アプリ運用で見るべきKPIは?収益を上げる重要指標を解説

アプリの市場を調査する会社として知られているApp Annie社によると、2016年時点でアプリの市場規模は全世界で7兆8千億円に上ると報告されています。ダウンロードされるアプリの数はここ数年増え続けており、ユーザーがアプリを利用する時間も長くなっています。Googleが調査した2016年時点で供給されているアプリの数は、App Storeだけに絞ってみても200万本以上。このように百花繚乱するアプリの中から自社アプリを選んでもらうには、戦略の立案が必要になります。

そして、アプリ運用を成功に導くために欠かせないのがKPI・KGIの設定です。この記事ではアプリ運用で見るべきKPI・KGIと、収益を上げるうえで重要な指標を解説します。

アプリ運用における重要なKPI・KGIとは?

ここではKPI・KGIの定義について解説します。

そもそもKPIやKGIとは?

KPIはKey Performance Indicatorsの略で、直訳すると重要業績評価指標です。企業の売上高などの達成目標に対して、目標をどの程度達成したかを示す評価指標を意味します。KPIは、業績の目標に至るまでのプロセスの中で達成度を把握・評価する中間目標として有効なものです。そのため、KPIの設定はそれに続く最終目標を達成するために欠かせません。

KGIはKey Goal Indicatorの略で、直訳すると重要目標達成指標です。KPIと異なるのは、KPIは中間目標を指すのに対し、KGIは最終目標を指すという点です。したがって、行動目標を立てるにあたって最初にKGIを設定し、それを適切な形で分解してKPIを定めます。

KPIをKGIに繋げるためのポイントは以下の3つです。

  • 目標達成に至るまでにクリアすべき課題について背景を含めて分析、明確化すること
  • KPIを毎週もしくは毎日振り返りながら次のアクションに繋げるための仕組みづくり
  • 日々変化する市場環境に適応するKPIの定期的な再検討、改善

アプリの重要指標

ここからは、アプリの重要指標について解説します。

アクティブユーザー数

自社アプリを運用していくうえで効果測定は欠かせませんが、いたずらにダウンロード数だけを追っても意味がありません。ダウンロード数が増えているのにもかかわらず売上向上などの効果が見られないときは、違う指標で効果を見ることも必要です。なぜならば、月額課金型のアプリ以外は、ダウンロードしてもらっただけでは売上に繋がらないためです。

ニュース系のアプリなら定期購読者を獲得し、ユーザー数を増やして広告収入増加を目指さなければなりません。また、EC系アプリならバーゲン情報や割引クーポンを提供することによってユーザーをECサイトに誘導し、購入へ繋げる必要があります。

ここで注目すべき指標が、「アクティブユーザー数」です。広告やお得情報を提示することで新規にダウンロードするユーザーを増やしても、既存のユーザーが何も行動を起こさなければアクティブユーザー数は増えず、当然売上も上がりません。

アクティブユーザー数はMAU、WAU、DAUの3種類の、それぞれ対象期間の異なるアクティブユーザー数で把握します。MAUはMonthly Active Usersの略で、月間のアクティブユーザー数を指し、WAUはWeekly Active Usersの略で、週ごとのアクティブユーザー数を表します。DAUはDaily Active Usersの略で、日ごとのアクティブユーザー数を意味します。これら3つの指標は、アプリの持つ特徴やKGIに応じて使い分けていくものです。

アクティブユーザーを構成する要素

アクティブユーザーを構成する要素は、各チャネルからの流入数、インストール数、継続率の3つから構成されます。以下でそれぞれについて解説します。

各チャネルからの流入数

アクティブユーザーは新規ユーザーと既存のリピートユーザーに分けられます。そして、新規ユーザーが流入してくるチャネルは、ストア・広告・口コミからの流入の3つに大別できます。この3つの流入先から多くの新規ユーザーを取り込むためには、それぞれに合った施策を打ち出していくことが大切です。

ストアからの流入を上げる施策としては、ASO(App Store Optimization)が有効です。ASOとは、ストア内の検索結果表示順位を上げることでユーザーの獲得を図る施策です。的確なキーワードの選定や説明文・画像の充実によって、より多くのユーザーの目に留まるようにしていきます。

広告からの流入では、広告の配信が可能なメディアを複数束ねて広告を配信するアドネットワークや、成功報酬型のリワード広告を活用して獲得した新規ユーザーの数を指標とします。ターゲット層および広告の効果が最も高い流入元を分析して、より多くのユーザーを獲得できる箇所に重点的に広告を出せるようにしていきます。

