アプリ開発で起業する手順「売れるようにしてから作る」

こんにちは、株式会社Pentagon代表の山本です。私は、2018年にY Combinator(シリコンバレーに存在するアクセラレータープログラム)が主催するスタートアップスクールに参加しました。また、日本のスタートアップで、様々なアプリやWebサービスの立ち上げに関わってきました。この記事では、アプリを開発して、起業する際に気をつけるべきポイントについて解説します。

アプリを開発して起業する3つの手法とは?

プロダクトアウト

「プロダクトアウト」とは、商品やサービスを開発し、それを市場に提供することです。このアプローチでは、まず商品やサービスの開発・製造を行い、その後に顧客へ販売するという手法が取られます。

プロダクトアウトの特徴は、市場の需要や顧客のニーズを予測するよりも、自社のアイデアや能力に基づいて商品やサービスを生み出すことです。つまり、企業側が自社の考えや技術に基づいて商品やサービスを作り、それを市場に出して需要を喚起するのです。

しかし、プロダクトアウトの欠点としては、顧客のニーズを見落とす可能性があることが挙げられます。市場の需要や顧客の声を無視すると、商品やサービスが売れない可能性があるため、慎重な計画と市場調査が重要です。

マーケットイン

「マーケットイン」とは、既に市場に存在する類似の製品やサービスが存在する中で、競合他社と差別化するために、新たな付加価値やアイデアを提供することを目指す戦略です。

マーケットインの具体的な手法としては、市場調査を通じて消費者のニーズやトレンドを把握し、それに合わせた製品やサービスを開発・提供することが挙げられます。また、他社の製品やサービスをよく分析し、それらの弱点や不満点を見極め、自社の製品やサービスに取り入れることもあります。

売れるようにしてから作る

Y Combinatorで良くおすすめされる手法は「売れるようにしてから作る」です。この手法は、プロダクトやサービスを開発する前に市場の需要や反応を確認するためのアプローチです。

MVP(Minimum Viable Product)とは、最小限の機能や機能を備えたプロダクトのことで、試作品やプロトタイプとして開発されます。これを実際のユーザーや顧客に提供し、その反応やフィードバックを収集することで、需要や課題を把握することができます。

クラウドファンディングは、インターネット上でプロジェクトや製品の資金を集めるための仕組みです。事前に企画やプレゼンテーションを行い、支援者や投資家からの反応や支援の有無を確認することで、市場の需要や資金調達の可能性を見極めることができます。

また、スペックシート(Specification Sheet)を使用して、潜在的なクライアントや顧客からの意思確認や関心の反応を得ることも重要です。スペックシートには、製品やサービスの具体的な特徴や利点、価格などが記載されており、これを通じて顧客のニーズや要求を把握していきます。

その結果、企業やサービス提供者は、需要や市場の反応を事前に把握することができ、より効果的な戦略やビジネスモデルを構築することができます。

アプリ開発で起業して失敗しないための手順

アプリ開発は独自のアイデアを形にし、利益を出す手段として人気があります。しかし、アプリ開発で成功するには多くの課題があります。ここでは、アプリ開発で起業する手順と成功のポイントについて詳しく解説します。

技術リスクと市場リスクを把握する

プロダクトアウトには、作っても売れない可能性があるという市場リスクが存在します。一方、マーケットインでは、プロダクトを制作できるかという技術的なリスクが存在します。こうした技術的なリスクと市場的なリスクを把握し、リスクを下げる努力をするのがポイントとなります。

例えば、先述の通り、クラウドファンディングは、市場的なリスクを下げるために有効的な手法です。クラウドファンディングで資金が集まるということは、それだけニーズがあるという証拠になるからです。

ビジネスプランを作成する

アプリ開発で起業する際にまず考えるべきなのが、ビジネスモデルの選択と構築です。ビジネスモデルとは、どのように価値を提供し、どのように収益を得るかというビジネスのフレームワークのことを指します。

アプリビジネスでは、特に以下のようなビジネスモデルが一般的であります。

  1. 広告モデル
    アプリを無料で提供し、アプリ内に広告を表示することで収益を得る。
  2. フリーミアムモデル
    基本機能を無料で提供し、追加機能や拡張サービスを有料で提供することで収益を得る。
  3. 有料ダウンロードモデル
    アプリ自体を有料で提供し、ダウンロード数によって収益を得る。
  4. サブスクモデル
    月額利用料で有料機能やコンテンツを提供し収益を得る方法
  5. 手数料型モデル
    CtoCアプリなどでマッチングが成立した際に、手数料によって収益を得る方法

マネタイズ手法に関しては、YouTubeでも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

アプリのマネタイズ・収益化方法を紹介!アプリは◯◯で稼ぐのがおすすめ

アイデアを磨く

アプリ開発の成功には、オリジナルのアイデアが重要です。市場調査を行ってニーズを見つけ、それを満たすアプリのアイデアを考え出すことが重要です。アイデアが固まったら、開発、マーケティング、マネタイズなどのプランを企画書にまとめます。

資料・LP・プロトタイプだけでセールスする

ビジネスモデルやアイデアが固まると、すぐにアプリを作りたくなりがちですが、アプリを作らずにセールスをすることで「売れるようにしてから作る」を実施します。

アイデアが実現可能であることを示すため、簡単なプロトタイプを作ることが一般的です。これはPoCと呼ばれ、投資家に対する説明に役立つだけなく、今後の開発がスムーズになります。

「売れるようにしてから作る」という状況を作り出すために、まずは資料や簡単なプロトタイプだけでセールスをしてみることが重要です。PoCにより、市場的なリスクと技術的なリスクを低減させます。

