で収益を得るための「たった6つの手法」とは?
スマホやタブレットが普及した現代では、さまざまな場面でアプリを利用した生活様式が当たり前になりつつあります。今日展開されているアプリの種類も豊富で、日々新しいアプリが市場に出回ることで競争は激化の一途を辿り、開発した自社アプリから収益を生むことは非常に難しくなっています。
では一体、どのような施策を行えば自社開発のアプリから収益を生み出すことができるのでしょうか。弊社ではこれまでスタートアップから大手企業のアプリまで様々なアプリを開発してきましたが、この経験からアプリの収益化には以下の6つのメジャーな手法があると考えています。
◆アプリ収益化の6つのメジャーな手法
① 自社商品・サービスの利用につなげる
② 有料アプリとして販売
③ アプリ内広告の掲載
④ フリーミアムの導入
⑤ アプリ内課金
⑥ サブスクリプションの導入
今回の記事では、アプリで収益を生み出す方法と収益を増やすためのポイントについてご紹介します。
アプリで収益を獲得するメジャーな手法を6つ紹介
◆アプリ収益化のための6つの手法
アプリを開発してストアにリリースしただけでは収益になりません。収益を獲得するために必要となる、ユーザー数を増やす6つの手法について紹介します。
収益化手法①自社商品・サービスの利用につなげる
まずは、自社のメインサービスの「販促」のためにアプリを活用する方法です。例えばポイントカード機能や、クーポンなどのキャンペーンの告知によって店舗への来店を促し、収益を上げるといったものです。
顧客にアプリをインストールしたいと感じてもらうには、アプリを通じてより自店の商品やサービスをよりお得に利用できたり、新商品やキャンペーンの情報に気づきやすくなったりするようなメリットを感じてもらうことが大切です。
自社サービスの販促をアプリでおこなうメリットは「プッシュ通知でお得なクーポンなどを配信できる」「アプリ上でポイントカードを管理できる」「販促効果の反響を分析できる」などです。お買い物やサービスがお得になるクーポンが配信されれば、顧客心理としては次に向かう店舗の上位候補となり得ます。一方、プッシュ通知の配信頻度が高すぎると顧客が不満を抱き、ユーザー離れ(アンインストール)しやすい、アプリ開発や運用にコストが発生するなどのデメリットもあります。
◆事例:スターバックスアプリ
スターバックスでは、モバイルアプリを活用し、ポイントカード機能やクーポン配信で顧客を店舗に誘導しています。アプリを通じて購入ごとにポイントが貯まり、特典が受けられる仕組みでリピートを促進しています。また、プッシュ通知で新商品やキャンペーン情報を提供し、データ分析を基に個別にマーケティングを展開しています。これにより顧客体験を向上させつつ収益を増加させていますが、通知の頻度や運用コストには注意が必要です。
収益化手法②有料アプリとして販売
有料アプリはアプリ自体を販売し、収益を生む方法です。「買い切りアプリ」と呼ばれることもあり、ユーザーアプリをダウンロードすると収益が発生し、アプリ開発者には収益の約7割が分配されます。有料アプリの種類は2つあり、「ダウンロード自体が有料で、アプリ課金も必要」「利用する機能に応じて課金が必要なアプリ」があります。アプリ開発・制作には当然コストが発生するため、ユーザーのアプリ購入を通じて制作費を回収するのが狙いです。
メリットは、販売目標が立てやすく、目標達成に向けたPDCAを回しやすい点です。なお、有料アプリの値段は自由に設定できますが、類似アプリの相場も考慮しながら金額設定を行いましょう。
◆事例:Minecraftアプリ
