Webサービス開発の外注を成功させるポイントとは?注意点を徹底調査
新規事業でWebサービスを開発したいけど、外注が本当に上手くいくのか不安な担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。
当記事では、Webサービスの外注を成功させるポイントや注意点について解説していきます。
実際に外注する際に大変だった点も、アンケートで調査しています。こちらも参考にしてみてください。
Webサービス開発を外注する際に最も気をつけるべきことは?
当社は2023年9月に、実際にWebサービスの開発を外注したことがある方、約30名にアンケート調査を実施しました。
外注してアプリやシステムを開発する際に、最も気をつけるべき点は何かという質問に対して、コミュニケーションと要件定義の明確化が重要だという回答が約31%という結果となりました。また、約22%の方が、担当者との密なコミュニケーションが重要だと回答しました。担当者が誰か確認すること。要件定義を明確にできる体制・工夫があるかという点がWebサービスの開発を成功させる上でとても重要です。
Webサービスの外注を成功させるポイント・注意点
Webサービスの外注を成功させるポイントと注意点は下記の通りです。
- 企画・準備の段階からコンセプトをしっかりと固める
- 全て丸投げだと失敗する
- 外注先だけどワンチームで開発する
詳しく解説していきます。
企画・準備の段階からコンセプトをしっかりと固める
コンセプトとは「このWebサービスが誰にどんな価値を提供するのか」といった、Webサービスを開発するための指針です。Webサービスは目標達成や課題解決のために開発されます。そこに到達することが出来なければ、Webサービスの価値は薄れてしまいます。
例えば、商品を売りたい、サービスの紹介から成約に繋げたいなど、Webサービスを開発して運営することで何を得たいのかを明確にしておく必要があります。
逆にコンセプトが設定されていないと、下記のように悪い流れに陥ってしまうかもしれません。
Webサービスに関わる自社や外注先のメンバー内で共通のゴールが見えなくなり、完成イメージにも微妙にバラつきが生じてしまう
↓
ターゲット選定も曖昧なってしまい、ユーザー目線の設計ができていない
↓
自社と外注先との間でズレたコンセプト・デザインのWebサービスが完成
↓
Webサービスがリリースされても、目標が達成できず、存在価値が薄れてしまう結果に終わる
そのため見積もりや打ち合わせの段階から、コンセプトをしっかりと伝えることが大切です。具体的には下記の項目を準備しておけると良いでしょう。
- Webサービスの趣旨:何故、Webサービスを開発したいのか
- Webサービスのアピールポイント:商品の特性や強み・競合他社と差別化できる点ターゲットにしたいユーザーのペルソナも明確にしておく
- Webサービスに実装したい機能:機能の実装は可能か、実装するためにどのような手段があるのか確かめる
企画や準備の段階から、コンセプトをしっかりと伝えることを怠らないようにしましょう。
全て丸投げだと失敗する
Webサービスの開発が上手くいかない原因として「外注先に全て丸投げしてしまう」といったケースが見受けられます。
例えば企画・準備の段階からコンセプトなどの具体的な要望を出さなければ、外注先がどのようなWebサービスを開発するのかを、1から考えなければなりません。当然コストや工数が発生してしまいます。
また外注先のメンバーにとっても、モチベーションの面で芳しくありません。丸投げされた上に、やり直しさせられるといった指示を出されれば、Webサービスのクオリティにも自ずと影響が出てしまいます。
また外注先に修正の指示を出すことで、その分の工数は消費されます。結果的に遅延が発生し、更なるコスト発生に繋がってしまいます。
発注者側が開発スケジュールの管理や、元々の要件定義に合ったWebサービスになっているかなど、外注先との認識をすり合わせていくことが大切です。
外注先だけどワンチームで開発する
Webサービス開発は、いわば自社と外注先との共同作業です。お互いに対する配慮やリスペクトの気持ちが大切になります。
外注先と協力して質の高いWebサービスを作るためのポイントは以下の通りです。
- 「外注先に丸投げは失敗に終わる」ことを理解する
- Webサービスの目的やコンセプト、ペルソナを固める
- 質の高いWebサービスを作成するために、必要な状況を全て共有する
- 綿密に打ち合わせを行い、認識のすり合わせを行う
- 納期には余裕をもって依頼する
外注先は「単に仕事を振るだけの相手先」ではなく、ビジネスをともに発展させるためのパートナーという認識を持つべきといえます。
WebアプリとWebサイトの違い
