カーシェアアプリの開発の流れを解説!企画のポイントも
カーシェアアプリはユーザー同士でクルマをシェアすることを仲介するサービスです。「買うものではなく借りるもの」というクルマに対する新たな価値観が広まっている若い世代を中心に、サービスが普及しています。
そんなカーシェアアプリを開発する際には、トラブルを未然に防ぐためにあらかじめ免許証情報などの個人情報を登録することが一般的です。そのため、高いセキュリティ対策を施す必要があり、カーシェアアプリ開発は専門的な知識と開発経験を持つアプリ開発会社に外注する方法が一般的です。
今回はカーシェアアプリの開発を外注した際のメリット、開発にかかる費用、そして開発からサービス開始までの一連の流れを詳しくご紹介します。
カーシェアアプリとは
カーシェアアプリとは個人間で自動車をシェアするサービスを提供するスマートアプリのことを指します。
一般的なユーザーが自家用車を利用している時間の割合はおよそ5%前後とされています。残り95%の時間は駐車場で未稼働の状態にあり、自動車の価値を有効的に活用できているとは言い切れない状況です。
そこで、カーシェアアプリを使えば未稼働時のクルマをユーザーに貸し出し、設定した料金プランに応じて報酬を得ることができます。クルマを借りるユーザーはレンタカーよりも比較的安価でクルマを借りることができるほか、クルマの維持費もかかりません。
拡大する「シェアリングエコノミー」の市場
シェアリングエコノミーとはインターネットを通じて、CtoCもしくはBtoBで移動・物品・スペース・スキルなどの売り買いや貸し借りを仲介する経済モデルです。
一般社団法人シェアリングエコノミー協会によると、2020年度におけるシェアリングエコノミーの市場規模は2兆円を超え、2030年度には14兆円まで拡大することが予測されています。民泊サービスや家事・育児代行サービスなど多種多様なサービスが存在するなかでも、カーシェアリングは今後も継続した成長が見込まれているサービスです。
2020年以降は新型コロナウイルスの感染が拡大した影響で、旅行者の利用は減少傾向にありますが、近隣地への短時間利用が増加にあるためカーシェアリング全体で見ると拡大傾向にあるとされています。
さまざまな特色を持つカーシェアアプリが登場
「タイムズカーシェア」や「TOYOTA SHARE」などは、レンタカー会社などが所有する自動車を会員がシェアして利用するタイプのカーシェアリングサービスです。これらのカーシェアリングサービスはアプリから簡単に手続きができ、24時間いつでも借りられるうえに、最短およそ15分から利用することが可能です。
一方、「Anyca」や「CaFoRe」は個人が所有する自動車を貸し出すCtoCタイプのカーシェアリングサービスです。クルマを貸すユーザーと借りるユーザーの双方にメリットがありますが、特にクルマを貸し出すユーザーメリットが非常に大きい点が特徴です。クルマを使用していない時間を現金化することで、クルマの価値を有効活用できます。
「Anyca」を例にすると、高級外車から軽自動車まで多種多様なクルマが大都市圏を中心に登録されています。憧れのクルマに乗れる機会や、クルマ愛好家同士のコミュニケーションの場が提供されるなど、カーシェアリングの枠を超えたサービスが展開されています。
また、特定の車種を専門的に取り扱うカーシェアリングサービスも始まっていて、「Carstay」はキャンピングカーに特化したサービスです。Carstayではキャンピングカーレンタルに加え、全国の車中泊スポットなど旅程計画にも役立つ情報提供が行われています。
カーシェアアプリはどんな機能を搭載すべき?
