Webサービスの開発言語は何が使われる?言語選定のポイントなど紹介

Webサービスの開発にあたって、どのような開発言語を選定すれば良いか分からない新規事業担当者の方も多いのではないでしょうか。

当記事では、Webサービスの開発言語の選定ポイントや、実際に開発で使用されているプログラミング言語について紹介していきます。

Webシステムの仕組み

Webシステムとは「インターネットに接続し、Webブラウザを介して閲覧・利用できるシステム」のことです。

具体例として、マッチングサイト・ポータルサイトなどのWebサービス、ECサイトといったeコマースサービス、勤怠管理・経費管理などのSaaSなどが挙げられます。

Webシステムの特徴は下記の通りです。

  • Webブラウザを介して利用する(Google Chrome,Microsoft Edge,Firefox,Safari)
  • Webブラウザとインターネット接続があれば、いつでもどこでも使える
  • インストール不要で使える

クライアントサーバシステムとWebシステムの違い

クライアントサーバシステムとは、コンピュータを「クライアント」と「サーバ」に分けて、それぞれ役割分担をして運用する仕組みです。

  • クライアント:リクエスト(要求)を送ってレスポンス(応答)を表示するWebブラウザ(クライアント)

クライアントサーバシステムでは、クライアントの側にも必ず専用アプリをインストールさせる必要があり、アプリにデータ処理の一部を担当させます。一方、Webシステムはアプリが不要で、管理やメンテナンスが容易といったメリットがあります。

  • サーバ:リクエストをアプリケーションによって処理してレスポンスを返すWebシステム(サーバ)

Webシステムを開発する場合、1台のサーバコンピュータ内に「サーバOS + アプリケーション + データベース」をまとめて構築します。(比較的規模が小さい場合)

※アプリケーションとは「特定の目的を果たすために作られたソフトウェア」のことです

Webシステムが動作する具体的な流れは下記の通りです。

【手順】【担当する側】
1.クライアントがサーバにリクエストを送信クライアント(Webブラウザ)
2.サーバがリクエストを受信サーバ(アプリケーション)
3.サーバがデータベースから必要なデータを取得サーバ(アプリケーション・データベース)
4.サーバがリクエストに応じてデータ処理・
クライアントにレスポンスを送信
サーバ(アプリケーション・データベース)
5.クライアントがレスポンスを受信・表示クライアント(Webブラウザ)

本来は、Webシステムもクライアントサーバシステムの一種となります。クライアントサーバシステムのうち、Webブラウザをクライアントとして使うシステムがWebシステムで、それ以外をクライアントサーバシステムと呼んでいます。

プログラミング言語(開発言語)とは

そもそもプログラミングとは「コンピュータを使ってプログラム(=コンピュータへの指示を記述したもの)を作成すること」を意味します。つまり、「コンピュータに指示を出すこと」です。

コンピュータに指示を出すために使われる言語が、プログラミング言語です。

プログラミング言語で出来ることの代表例は下記の通りです。

  • Webアプリ・Webサービス開発
  • スマートフォン向けアプリ開発
  • AI(人工知能)開発
  • ゲーム開発
  • 業務系システム開発

プログラミング言語は1,000種類を超えると言われており、一定数のユーザーがいる言語でも250種類以上と言われています。

では、どのようにしてプログラミング言語(開発言語)を選定していけばよいのでしょうか。

開発言語選定における4つのポイント

開発言語選定におけるポイントは下記の通りです。

  • 日本で技術者を確保しやすいこと
  • 古すぎず新しすぎない言語
  • 自社の開発環境
  • データベースとの接続

詳しく解説していきます。

日本で技術者を確保しやすいこと

日本で普及している言語を選ぶことで、将来的に技術者を確保しやすくなるメリットがあります。

日本での普及率を基準に言語を選ぶのであれば、Ruby・PHP・Pythonなどは有力な選択肢です。特に日本国内ではRuby・PHPの人気が根強く、多くの企業で採用されています。

社内のエンジニアの人数、言語習得の難易度、求人数の観点から技術者を確保しやすいかどうか考えてみましょう。

古すぎず新しすぎない言語

プログラミング言語を選定するなら、古すぎず新しすぎない言語を選定するようにしましょう。

いわゆる古くて将来性の無い言語は、クセが強くて読みにくく、使用用途が限られています。解読に時間がかかってしまい、プロジェクトメンバーが書き方を統一するなど負担を強いられます。汎用性のある言語に取って代わられる可能性が高く、事業の存続という観点からも望ましくありません。