Webサービスの提供形態は、主にWebアプリとWebサイトが一般的です。成功させるためには、それぞれの特徴や違いを把握しておかなくてはなりません。ここでは、WebアプリとWebサイトの違いを紹介します。
Webアプリとは
Webアプリとは、ユーザーがブラウザを通じて利用できるアプリケーションの総称です。PCのアプリやスマホアプリは、ユーザーの端末へインストールして利用しますが、Webアプリはブラウザ上で操作し、クラウドのWebサーバ上で動作する点が特徴です。
Webアプリは、Google ChromeやSafariなどのブラウザ上で動作するため、ユーザーはインストールする必要がなく、ブラウザさえあればサービスを利用できます。そのため、幅広い利用環境からアクセスできます。ただし、インターネットに接続していないと使えません。
Webサイトとは
Webサイトは、インターネット上でアクセスできるWebページの集まりです。ユーザーはウェブブラウザを使用して、Webサイトを閲覧できます。Webサイトは、情報提供やコミュニケーション、ビジネス活動など、さまざまな目的で利用されています。
ただし、基本的な操作に限定され、閲覧や検索などが主な機能です。Webサイトは主にHTMLとCSSで構築されており、静的で一方通行の性質を持ちます。
例えばWordPressなどのツールを使用して作成されたページも一般的にはWebサイトに分類されますが、ECサイトや予約機能を追加した場合はWebアプリと呼ばれることもあります。
それぞれの違い
WebサイトとWebアプリの違いは、主に機能面と構造面において顕著です。ここでは、それぞれの違いを解説します。
機能面の違い
Webサイトは主に情報提供に焦点を当て、基本的な閲覧や検索などの操作に限定されています。一方、Webアプリはログイン、データ入力、編集、保存など、より高度な機能を有し、ユーザーとの双方向コミュニケーションも可能です。
構造面の違い
Webアプリは、JavaScriptやPHPなどのプログラミング言語を活用して構築され、Webサーバとの双方向の通信を実現します。ユーザーからの情報や操作は、Webアプリの「バックエンド」と呼ばれる部分で処理され、その結果が再び「フロントエンド」に反映されます。同じURLでも、Webアプリはユーザーの操作に応じて画面表示が変化します。
一方、Webサイトは、前述の通り主にHTMLとCSSを使用して構築されています。サーバーから送られた情報を受け取って表示することがメインなので、Webアプリと違って一方通行の通信となります。
このようにWebアプリとWebサイトにはさまざまな違いがあるため、使用目的に応じて適切に使い分けることが重要です。Webサイトは情報提供や基本的な操作が主な目的であり、Webアプリは高度な機能や双方向性のあるユーザー体験を提供できます。
Webサービス開発を外注する場合の料金相場
WebアプリとWebサイトを外注する場合の料金相場について、詳細に解説していきます。
Webアプリの料金相場
Webアプリの料金相場は下記の通りです。
【Webアプリの種類】 | 【料金相場】 |
ECサイト | 60~400万円 |
口コミサイト | 80~300万円 |
掲示板サイト | 50~300万円 |
SNS | 100~500万円 |
CMS | 80~400万円 |
予約管理サイト | 80~500万円 |
マッチングサイト | 500~1000万円 |
ゲーム系 | 300~1,000万円 |
どのようなWebアプリでも仕様によって、料金相場は大きく変動します。
Webアプリが持つ機能別の費用の料金相場もまとめています。
【Webアプリの機能】 | 【料金相場】 |
ログイン機能(メールアドレス・SNS) | 10~20万円 |
アプリ内の決済システム | 20~50万円 |
プッシュ通知機能 | 10~100万円 |
ナビゲーション機能 | 2.5~5万円 |
縦/横の表示切り替え機能 | 5~10万円 |
位置情報機能 | 12~25万円 |
チャット・メッセージ機能 | 20~40万円 |
他アプリとの連携機能 | 5~40万円 |
デザインの実装 | 10~100万円 |
Webアプリにおいては、機能を1つ追加するだけでも数十万円の費用が発生することを抑えておきましょう。
最後に、Webアプリの種類や機能以外だけではなく、開発費以外にも費用が発生します。
【種類】 | 【料金相場】 |
サーバー代 | 月1,000円~数万円 |
SSLサーバー証明書 | 5~10万円 |
運用保守 | 開発コストの約15% (ランディングコスト) |
サーバーは、Webアプリを動かすためには必要不可欠です。SSLサーバー証明書は「通信データの暗号化」を行うことで、「なりすまし」や「盗聴」を防ぐ役割があります。