CtoCカーシェアアプリは、貸す側・借りる側の双方が不安を感じずに利用できる仕組み作りがポイントです。事故や盗難などのトラブルを防ぐためにも、ユーザー登録の際には免許証などユーザーの情報をあらかじめサービス側が把握しておくなど、カーシェアではトラブル防止のためのさまざまな機能が求められます。
以下はカーシェアアプリに必要な基本機能です。
登録機能
カーシェアリングアプリに登録する際には、クルマを借りる側と貸す側で必要な登録情報が異なります。借りる側はクルマを借りるために免許証とクレジットカードの登録が、貸す側はクルマを貸すために免許証・車検証・銀行口座の登録が必要です。
車検証の情報は記載のQRコードから読み取ることができるので、QRコードリーダーを備えることで利便性が向上します。
検索機能
クルマを借りる日時や利用時間、クルマのクラスや車種などの条件を設定し、空きのあるクルマを検索する機能です。クルマを貸し出す側はシェアできない日時をあらかじめカレンダーに登録することで、計画的にサービスを利用することができるようにします。
予約機能
一般的なカーシェアリングアプリの予約は承認制が採用されています。借りたいユーザーがクルマのオーナーに対して日時を指定した予約リクエストを送信し、クルマを貸す側のユーザーは予約リクエストを確認した後で承認を行い、カーシェアが成立します。
このとき、予約と連動して保険加入する仕組みを提供し、保険の加入漏れを防いで貸す側・借りる側の双方が安心・安心にサービスを利用できるようにすることが重要です。
チャット機能
詳細な受け渡し日時や場所の指定はチャット機能を通じて、サービス利用者同士によって行われます。
評価機能
クルマの返却後にユーザー同士が評価を記入する機能です。ユーザーのサービス利用時の評価はユーザー同士の信頼関係を構築した安心なカーシェアを実施するために重要な機能です。
決済機能
カーシェアリングでは一般的にクルマ使用終了時間に決済を行う仕組みです。借りたユーザーが登録したクレジットカードから利用金額を引き落とし、手数料を差し引いた金額を貸し出すユーザーの口座へ振り込む決済システムが必要です。
なお、トラブル防止のために原則的にアプリ外での金銭のやり取りを禁止し、その旨をユーザー間に周知しなければなりません。
カーシェアアプリの開発を外注するメリット
前章でご説明したように、カーシェアアプリにはさまざまな機能が必要とされますが、リソース不足などが原因で開発が困難な場合もあるでしょう。そのため、カーシェアアプリ開発を検討する際には外注が有力な選択肢になるケースも多いはずです。
また、カーシェアアプリで重要となる登録ユーザー数向上のためには、顧客満足度の向上につながる優れたUI/UXが欠かせません。専門的な知識と経験を有する外注先に委託することで得られるメリットは非常に大きいでしょう。
CtoCのカーシェアアプリは貸す側向けのサービスと借りる側向けのサービスの2つを構築する必要があるため、開発に必要な人件費が高くなりがちです。カーシェアアプリ開発のためだけに新たに人材を確保する場合、多くの人件費が必要となってしまいます。また、優れた人材の雇用そのものが困難な場合もあり、採用までに多くの時間を要するなどの問題も発生します。
カーシェアアプリを外注で開発する場合には人材を確保する必要はなく、必要な時にだけ必要な業務を外注することで人件費を大幅に抑えて一定クオリティを確保することが可能になります。
カーシェアアプリのみならずアプリ開発全般に言えることですが、さまざまな機能の品質追求に加えてセキュリティ対策が重要なポイントです。セキュリティ対策を疎かにしてしまった場合、ユーザーの情報が流出してしまう恐れがあります。
カーシェアアプリにおいては、ユーザーの大切な資産であるクルマの情報をやり取りします。クルマの現在位置情報などが流出すると、盗難などの被害を生む原因になりかねません。こうした課題への対策としてセキュリティ対策に高い技術と経験を持つ外注先へアプリ開発を委託する方法があります。安全性が確保されたアプリであれば、ユーザーは安心してアプリを利用できますし、企業の信頼度も向上し、継続的に事業を行うことが可能です。
カーシェアアプリ開発にかかる費用は?
カーシェアアプリを含むシェアリングエコノミーサービスの開発にはおよそ300万円~1,000万円のコストがかかるとされています。首都圏のエンジニアを1ヶ月稼働させるための単価相場を約100万円としたとき、平均的な機能を備えたアプリの開発にはおよそ5人月の開発コストが必要になる計算です。
ただし、CtoCカーシェアリングアプリを開発する場合、クルマを貸し出すユーザーと借りるユーザーとで2パターンを実装しなければならず、BtoCサービスと比較すると開発コストが増加する傾向にあります。さらに、エンジニア以外にもアートディレクターやUI/UXデザイナーなどのコストも必要になるため、費用の相場は1,000万円~2,000万円ほどになる場合もあります。
そして、CtoCのシェアリングエコノミーサービスはほぼスマートフォンアプリ上で利用される特徴があり、カーシェアリングアプリも例外ではありません。そのため、スマートフォンに最適化されたユーザビリティを提供できているかどうかがサービス成功のポイントになります。
アプリとユーザーの良好な関係構築にはプッシュ通知などを使ったリテンション施策が有効的ですが、機能を追加するためには50万円~100万円のコストが必要になります。また、サーバー、決済システム、APIなどの維持・メンテナンスにもコストがかかります。
ちなみに、リリース後のアプリを運用するために必要な平均コストは、開発コスト/1年のおよそ20%ほどとされています。
カーシェアアプリ開発外注の流れ
自社ニーズをうまく外注の開発会社に伝える、または汲み取ってもらえるかが優れたカーシェアアプリ開発の成功のカギです。ここからはアプリ開発を外注するプロセスにおける要点をご紹介します。
