翻訳アプリの開発にかかる費用や期間は?外注の方法や開発のポイントを紹介
スマートフォンなどのアプリにはさまざまな種類があります。なかでも翻訳アプリは日本語を色々な国の言葉に訳したり、外国語を日本語に訳したりする機能を備えています。語学学習の一助として使うだけでなく、外国人と会話する機会に活用するなど海外旅行をする際にも一役買ってくれるアプリです。
現在では、新たな翻訳アプリを開発しようと検討している企業も少なくありません。そこでこの記事では翻訳アプリの開発にかかる費用や期間、翻訳アプリ開発を外注する方法などについて詳しくご紹介します。
翻訳アプリとは?
翻訳アプリとは言語の翻訳を主な機能として、備えているアプリケーションソフトの総称です。
Webアプリやデスクトップアプリではテキストを入力欄に入力して翻訳するという方式が主流になっています。文字を写真で写して翻訳する方式や音声を聞き取って翻訳する方式なども存在し、後者には会話を同時翻訳してくれるアプリもあります。翻訳アプリの代表的な例を以下でご紹介します。
主な翻訳アプリの例
翻訳アプリにはどのようなサービスがあるでしょうか。人気を集めている翻訳アプリの代表的な例を解説します。ちなみに記載の情報は2022年4月20日現在のものです。
・Google翻訳
Googleが提供する翻訳アプリです。無料で利用できるアプリで、103ヶ国語に対応しています。
テキストを入力して翻訳する以外にも、写真を読み取って翻訳したり、会話を同時翻訳できたりします。オフラインの状態でも使用できる点が特徴で通信環境の影響を受けません。翻訳の精度も高く、旅行先での使用や語学学習に役立てるなどの用途にも適しています。
・DeepL翻訳
ドイツの言語向けの人工知能システムを開発するDeepL社が提供する翻訳アプリで、対応する言語は12ヶ国語です。ディープラーニングを使った機械翻訳を行っている点が特徴で、非常に高い精度の翻訳で知られています。一度に5,000字までの翻訳ができる無料プランと、より多くの機能を使用できる有料プランに分かれています。
・VoiceTra
リアルタイムで会話をしながらの翻訳に特化した翻訳アプリで、対応する言語は31ヶ国語です。
テキスト入力での翻訳と音声入力に対応しており、自分と相手の言語を選択しスマートフォンに話しかけると翻訳を開始します。外国の人とスムーズに会話を楽しみたいというシチュエーションに強いアプリです。
・Papago
NAVERが提供する翻訳アプリで、英語や韓国語など13ヶ国語に対応しています。テキストや音声での入力が可能でリアルタイムですぐに翻訳可能です。また、それだけなく写真や指で書いた手書き文字を翻訳もできます。オフラインでも利用でき旅行の際にも役立つアプリです。URLを入力すると、海外のWebサイトの文章を訳してくれる機能も特徴的です。
翻訳アプリに必要な機能とは?