口コミでの流入では、アプリをダウンロードしたユーザーの紹介で新たにダウンロードしたユーザーの数を指標とします。口コミでの流入を増やす手法としてはさまざまな方法が考えられますが、例えばDropboxではユーザーがアプリを紹介すると無料で使用可能な容量をプレゼントするというインセンティブを付けることで、ユーザー数を増やすことに成功しています。

インストール数

アプリの運用実績を示す指標として、ニュースなどで「〇〇万回ダウンロード突破!」のようなキャプションを目にすることがあります。しかし、前述したようにダウンロード数はアプリを運用するうえでは必ずしも目標とすべき指標ではありません。実際にアプリが利用されていることを示すインストール数の方が、アプリで収益を上げていくうえで大切な指標です。

ダウンロードとは、インターネットに繋がっているPCやスマートフォンにファイルやアプリのデータを保存することです。つまり端末の中にデータはあるものの、まだ利用できる状態にはなっていないことを指します。

一方、インストールとは、アプリをPCやスマートフォンに追加して利用できる状態にしていることです。実際にアプリ市場分析サービスのApp Apeでは、ダウンロード数とインストール数を別々の指標として解析するほど重要な指標なのです。

ダウンロード数に目を向けていても、ユーザーが実際にインストールして使ってくれていなければビジネスモデルとして成り立ちません。そのため、アプリを運営して行くうえではダウンロード数とインストール数の2つを区別して捉える必要があります。

継続率

各チャネルからの流入数とインストール数に加え、継続率もアクティブユーザーを構成する要素です。継続率は、アプリを初めて起動したときから一定の日数が経った後に再度起動したユーザーの割合です。

アプリはインストールの直後から非常に高い割合で離脱が生じます。ドイツに拠点を置く広告会社のAdjust社の調査によると、インストールされたアプリが継続して使用される率は1日経過後に約3割、1週間経過後には約2割まで下がるという結果が報告されています。したがって、アプリは公開しただけでは収益に繋がりません。継続率を維持するために工夫と改善を続けて、アプリがユーザーの端末の中でアクティブである状態をいかに向上させるかが鍵になります。

継続率を維持・向上させるための施策としては、アプリの使い勝手を追求し、魅力を伝えることが考えられます。例えばチュートリアルや動画を用いてアプリの使い方や魅力を伝えたり、プッシュ通知で新着情報を知らせたりとユーザーを飽きさせない施策などが有効です。

ARPU(1ユーザーあたりの平均売上額)

アプリの運用実績を測る指標として「ARPU」というものがあります。ARPUとは、Average Revenue Per Userの略で、ユーザー1人あたりの平均売上額を示すものです。主として通信プロバイダー事業のように月額で課金するビジネスで使われてきた指標ですが、最近ではPCやスマートフォンのゲーム事業でも企業の業績評価指数として使われるようになってきました。ARPUは売上をユーザー数で割って算出します。

例えば、6億円の売上に対しユーザー数が6万人であればARPUは1万円になります。ゲームアプリを運営している場合、有料ユーザーと無料ユーザーの2種類のユーザーが存在しますが、ARPUは両方を含めて計算するので収益化の度合いを計測する指標として役立ちます。

売上を向上させるためには、新規のユーザー数を増やすかARPUを上げなければいけません。しかし、アプリが一定度まで普及すると新規のユーザー数は伸びなくなるので、この場合はARPUをどれだけ上げることができるかが売上向上のために重要になります。

ARPUを構成する要素

ARPUを構成する要素は課金のモデルごとに異なります。以下にそれぞれのモデルについて解説します。

 有料アプリ販売で収益を上げる場合

アプリそのものに販売価格を設定してダウンロードしてもらう収益モデルでは、「DL数×アプリ単価」が収益になります。しかし、無料アプリがランキング上位を占める中で、有料アプリへの課金ハードルは上がっているのが現状です。そのため、一定の知名度のあるゲームタイトルや電卓、睡眠アプリといった実用性のあるアプリが、有料アプリとして成功しやすい傾向にあります。

また、有料アプリへの導線として、無料アプリで使用感を試してもらう施策も有効です。利用時間や機能に制限を付けた状態で無料版をリリースし、気に入ったユーザーに有料版へ移行してもらいます。

なお、有料アプリの販売促進施策として値下げセールを行うことがありますが、あまり頻繁に行うとユーザーは次回のセールまで待とうという心理が働いて、買い控えるようになる危険性があります。セールは不定期かつユーザーの予想外のタイミングで行う方が効果的です。