Minecraftは有料アプリの成功事例です。ゲームの買い切り形式で販売され、ユーザーはダウンロード時に料金を支払います。購入後は、無限に続くブロックの箱庭世界で自由に建設や探検が楽しめるため、多くのユーザーが魅了されました。ゲーム自体の魅力が強力なため、追加課金なしでユーザーが満足できる仕組みが特徴です。販売数に応じた収益が得られ、アプリ開発費を回収しつつ、安定した収益源となっています。
収益化手法③アプリ内広告の掲載
アプリの中に表示される広告で収益を得るのが広告収益です。広告の場合、広告を出す企業側が費用を支払うため、ユーザーからお金をもらわずともマネタイズが可能となります。広告収益は、広告のクリック数や表示回数に応じて設定されており、アプリの開発者へ支払われる仕組みです。
広告の形式にも種類があり、「バナー広告やネイティブ広告」「動画リワード広告」「プレイアブル広告」などがあります。
広告収益を狙う場合、多くのユーザーの目に留まりやすい場所・タイミングで広告を表示させる工夫が必要となります。しかし、過度な広告表示はユーザーの体験を損なう可能性があるため、バランスには注意しましょう。
また、アプリ内広告はユーザー1人あたりの広告収益が少ないため、一定の収益を得るにはそれなりのユーザー数を獲得する必要があります。
◆事例:LINEマンガアプリ
LINEマンガはアプリ内広告で収益を上げている成功事例です。ユーザーは無料で漫画を読むことができますが、次のエピソードを読む際に動画広告を見ることで、無料チケットがもらえる仕組みです。この「動画リワード広告」は、ユーザーにとって負担が少なく、視聴後に報酬が得られるため広告が受け入れられやすい形式です。多くのユーザーがアプリを利用するため、広告表示による収益が安定しており、広告収入がアプリの運営資金の一部になっています。
収益化手法④フリーミアムの導入
フリーミアムは、基本的な機能を無料、一部の機能は有料で提供し、有料となっている部分から収益を得る手段です。ユーザーは、アプリのダウンロードや使用時に支払いが発生しません。フリーミアムの例として「Chatwork」「Dropbox」などがあり、初動から多くのユーザーを獲得しやすく、収益化(利益)につながりやすいとして注目されています。
フリーミアムの収益モデルは主に4種類あり、「機能制限型」「容量追加型」「会員限定型」「都度課金型」があります。
フリーミアムは1つのアプリに複数のモデルを組み合わせるのが一般的です。機能追加型は最も一般的なモデルで、課金をすると機能が解放されます。この際、有料機能の体験期間を設けると課金してもらえる確率が上がります。フリーミアムのメリットは「ユーザーにお金を払ってもらいやすい」「アプリの認知を拡大しやすい」「サービス改善につながるフィードバックを得やすい」などです。ただし、アプリのリリースからすぐに収益化することは難しいため、しっかりと戦略を練っていく必要があります。
◆事例:Spotifyアプリ
Spotifyは、フリーミアムモデルを採用した音楽ストリーミングサービスです。無料プランでは広告が表示され、音質やスキップ回数に制限がある「機能制限型」を採用していますが、ユーザーは気軽に利用できます。有料のプレミアムプランでは広告なし、オフライン再生、音質向上などの機能が提供され、無料体験期間も設けています。これにより、多くの無料ユーザーを獲得しつつ、有料プランへのアップグレードを促し、収益を安定させています。
収益化手法⑤アプリ内課金
アプリ内課金は、アプリ内部で課金してもらうことで収益を得る方法です。無料でも充分満足できるものの、より満足してもらえるコンテンツや機能を有料にすることで収益化を図るのです。主にカメラアプリやゲーム、漫画などで普及しています。アプリ内課金が発生するアプリの場合、App StroreやGooglePlayなどのストアで「App内課金」と表示されます。
