
古い業務システムを作り直したい方へ|リプレイスの方法・費用・進め方を解説
古い業務システムは、仕様書がなくても、以前の開発会社と連絡が取れなくても作り直せます。大切なのは、昔のシステムをそのまま再現するのではなく、いまの業務の流れに合わせて設計し直すことです。本記事では、リプレイスを検討すべきタイミングの見極め方から、現行システムの調査、データ移行、新システムへの切り替えまでを、受託開発の実務をもとに解説します。
「10年以上前に作った販売管理システムが、いまの業務に合わなくなってきた」「機能を足したいのに、作った会社がもう対応してくれない」「近くに相談できる開発会社がなく、どこに頼めばいいか分からない」。長く使ってきた業務システムの乗り換えについて、こうしたご相談を多くいただきます。
◆この記事の要点
- システムのリプレイスとは、古くなったシステムを新しいシステムに置き換えることです。作り直しを頼む相手は、元のシステムを作った会社でなくても構いません
- 「障害が増えた」「業務と合わない」「直せる人がいない」「OSやサーバーのサポートが切れる」のいずれかが当てはまれば、作り直しを検討する時期です
- 仕様書がなくても、いま動いている画面と操作、残っているソースコードから仕様を復元できます。ソースコードの読み解きは、AIで大きく速くなった作業の1つです
- 当社が開発を支援した不動産系システムでは、スマホのネイティブアプリをPWAに置き換え、運用保守コストを月100万円から月20万円に下げました
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本記事では、スタートアップから大手企業まで10年以上アプリ・Webシステム開発に携わってきた「株式会社ペンタゴン」の代表である筆者が、既存システムの作り直しを相談されたときに実際に確認していることをもとに解説します。
システムのリプレイスとは?
システムのリプレイスとは、長く使ってきた古いシステムを、新しいシステムに置き換えることです。「作り直し」「乗り換え」「リニューアル」「システム刷新」と呼ばれることもあり、指している中身はほぼ同じです。
置き換え方は大きく3つに分かれます。どれを選ぶかで費用と期間が変わるため、最初に整理しておくと開発会社との話が早く進みます。
| 置き換え方 | 内容 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 作り直し(スクラッチ開発) | 業務の流れから設計し直し、新しいシステムを一から開発する | 自社独自の業務が多い、今のシステムが業務と合わなくなっている |
| パッケージ・SaaSへの乗り換え | 市販の業務ソフトやクラウドサービスに移る | 会計・勤怠など、業務のやり方が他社とほぼ同じ |
| 環境だけの移し替え(マイグレーション) | 機能はそのままに、サーバーや言語など動く環境だけを新しくする | 業務には合っていて、サポート切れだけが問題になっている |
もう1つ知っておいてほしいのは、リプレイスは元のシステムを作った会社に頼む必要がないという点です。開発会社が廃業していたり、担当者が退職していたりして、当時の会社に頼めないケースは珍しくありません。新しい開発会社が現行システムを調べ直し、作り直すのは一般的な進め方です。
システムのリプレイスを検討すべきタイミングとは
次の6つのうち1つでも当てはまれば、リプレイスを検討する時期に入っています。2つ以上当てはまる場合は、部分的な改修を重ねるより作り直したほうが、数年単位で見た総額が小さくなることが多いです。

動作が遅い・障害が増えている
データが増えて検索に何十秒もかかる、月末の締め処理で毎回止まる、といった状態です。古いシステムは、いまのデータ量を想定して作られていません。障害のたびに業務が止まり、復旧を担当者の経験に頼っているなら、早めに手を打つ必要があります。
現在の業務とシステムが合わなくなっている
システムの外でExcelの台帳を作って二重に入力している、システムにない項目を備考欄に書いて運用している、といった状態です。導入したときから業務のやり方や取引先、商品が変わっているのに、システムは当時のままになっています。現場がシステムに合わせて回り道をしている時間は、そのまま人件費として出ていきます。
新しい機能を追加できない・直せる人がいない
「この画面に1項目足したい」という依頼に、何ヶ月も待たされたり、高額な見積もりが出たりする状態です。作った会社が対応をやめた、社内でただ1人分かっていた担当者が退職した、という理由で、誰も中身を説明できなくなっているケースもあります。
OS・サーバー・ソフトのサポートが終了する
システムが動いているWindowsやサーバー、データベース、開発言語のサポートが終わると、セキュリティの修正が出なくなります。パソコンを入れ替えたら古いシステムが動かなかった、という形で表に出ることもあります。期限が分かっている問題なので、切れる1年前には動きはじめておくと安全です。
保守費が高い・中身が見えない