アプリ内課金で収益を上げる場合

前述の有料アプリ販売で収益を上げるモデルはイニシャルコスト収益型と呼ばれ、有料アプリを初めて購入するときの売上で収益を上げるケースです。それ対して現在増えているのは、ソーシャルゲームやツール系のアプリなどでアプリ内課金によって収益を上げる、ランニングコスト収益型のモデルです。特にゲームアプリの世界では、アプリは無料ダウンロードで提供し、アイテム課金やパッケージ販売、月額課金によって収益を上げるモデルが多く採用されています。

アプリ内課金型のARPUを構成するのは、ARPPU(Average Revenue Per Paid User:有料ユーザー1人あたりの平均収益)とPUR(Paid User Rate:有料ユーザー率)の2つです。ARPPUは商品の単価、1回に購入する数や購入する頻度で決まり、ARPUは「ARPPU×PUR」で求められます。

例えばゲームアプリにおいて1ヶ月の間課金するユーザーが20%存在して、ユーザーの購入金額が1ヶ月間平均2,000円、購入するアイテム数が平均2点、購入頻度が4回だとします。その場合、この月のARPPUとARPUは以下のとおりです。

ARPPU=2,000×2×4=16,000

ARPU=ARPPU×PUR=16,000×20%=3,200円

広告で収益を上げる場合

広告を表示することで収益を得るモデルの場合、アプリのARPUはエンゲージメントと呼ばれるユーザーがアプリを使用している状態に、CPM(Cost Per Mille:掲載回数1,000回あたりにかかる広告料金)を掛けたものになります。エンゲージメントはPV(Page View:Webページがブラウジングされた回数)やアプリの使用時間、起動頻度、ソーシャルメディアの口コミ発生数などで構成されます。ARPUの計算式は以下の通りです。

ARPU=エンゲージメント×(CPM÷1,000)

例えば、無料アプリでCPMが500円、1インプレッション(広告が表示された回数)あたりの単価が0.5円、ユーザー1人あたりの広告表示回数が1日平均30回の場合、「ARPU=30×0.5=15円」となります。

また、アプリ内に表示された広告がクリックされる回数で課金する場合は、CPC(Cost Per Click:クリック1回あたりで発生する広告料金)にCTR(Click Through Rate:クリック率)を掛けたものがARPUになります。

アプリマーケティングにおいて知っておくべきKPI指標

アプリマーケティングで自社の目標をクリアするためには、いくつかのKPIを設定し、PDCAをまわしながら達成しなくてはいけません。ここでは、特にアプリマーケティングで広告配信する場合に知っておくべきKPI指標を3つご紹介します。

ROAS

ROAS(Return on Advertising Spend)とは、投資した広告コストに対してどの程度の売上を回収できたかを計る指標であり、広告費の回収率を示すKPIです。

ROASは、広告経由で発生した売上を広告費用で割った数値で表され、以下の計算式で算出できます。

ROAS = 広告経由の売上 ÷ 広告コスト × 100%

ROASが高ければ高いほど、広告の費用対効果が高いと判断することが可能です。ROASを用いることで、アプリの費用対効果を把握し、効率的な広告戦略を立てられます。最低でも、100%以上であることが望ましいでしょう。

ROI

ROI(Return on Investment)とは、投資した広告費用に対してどれだけの利益が生まれたかを評価するためのKPIです。企業の広告費用から生み出される収益を正確に評価するために使用されます。計算式は以下のとおりです。

ROI = (収益 - 広告費用) ÷ 広告費用 × 100%

ROIが高ければ高いほど、広告の費用対効果が高いといえるでしょう。ROIを計算することで、広告戦略の効果を評価し、改善点を特定できます。

なお、ROASとROIの違いは、前者が特定のキャンペーンに関連するコストのみを計測するKPIであることに対し、後者は企業全体の広告費用から生み出される収益を計測するKPIである点です。

LTV

LTV(Life Time Value)とは、ある顧客が取引開始から取引終了までの期間に、自社にどれだけの利益をもたらすかを表すKPIです。日本語では「顧客生涯価値」と訳されます。

LTVを高めることにより、短期的な利益に左右されずに、顧客との長期的で良好な関係を構築することが可能です。新規顧客獲得が難しくなってきた近年のビジネス環境では、LTVを最大化することが重要といわれています。

LTVは以下の計算式で算出が可能です。

LTV = 粗利 × 継続期間

顧客満足度を向上させることで長期的な取引が促進され、LTVが向上します。新規獲得コスト(CPAまたはCAC)とのバランスを考慮し、適切な広告戦略を展開することが重要です。

アプリのKPI・KGIを設定する際のポイント

アプリマーケティングを成功させるためには、適切なKPI・KGI設定が必要です。アプリのKPI・KGIを設定する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。