有料アプリは料金を支払わないとアプリそのものが利用できませんが、アプリ内課金の場合はアプリが有料・無料であるかによらずアプリを使用する過程でコンテンツやオプションを購入します。
アプリ内課金にも種類があり、「消耗型課金」「非消耗型(買い切り型)」「期間限定サービス課金」などです。また、定額課金をするサブスクリプションもアプリ内課金に含まれます。
収益を得る方法として、「ユーザーの獲得→アプリダウンロード→アプリ内課金」というようなステップが必要のため、時間がかかります。したがって、アプリの運用にコストと人員を割ける企業に適しているといえます。
◆事例:Teachアプリ
弊社開発のTeachは、アプリ内課金を採用した家庭教師マッチングアプリです。ユーザーは無料でアプリを利用し、教師の検索や基本的なメッセージ機能が使えます。一方で、単発のオンライン授業を有料で提供する「非消耗型(買い切り型)」モデルを採用しています。複雑な手続き不要かつ自宅にてオンライン授業予定が組めるため、ユーザーに利便性を提供しながら収益を上げています。
収益化手法⑥サブスクリプションの導入
サブスクリプション(サブスク)は、定額の費用を払うことでサービスを一定期間内利用できることを保証する収益モデルです。例えば、「Netflix」や「Spotify」などの音楽や動画配信の定額サービスが挙げられます。本来は年間購読や予約購読の意味でしたが、時代の変化に伴って定額制サービスとして位置づけられています。サブスクリプション型で提供するメリットは、継続して安定的な売上を確保できる点です。ファッションや食品、日用品のサブスクリプションもあり、さまざまな分野で注目されています。
サブスクリプションの導入で収益を得る際は、トライアル期間として数週間無料でサービスを提供し、そのまま課金に移行する形式が一般的です。
サブスクリプションで安定した収益を持続的に得るためには、既存ユーザーの離脱率を抑えつつ新規ユーザーを獲得する必要があります。サブスクリプションはユーザーのデータを蓄積しやすいため、集計されたデータから顧客のニーズを読み解き、アプリの改善策を打ち出せます。
◆事例:BizBizアプリ
弊社運用中のBizBizは、サブスクリプションモデルを採用したビジネスマッチングアプリです。基本的な機能、例えばプロフィール作成や募集への参加は無料で利用可能ですが、高度なストーリー機能や個別メッセージなどのプレミアム機能は有料です。この「機能制限型」のモデルにより、多くのユーザーを無料で獲得しながら、必要に応じてプレミアムサービスへのアップグレードを促しています。これにより、利用者はまずアプリを無料で体験し、価値を感じた場合に有料サービスへ移行することができ、収益確保に繋がる仕組みとなっています。
アプリ収益化成功のカギは短期間での開発コスト回収
アプリ開発には人やお金、時間など多くのリソース(資源)を要します。そのため、開発にかかったコストをいかに短期間で回収し、アプリを通じて利益化(マネタイズ)を成功させるかが重要となるのです。
マネタイズ方法には種類があり、どの方法が最適であるかはアプリの機能、ユーザー特性、アプリ事業者の要素が複合的に関係します。現行の多くのアプリでは定期的に複数の方法で反響を分析し、より良い方法を模索しているのが現状です。
ちなみに、マネタイズ戦略をまとめるにあたって企画書に落とし込む必要があります。企画書作りにはいくつか重要なポイントがありますので、本記事をご覧になった後にこちらもぜひ参考にしてください。
【動画解説】アプリ開発の企画書の作り方・ポイント12選を紹介!
