【開発者が解説】スキルシェアアプリの開発手順や費用まとめ
この記事をご覧の皆さんは、スキルシェアアプリの開発を検討されているのではないでしょうか?
近年のスマートデバイスの急速な普及により、アプリを介してシェアリングできるものが多くなってきました。その中で特に注目されているのが、今回ご紹介する「スキルシェアアプリ」です。
スキルシェアアプリを利用すれば、従来は十分に活かされなかった個々人の持っている様々な知識やスキルを、必要とする人が活用できるようになります。
近年は国が副業・兼業を促進している背景もあり、BPOプラットフォームのようなビジネスに関わるスキルシェアも盛んになってきました。実際に利用したことがある方、利用してみようと考えている方も多いのではないでしょうか。
スキルシェアアプリには主に以下のような13の機能が一般的には求められます。
- 新規会員登録機能
- 会員ページへのログイン機能
- 会員データ管理機能
- フォーム機能
- 検索機能/並び替え機能
- SNS連携機能
- 年齢認証機能
- 決済機能
- 口コミ機能
- 退会手続き機能
- メッセージ送受信機能
- コンテンツ管理機能
- ランキング機能
そして、開発費用は、エンジニアの筆者の経験ですと、400~1500万円の範囲となります。
この記事では、そんなスキルシェアアプリの開発を検討している方に向けて役立つ内容をご紹介します。
スキルシェアアプリの代表例は『ココナラ』や『クラウドワークス』
この記事は以下のような、スキルシェアアプリの開発を検討されている方向けの記事になります。
・スキルを売り買いできる「ココナラ」
・クラウドソーシングの「クラウドワークス」
・画像/動画素材の「PIXTA」
・家事代行の「タスカジ」
・手作り作品販売の「minne」
・フリーマーケットの「メルカリ」
・個人の時間を売り買いできる「タイムチケット」
使ったことがある、もしくは耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
このようなスキルシェアアプリが近年人気な理由については、いくつか考えられますが副業やフリーランスなどの浸透により、働き方が変わってきたことが主な理由だと考えられます。
スキルシェアアプリに必要な機能とは?
このように、今勢いのあるスキルシェアアプリですが、アプリとして必要な機能にはどのようなものがあるのでしょうか。主要な機能を見てみましょう。
・新規会員登録機能
・会員ページへのログイン機能
・会員データ管理機能
・フォーム機能
・検索機能/並び替え機能
・SNS連携機能
・年齢認証機能
・決済機能
・口コミ機能
・退会手続き機能
・メッセージ送受信機能
・コンテンツ管理機能
・ランキング機能
各アプリのユニークな機能までは省略していますが、それでも上記のように数多くの機能の搭載が必要になります。
特に会員登録など個人情報を取得するような仕組みをつくっておくことも大切です。スキルシェアアプリは個人と会社、個人と個人などユーザーが各方面とつながりをもつシーンが非常に多いです。そのため、何かあった場合にユーザーをすぐに追跡できるよう、情報のトレーサビリティを担保しておくようにしましょう。一方で個人情報を扱うため、専門の会社に依頼して、充分なセキュリティ性能を確保しておくことも大切です。
スキルシェアアプリの開発にかかる一般的な費用や期間とは
それでは、スキルシェアアプリの開発には、どれくらいのコストがかかるのでしょうか。
まずは一般的な相場を見てみましょう。
アプリの開発は通常、プログラマおよびシステムエンジニア(SE)の手によって行われます。プログラマの1人月の単価は、フリーランスでは40万円~60万円、企業の社員では50万円から100万円程度が相場です。
一方、システムエンジニアの1人月の単価は、初級者で60万円~100万円、中級者で80万円~120万円、上級者で100万円~160万円程度が相場です。
開発費用=1人月単価×開発月数となります。すなわち、開発費用は搭載機能に影響され、どれくらいの人数で、どれくらいの開発期間をかけるかによって決定されます。
スキルシェアアプリの開発に必要な総額は一概には言えませんが、標準的な機能を搭載する場合は600万円~800万円程度、必要最低限の性能のみで良いのならば、400万円~600万円、高機能を目指すならば800万円以上が相場です。
さらに、後から追加で機能を搭載する場合には、内容にもよりますが50万円~100万円程度が必要になってくるでしょう。
