アプリのリテンションレート(継続率)改善方法と事例を紹介

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アプリにおけるリテンションとは、既存顧客を維持するための施策、または維持することそのものを指します。市場競争の激化や新規顧客獲得コストの高騰により、既存顧客を維持することの重要性が増しています。サブスクリプション型サービスでは、顧客の継続率が収益に直結するため、リテンションは特に重要です。

リテンションレートは、継続利用している顧客の割合を示す指標で、デジタルマーケティングでよく利用されます。多くのユーザーがアプリを短期間で利用しなくなってしまうので、アプリのリテンションレートを高めるための施策が重要となります。

本記事では、アプリ開発会社「株式会社ペンタゴン」で代表を務める筆者が、「アプリのリテンションレート」について詳しく解説します。アプリの開発を検討中の方は、ぜひ株式会社ペンタゴンまでご相談ください。

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【この記事の監修者】山本 真矢 株式会社Pentagonの代表取締役社長
経歴:Y-Combinator StartUp School / Arizona State University / 2013年からスタートアップを中心に様々な企業のアプリ開発を支援。2018年に株式会社Pentagonを設立。2023年アプリ開発高速化する特許を取得(7184410)。アプリやWebサービスの開発に関する情報をYouTubeでも配信しています。

アプリのリテンションレート、30日後の平均は約7%

アプリのリテンションレート(継続率)は、業界やプラットフォームによって異なりますが、一般的な傾向として以下の数値が報告されています。

全体平均:

  • 初日(1日目):約25%
  • 7日目:約13%
  • 30日目:約7%

◆リテンションレートの概要

アプリのリテンションレート(ユーザー維持率)は、業界やアプリの種類によって大きく異なります。一般的なモバイルアプリでは、インストール後30日目の平均リテンション率は約6%から7%と報告されています。 特にエンタメアプリにおいては、ユーザーの興味を持続させるための工夫が求められます。例えば、ソーシャル機能やパーソナライズされたコンテンツの提供などが効果的とされています。

アプリのリテンションレートの計算式

さて、ではここでリテンションレートの計算式について確認してみましょう。リテンションレートは下記のような式で算出することができます。

◆アプリのリテンションレートの計算式


リテンションレート = 継続顧客数 ÷ 新規顧客数

例えば、4月1日時点で新規ユーザーが2,000人増加し、その3ヶ月後の7月1日時点で1,000人のユーザーが継続利用していたとすると、この場合のリテンションレートは50%になります。

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アプリのリテンションレートを向上させる5つのメリット

アプリの成功には、新規ユーザーを獲得するだけでなく、既存ユーザーに長く使い続けてもらうこと(リテンション)が不可欠です。リテンションレート(継続率)が高いアプリほど、安定した成長を遂げやすく、収益性も向上します。

メリット① ユーザー獲得コスト(CAC)の削減につながる

新規ユーザーを獲得するには、広告費やプロモーション費用がかかります。しかし、リテンションレートが高いアプリは、一度獲得したユーザーが長期間にわたって利用し続けるため、新規獲得のコスト(CAC: Customer Acquisition Cost)を抑えることができます。例えば、広告を出稿し続けて新規ユーザーを増やすよりも、既存ユーザーがアクティブに利用し続ける環境を整えたほうが、コスト効率の面で有利になります。結果として、広告依存のビジネスモデルから脱却し、持続的な成長が可能になります。

メリット② LTV(ライフタイムバリュー)の向上

LTV(Lifetime Value)は、1人のユーザーが生涯にわたってもたらす収益を指します。リテンションレートが高いと、ユーザーが長期間にわたってアプリを利用し続けるため、LTVが向上します。例えば、サブスクリプション型のアプリでは、解約率(チャーンレート)を抑えることで、1人あたりの平均収益が大幅に増加します。また、無料アプリでも、長期的なエンゲージメントが維持されれば、広告収益や課金コンテンツの利用率が高まり、売上向上につながります。

メリット③ 口コミや紹介によるオーガニックな成長

リテンションレートが高いアプリは、ユーザーがその価値を実感している証拠でもあります。満足度の高いユーザーは、SNSや口コミでアプリを推奨する可能性が高くなり、自然な形で新規ユーザーを呼び込む効果が期待できます。たとえば、ゲームアプリであれば、プレイヤーが友人を招待したり、アプリの成果をSNSでシェアすることによって、オーガニックな成長を促進できます。広告に頼らずとも、良質なユーザーを増やせることが、リテンション向上の大きなメリットの一つです。