アプリの収益化でやってはいけない5つの失敗例
アプリ開発会社が収益化に失敗しやすいポイントやNGな広告手法について、以下の5つを紹介します。
失敗例①ユーザー体験を犠牲にする過度な広告表示
収益獲得を急ぐあまり、過度に広告を表示することはよくある失敗の一つです。特にインタースティシャル広告(全画面広告)や動画広告を頻繁に表示すると、ユーザーがアプリを使うたびに中断を強いられ、結果として離脱率が高まります。広告はあくまでユーザー体験を壊さない範囲で配置する必要があります。広告の頻度やタイミングに注意し、ユーザーが広告を見ることを苦痛に感じないようにするのが重要です。
失敗例②課金ポイントが不明瞭、バランスが悪い
アプリ内課金モデルでは、課金要素の設定が非常に重要です。課金のタイミングや価格設定が不明瞭であったり、ユーザーが課金しないと先に進めないようなバランスの悪いデザインは、かえってユーザーの離脱を招きます。適切なバランスの取れた課金モデルを設計し、ユーザーにとって価値のある購入を提供することが、収益化の鍵となります。
失敗例③リテンション施策の不足
初回インストール後にアプリを利用し続けてもらうためのリテンション施策を怠ると、収益化が難しくなります。プッシュ通知やリワード制度、限定イベントなどでユーザーの興味を引き続けることが必要です。また、ユーザーの行動データを分析し、どのタイミングでユーザーがアプリを離れるかを把握し、その課題に応じた施策を実施することも大切です。長期的な利用者を増やすことで、持続的な収益が見込めます。
失敗例④明確なターゲットユーザーの不在
アプリのターゲット層を明確にせず、あらゆるユーザーにアピールしようとすると、結果として誰にも響かないアプリになりがちです。収益化を目指す上で、ターゲットユーザーを明確にし、そのユーザーに適したコンテンツや広告を提供することが重要です。特定のユーザー層に焦点を当てた広告キャンペーンを実施し、ニーズに合った体験を提供することで、収益の向上が期待できます。
失敗例⑤不適切な広告プラットフォーム選び
広告を出す際、プラットフォーム選びを誤ると、期待していた効果が得られないことがあります。特に、ターゲットユーザーがあまり利用しないプラットフォームでの広告出稿は、無駄なコストがかかるだけでなく、アプリの認知度やインストール数も伸び悩むことが多いです。効果的な広告配信には、ターゲットユーザーがよく利用するプラットフォームを選び、その上で適切な広告形式を選ぶことが必要です。
アプリ開発において収益化は非常に重要ですが、過度な広告や不適切な課金モデル、ユーザーリテンション施策の不足、ターゲットユーザーを明確にしない戦略、不適切な広告プラットフォームの選択といったポイントは、失敗を招きやすいです。ユーザーの体験を第一に考え、適切な収益化戦略を練ることが成功への鍵となります。
アプリは開発会社に依頼した方が収益化しやすい5つの理由
「アプリは開発会社に依頼した方が収益化に成功しやすい?」というテーマで、アプリ開発会社に発注するメリットを解説します。以下の5つの理由に焦点を当て、なぜ開発会社に依頼することで収益化が成功しやすくなるのかを説明します。
理由①プロフェッショナルな技術力で高品質なアプリを実現
アプリの収益化において、ユーザーに長く使ってもらうことが鍵となります。そのためには、まずアプリの品質が重要です。開発会社に依頼することで、ユーザー体験を最優先に考えた高品質なアプリを提供することが可能です。例えば、UI/UXのデザインからバックエンドの構築まで、各分野に精通したプロフェッショナルがチームとして協力し、ユーザーが直感的に使いやすく、機能的でエラーの少ないアプリを提供します。
独自に開発を進める場合、技術力が不足していると、アプリが動作不安定になり、ユーザーが離れてしまうリスクがあります。開発会社なら、トレンドを把握し、最適な技術やプラットフォームを使用してアプリを開発できるため、収益化に向けた強力な基盤を構築できます。
理由②収益化モデルの豊富な経験と知識
収益化を成功させるには、アプリのターゲットや用途に合った収益化モデルを選定する必要があります。開発会社は、様々なプロジェクトでの経験を活かし、最も効果的な収益化戦略を提案できます。例えば、アプリ内課金やサブスクリプションモデル、広告表示のタイミングや種類など、ユーザーが快適に利用しつつ、自然に収益を得るための仕組みを作り上げます。
