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PWAの認知率はわずか5%「ストアにないアプリ」に72.7%が抵抗、toCで安易なPWA採用が顧客を失う理由

公開日:

toC向けサービスでは、PWAをネイティブアプリの代替として安易に採用すると、初期導線の段階でユーザー離脱を招く可能性がありますなぜなら、株式会社Pentagonが200人を対象に実施した調査では、PWAを正しく理解している人がわずか4.9%にとどまり、「ストアにないアプリ」に72.7%が不便や抵抗を感じることが分かったからです。

「アプリをPWAで作れば安く済む」「まずはPWAで十分ではないか」そんな提案を受けて検討しているWebサービス運営者も多いのではないでしょうか。たしかにPWAには、開発コストや公開スピードの面でメリットがあります。

しかし、toCサービスで本当に重要なのは、技術的に成立するかどうかではなく、一般ユーザーが違和感なく使い始め、継続利用してくれるかどうかです。PWAは技術的に優れていても、ユーザーの認識・習慣・信頼感の面では、ネイティブアプリより不利になる場面があります。

本記事では、株式会社Pentagonの調査データをもとに、PWAがtoCサービスで不利になりやすい理由を整理します。あわせて、どのようなケースならPWAが有効なのかも、データと実務観点の両方から解説します。

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PWAの認知率はわずか4.9%

まず押さえておきたいのは、PWAという言葉自体が、一般ユーザーにはほとんど認知されていないという事実です。

「PWA(Progressive Web App/プログレッシブウェブアプリ)という言葉を知っていますか?」という質問に対する回答は、次のとおりでした。

回答割合

知っている(意味も説明できる)4.9%
聞いたことはあるが詳しくは知らない17.6%
知らない・聞いたことがない77.6%

意味まで説明できる人はわずか4.9%で、20人に1人程度しかいません。つまり、PWAは技術者や一部の詳しいユーザーには通じても、一般消費者にはほとんど伝わらない概念です。

これは単に「PWAという言葉が知られていない」というだけではありません。ユーザーがPWAを価値として認識して選ぶことは、ほぼ期待できないという意味でもあります。開発者側で「技術的にはPWAで十分」と判断しても、ユーザーにとって重要なのは「アプリストアにあるか」「いつものアプリのように使えるか」という、ごく感覚的な基準なのです。

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「ストアにないアプリ」に72.7%が不安・抵抗を示す

toCでPWAを考えるうえで、もっとも重いデータがここです。「ストアにないので、ブラウザで開いてホーム画面に追加してください」という導線そのものに、多くのユーザーが抵抗を感じています。

「アプリストアにはありません。ブラウザで開いてホーム画面に追加してください」と言われたときの反応は、次のとおりでした。

反応割合
特に気にならない27.3%
やや不便だと感じる・少し不安57.1%
かなり抵抗がある6.8%
使うのをやめるかもしれない8.8%

ネガティブ反応の合計は72.7%です。さらに、15.6%は「かなり抵抗がある」または「使うのをやめるかもしれない」と答えており、離脱の可能性を明確に示しています。

toCサービスにとって、初回導線でこれだけの違和感を与えるのは重い問題です。PWAにはコストメリットがあっても、初期接触の段階でユーザーを取りこぼせば、そのメリットは簡単に相殺されます。特に、広告やSNS経由で獲得したユーザーをそのまま定着させたいサービスでは、この離脱率は無視しにくい数字です。


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アプリ版は48.3%、Web版は7.3% 明確な選好差がある

次に見るべきなのは、ユーザー自身が「アプリ版」と「Web版」をどう選んでいるかです。

「同じサービスにアプリ版(ストアDL)とWeb版(ブラウザ)がある場合、どちらを使いますか?」という質問への回答は次のとおりです。

選択割合
アプリ版を使う48.3%
機能や場面によって使い分ける33.7%
特に気にしていない10.7%
Web版(ブラウザ)を使う7.3%

アプリ版を明確に選ぶ人は48.3%で、Web版を選ぶ人の7.3%を大きく上回っています。さらに、33.7%の「使い分ける」層も、少なくともアプリ版を使う可能性がある層です。

つまり、合計82%のユーザーはアプリ版を使う可能性がある一方、Web版を明確に選ぶ層はごく少数にとどまるということです。PWA単独で展開するということは、このアプリ版志向の強いユーザー層に対して、最初からズレた導線を提示するリスクを抱えることになります。