メリット④ ブランドの信頼性向上と市場競争力の強化

リテンションレートが高いアプリは、ユーザーにとって価値がある証明となり、ブランドの信頼性向上につながります。競合アプリが乱立する市場では、ユーザーの支持を得ることが大きな強みになります。たとえば、企業が新たなサービスをリリースする際、既存のユーザー基盤が強固であれば、クロスセル(他のサービスの利用促進)やアップセル(上位プランへの誘導)がしやすくなります。これにより、新規プロジェクトの成功確率も高まります。

メリット⑤ アプリのデータ活用が進み、改善サイクルが回る

リテンションレートが高いアプリは、ユーザーが長く利用することで、多くのデータを蓄積できます。このデータを分析することで、ユーザーの行動パターンを把握し、さらなるUX向上やパーソナライズ機能の最適化が可能になります。例えば、どの機能が最も使われているのか、どのタイミングで離脱するのかを分析し、適切な改善を加えることで、さらにリテンションレートを向上させる好循環を生み出せます。

リテンションレートを測る必要性

リテンションレートを計測する必要性には色々な理由が考えられますが、大きくまとめると「効率的・継続的・安定的に売上を向上させられる」という点に集約されます。

先ほど、新規顧客の獲得にはコストがかかる旨に触れましたが、一説によると新規顧客の獲得には既存顧客の約6倍ものコストがかかるとされています。加えて、「パレートの法則」という学説にもとづくと、成果の総量の8割が、全体の2割の要素によって生み出されていると言われています。

これをWebアプリなどのビジネスに照らし合わせて考えると、売上の内の8割を2割のユーザーが担っているということになります。そして、この2割のユーザーは自社との結びつきが強く、自社に高い興味関心を持ったロイヤルカスタマーと考えるのが妥当です。つまり、より安価なコストで売上を最大化していくためには、リテンションレートに注意するほか無いのです。

その他に、事業の収益性を図ったり、利益計算をしたりするのに役立つという側面も持っています。

単純化して考えると、そもそも企業が利益を出すためには顧客を獲得する単価(CPA)よりも、顧客が創出する価値(LTV)が上回っている必要があります。そのため、リテンションを測定して「顧客がどれほどの期間にわたって利益を生み続けるのか」ということが分からなければ、収益の見立てをつけることすらできないのです。こうした理由から、リテンションレートを測定する必要があるのです。

アプリのリテンションレート低下を招くよくある失敗3選

ここからはリテンションレートが下がる要因を、Webアプリの場合にフォーカスして確認していきましょう。ここでは主要なものを3つ挙げて、項目別にご紹介します。

よくある失敗①UXが悪い

まずは、アプリのUXが悪いケースが考えられます。とはいえ、一口に「UXが悪い」といってもさまざまな可能性があります。例えば、単純に操作性が悪いことからユーザー体験を阻害してしまったり、サポート品質が低かったりすることまで色々でしょう。

提供するサービスによってもポイントは異なりますが、基本的には以下のような観点でUXの良し悪しを判断することができます。

役に立つかユーザーの課題を解決できるか、ニーズに合致しているか。
使いやすいか快適な操作性やストレスのない動作環境が確保されているか。
探しやすいか必要な情報にスムーズにたどり着ける設計になっているか。
信頼できるか情報の正確性が担保されており、企業の信頼性にもつながるか。
アクセスしやすいか障害を持つ方や高齢者、小さな子供など、多様なユーザーが利用できるか。
魅力的かデザインやブランディングが洗練され、ユーザーを惹きつける要素があるか。

これらの観点をもとに、自社のアプリがユーザーにとって最適な体験を提供できているかをチェックしてみると良いでしょう。

よくある失敗②アプリの魅力が伝わっていない

リテンションレートが低下する原因として、アプリの魅力がユーザーに伝わっていない可能性も考えられます。ユーザーのニーズをきちんと把握したうえで開発が進んでいるか否かという点も非常に大切です。