毎月の保守費を払っているのに、何に使われているのか説明がない状態です。古いシステムほど、直すたびに影響範囲の調査が必要になり、改修1回あたりの費用が上がっていきます。保守費と改修費を合計して、作り直したときの費用と比べてみてください。
スマホ・タブレットや社外から使えない
事務所のパソコンでしか使えないため、営業先や現場で入力できず、帰社してから入力し直している状態です。いまの業務システムは、ブラウザで動かしてスマホやタブレットから使える形にするのが一般的になっています。
当てはまった項目を「改修で済むのか、作り直すべきか」で整理すると、次のようになります。
| 状態 | 改修で済むケース | 作り直しを検討すべきケース |
|---|---|---|
| 業務との合い方 | 足りない機能が1〜2個で、業務の流れ自体は合っている | Excelでの二重管理や、システムを迂回した運用が定着している |
| 中身を分かる人 | 作った会社や社内の担当者が今も対応できる | 誰も中身を説明できない、ソースコードの所在が分からない |
| 動いている環境 | OS・サーバー・言語のサポートが続いている | サポートが終了済み、または期限が近い |
| 費用 | 年間の保守費・改修費が、作り直しの費用よりはっきり小さい | 数年分の保守費・改修費が、作り直しの費用に近づいている |
仕様書がない・以前の開発会社と連絡が取れなくてもリプレイスできる?
結論:できます。仕様書がなくても、以前の開発会社と連絡が取れなくても、いま動いているシステムから仕様を復元して作り直せます。実際、当社に作り直しを相談される企業の多くは、仕様書が残っていないか、残っていても今の動きと合っていません。
当社が現行システムを調べる方法

1つ目は、実際の画面と操作から仕様を復元する方法です。現場の担当者に普段どおりシステムを使ってもらい、どの画面で何を入力し、どこに何が出てくるかを記録します。そのうえで現行の画面をFigma(ブラウザで画面デザインを共有できるツール)に起こし、「今のシステムはこう動いている」を目に見える形の仕様書にします。紙の仕様書より、現場の方が確認しやすいのが利点です。
2つ目は、ソースコードをAIで読み解く方法です。ソースコードが手元に残っていれば、Claude CodeなどのAIで解析し、画面からは見えない計算ロジックやデータの持ち方を書き起こします。以前は人が何週間もかけて読んでいた作業で、AIによって大きく速くなりました。古い言語で書かれたシステムでも対応できます。
相談の前に確認しておきたいもの
仕様書は不要ですが、次の3つは作り直しの進め方を左右します。分からないものがあっても相談はできるので、「どこまで分かっているか」をそのまま伝えてください。
- データの取り出し方:今のデータをCSVやExcelで出力できるか。新システムへの移行の起点になります
- サーバーとドメインの管理権限:契約者が誰で、ログイン情報を自社で持っているか。切り替え日の段取りに関わります
- ソースコードの有無:納品物として受け取っているか。なくても画面から復元できますが、あると調査が速くなります
近くに依頼できる開発会社がない場合
地方の企業から「地元に業務システムを作れる会社が見つからない」というご相談をいただくことがあります。当社は打ち合わせから現行システムの調査、受け入れ確認まで、全工程をオンラインで進めています。画面共有で今のシステムを操作していただければ調査はできますし、Figmaの画面はURLを開くだけで確認できます。現場を直接見る必要がある場面では、訪問もご相談ください。
システムを作り直すなら「昔と同じもの」をそのまま再現しない
リプレイスで一番もったいないのは、古いシステムの画面と機能を、新しい技術でそのまま作り直すことです。費用をかけて作り直しても、業務のやり方が変わらなければ、現場の手間もそのまま残ります。
10年前のシステムは、10年前の業務を前提に作られています。当時は必要だった帳票が今は誰も見ていない、使われていない画面がいくつもある、逆にExcelで補っている作業がシステムに入っていない。作り直しを手がけていると、こうした食い違いが必ず見つかります。現行の機能一覧を「全部引き継ぐ前提」で見積もると、使われない機能の分まで費用を払うことになります。
作り直すときは、次の3つの問いから設計し直すことをおすすめしています。
- 今、誰がどの作業に時間を取られているか:二重入力、転記、確認待ちなど、システムの外で発生している手間を洗い出す
- 今の機能のうち、実際に使われているのはどれか:使われていない画面や帳票は作らない
- どこで、どの端末から使いたいか:事務所のパソコンだけでなく、現場や外出先のスマホ・タブレットから使う前提で考える
作り直しの費用は、削減できる手間と比べて判断します。たとえば5人が毎日30分ずつ二重入力をしているなら、月に約50時間です。新しいシステムでこの作業がなくなるなら、その人件費が開発費を回収する原資になります。「古いから作り直す」ではなく「作り直すと何が楽になるか」で考えると、作るべき範囲も自然に絞れます。