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アプリ版が選ばれる理由は「速さ」と「起動の手軽さ」

では、なぜユーザーはアプリ版を好むのでしょうか。調査では、その理由も明確に出ています。

理由割合
動作が速い・サクサク動く46.8%
ホーム画面からすぐ起動できる38.5%
プッシュ通知が届く22.4%
特に理由はない・なんとなく20.0%
なんとなく安心感がある18.5%
オフラインでも使える11.7%
ストアDLした方が信頼できる10.2%

ここで重要なのは、ユーザーが技術仕様で選んでいるわけではないことです。PWAでも、条件次第ではホーム画面起動やプッシュ通知、一定の高速動作は実現できます。

それでもユーザーは、「アプリ版=速い・便利」「Web版=ひと手間ある」という認識で判断しているのが実態です。つまり、PWAがネイティブアプリに近い体験を提供できたとしても、その価値がユーザー認識に変換されるとは限りません。toCでは、技術的に同等であることよりも、ユーザーがどう受け取るかの方がはるかに重要です。

ストアDLの信頼感は、ホーム画面追加より圧倒的に強い

PWAがtoCで不利になる理由は、利便性だけではありません。信頼感の差も非常に大きいことが調査から分かっています。

「アプリストアからダウンロードしたアプリ」と「Webサイトをホーム画面に追加したもの」のどちらが信頼できるかという質問に対する回答は、次のとおりでした。

回答割合
どちらも同じくらい信頼できる43.9%
ストアDLの方が信頼できる31.7%
よくわからない22.4%
Webサイトの方が信頼できる2.0%

ストアDLの方が信頼できると答えた人は31.7%で、Web追加の2.0%を大きく上回りました。ユーザーは、アプリストアの審査や配布形式そのものを、信頼の裏付けとして捉えていることがうかがえます。

この差は、決済、個人情報、会員機能、継続課金などを扱うtoCサービスほど重くなります。サービス側がいくら安全性を説明しても、ユーザーが最初に受け取るのは「ストアにない」という印象です。とくに初回利用時には、この違和感だけで不安が増幅される可能性があります。


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ホーム画面追加を確実に説明できるのは21.5%

PWAの導入で見落とされやすいのが、ユーザーに操作説明が必要になるコストです。ネイティブアプリなら「ストアから入れてください」で済む導線も、PWAではホーム画面追加の説明が必要になる場面があります。

「Webサイトをホーム画面に追加する操作方法を、人に説明できますか?」という質問への回答は次のとおりです。

回答割合
説明できる21.5%
たぶん説明できる43.9%
説明できない22.4%
機能自体を知らなかった12.2%

確実に説明できる人は21.5%にとどまり、残りの多くは操作に不安がある、もしくは機能自体を知らない状態です。さらに、54.6%が「ストアからダウンロードする方が簡単」と回答しています。

つまり、PWAはアプリストアに出さなくて済む代わりに、ユーザーへの説明コストと操作離脱リスクを自社で負う必要があるということです。toCサービスでは、この追加説明の負担が想像以上に重くなりやすいです。

ホーム画面追加後の定着率も楽観できない

PWAは「ホーム画面に追加すればアプリのように使える」と説明されることがありますが、追加後の定着が十分かどうかは別問題です。

「ホーム画面に追加」した経験者124人に継続利用状況を聞いた結果は、次のとおりでした。

回答割合
今も定期的に使っている52.4%
最初は使ったが今は使っていない47.6%

追加経験者の約半数は、継続利用していません。もちろん、ネイティブアプリでもリテンション低下は起こります。ただし、ネイティブアプリにはプッシュ通知やストア経由の安心感があり、再訪のきっかけを作りやすいという強みがあります。

一方、ホーム画面追加型の利用では、そもそも「使い続ける理由」を強く作りにくい場面があります。通知や習慣化の導線が弱いと、初回利用後に思い出されにくくなるためです。toCで継続率が重要なサービスほど、この違いは無視できません。

toCサービスがPWAを安易に選ぶべきでない5つの理由

ここまでの調査結果を整理すると、toC向けサービスでPWAを安易に単独採用すべきでない理由は、次の5点に集約できます。

理由1. ユーザーがPWAを積極的に選ぶことがほぼない

PWAの認知率は4.9%で、一般ユーザーにとっては技術的な魅力がほとんど伝わりません。PWAのメリットをプロダクト側が理解していても、ユーザーがその価値を感じるとは限りません。toCサービスでは、ユーザーは技術方式そのものではなく、「すぐ使えるか」「安心して入れられるか」で判断します。そのため、PWAの合理性をサービス側がどれだけ説明しても、利用開始の意思決定にはつながりにくいのです。