ユーザーの声を吸い上げ、ニーズを確かめないままメリットを提示しても、アプリの魅力は伝わりません。ユーザーニーズに合致すると共に、ユーザーにとって分かりやすい形で魅力を伝える工夫も大切です。そのためには、アプリの活用によって実現することを可視化させたり、チュートリアルなどを設けて適切なオンボーディングを設計・実装したりすることも必要でしょう。

よくある失敗③通知などでのアプローチが過剰

アプローチが過剰すぎるのも、ユーザーの離脱を招く大きな原因です。みなさんの中にはWebアプリの過剰なプッシュ通知や、アプリでなくとも過剰なメールマガジンに悩まされている方も少なくないでしょう。確かにプッシュ通知はユーザーを後押しする強力な機能ですが、それは適切なタイミングに、適切な内容を、適切な量配信することで初めて効果を発揮するものです。

過剰なアプローチはユーザーに忌避感を植え付けるどころか、場合によっては怒りの感情をもたらしてしまう可能性すらあります。そのため、ユーザーになるべく負荷をかけないよう留意する必要があるでしょう。配信する内容もユーザーに負担をかけないよう、簡潔明瞭で多すぎない量を意識してください。

リテンションレート向上に必要な3つのポイント

ここからはリテンションレートを高めるための方法についてご紹介します。

ポイント①UXを向上させる

使いにくいアプリやサイトは、すぐに離脱されてしまいます。そのため、UXの最適化はリテンション向上の最優先課題です。

ユーザーが直感的に操作できるように、シンプルで分かりやすいUIを設計することが重要です。例えば、操作ステップをできるだけ減らし、目的の達成までの流れをスムーズにすることで、ストレスなく利用できる環境を整えます。

また、ページの読み込み速度を最適化し、快適な使用感を提供することも大切です。さらに、ユーザーごとにパーソナライズされたコンテンツを表示することで、興味関心に合った情報を届け、継続的な利用を促進できます。

UXの向上は、ユーザーがストレスを感じずに快適に使い続けられるかどうかを左右する重要なポイントです。

ポイント②ユーザーに「成功」を与える

まず一つ目はユーザーに成功体験を与えることです。ユーザーはあくまで何らかの課題達成を目的にアプリを利用しています。先ほど紹介したような乗り換えアプリ・予約アプリのようなものから、楽しい時間を過ごせるゲームアプリまで目的は多種多様です。そうした課題解消までのステップを、ユーザーがなるべく負担なく進んでいけるよう、オンボーディングやチュートリアルを設定することが大切です。

例えば、アプリ内でユーザーがアクションを達成する度にポイントを付与する工夫などが挙げられます。特にゲームアプリにおいては、連続ログインによるボーナスや、ゲーム開始時のチュートリアル・各ステージクリア後の報酬アイテムなど、ユーザーが成功体験を感じられる箇所が随所に散りばめられています。このような仕組みを上手く活用すれば、リテンションレートの低下を防ぐだけでなく、アクティブユーザー数やスマホ占有率の増加といった効果も期待できます。ライフライン系のアプリでも、こうした報酬体系やカスタマーサクセスの観点を盛り込んだチュートリアルなどを設置しておくと良いでしょう。

ちなみに、これらチュートリアルの存在そのものがユーザー体験を阻害してしまう可能性もあるので、スキップ可能なように制作するなど、選択肢を残しておくことも必要です。

ポイント③ユーザーとより良い関係を築く

リテンションレートを高めるためには、なんと言っても顧客との信頼関係を築くことが大切です。そのため、日常的に配信するアプローチの量や顧客に応じた個別最適化、サポートの手厚さなど、顧客とのタッチポイントになり得るすべての箇所で顧客との信頼関係を積み上げていく必要があります。一つひとつのアプローチを行う際には、ユーザーの目線に立ったうえで、顧客の信頼を積み上げられるものになっているかどうかを考えるように心がけましょう。

アプリのリテンションレートの改善は株式会社ペンタゴンにご相談ください

今回はリテンションレートをテーマに解説しました。

今回ご紹介したリテンションレート改善のポイントを参考にして、アプリの改善を進めていきましょう。もし「リテンションレートを改善したい」「アプリのUXを改善したい」などお考えでしたら、アプリ開発会社の株式会社ペンタゴン」にぜひご相談ください。私たちが貴社のアプリ開発をサポートし、成功へと導きます。

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Posted by 山本 真矢