翻訳アプリに必要となる機能にはどのようなものがあるでしょうか。翻訳アプリを開発する際には、一般的な機能だけではなく特徴的な機能を盛り込む必要があります。一般的な翻訳アプリの機能には、訳したい文章を入力欄に入力して、翻訳ボタンを押して翻訳するといった「テキスト入力機能」、訳したい文章をマイクに向かって発話して自動的に翻訳する「音声翻訳機能」があります。
しかし、これらの機能だけで翻訳アプリとして差別化を図るのは容易ではありません。
翻訳アプリには特徴的な機能も必要です。特徴的な機能としては、訳したい文章が書かれている本のページをカメラで撮影して翻訳する「写真からの翻訳機能」、自分と相手の2つの言語を選択して翻訳と同時に会話を成立させる「会話機能」などがあります。ユニークで利便性の高い機能が求められているのです。
翻訳機能を実装するために必要なもの
アプリに翻訳機能を実装するために必要になるのが、Googleの翻訳APIなど、翻訳の機能自体をAPIを使って取り入れることです。ちなみに、APIとは「Application Programming Interface」を略した用語で、プログラムとソフトウェア、Webサービスの間をつなぐインターフェースです。
APIはソフトウェアやアプリケーションなどの一部を外部に向けて公開する仕組みになっており、第三者が開発したソフトウェアと機能の共有を行えます。APIはソフトウェア同士をつなぐ役割を担っており、異なるソフトフェア間で認証機能を共有したり、片方からデータを取り込んで別のプログラムでデータを解析できたりします。
新しく開発するアプリに翻訳などの機能を持たせたい際は、その機能を持ったAPIを実装することで翻訳機能を持ったアプリを作れます。
以下ではGoogle翻訳APIについて、特徴や料金などをご紹介します。
・3種類のプログラミング言語を使って動作可能
Googleの翻訳APIは正式には「Translate API」といいます。翻訳機能のあるアプリやサービスに利用されるAPIです。Translate APIは、さまざまなプログラミング言語を使用できます。プログラムとの組み合わせによって、動的な翻訳ができるアプリを開発できる強みがあります。使用できるプログラミング言語は「JavaScript」「PHP」「Python」の3種類です。開発者が最も適していると判断する言語を選んで使用できます。
・料金体系
Translate APIは無料トライアルを申し込めます。「Google Cloudを無料で試す」というフォームを入力すれば申し込みを行えて、申し込みから12ヶ月間、もしくは後述する利用料金が300ドルに達するまで利用ができます。Translate APIの料金は、翻訳された文字数によってカウントされます。1ヶ月あたり500,000文字までが無料で、500,001文字以降は、1,000,000文字あたり20ドルが請求される仕組みになっています。1ヶ月以内に700,000文字を処理するように送信した場合は4ドルが請求されます。
翻訳アプリの開発費用相場
アプリの開発にかかる費用は人件費と開発期間が価格に影響するポイントです。法人の場合、シンプルな機能のアプリの開発には100万円~500万円、標準的な機能のアプリの開発には500万円~1,500万円、より複雑な機能のアプリには3,000万円前後の費用が相場です。
アプリ開発の開発費用についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
【相場】モバイルアプリの開発費用はいくら?開発費を抑える方法も紹介
APIのランニングコストも必要
アプリに翻訳機能を実装させるために必要なAPIにはランニングコストがかかります。ランニングコストとは月額費用のような定期的にかかる費用で、システムを維持するために必要となるコストです。
先ほどご紹介した通り、Googleの「Translate API」の費用は、翻訳された文字数によってカウントされます。1ヶ月あたり500,000文字までが無料で、500,001文字以降は、1,000,000文字あたり20ドルが請求される仕組みになっています。
保守運用にかかる費用
翻訳アプリをリリースしても一定の継続した費用が必要です。アプリには保守運用をする必要があり、保守運用にも費用がかかります。リリース後の不具合の発生や、翻訳アプリなら対応する言語を増やす対応が必要で保守運用費も発生するのです。
では、アプリの保守運用にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。保守運用の費用はアプリの規模などにも影響されますが、一般的にアプリの開発費用の15%が相場です。例えば、翻訳アプリを200万円かけてリリースしたなら、保守費用は毎年30万円ほど必要だと想定しましょう。
翻訳アプリの開発を外注する方法