気をつけたい点は、単に価格だけで選ぶのではなく、その機能をなぜその金額で買うのかという、合理的な説明ができるようにすることです。本当に実現したい目的に沿った開発ができるよう、費用面とよく照らし合わせて考えてみましょう。
一般的なスキルシェアアプリ開発にかかる費用・期間
スキルシェアアプリの開発にかかる費用や期間は、アプリの機能や開発の複雑さ、要件に大きく依存します。スキルシェアアプリには、ユーザー登録、プロフィール管理、検索機能、チャット、レビュー機能、決済システム、通知機能など、多くの機能が含まれるため、比較的開発コストが高くなる傾向があります。
ココナラやクラウドワークスなどのスキルシェアアプリは、『大規模なスキルシェアアプリ』に分類されその中でも機能の充実が充実しているので1500万円以上の開発費用は必要になってくるかと思います。
シンプルなスキルシェアアプリ
費用:400~600万円
期間:3ヶ月〜6ヶ月
特徴:基本的な機能のみ(ユーザー登録、プロフィール管理、スキル掲載、チャット機能)。既存のテンプレートを活用して開発する場合や、機能を限定したMVP(最小限のプロダクト)版として開発するケース
中規模のスキルシェアアプリ
費用:600万円〜800万円
期間:6ヶ月〜12ヶ月
特徴:決済機能、レビュー・評価機能、スキルカテゴリごとの検索機能、通知システム、スケジュール管理機能など、ユーザーの利便性を高める機能が追加されたケース
大規模なスキルシェアアプリ
費用:800万円〜1500万円以上
期間:12ヶ月〜18ヶ月以上
特徴:高度な検索機能、リアルタイムのコミュニケーション(ビデオチャットやストリーミング)、多言語対応、パフォーマンス最適化、データ分析機能、詳細なフィードバック機能、スケーラビリティの高いバックエンドシステムを含むケース
スキルシェアアプリ開発の6つの工程
では続いては、スキルシェアアプリ開発のおおよその流れを見てみましょう。
工程①企画決定
はじめのステップは、まず自社内で企画を練り上げることです。
この段階で、なぜそのアプリの開発が必要で、何をどれくらい達成するかのゴールを定めて、どんなユーザーに使ってもらいたいのか、可能な限り言語化・見える化しておきましょう。
もちろん、これらの条件は後から変更する可能性もあるかもしれません。しかし、初期の経験がしっかりしていればしているほど、後々に状況が変動した際にもブレることが減ります。
制作するサービスの内容にもよりますが、スキルシェアアプリの企画書に盛り込むべき一般的な内容には、以下のようなものが挙げられます。
・アプリを開発する理由と目的
・ターゲットとなるユーザーのイメージ
・アプリの基本コンセプト
・具体的な機能
・そのアプリを利用することでユーザーが経験できること(ユーザーゴール)
・マネタイズの手段
・収益計画
工程②複数社へ見積り依頼
企画ができあがったら、見積りを依頼しましょう。複数の開発会社に見積ってもらい、その中から選ぶのがおすすめです。まずは、開発にかかる見込み費用と期間をチェックし、こちらの要望を十分に実現してくれる技術力がある会社はどこかを精査します。
例えば、iOSとAndroidでは、開発に用いるプログラミング言語が異なります。両方に対応したいのであれば、その分費用もかさむでしょう。また、開発会社によっても例えばビジネス向けアプリ、あるいはクリエイター向けアプリなど、得意とするカテゴリは千差万別です。もし、スキルシェアアプリの十分な開発実績がある会社であれば、信頼性もあり、質の高いアプリを作成してくれる可能性も高まるでしょう。
そして、1社に絞ったら、自社の担当者と開発業者の担当者との間で要件定義書を作成します。打合せなどをこまめに行い、認識に齟齬が生まれないよう綿密に話し合いましょう。
また、制作のスケジュールもこの段階で大まかに決めておくと安心です。
工程③設計
続いて、設計段階へと進みます。この設計段階は大きく「外部設計」と「内部設計」の2つに分かれます。
外部設計は全体のデザインやユーザーが操作したときのフローなど、アプリの外面を決めていくプロセスです。外部設計を行う際のポイントは、以下3つの要素を明確化することです。
・アプリ利用によってユーザーが実現できること
・アプリからユーザーが取得できるコンテンツ
・アプリ内でのユーザーアクティビティ
一方、内部設計は外部設計で決めた内容を実現するために、実際にコーディングを行ったり内部の仕様を決めたりと、ユーザーの目には見えないシステム部分を設計します。