企画書の作成
アプリを開発する目的を明確化した企画書の作成がアプリ開発のスタートです。
企画書にはアプリが提供するサービスの目的、コンセプト、ターゲット、収益見込みなどを可能な限り具体的に明記します。具体性のある企画であればあるほど、外注先をアプリ開発の目的を高度に共有することが可能になります。
外注先の選定
開発会社によって得意とスキルが異なりますので、過去の開発実績などを参考にして開発するアプリと近いスキルを要する開発会社を選ぶことが重要です。
特定の分野とスキルに特化した専門性の高い開発会社ほど、企画書で意図していた通りのサービスを提供できるアプリの完成が期待できます。
要件定義・見積もり
要件定義はアプリを外注で開発する上で極めて重要な工程です。アプリの概要や機能を明確にした要件定義書を作成して、外注先とプロジェクトの最終目的であるアプリ完成を正確に共有します。必要な機能が要件定義書に記載されていないと、開発プロジェクトの進行が滞ってしまうどころか、余計なコストがかかる原因になってしまいます。
要件定義においては自社ニーズを外注先に伝え、必要な機能を洗い出してもらう作業も大切です。必要な機能を要件定義書によって明確になれば、どれだけの必要になるかを算出することが可能になります。
設計・開発
このプロセスから開発会社によるアプリ設計・開発がスタートします。
要件定義書で定めた機能や性能をもとに基幹部分を作成する外部設計から始まり、内部機能を作成する内部設計、プログラミングでアプリの動作を支持するプログラミングへと段階的に開発が進められます。
テスト・検収
設計・開発プロセスを終えたアプリはテストを実施します。さまざまな機能を搭載するアプリは、全体的な動作から機能単位での動作まで複数回テストを実施します。機能単体では正常に動作していても、複数の機能が連携する状況では正常に動作しない場合があるからです。
テストは開発会社が実施するプロセスではありますが、デモバージョンアプリなどを使って、自社でもアプリの動作を確保するようにします。検収段階で修正や追加作業が発生すると追加でコストが発生するため、アプリが目的を満たしているか、不具合がないかよく確認しましょう。
審査・リリース
スマートフォンアプリを配布・販売するためには審査が必要です。各プラットフォームにアプリを登録・申請し、審査を受けます。このとき、機能が不完全だったりバグがあったりすると審査が通らずアプリをリリースすることができません。他にもアプリの動作に直接関係ないはずの個人情報を取得している、オリジナルの要素が少ないものなどは審査を通過が難しくなります。
なお、審査に通らない理由が説明されることはないため、審査からリリースがスムーズに進むかは外注先の技術と経験によって左右されます。
リリース後もメンテナンスが必要
無事アプリがリリースされたとしても、ユーザーの満足度を向上させるためにアップデートや改修を行う必要があります。また、カーシェアアプリのような登録ユーザー数が収益に直結しているアプリの場合、宣伝活動で認知を拡大し、新規ユーザーを獲得していく施策も重要です。
カーシェアアプリ開発を成功させるためのポイント
ここからはカーシェアアプリ開発を成功に導くためのポイントについてご紹介します。
最も重要な工程は「企画」
アプリ開発の企画では、目に見えて触れられるデザイン面に意識が行きがちですが、それよりも重視すべきポイントは「アプリのゴール」「コンセプト」「ユーザーエクスペリエンス(UX)」の3点です。この3つのポイントを高い精度で企画に落とし込めるかがアプリ開発の成功につながります。
企画が明確化されているほど、外注先の開発会社とアプリの完成イメージが共有しやすくなり、結果として成功しやすいアプリが開発できます。
外注先選びは実績も重要な要素
アプリ開発会社はそれぞれに得意とする領域やスキルが異なります。企画したアプリ開発の開発実績があるかどうか、今回で言えばシェアリングエコノミーサービスアプリの開発実績を確認することが重要です。過去の実績はもちろん、現在のサービス継続中のアプリもチェックし、アップデートの頻度などから開発会社の体力を見極めることが可能です。
その他にも納期とスキル、デザインやアイデア、コストパフォーマンスなど、外注先選びでは確認すべきポイントがいくつもありますので、外注先には実績として証明できるものを提出してもらう良いでしょう。
効果測定のための機能も必須
アプリの機能を活用して、ユーザーとコミュニケーションを図るマーケティング手法を「アプリマーケティング」と呼びます。適切なアプリマーケティングアプリによって、サービスとユーザーは継続的な関係を構築し、顧客生涯価値を高めることができます。
そのため、開発段階から顧客管理とアプリマーケティングのための分析機能を備えておくことが大切です。
ユーザー獲得戦略・収益化戦略を練っておく
カーシェアアプリを含むCtoCのシェアリングエコノミーサービスの課題とされているのが、認知拡大と新規ユーザー獲得を両立させなければならない点です。
サービス初期段階はアプリの知名度もなくユーザー数もゼロからスタートするため、いかにしてアプリを認知してもらいユーザーを獲得してサービスを発展させていくかがポイントになります。
具体的には初期段階から供給側と需要側のユーザーを獲得する施策を実施し、ビジネスの基盤を初期段階で確立することが重要です。
まとめ
カーシェアアプリに限らず、アプリを外注して開発する場合の要点は、企画段階でアプリの目的を明確化する点です。しかし、アプリ制作が未経験の場合、必要な情報を正確に整理することが困難な場合も多いでしょう。
そのような場合には、早い段階から開発会社と協力してアプリ開発プロジェクトを推進するのがおすすめです。開発実績が豊富な開発会社ならば的確なアドバイスでアプリ開発を成功へと導いてくれるでしょう。