新しすぎる言語は、インターネット上にコンテンツが乏しいことから、学習面において不便です。ツールのサポート面でも不利を被ります。既存言語は仕様の改善が重ねられているので、プログラミング言語環境が充実している状況です。

自社の開発環境

もし自社に既存システムがある場合は、自社の開発環境がどのような現状かを認識することも大切です。

プログラミング言語によって、扱うことができるエンジニアの数は大きく異なります。いわゆる稀少言語では、社内だけで人材を確保できず、開発が難航するかもしれません。

自社のエンジニアのスキルや既存システムの開発言語に合わせることができれば、それに合わせることで、社内で扱うプログラミング言語が少なくて管理しやすくなります。

データベースとの接続

システム開発にはデータベースが不可欠です。ただし、開発したいシステムによって適切なデータベースは異なります。

検索・分析が必要なWebサービスの場合は、RDS(リレイショナルデータベース)がおすすめです。NoSQLというデータベースは、簡単に実装できる一方で、検索性能があまり良くないので、サービスの特徴に合わせて適切なデータベースを選ぶ必要があります。

選定候補の開発言語とデータベースの相性については、事前に確認しておくようにしましょう。

Webサービスに使われる開発言語:フロントエンド

Webサービスに使われる開発言語である、フロントエンドについて紹介していきます。

フロントエンド

フロントエンドとは「ユーザーが直接的に操作できるWebサイトの部分」のことです。ユーザーが見たり、触れたり、体験できる全ての部分が含まれます。

フロントエンド開発の流れは下記の通りです。

  1. 画面全体の初期設計:ページの表示情報、実装するユーザー操作を決め、ページの遷移図を作成します。
  2. 共有パーツ定義:共通パーツとは、WebサイトやWebアプリの複数のページで共通して使われる要素や部品のことです。共通パーツを定義することで、開発工数の削減が可能になります。
  3. アクション・レスポンス定義:ユーザーからの要求に対する応答(レスポンス)を定義します。ユーザーのアクションに対する応答は、WebサイトやWebアプリの操作性を左右する重要な要素となります。
  4. マークアップ実装:HTML/CSSといったマークアップ言語を用いて、各ページの実装を行います。
  5. JavaScript・TypeScript実装:JavaScriptやTypeScriptを用いて、アクション・レスポンスや共通パーツに動きをつける処理を実装していきます。
  6. ブラウザ検証:実装が完了したら検証フェーズに移ります。仕様通り機能が実装されているか、画面表示に乱れがないかといった機能確認を行います。

それでは、フロントエンドの開発言語について紹介していきます。

HTML/CSS

HTMLとCSSは、Webページを構築する言語で、Webページ作成の基本となります。

HTMLは「Webページの内容を作成する骨組みとなる言語」です。「文字の太さ」や「文字の色」を変更したり、強調することができます。

CSSは「HTMLの表示レイアウトを装飾するための言語」です。画面の装飾やレイアウトを整えて、見栄えの良いWebページを作るにはCSSが必要です。

HTMLとCSSでWebページを作成する流れは、下記の通りです。

  1. デザインやレイアウトをイメージして書き出す
  2. ファイルやフォルダを作成する
  3. HTMLを書く
  4. CSSを書く
  5. レスポンシブ対応を行う(パソコンとスマホにおけるデザインの最適化)
  6. 適応されているか確認する

HTMLとCSSはWebサイト制作の基盤となるため、エンジニアではなくても知識として習得しておくことが望ましいです。

JavaScript

JavaScriptとは「動的なWebページを作るための言語」です。代表的な機能として、「ポップアップウィンドウ」や「スライドショー」が挙げられます。

JavaScriptで効率的に開発を行うための技術も合わせて紹介します。

  • React

Reactとは「WebアプリのUI部分やWebサイトを開発するときに活用する、JavaScriptライブラリ」のことです。

※ライブラリとは「プログラムにおいてよく利用される機能を切り出して、再利用しやすいようにまとめたもの」です。よく利用する機能を1から作る必要が無いので、効率的に開発が可能になります。

  • Vue

Vueとは「WebアプリのUI部分などを開発するときに活用する、オープンソースのJavaScriptフレームワーク」のことです

※フレームワークとは「アプリケーション開発の土台となる枠組み」のことです。よく使う機能が集約されているので、効率的に開発が可能になります。

  •  Next.js

Next.jsは「Reactをより高度に構築するためのフレームワーク」です。Next.jsとReactの1番の違いは、サーバー機能の有無となります。、Next.jsは単体でWebアプリを動作させることができますが、Reactは別途サーバーを用意する必要があります。サーバーを用意することで、Reactのほうが学習コストや難易度が高くなります。