株式会社ペンタゴンに既存システムの刷新を相談するメリット
株式会社ペンタゴンは、古いシステムを同じ形で作り直すのではなく、今の業務に合う形に設計し直し、FigmaをベースにしたAI駆動開発で費用と期間を抑えて置き換えます。リプレイスで当社が強みにしているのは次の4点です。
現行システムと新システムを「画面」で比べられる
現行システムを調べた結果と、新しいシステムの画面案を、どちらもFigmaに並べて確認していただきます。「今はこの画面で3回入力しているものが、新しい画面では1回になる」と目で見て比べられるため、IT用語が分からない現場の方でも、要る・要らないを判断できます。画面はボタンを押すと次の画面に移る試作品として動くので、完成前に使い勝手を確かめられます。

AI駆動開発で、作り直しの費用と期間を抑えられる

Figmaで固めた画面を起点に、Claude Codeで実装・テストコード・ドキュメントを生成し、AIが書いたコードは別のAIと人がレビューし直します。コーディングにかかる工数が大きく減るため、その分を現行システムの調査と、新しい業務の流れを決める作業に使えます。リプレイスでは、現行の古いソースコードを読み解く工程にもAIが効きます。
業務の「理想の状態」から逆算して作る範囲を決める
最初に「新しいシステムが入ったあと、業務がどうなっていればよいか」を言葉にし、そこから逆算して機能を絞ります。現行の機能をすべて引き継ぐのではなく、効果の大きい業務から置き換え、残りは使いはじめてから段階的に広げる進め方も提案しています。仕様を変えたくなったときは、費用と期間への影響をその都度お見せして判断していただきます。
運用保守コストを月100万円から20万円に下げたリプレイス実績

当社が開発を支援した不動産系のシステムでは、スマホのネイティブアプリ(iPhone・Android向けに個別に作るアプリ)を、PWAに置き換えました。PWAは、ブラウザで動くWebシステムを、スマホのホーム画面からアプリのように起動できるようにする仕組みです。iPhone用・Android用と2つあったアプリを1つのシステムにまとめたことで、既存システムに対してお客様が抱えていた不満を解消しながら、運用保守コストを月100万円から月20万円に下げています。
作り直しの効果は、開発費が安くなることより、作ったあとの維持費が下がることのほうが大きく出る場合があります。毎月の保守費が重いシステムほど、作り直しで仕組みごと見直す価値があります。
当社が開発を支援した既存システムの置き換え事例として、会員数150万人の転職支援アプリのFlutter移行(要件定義から12ヶ月)も公開しています。
一貫対応・ユーザー視点の設計・KPI逆算・組織的な品質管理という当社の4つの特徴は、株式会社ペンタゴンの特徴ページにまとめています。
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既存のシステムをリプレイスする流れ
リプレイスの流れは「相談→現行システムの調査と再設計→確定見積もりと契約→開発→データ移行と並行稼働→切り替え→運用」の7ステップです。新規開発と違うのは、現行システムの調査と、データを移して業務を止めずに切り替える工程が入る点です。

| ステップ | 開発会社がやること | 発注側がやること | 期間の目安(当社の場合) |
|---|---|---|---|
| ①相談 | 困りごと、今のシステムの状態、予算感と時期のヒアリング | 困っていること、利用者数、分かっている範囲の現行情報を伝える | 初回1時間程度(オンライン) |
| ②現行システムの調査と再設計(要件定義) | 画面と操作、ソースコードから現行仕様を復元し、新しい画面をFigmaで設計。確定見積もりを作成 | 普段の操作を見せる。定例会議で要る・要らないを判断する | 1〜2ヶ月 |
| ③確定見積もり・契約 | 金額・期間・移行するデータの範囲・切り替え方法を書面化 | 含まれる範囲と、切り替え日の制約(繁忙期など)を確認する | 1〜2週間 |
| ④開発 | 設計・実装・テスト。週次で動く画面を見せる | 動く画面を触って、ずれを早めに指摘する | 小規模1.5〜3ヶ月、中規模2〜4ヶ月 |
| ⑤データ移行・並行稼働 | 現行データの変換と取り込み、移行後の件数と内容の照合 | 実際の業務データで新システムを試し、結果を照らし合わせる | 2〜4週間 |
| ⑥切り替え | 切り替え日の段取り、当日の立ち会い、旧システムの停止 | 社内への周知と、操作の引き継ぎ | 業務の少ない日に1日 |
| ⑦運用・改善 | 障害対応、使われ方を見た改善の提案 | 使って出てきた要望を共有する | 継続(保守費は開発費の年15%前後) |
ステップ②は単独で契約できます。現行システムの調査結果と新しい画面の設計、確定見積もりが手元に揃うため、作り直すかどうかを根拠のある数字で社内に諮れます。予算が確定していない段階でも着手しやすい進め方です。
システムのリプレイスに関してよくある質問
古いシステムは全部作り直す必要がありますか?