Webサイトの料金相場
Webサイトの料金相場は20~30万円が1つの目安です。デザインや機能などにこだわりを持ちすぎると、100万円を超えることも珍しくありません。
一方でテンプレートを使用している制作会社であれば、3~10万円の費用で済むケースもあります。Webサイト制作の料金相場は下記の通りです。
【種類】 | 【料金相場】 |
オリジナルデザインでの制作 | 20万円~100万円 |
テンプレートデザインでの制作 | 3~10万円 |
WordPressの設置 | 3万円 |
テンプレートのカスタマイズでの制作 | 20~30万円 |
ECサイトの制作依頼 | 50万円以上 |
独自システム(CMS)の構築 | 100万円以上 |
外注先の種類ごとの料金相場は下記の通りです。
【種類】 | 【料金相場】 |
中小企業の制作会社 | 30万円~100万円 |
大規模な制作会社 | 100万円~ |
外注制作を主としている制作会社 | 通常の相場にマージンが15~40%上乗せ |
個人事業主 | 10~20万円 |
Webサイトの場合も、機能やデザインや外注先によって、料金相場が変動することを抑えておきましょう。
Webサービス開発を外注する際の流れ
実際にWebサイトやWebアプリを開発する場合は、どのような手続きを踏む必要があるのでしょうか。ここでは、Webサービスを外注する際の流れと注意点を紹介します。
要件のヒアリング・確定
最初にWebサービスの目的や機能、ユーザーのニーズを明確にするために要件をヒアリングします。ユーザーストーリーやユースケースを作成し、開発の方向性を確定しましょう。
開発言語とフレームワークを検討
開発の方向性が決まったら、最適なプログラミング言語とフレームワークを選定します。
プロジェクトの規模や、要件に合った技術を検討することが大切です。
デプロイ環境、開発モデルを検討
次に、Webサービスを公開するためのデプロイ環境(クラウドプロバイダーなど)を選定します。また、並行して開発モデル(ウォーターフォール、アジャイル、DevOpsなど)を決定しなくてはいけません。
契約形態の検討
開発の発注内容が固まった後は、外注先との契約形態を検討します。契約書の作成や法的なポイントを確認ししたうえで、外注先に説明を行います。
見積もり
見積もりを取得する前に、まず社内で開発にかかる予想コストを評価しておくことが必要です。そのうえで、複数の外注先に見積もりを依頼し、精査したうえで予算を確定します。
契約締結
契約書を作成して、外注先と開発委託契約を締結します。この段階で納期や品質基準、報酬などを明確化しておかないと、開発後にトラブルへ発展する可能性があるため注意が必要です。
開発着工
外注先に発注後、開発が始まります。外注先とのコミュニケーションを密に取り、進捗管理を行いましょう。
なお、Webサービスの外注開発は、適切な外注先を選ぶことが成功の鍵です。事項以降で、外注先を選ぶポイントを紹介します。
外注先に求めることを明確化しておく
Webサービス開発全体の価値は、下記の要素によって決まります。
- 品質
- コスト
- スピード
詳しく解説していきます。
品質
Webサービス開発における品質とは「成果物としてのWebサービスに求められるニーズや要求がどの程度満たされているのか」という達成の度合いを指します。
ニーズや要求を指標として示すために「スコープ」が用いられます。「スコープ」は成果物であるWebサービスの要件、完成までのタスクの実行範囲を定義付けたものです。
「スコープ」を定義づけるためには、納期やコストとのバランスを取りながら、発注者のニーズや要求を「実現可能なWebサービスの要件やタスクの計画」に落とし込む必要があります。
「スコープ」をより明確にすることで、開発したいWebサービスの品質も明確になります。そのためにも発注者は、外注先と協力してプロジェクトを進められるかが重要です。
コスト
Webサービス開発にかかるコストを明確化するためには、発注者側にも抑えておくべきポイントがあります。
- 予算を明確に伝える
目的と予算が明確であれば、適正な金額の見積書を提示してもらうことが可能です。できるだけ具体的にイメージを固めておくようにしましょう。
- 外注先に丸投げしない
前述の通り、具体的な要望を出さなければ、外注先がどのようなWebサービスを開発するのかを1から考えなければいけません。修正対応が重なれば、見積もりと完成時のコストにズレが生じてしまいます。
- 対応可能な工程は自社で行う
コストを抑えるうえで、対応可能な工程を自社で行うのは重要なポイントです。外注先に任せる部分と、自社で行う部分を切り分けて考えることで、最適な費用の算出が可能になります。
スピード