開発会社に依頼することで、どの収益化手法がターゲットユーザーに適しているか、またどのように最適化するかを的確に判断してもらえるため、自社で模索するよりも早期に収益を最大化することが可能です。
理由③テストと最適化に対応した体制
アプリのリリース後、最初のリリースで完璧な結果を得るのは難しいため、運用中のフィードバックやデータに基づき、アプリを最適化していく必要があります。開発会社は、運用後の改善に対応できる体制が整っており、リリース後のバグ修正や機能改善、ユーザーの利用データ分析など、継続的なサポートを提供します。
特に、収益化モデルの調整や広告の最適化、ユーザーの行動パターンに応じた更新は、専門知識が求められます。開発会社なら、データに基づいた迅速な対応が可能で、アプリのパフォーマンス向上と収益性の維持に貢献します。
理由④最新のマーケティングノウハウを活用
アプリをリリースしても、ただ市場に出すだけではユーザーに見つけてもらえません。効果的なマーケティングが不可欠です。開発会社は、アプリストアでの最適化(ASO)やSNSを活用した広告戦略、インフルエンサーとの提携など、最新のマーケティングノウハウを活用して、アプリの認知度を向上させる施策を提供します。
また、アプリのターゲット層にリーチするための広告運用にも経験があり、最小限のコストで最大限の成果を得るための手法を提供できます。マーケティングに精通している開発会社なら、アプリの認知度を効果的に向上させ、インストール数の増加と収益化を促進します。
理由⑤コスト削減と効率的な開発が可能
一見すると、アプリ開発会社に依頼するのはコストが高いと感じるかもしれません。しかし、独自に開発チームを編成し、技術やデザイン、マーケティングまでを一手に引き受ける場合、時間やコストが膨らむリスクがあります。開発会社は、効率的なプロジェクト管理や開発プロセスを熟知しているため、短期間での開発が可能です。
さらに、既存のフレームワークやライブラリを効果的に利用することで、無駄な開発コストを削減できます。開発会社に依頼することで、初期投資はかかるものの、長期的に見ればコスト効率の良い開発が実現します。
アプリの収益化を成功させるためには、技術力、経験、マーケティングノウハウ、最適化スキルなど、さまざまな要素が必要です。これらを効果的に組み合わせるためには、プロフェッショナルな開発会社に依頼することが最も効率的です。専門家のサポートを受けることで、高品質なアプリを作り上げ、収益化をスムーズに実現することができるでしょう。
アプリの収益化に向けておさえておきたいKPI3つ
アプリが収益を生み出すために重要なのがKPIの設定です。KPIは、重要業績評価指標と言い、目標の達成度を把握して評価するものです。適切なKPIを設定することで、アプリが目指すべき方向性や改善点が分かりやすくなります。
ここでは、収益を生み出すために着目すべき3つの指標についてご紹介します。
KPI①新規ダウンロード数
アプリを開発したときにまず考える指標として、アプリの新規ダウンロード数があります。これは、新規のユーザーをどれだけ獲得できたかを把握するためには重要となる指標です。しかし、新規ダウンロード数を指標にしたからといって、直接アプリの収益に繋がるわけではありません(有料アプリの場合は除きます)。
新規ダウンロード数はあくまでアプリの成果の1つに過ぎず、ダウンロードしたユーザーがアプリを利用し、満足感を得て課金してもらうことで初めて収益に繋がります。そのため、次で説明する「アクティブユーザー」などの指標と併せて管理することが重要です。
KPI②アクティブユーザー数
アクティブユーザーは、アプリをダウンロードし実際に利用しているユーザーを指します。
アクティブユーザーがほとんどいない場合、新規ダウンロード数が多いアプリでも収益を生み出すことはできません。そのため、アクティブユーザーの存在は、アプリの売上を創出する大切な存在なのです。
アクティブユーザー数は、ユーザーが日間(DAU:Daily Active Users)・週間(WAU:Weekly Active Users)・月間(MAU:Monthly Active Users)などで区切られた時間軸の中で、企業が定めた行動を目標の回数行っているかどうかで定義します。
KPI③継続率
アプリをユーザーがどれほどの期間利用しているかは、アプリの継続率で計測します。別名「リテンション率」と呼ばれ、継続率を把握するためにはリテンション分析を実施します。
リテンション分析は、継続顧客数を新規顧客数で割ることで求められ、1ヶ月、2ヶ月と定期的に分析することで何割の顧客が離脱せずに残っているかが分かるものです。