結論:全部を一度に作り直す必要はありません。困りごとの大きい業務から置き換え、効果を確かめながら広げる進め方もあります。業務には合っていてサーバーやOSのサポート切れだけが問題なら、機能はそのままに動く環境だけを移す方法も選べます。現行システムを調べたうえで、どこまで作り直すべきかをご提案します。
システムリプレイスにかかる費用や期間の相場は?
結論:当社のAI駆動開発の場合、小規模で300万円・1.5〜3ヶ月、中規模で700万円・2〜4ヶ月、大規模で1,500万円・4〜5ヶ月〜が目安です。この中に、現行システムの調査を含む要件定義(1〜2ヶ月)が入っています。
| 規模 | 従来の開発(費用・期間) | AI駆動開発(当社水準) |
|---|---|---|
| 小規模(1〜2業務の置き換え) | 500万円・2〜3ヶ月 | 300万円・1.5〜3ヶ月 |
| 中規模(複数部署・管理画面あり) | 1,000〜1,500万円・3〜5ヶ月 | 700万円・2〜4ヶ月 |
| 大規模(基幹連携・多拠点) | 2,000〜3,000万円・6ヶ月〜 | 1,500万円・4〜5ヶ月〜 |
現行システムの調査を含む要件定義だけを先にご依頼いただくこともでき、目安は1〜2ヶ月・100〜200万円です。移すデータの量と形式、つながっている他のシステムの数によって費用は変わるため、調査のあとに確定した金額をお出しします。
スマホ・タブレットでもシステムを利用できるようにできますか?
結論:できます。作り直しのタイミングでブラウザで動くWebシステムにすれば、パソコンでもスマホ・タブレットでも同じシステムを使えます。現場や外出先で入力したい、アプリのようにホーム画面から起動したいといった要望には、PWAという方法もあります。当社が開発を支援した不動産系システムでは、ネイティブアプリをPWAに置き換えて運用保守コストを下げました。
業務を止めずに新システムへ切り替えることはできますか?
結論:できます。新システムを先に用意し、実際の業務データで旧システムと結果を照らし合わせる並行稼働の期間を設けてから切り替えます。切り替え日は繁忙期や締め日を避けて、業務の少ない日に設定します。部署や拠点ごとに順番に切り替えれば、一度に全社の業務を止めずに済みます。
リプレイスを依頼する際、発注者側で整理すべきことは?
結論:完璧な資料は不要で、「今のシステムで困っていること」「使っている人数と部署」「いつまでに切り替えたいか」の3点があれば相談できます。加えて、データを出力できるか、サーバーとドメインの契約者が誰かが分かると、移行の段取りを早く組めます。何を決めればよいかは、次の記事で詳しく解説しています。
地方の中小企業でも、東京など遠方の開発会社へ依頼できますか?
結論:できます。当社は東京の会社ですが、打ち合わせから現行システムの調査、受け入れ確認まで、全工程をオンラインで進めています。今のシステムは画面共有で操作していただければ調べられ、新しい画面はFigmaのURLを開くだけで確認できます。現場を直接見る必要がある場面では、訪問もご相談ください。
まとめ
動作が遅い、業務と合わない、直せる人がいない、サポートが切れる。どれか1つでも当てはまるなら、業務システムを作り直す時期に来ています。仕様書がなくても、以前の開発会社がいなくても、いま動いている画面とソースコードから仕様を復元して進められます。
株式会社ペンタゴンは、現行システムと新しいシステムをFigmaの画面で比べながら今の業務に合う形に設計し直し、AI駆動開発で費用と期間を抑えて置き換えます。打ち合わせは全国どこからでもオンラインで可能です。「作り直すべきか、直して使い続けるべきか」の判断から一緒に考えますので、お気軽にご相談ください。
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