理由2. 「ストアにない」導線そのものが離脱要因になる

72.7%が「不便・不安・抵抗」を感じ、15.6%は離脱の可能性を示しました。初回導線でこれだけネガティブ反応が出る構造は、toCではかなり不利です。特に広告やSNS、検索経由で初めて接触したユーザーは、少しでも違和感があるとすぐ離脱しやすい傾向があります。ストアにないというだけで説明が1ステップ増える導線は、その時点で競合より不利になりやすいです。

理由3. ユーザーは明確にアプリ版を好む

アプリ版を選ぶ人は48.3%、Web版を選ぶ人は7.3%でした。PWA単独展開は、このアプリ志向の強い多数派に対して期待とズレた体験を提供することになります。ユーザーが期待しているのは、ストアから入れて、ホーム画面にあり、通知も届く「いつものアプリ体験」です。PWAが一部の体験を再現できたとしても、最初の接触でその期待を外すと、使い始めてもらう前に候補から外される可能性があります。

理由4. 信頼感の差が残る

ストアDLの方が信頼できるという回答が31.7%、Web追加の方が信頼できるは2.0%でした。特に会員登録、決済、個人情報を扱うサービスでは、この差が利用開始率に影響しやすくなります。toCサービスでは、ユーザーは細かな技術説明よりも「どこから入れたか」で安心感を判断しがちです。ストア経由というだけで一定の審査を通っている印象を持たれやすく、PWAはこの心理的ハードルを自力で超えなければなりません。

理由5. ユーザー教育コストが発生する

ホーム画面追加の方法を確実に説明できる人は21.5%にすぎません。ストアDLにはない説明負荷が、PWAではサービス側に残ります。toCサービスでは、この説明コストがサポート負荷や離脱率に跳ね返りやすいです。しかも説明は一度書けば終わりではなく、OSやブラウザごとの違いにも対応する必要があります。導入時にユーザーへ学習を求める構造そのものが、toCでは継続率より前に利用開始率を下げる要因になりやすいです。

それでもPWAが適する場面

ここまでPWAの弱点を述べてきましたが、PWAそのものが悪いわけではありません。向いている場面では、十分に有効な選択肢になります。

たとえば、次のようなケースではPWAのコストメリットや公開スピードが活きやすいです。

  • 社内ツール・業務アプリ
  • 一時的なキャンペーンサイト
  • 既存Webサービスの補助的な体験向上
  • B2B向けサービス

これらに共通するのは、利用者が限定されていること、または事前説明がしやすいことです。社内ツールなら操作教育ができますし、B2Bサービスなら導入時に個別サポートもしやすいです。既存Webの補助的な機能として使う場合も、PWAを「唯一の導線」にしなければ大きな問題になりにくいでしょう。

つまり、PWAは「toCの主戦略」として使うより、「対象ユーザーが限定される用途」や「補助的な体験」として使う方が向いているということです。

toCアプリはネイティブ前提で設計した方が安全

PWAは技術的に優れた仕組みですが、toCサービスにおいては、ユーザー認識・習慣・信頼感の面でネイティブアプリより不利になりやすいことが、今回の調査から見えてきました。

特に重要なのは、PWAでできるか」ではなく「一般ユーザーが自然に使い始め、継続できるか」という視点です。認知率4.9%、ストア外導線への抵抗72.7%、アプリ版志向の強さ、ストア配布への信頼感を考えると、toC向けサービスではネイティブアプリ前提で設計した方が安全な場面が多いといえます。

株式会社Pentagonでは、ビジネス要件とユーザー体験の両方を踏まえて、PWAが向くのか、ネイティブアプリで進めるべきかを整理しながら開発方針を提案しています。「PWAで十分か」「toCではネイティブ一択か」を判断したい方は、ぜひご相談ください。

調査概要

項目内容
調査名PWA(プログレッシブウェブアプリ)に関する認知度調査(2026年)
調査期間2026年4月
調査方法インターネット調査
有効回答数200名
対象スマートフォンアプリを利用する20~60代の男女
調査主体株式会社Pentagon(https://pentagon.tokyo)

※本調査データの引用・転載は、出典として「株式会社Pentagon調べ」および当記事URLの明記をお願いいたします。

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Posted by 山本 真矢