効果的な指標を設定するためには「SMARTの原則」を活用するのがおすすめです。

SMARTの原則は、以下の5つの要素から成り立っています。

  • S(Specific/具体的な): 指標は具体的であるべき
  • M(Measurable/数値で測定可能な): 指標は数値で計測できることが重要
  • A(Achievable/実現可能な): 指標は実現可能である必要がある
  • R(Relevant/関連性がある): 指標は目標と関連性があるべき
  • T(Time-bounded/期限が明確である): 指標には期限が明確に設定されているべき

抽象的で理解しにくい指標や、達成が難しい指標、最終的な目標との関連性が希薄な指標は適切なKPI・KGIとはいえません。チームメンバー全員が共通認識にできる具体的な数値を設定することがポイントです。また、KGIからブレイクダウンしたKPIを設定し、具体的な施策を検討します。

KGI・KPIを設定した後にすべきこととは?

アプリのKGIとKPIの設定は、アプリマーケティングのスタートに過ぎません。ここでは、KGI・KPIを設定した後にすべきことをご紹介します。

アクションプランの作成

KPI・KGIを設定した後は、具体的な施策であるアクションプランを策定しなくてはいけません。アクションプランを策定する際は、各KPIの達成に必要な手順を明確に設定しましょう。このとき、施策はKPIだけでなくKGIにも関連していることが重要です。

施策の数は多めに用意しておきましょう。思ったような成果が上がらなかったり、KPIが未達成になったりした場合に、他のアクションプランを活用することによって軌道修正が容易になるためです。

このように、アプリの運用を開始する前から、具体的なアクションプランまでを想定し、運用が開始されたら予定通り進行しているかどうか、進捗が遅れている場合は原因と改善策を検討する作業が欠かせません。アクションプランの効果を評価し、問題点を洗い出して、改善策を実行する一連のプロセスを体系化しましょう。

効果測定を行う

アプリマーケティングにおいて、効果測定は非常に重要です。アプリの場合、施策やチャネルに焦点を当てる一方で、広い視点でのマーケティング全体や売上貢献を考慮する必要があります。

KPIを設定する際に仮説が誤っていた場合、個々の施策の効果はあっても、全体のKPIを達成できない可能性があるでしょう。したがって、施策の効果を追跡しながら、望む結果が得られたかどうか、アプリマーケティング全体に与えた影響を分析し、仮説を修正し改善策を考えなくてはいけません。

また、売上などのKGIに関連するデータを適切に管理できない場合、他の部署とも連携してデータの収集と統合を行う必要があります。

なお、アプリマーケティングの効果測定を行う際には、Googleアナリティクスを活用して、施策のKPIを管理するのがおすすめです。また、BIツールやダッシュボードツールを活用して結果を共有すれば、意思決定のスピード向上に役立てられます。

Googleアナリティクスの活用

GoogleアナリティクスはGoogleが提供している無料のWeb解析サービスです。アプリのユーザーデータを収集し、詳細な分析を行うことが可能です。

例えば、次のような情報を把握することが可能です。

・ユーザーアクセスの追跡:アプリに訪れたユーザーの数、閲覧回数、どのページを訪れたかなど、アクセスに関する情報を収集します。

・流入経路:ユーザーがアプリにどのようにアクセスしてきたのか、流入元(例:広告、検索エンジン、ソーシャルメディア)を把握します。

・ユーザーセグメンテーション:ユーザーグループを定義し、異なるセグメントのユーザーの行動や傾向を理解します。例えば、新規ユーザーとリピーターの比較などが可能です。

・コンバージョンの追跡:アプリ内でのコンバージョン(購入、サインアップ、特定のアクション)を監視し、コンバージョン率を評価します。

・リアルタイムデータ:ユーザーのリアルタイムの活動をモニタリングし、迅速に対策を講じられます。

Googleアナリティクスはアプリマーケティングにおける戦略の評価や最適化に不可欠なツールであり、無料版から有料版のGoogleアナリティクス 360まで、さまざまなバージョンが提供されています。

特に有料版では、データ処理の能力や統合レポートなどが強化され、より高度な分析が可能です。

まとめ

KPIは課題の顕在化とその改善すべき点の明確化など、具体的な指標として有効です。例えばアプリ運用で販売促進を狙って売上額を設定する場合では、そこに至るまでのプロセスの各段階における実施状況を評価して、目標達成に必要なダウンロード数が今後何回になるかという見通しを立てることが可能です。

また、アプリ運用においてダウンロード数を増やすためにプロモーションを展開するなど、具体的なアプローチの仕方を選択するのに役立ちます。さらに、KPIに加えてアクティブユーザー数やARPUを指標とすることで、企業は収益を上げるための効果的なアプリ運用が可能になります。この記事を参考に、アプリ運用で見るべきKPIを設定してみてください。

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