リテンション分析を行うメリットとしては、ユーザーの獲得にかかるコストを最適化できる点が挙げられます。獲得にかかるコストを導き出すには、施策にかかったコストとダウンロード数を割ります。
しかし、ダウンロードの多寡だけでは本当の施策の効果を知ることはできません。ユーザー継続率も併せて定量的に見ておくことで、施策がアプリの収益化に貢献しているかどうかが分かります。継続率の視点が欠落していると、施策のコスパだけで評価してしまい、損失のある施策を高評価してしまったり、収益貢献度の高い施策を低評価してしまったりする恐れがあるので注意しましょう。
また、アプリのさらなる改善を行う際にも継続率は役立つ指標です。アプリを改善してアクティブユーザーが増加したかどうか確認をしたい場合、指標をアクティブユーザー数に置いても把握することができません。理由は、曜日や展開したキャンペーンなどの外的な要因でアプリのアクティブユーザー数は常に変動しており、しっかりと把握することができないためです。
一方、継続率も併せて見ておくことで、改善によってユーザーが定着したかどうかが分かり、改善内容の適正な評価が行えます。
アプリの収益を伸ばすためにやるべき3つの施策
ここでは収益を増加させる施策として3つご紹介します。
施策①ASO対策
ユーザーにアプリの存在を認知してもらえなければダウンロード数は向上しません。また、近年は多くのアプリが市場に出回り、日々競争が激化している現状です。そのため、検索で上位に表示されないとユーザー認知を拡大させることができません。そこで行うのがASO対策です。
ASOとは、自社で開発したアプリをアプリストアの検索上位に表示させることで認知を高め、ユーザーにダウンロードを促す手法です。
ユーザー認知を拡大させるASOは、主に2つの施策を行います。
1つ目はSEOです。SEOは、アプリストアの検索エンジンで上位表示することを目的とした施策です。アプリの説明文やタイトルを最適化することで検索上位を狙います。SEO施策を評価する指標としては、インプレッション数やアプリのクリック率が挙げられます。
2つ目はCROです。CROはダウンロード率を高めるための施策で、魅力的な紹介文やスクリーンショットを掲載できるかが重要なポイントです。
施策②継続率の向上
リテンションレートが低いとアプリの質に不満を感じているユーザーが多く、離脱率も高い状態になってしまいます。要因としては、満足できる顧客体験を提供できなかったことや、継続して利用する価値をユーザーに感じてもらうことができなかったなどが挙げられます。
そこで、リテンションレートを効率的に向上させるには、「カスタマーエンゲージメント」を意識した施策を打ち出しましょう。カスタマーエンゲージメントは企業と顧客の信頼関係を表す言葉で、カスタマーエンゲージメントが高いほどユーザーはアプリに愛着を持ってくれているということになります。そして、ユーザーの行動ごとに最適な顧客体験をすることでカスタマーエンゲージメントは向上できます。
獲得した新規顧客のリテンションレートを高めるには、分かりやすいチュートリアルの実装を行いましょう。アプリをダウンロードしても使い方が分からなければ、離脱率も上がってしまいます。しかし、初回にチュートリアルを設けることで、操作方法やアプリの価値を的確にユーザーへ届けられます。
ユーザーをアクティブに保つためにプッシュ通知が効果的な手段としておすすめです。しかし、乱用すると逆効果になるため、ユーザーの行動データに基づいたパーソナライズされた通知が重要です。特定の行動やタイミングに合わせてプッシュ通知を送ることで、リテンションレートが向上し、収益につながります。
施策③プロモーションの実施
プロモーションは、アプリをダウンロードさせる決断を促すもので、主な手法としてWebサイトの展開やインフルエンサーの起用などがあります。
Webサイトの場合、アプリの開発企業に関する情報が掲載できるため信頼を得やすく、アプリの安全性を気にするユーザーにとってWebサイトの存在は1つの判断材料になります。より信頼性を高めるには、自社のHPの目に留まりやすい場所にアプリの紹介文を載せるのがおすすめです。
インフルエンサーの起用では、アプリのターゲットからの認知度が高いYouTuberや業界で影響力を持つ人物にアプリを利用し、その様子や感想を公開してもらう手法です。しっかりとターゲット層を意識してインフルエンサーを起用できれば、効果的にユーザーを獲得できます。