内部設計は専門知識が求められるため、開発会社に任せるケースが一般的です。
工程④開発
そして、いよいよ開発に取り掛かります。この段階は開発会社が実施する部分ですが、出来上がりに認識の齟齬がないか、こまめにコミュニケーションを取ることが重要です。特に、進捗の状況は定期的に確認しましょう。
また、もし仕様に何かしらの変更を加えたい場合は、なるべく早い段階で伝えましょう。場合によっては、先に定めた仕様では実装が困難であると開発途中に判明するかもしれません。しっかりとコミュニケーションを取って、ともに問題解決策を探っていくことが大切です。
工程⑤テスト
アプリの開発が完了したら、次はテストに移ります。正常に動作するか、欲しかった機能はイメージ通りになっているかどうか実際にテストをしましょう。具体的には、次の3つのテストが必要です。
・単体テスト
アプリが仕様通りに動作して、データの取り扱いにもエラーがないかを検査します。
・結合テスト
いくつかのプログラムを組み合わせたときに、設計通りにデータが取り扱われているかどうかを検査します。
・受入テスト
発注元(自社)で行う試験で、できたアプリが目的に適ったものに仕上がっているか、ユーザーフレンドリーなつくりになっているかどうかを検査します。また、開発プロセスの中途で変更があった場合は正しく反映されているか、あるいはミスやエラーといった不具合が生じていないか、リリース前にしっかり確認しておきましょう。
工程⑥アプリのリリース
最後に、完成品のアプリをリリースする段階です。ここで、iOSの場合はApp Storeの審査が、Androidの場合はGoogle Play ストアの審査が必要になります。審査を通過すれば、晴れて一般公開となります。
ちなみに、アプリの審査はおよそ1週間程度で完了します。
スキルシェアアプリの開発にあたって決定すべき3つのこと
次に『スキルシェアアプリを開発する際に決めなければいけないこと』について見ていきましょう。自社の開発リソースやリリース予定、予算などを加味して考えていただければと思います。
①アプリの種類
スキルシェアアプリの場合、ネイティブアプリとwebアプリの2種類のアプリがありますが、そのどちらで開発するか決める必要があります。
◆ネイティブアプリとWebアプリのメリット/デメリット
上の表ではアプリの種類と『メリット』と『デメリット』をまとめています。詳しくは下記をご覧ください。
ネイティブアプリ
iOSやAndroidなど特定のプラットフォーム向けに開発されたアプリです。それぞれのOSに最適化されたプログラム言語で作られ、アプリストアからダウンロードして利用します。デバイスのカメラやGPS、プッシュ通知など、ハードウェアやOSの機能を最大限に活用できるのが強みです。一方、開発コストやメンテナンスコストが高く、異なるプラットフォームに対応するにはそれぞれで開発が必要です。
webアプリ
ブラウザ上で動作するアプリケーションで、特定のOSに依存せず、インターネット接続があればどのデバイスからも利用できます。HTML、CSS、JavaScriptなどのウェブ技術で作られるため、開発や更新が比較的簡単で、一度開発すれば複数のプラットフォームに対応できます。しかし、ハードウェアへのアクセスやパフォーマンス面でネイティブアプリに劣ることがあり、オフラインでの利用は制限されることが多いです。
②外注か自社開発か
開発するにあたって重要になってくる要素の一つが、外注でアプリを開発するか自社で開発をするかです。それぞれメリットとデメリットはありますが、自社のアプリ開発体制が整っていない状態や品質の高いプロダクトが求められる場合は、外注して開発することをおすすめします。
それぞれの特徴をまとめているので見ていきましょう。
外注して開発する
外注する場合、高品質なアプリに仕上がる点や自社リソースを他の業務に集中できるという大きなメリットがありますが、費用やコミュニケーションの問題には注意が必要です。プロジェクトを成功させるためには、外注先の選定やプロジェクト管理を慎重に行い、明確なコミュニケーションと期待値のすり合わせが求められます。
メリット
・専門知識を持つプロに任せることで、高品質なアプリが期待できる
・自社のリソースを他の業務に集中できる
・最新の技術やトレンドを取り入れた開発が可能
デメリット
・外注費用が高額になることがある
・受注者との認識がズレる可能性がある
自社で開発する
自社で開発を行う場合、開発プロセスや仕様を自社で完全にコントロールでき、長期的なコスト削減や技術の蓄積が期待できます。しかし、開発にはリソースや時間が多くかかるため、計画的な管理が重要になってきます。