翻訳アプリの自社開発も可能ですが、アプリ開発についての十分な経験が求められる面もあります。そこで、アプリ開発を外注するという手段も非常に有効です。翻訳アプリの開発実績があり、翻訳の分野に専門的な知識のある企業に外注をお願いすれば、クオリティの高いアプリを作れます。以下で外注をする際の注意点についてご紹介します。
実績などをもとに外注先候補を決める
外注先の候補を決める際には外注先の得意分野や実績に目を向けてみましょう。外注先のメーカーが多種多様なジャンルで特に得意としているかを見極めて、AndroidやiOSなど強みとしているOSもチェックするのです。開発を外注する開発会社はアプリ開発のプロであるエンジニア集団であるため、以前に翻訳アプリを作った経験がなくても一定の品質は期待できます。
ただし、過去に類似のアプリを制作して納品したという実績や経験は非常に重要です。このような実績や経験があると発注者が企画を提出した段階で、発注者が求めるニーズを把握し、品質の良いアプリのイメージをスムーズに共有できます。
技術力が高くても翻訳アプリという分野に実績や経験がない開発会社では、競合するアプリと機能がかぶっていたり、見劣りするアプリになったりとトラブルが発生してしまうリスクも否めません。得意なジャンルや実績と経験を重視して外注先を選びましょう。
見積もりを複数社に依頼する
翻訳アプリの開発を外注する場合、1つの外注先候補だけでは、費用が高いかどうかやサービス内容は充実しているか正確な判断ができません。そのため、複数のサービスで比較して検討しましょう。この際に相見積もりの依頼で交渉が有利に進められる可能性もあります。
翻訳アプリの開発を成功させるポイント
翻訳アプリの開発を成功させるためにはどういったポイントに気をつければ良いでしょうか。
以下で考えられる2つの方法についてご紹介します。
発注前にできるだけ企画を作りこむ
翻訳アプリの開発を成功させるためのポイント1つ目は、アプリを発注する前に発注先とできるだけ企画を作り込むことです。
まず、どのような内容のアプリを外注して作るのか、外注先と綿密に打ち合わせを行うようにしましょう。搭載を希望している機能や想定するターゲットについて、どの程度のダウンロードが見込めるかなど具体的な項目を外注先と協力して話し合いを進めましょう。外注先とアプリの企画の綿密な実施は、お互いの認識の不一致を解消するために時間をかけて繰り返し行うべきです。
アプリの企画を作る際に押さえておくべきポイントをこちらの資料でもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
アプリマーケティングの基礎を解説!これを知っているだけでC向けアプリの企画が劇的に変わる!
マネタイズ方法の設計も重要
翻訳アプリの開発を成功させるためのポイント2つ目はマネタイズ方法の設計です。
マネタイズプランの設計はアプリ開発の鍵であり、アプリを収益化して事業を成り立たせるために行います。マネタイズをどのように行うべきかはアプリの分野によって異なります。アプリ開発において成功するためには、事前のリサーチだけでなくマネタイズプランを明確に立てる必要があります。マネタイズの方法には以下の方法があります。
・アプリ内課金によるマネタイズ
アプリ内でアイテムや追加機能などを販売し収益化する方法で、課金を促すための仕組みを作っていきます。例えば、翻訳可能な言語の種類を増やしたり、一度に翻訳できる文字数をアップしたり、課金によってサービスを拡張できるイメージです。
ただし、無料と有料の線引きは難しくユーザーにとって納得感のある課金プランを設定しなければなりません。課金要素が強調され過ぎてしまえばユーザーが翻訳アプリから離れてしまう原因になりかねないためです。
最適なアプリ内課金によるマネタイズの実装は難しいポイントであるため、ユーザーがどのような機能を求めているか綿密な分析を行うと効果的です。
・広告によるマネタイズ
アプリ内に広告を表示させ収益化します。広告の活用にはアプリのユーザーが課金しなくても収益が得られるという大きなメリットが存在します。
ただし、広告の種類や表示させる頻度によってはユーザーにストレスを与えてしまうケースも少なくありません。ユーザーに関連性の高い広告を表示させるなどアプリの品質を低下させないような工夫が必要です。
マネタイズを優先し過ぎてユーザーの満足度を低下させないように気をつけましょう。
アプリマーケティングの基礎知識から実践のポイントについて、こちらの記事でもご紹介しています。
マーケティングを見据えたアプリ開発を行うには?実践のポイント解説
まとめ
翻訳アプリは語学学習や旅行など生活のさまざまな場面で利用されています。人気の翻訳アプリは独自性のある機能と高い翻訳精度を実現しているものが目立ちます。新たな翻訳アプリを開発する際は使いやすく高精度な翻訳だけでなく、ユーザーの方の興味を引く新しくユニークな機能の実装も意識しておきたいポイントです。
自社開発だけで理想の翻訳アプリの開発が難しいと感じたら、外注を検討してプロフェッショナルの力を借りることも有効な手段です。ぜひこの記事の内容を参考にして、翻訳アプリの開発をスタートさせましょう。