Webサービスに使われる開発言語:バックエンド

Webサービスに使われる開発言語である、バックエンドについて紹介していきます。

バックエンド

バックエンドとは、サーバーサイドの処理を指します。一般的にユーザーの目に見えることのないサーバーやデータベース、機能、処理を担うプログラムやモジュールなど、仕組みや機能、部品のことです。

バックエンド開発の流れは下記の通りです。通常の開発業務とほぼ同様の手順となります。

  1. 企画:仕様書の作成やWebサービスの開発に必要な情報をまとめる
  2. 設計:画面デザイン・機能・ボタンなどWebサービスの設計を行う
  3. 開発:設計をもとにWebサービスを開発 不具合が起きたら再度設計
  4. テスト:アプリの動作に不具合がないか確認 不具合があれば修正
  5. リリース:不具合を修正後にリリースする

それでは、バックエンドの開発言語について紹介していきます。

PHP

PHPは「WebアプリやWebサイトに動きをつけるために開発された言語」です。実例としては、掲示板や企業のお問い合わせフォームやECサイトのショッピングモールが活用されています。

PHPのメリット・デメリットは下記の通りです。

【メリット】

  • 構文がシンプルでわかりやすい
  • インターネット上で多くの情報を得られる
  • フレームワークが豊富で強力

【デメリット】

  • Web以外の開発には向かない
  • セキュリティに脆弱性がある
  • 自由度が高すぎる(バグを見逃しやすい)

PHPは比較的習得しやすく、企業が展開する多くのWebサービスでPHPが使われています。PHPを習得するエンジニアは今後も増加することから、企業や採用担当者としては安定した供給に期待ができるでしょう。

Ruby

Rubyは「日本人のまつもとひろゆき氏によって開発された、オブジェクト指向スクリプト言語」です。

※オブジェクト指向とは「処理を部品化して、部品を組み合わせることで1つのプログラムを作る考え方」を指します。

また、スクリプト言語とは「比較的容易に学習ができるプログラミング言語」を指します。

Rubyのメリット・デメリットは下記の通りです。

【メリット】

  • 学習コストが低い
  • 開発工数を抑えられる
  • システム改修も素早く行える

【デメリット】

  • 機械学習には不向き
  • 大規模開発には不向き
  • 処理速度が遅い

Rubyは、Ruby on Railsなどのフレームワークを使用して、Webサービスの開発で使用されるのが一般的です。Ruby on Railsは他のプログラミング言語と組み合わせることで、Webアプリ開発やAPI開発もできるようになります。

Python

Pythonとは「Web開発やデータ分析など、様々な分野に使える汎用性の高い言語」です。人工知能(AI)をはじめとした先端技術での人気が高く、「ChatGPT」もPythonで開発されています。

Pythonのメリット・デメリットは下記の通りです。

【メリット】

  • 構文がシンプルでわかりやすい
  • 実用的なライブラリが充実
  • 様々なサービス・アプリケーションを簡単に作成できる

【デメリット】

  • 日本語の情報が比較的少ない
  • 記述の制約があり、自由度が低い
  • 実行速度が遅い

Pythonには開発を効率化する「フレームワーク」や「ライブラリ」が豊富にあります。コードがシンプルで読み書きしやすいので、大規模なプログラムでも負担を抑えて開発できることが大きなメリットです。

当社がおすすめするWebサービスの開発言語

株式会社Pentagonでは、Webアプリを開発する場合、次の構成で開発することを推奨しています。

採用技術概要
フロントエンドNext.jsReactをベースに開発されたフロントエンドのフレームワーク。高速に開発できるのが特徴。
バックエンドSupabaseサーバーの構築が不要で、PostgreSQLと呼ばれるデータベースを利用することが可能。

Next.jsとSupabaseを利用することで、高速にWebアプリケーションの開発が可能となります。また、バックエンドとしてSupabaseを採用しているため、スマホアプリの開発もスムーズに行える利点があります。

技術選定に迷ったらプロに相談しよう

Webサービスの開発に使われるプログラム言語は多数存在します。各々の特徴を正確に理解した上で、開発したいWebサービスに合ったプログラム言語を選択することが重要です。

プログラミング言語と開発したいWebサービスの親和性が低ければ、開発に膨大な工数がかかってしまいます。しかし、あらゆるプログラミング言語に精通した技術者を自社で手配するのは現実的には難しいことです。

開発会社に依頼を行えば、技術選定はもちろん、戦略から開発要件まで一貫した提案を行ってくれます。費用の見積もりも可能なので、自社で解決できない課題は、プロフェショナルが揃っている開発会社に依頼を検討してみましょう。

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