メリット
・完全にカスタマイズされたアプリが作れる
・外部依存がなく、開発プロセスをフルコントロールできる
・長期的なコスト削減が期待できる
デメリット
・開発コストと時間がかかる
・専門的な技術スキルが求められる
③開発手法
開発手法についてはスクラッチ開発、パッケージ開発、ノーコード開発の3種類が主にあります。
◆開発手法と各種法のメリットデメリット
上記の表では各種法のメリット/デメリットを表したものになります。詳しくは下記をご覧ください。
スクラッチ開発
スクラッチ開発は、ゼロからアプリを構築する手法です。この方法では、開発者がすべてのコードを自ら書き、必要な機能を1から設計します。完全にオリジナルのアプリを作成できるため、特定のニーズに応じた機能実装が可能です。
メリット
・独自のビジネスモデルや機能を持つアプリを開発できる
・他のアプリと差別化しやすい
デメリット
・開発に時間とコストがかかる
・高度な技術力が必要
パッケージ開発
パッケージ開発は、既存のソフトウェアやフレームワークを利用してアプリケーションを構築する手法です。この方法では、開発者は既存の機能を組み合わせて新しいアプリを作成します。既存コードの再利用をすることで開発時間を短縮できスクラッチ開発に比べてコストを抑えられることが特徴です。
メリット
・開発プロセスが効率的で、迅速に市場に投入できる
・テスト済みのコンポーネントを使用するため、品質が保証されやすい
デメリット
・カスタマイズ性が制限される場合がある
・他のアプリと似たような機能になる可能性がある
ノーコード開発
ノーコード開発は、プログラミングの知識がなくてもアプリケーションを作成できる手法です。ビジュアルインターフェースを使用して、ドラッグ&ドロップで機能を組み合わせることができます。ノーコードやパッケージ開発と比べて知識が必要なく、素早く形にすることができることが特徴です。
メリット
・開発コストが低く、短期間でアプリを作成できる
・担当者が自らアプリを開発できるため、IT部門の負担が軽減される
デメリット
・高度なカスタマイズが難しい場合がある
・複雑な機能を実装する際には限界がある
スキルシェアアプリの開発における3つの注意点
さらに、スキルシェアアプリを開発する際に気をつけておきたいポイントを、3つ解説します。
注意点①作りたいスキルシェアアプリのイメージは明確にする
まずは、目標とするスキルシェアアプリのイメージをはっきりとさせて、言語化・可視化することです。また、ターゲットとなるユーザーもしっかりイメージしましょう。
例えば、どのようなペルソナのユーザーが、どのようなスキルをシェアしたいと思っていて、そのニーズを実現するためにスキルシェアアプリには何を求めているのかなど、具体的なストーリーをイメージすると、見通しがクリアになるでしょう。
また、サービスをどのようにマネタイズするかも明確にする必要があります。スキルシェアアプリの場合一般的には手数料を決済の際に上乗せしてユーザーに払ってもらうケースが一般的ですが、手数料の%や、どのような決済方法を導入するかによって費用や期間にも影響が出るので明確にしておきましょう。
注意点②依頼先のノウハウや実績を確認
加えて、依頼先の開発業者が、スキルシェアアプリの開発に必要十分なノウハウや実績を有しているか、事前に確認しておきましょう。
アプリ開発にかかるコストは決して安いものではありません。こちらの要望を達成できるような見込みがあるのかどうか、過去の制作実績を通じて判断してみましょう。
注意点③重要なのは依頼先企業とのコミュニケーション
アプリ開発を成功させるうえで最も大切なことは、双方の担当者間で良好かつ十分なコミュニケーションを取ることでしょう。言われたことを単に実現するだけではなく、プロフェッショナルとしての知見を持って積極的に提案してくれたり、こまめにコミュニケーションをとって認識のすり合わせができるなど、二人三脚でリリースまで伴走してくれるような開発会社がベストでしょう。
まとめ
この記事ではスキルシェアアプリをテーマに、概要や外注の際に押さえておくべき機能・手順・費用・期間などを解説しました。
冒頭ご紹介したように、シェアリングアプリは急速に広がっています。気運の高まりに乗じて多くの企業がサービスを企画しています。
そのような激しい競争の中で勝ち抜いていくためにも、本当に役立つ理想のアプリが開発できるよう、ぜひ今回の内容を参考にしてみてください。