ただし、プロモーションを行うには注意点があります。プロモーションの実施はリリース直後のタイミングは適切ではありません。その理由は、リリース直後のアプリは完成度が高いわけではなく、直後にプロモーションを展開して利用ユーザーが増えたとしても、アプリの不具合やUI/UXの未成熟さによってユーザーから低評価が付いてしまう恐れがあるためです。
プロモーションを行うのであれば、改善を何度か行い、完成度をある程度高められた段階で行うようにしましょう。
アプリ開発で収益を上げるために押さえておくべき3つのポイント
収益性の高いアプリを開発するためには、アプリの開発段階からリリース後にかけていくつもの戦略が必要です。開発時には次のような考え方を押さえておくと、収益性の高いアプリを開発できるでしょう。
ポイント①ターゲットを明確にする
アプリ開発は、まずアプリのターゲットユーザーを明確にすることから始まります。ターゲットがどのような人物(属性情報)か、悩みは何か、アプリを利用するタイミングなどを細かく定義します。ターゲット像が明確になることでニーズを見極めやすくなり、アプリにどのような機能やコンテンツを取り入れればよいかを整理しやすくなります。リリース後の初期の見込み顧客を想定し、ニーズに見合わない部分の開発コストを抑えられるでしょう。
一方、ターゲットを明確にせず、誰もが使えるアプリを目指すことは、収益が見込みにくいため注意が必要です。
ポイント②ターゲットユーザーのニーズを満たす
次は、ユーザーのニーズを満たす機能やコンテンツを選択します。アプリ開発者側の視点では、どうしても「ユーザーにどのような行動を取ってほしいか」に意識が向いてしまいます。しかし、アプリ開発はユーザーにメリットがあり、ニーズを満たすアプリであることが重要です。ターゲットとニーズをじっくり検討することで、質の高いアプリのコンセプトがまとまります。
また、アプリ開発を外注する場合、発注側と受注側で齟齬が発生しないよう詳細な打ち合わせが必要な点にも配慮しましょう。
アプリの収益性を高めるための開発手法として、ユーザーのニーズや市場の変化に柔軟に対応できるアジャイル開発の親和性が高いです。アジャイル開発では、段階的に機能を実装し、リリース前に市場のフィードバックを迅速に反映できます。開発の初期段階でプロトタイプを作成し、ユーザーの意見を取り入れることで、無駄な機能やコストを抑えつつ、ユーザーのニーズに合ったアプリを開発できます。
ポイント③LTVをもとに戦略を練る
LTV(Life Time Value)とは「顧客生涯価値」と訳され、1人の顧客(ユーザー)がどの位の金額を使うかを示す指標です。一度限りの使用だけでなく、リピート分も含めた指標になります。LTVにはリピーターの数、商品やサービスの購入・利用総数、頻度、契約期間などが関係します。
既存顧客の維持にかかるコストを1とした場合、新規顧客の獲得には5のコストを要する(1:5の法則)といわれています。ビジネスでは、新規顧客よりも既存顧客(リピーター)がいかに長期間利益をもたらしてくれるかが重要になります。たとえ一度の利用額が小さくとも、長期的にみれば費用対効果は十分に見込めます。
LTVを高めるには顧客のリピート(再来店・再利用)を促すリマインドメールやレコメンド機能の活用、メールマガジンの配信などが有効です。他にもセット販売や関連商品をセールスし、単価を上げるなどの施策もあります。
リリース後はユーザー行動のデータ分析やA/Bテストを定期的に実施し、アプリの機能やUIを最適化することが重要です。データに基づいた改善で、LTVを向上させ、収益の最大化を行いましょう。
まとめ
今回の記事では、自社アプリで収益を生み出す方法と収益を増やすポイントについて紹介しました。
収益を生み出す方法はさまざまですが、企業の持つリソースに合ったものを選ぶことが大切です。また、収益をより多く生み出すためのポイントを押さえ、KPIによって改善を行いながらアプリの完成度および施策のコストパフォーマンスを高めていきましょう。
本記事でご紹介した内容のほかにも、自社アプリの開発を進めるにあたって知っておくべき知識がたくさんあります。アプリの種類から開発の流れ、費用、成功のポイントなどの基礎知識をこちらの記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
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