クラウドファンディングを実施

toC向けのアプリであれば、クラウドファンディングは非常に有効な手法です。ニーズの検証ができるだけでなく、ファン獲得にも繋がります。アプリのリリース直後は、ダウンロード数が伸びずに苦戦することが多いですが、クラウドファンディングで初期のユーザーを確保することができます。

また、低リスクで資金調達をすることができるので、一石二鳥です。補助金や創業融資を活用して、資金に厚みを持たせるのも重要です。

MVP(Minimum Viable Product)開発

PoCからさらに発展させ、最小限の機能を持つ製品(MVP)を開発します。MVP(Minimum Viable Product)とは、「最小限の要素で成り立つ製品」のことを指します。ビジネスモデルの開発においては、この最小限の製品を作る段階が非常に重要になってきます。

MVPの定義と利点

【アプリ開発・MVP】アプリの機能を詰め込み過ぎていませんか?それ失敗する可能性が高いです

MVPとは「必要最低限の機能を持った製品」を作り、それを顧客に提供し、その反応を見て製品を改善していく手法のことを指します。MVPを作ることで、開発者は自分達が提供したい製品やサービスが市場にどのくらい受け入れられるかをミニマムなリソースで試すことができます。このようなアプローチにより、必要とされる機能とそうでない機能の見極めや、早期のフィードバックを得ることができ、全体の開発スピードを上げることができます。

さらに、顧客から得たフィードバックは、製品の改良とマーケティング戦略の策定にも活用できます。そのため、MVP開発は市場リサーチの一環だともいえるでしょう。

MVPの開発手法と成功事例

MVPの開発には、まず「必要最小限の機能」を定義します。具体的には、ターゲットとなる顧客が解決したい問題を明らかにし、その問題を解決するための一番シンプルな方式を立案します。

その後、この最小限の製品を作り、ターゲットとなる顧客に提供します。その際に収集したフィードバックを元に製品を改善していきます。また、一部の顧客が積極的に_product_ を使ってくれるようであれば、プロダクトをより広範囲に提供するよう拡大することも可能です。

MVPの開発と運用により成功を収めた事例としては、世界的な大手企業であるFacebookAmazonがあります。これらの企業は、初期の製品は必要最低限の機能しか持っていなかったものの、顧客からのフィードバックをもとに製品を改良し続け、全世界に広がる大企業へと成長しました。

アプリ開発での起業を成功させるためには、PoCとMVPの2つのステージを理解し、適切に活用することが重要です。PoCではアイデアや技術の妥当性を確認し、MVPでは最小限の製品を開発し市場での反応を確認します。これらを経て市場に適した製品を作り上げ、その後のビジネス展開に活かすことで、成功へと繋げることが可能となります。

マーケティング・販売

アプリをマーケットにリリースし、広告や推進活動を通じてユーザーに利用を促します。toC向けのアプリ開発では、SNS広告を使ったり、インフルエンサーマーケティングを実施するのが有効です。マーケティングにかける予算も事業計画に盛り込んでおくことが重要です。

フィードバックを得て改善

利用者からのフィードバックを活用し、アプリを改善することが重要です。アプリには、レビュー依頼を求めるポップアップを実装することで、アプリのレビューを集めましょう。多くのユーザーの声を集めることで、アプリの改善案を洗い出します。リリース直後はユーザー数が少ないため、アプリをインストールした実際のユーザーにインタビューを実施するのが有効的です。

アプリ起業で成功するためのポイント

ユーザー中心設計・優れたユーザー体験の提供

アプリの成功はその使用体験に大きく依存します。ユーザーのニーズと期待を満たすことが重要です。

市場調査とニーズの把握を終えたら、次に注目すべきはユーザーエクスペリエンスの提供です。アプリは多くの場合、ユーザーと最初に触れ合うポイントであり、ユーザー体験が素晴らしいものでなければ、ユーザーはすぐに別のアプリに乗り換えてしまいます。

まず、アプリは直感的に操作できるべきです。ユーザーは新しいアプリを学ぶために大量の時間を費やすことはできません。また、デザインは明確で、迷わずに目的地にたどり着けるようにすることが重要です。

次に、ユーザーのフィードバックから学ぶことが大切です。ユーザーからのフィードバックは、アプリを改善し、より良いユーザーエクスペリエンスを創出する上での貴重な情報源です。ユーザーから直接フィードバックを得るのは難しいかもしれませんが、レビューや投稿をチェックしたり、ユーザーテストを行うことで、彼らの意見や感想を理解することができます。

このように、アプリ開発で起業を成功させるためには、市場調査とニーズの把握、高品質なユーザーエクスペリエンスの提供が求められます。開発初期の段階からこれらの要素に注力し、アプリの品質を保つとともに市場とユーザーのニーズに対応していくことで、競争の激しいアプリ市場で成功をつかむことが可能になるでしょう。

差別化

市場には多くのアプリが溢れています。それゆえ、独自の機能やデザインで差別化を図ることが重要です。

「なぜユーザーがこのアプリをダウンロードする必要があるのか」価値が明確になるように差別化・ポジションを取ることが重要です。

継続的な改善

アプリは開発して終わりではありません。むしろ開発して公開から本当のスタートです。

技術の進歩とユーザーのニーズの変化に対応するため、アプリの改善は絶えず行わなければなりません。

強力なマーケティング

高品質なアプリを作っても、適切なマーケティングがなければ成功しません。ターゲットユーザーに到達し、関心を引き、利用を促す効果的なマーケティング戦略が必要です。

アプリ開発で起業することは挑戦的なプロジェクトですが、適切な計画で成功の可能性を高めることができます。これらの手順と成功のポイントを参考に、自身のアプリ開発を始めてみてください。

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