Webサービス開発においては、スケジュール管理も重要になります。事前に納期を設けておくことで、外注先と相談しながら納期から逆算してスケジュールを組むと良いでしょう。
またスケジュールの遅延の原因として、自社側のタスク不足の把握が挙げられます。自社のタスクが把握できていないと、業務を捌ききれずに、希望の納期に間に合わない事態に陥るかもしれません。発注者が納期を明確にすることも大切です。
外注先を選ぶときの5つのポイント
外注先を選ぶときの5つのポイントは下記の通りです。
- 開発実績が豊富か
- 担当者の人柄や相性は良さそうか
- 見積もりの金額は妥当か
- 提案書の内容は充実しているか
- 品質確保の仕組みがあるか
詳しく解説していきます。
開発実績が豊富か
Webサービス開発を依頼したいなら、必ず開発実績を確認するようにしましょう。実績の多さも重要ですが、実績の種類にも目を向ける必要があります。
またプロジェクトリーダーの役割を担う担当者の実績や経験も重要です。会社と担当者の双方の実績やスキルを考慮して選ぶようにしましょう。
担当者の人柄や相性は良さそうか
Webサービスの開発に携わる担当者(プロジェクトマネージャー)との相性が良さそうかどうか確かめてみるのも大切です。Webサービス開発の期間は数ヶ月程度ですが、長期であれば1年以上になります。
具体的な担当者との相性のポイントは下記の通りです。
- 発注者のレベルに合わせて、分かりやすく丁寧に説明してくれるか
- Webサービスの開発を一緒に進めていくうえで熱意を示しているか
上記を踏まえて、実際の打ち合わせを行った時の印象を参考にしてみましょう。
見積もりの金額は妥当か
Webサービス開発の見積もり依頼をするなら、どのような内訳で構成されているのかを理解しておくことが重要です。具体的な作業内容を知っておくことで、費用が適正かどうかを判断することができます。
Webサービス開発の見積もりにおける代表的な項目は下記の通りです
- 要件定義費用
要件定義費用は基本的にかかった時間で算出します。マネージャーのような役職者であれば、60~100万円が料金相場です。ただし仕様が複雑な場合は、費用も増える傾向にあります。
- 設計費用
設計費用とは、Webサービスとして実現させるために必要な環境を検討するための費用です。要件定義で決定した内容がベースとなります。
- デザイン
デザイン費用とは、UIデザインにかかる費用のことです。UIとは「ユーザーから見た画面」を指します。
- 開発費用
開発費用とは、開発に携わるエンジニアの人件費です。この開発費用が、Webサービス全体の費用の大半を占めます。
また複数の業者との相見積もりを取って比較することで、自社が開発したいWebサービスの料金相場が妥当なのか判別できるでしょう。
提案書の内容は充実しているか
契約前の段階で作成されるのが提案書です。どのようなサービスを提供できるのかを提案するための資料となります。
初回の打ち合わせや事前に提供された資料から、担当者が提案書を作成します。提案書で記載される主な内容は下記の通りです。
- Webサービス開発の目的
- 要望
- 方針の提示
- サイトマップ
- ワイヤーイメージ
- 開発面における具体的なポイント
- 予算見積もり
- 概算スケジュール
提案書をもとに過不足がないか、きちんと目を通しておきましょう。
品質確保の仕組みがあるか
一般的にはWebサービスの開発は「プロジェクトマネージャー(PM)」が品質管理における責任者です。つまりPMの実力次第で、プロジェクトの成否が左右されかねないリスクも存在します。
いわゆる属人的なスキルに左右されない品質管理を目指すために、PMOやQMOを配置する開発会社が増えています。
PMO(Project Management Office)とは、組織内のプロジェクトマネジメントを横断的に支援する部署です。目的として、プロジェクト管理や品質管理を強化することで、開発プロジェクトの成功率を高めて、顧客に高い価値を提供することが挙げられます。
QMO(Quality Management Officer)とは、PMO内で、品質管理に特化した役割を担う役職のことです。
属人化による品質のブレを避けるためにも、PMOやQMOのような仕組みが整っているか着目しておきましょう。
まとめ
業界的には、システム開発のプロジェクトの成功率は30%程度と言われています。株式会社Pentagonでは、こうした背景に対応して、品質向上や開発速度UPのための取り組みを日々実施しております。また当社では、デザイナーがWebサービスの設計に関わることで、UI/UXに優れたアプリケーションの開発を実現しています。
Webサービスの開発をご検討中の方は、ぜひ一度お問い合わせください。無料相談も実施しております。