業務アプリを開発する方法とは?決めるべきことはこの3つ!
業務アプリとは、ビジネスシーンで活用されるアプリを示します。多くは社内の業務効率化のために制作されることが多いですが、商品化して他社に販売をすることを目的とするアプリもあります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進される中、紙を使った業務からアプリを使い効率化したい、今よりもっと効率的にデータ管理をしたい、そんなふうにお考えの方も多いと思います。業務アプリを制作する際は、費用対効果を十分に試算することが重要です。
業務の効率化による削減コスト > アプリの開発・維持コスト
このように「アプリの開発・維持コスト」を「業務の効率化による削減コスト」が上回らないと、アプリの開発コストを回収することができません。
これを踏まえたうえで、業務アプリ開発の際は、次の3つの項目について考える必要があります。
- ①ネイティブアプリかWebアプリか
- ②外注か自社開発か
- ③開発手法(スクラッチ開発・パッケージ開発・ノーコード開発)
この記事では、アプリ開発会社「株式会社ペンタゴン」の代表を務める筆者が、業務アプリを制作する方法について詳しく解説します。まずは当社での業務アプリの開発事例からご紹介します。
株式会社ペンタゴンでの業務アプリ開発事例
まずは当社で開発させていただいた事例をご紹介します。
事例① M&A買収ニーズ管理システムの開発
某M&A仲介会社のコンサルタントが、会社売却ニーズを管理するためのアプリを制作させていただきました。NDAの関係上、詳細は公開できませんが、主に会社を買収したい企業と会社を売却したい企業を検索する機能を有しています。
業界:コンサルティング・M&A仲介
クライアント規模:50 - 100人
資本金:1億
エリア:東京
制作方法:フルスクラッチ開発
金額:300万円
納期:3ヶ月
企業の内部ツールなのでコストを抑えて開発するために、Webアプリを採用。デザインや機能もシンプルなものにし、短期間で制作しました。
業務アプリの開発に向けてに決めるべき3つのこと
それでは、業務アプリを開発する際に、決めるべき3つの項目について解説します。繰り返しになりますが、「業務の効率化による削減コスト > アプリの開発・維持コスト」となることを意識して、どのように開発するか決める必要があります。
決めること① ネイティブアプリかWebアプリか
スマホアプリには、大きくわけて「ネイティブアプリ」と「Webアプリ」の2種のアプリがあります。
結論から言うと、Webアプリの方がネイティブアプリよりもコストを抑えて開発することができます。ネイティブアプリである必要性がない場合は、Webアプリで開発することで、費用対効果を高めることができます。
以下は、ネイティブアプリとWebアプリを比較した情報です。
◆アプリの種類
ネイティブアプリ | iOSやAndroidに最適化されたアプリ。 スマートフォンの機能をフルに活用できる一方で、開発コストが高くなりがち。 |
Webアプリ | Webブラウザで動くアプリ。 ネイティブアプリに比べて動作が遅いものの、制作コストはWebアプリの方が抑えられる。 |
ネイティブアプリは、iOSやAndroidなど特定のプラットフォーム向けに開発され、デバイスのカメラやGPSなどの機能をフルに活用できます。そのため、高いパフォーマンスと優れたユーザーエクスペリエンスを提供しますが、開発コストや期間が増加し、各プラットフォームごとに個別の開発が必要となります。
一方、Webアプリはブラウザ上で動作し、デバイスやOSに依存せず、開発・更新が容易でコストも抑えられます。しかし、デバイス固有の機能へのアクセスやオフラインでの利用が制限され、パフォーマンス面でもネイティブアプリに劣る場合があります。
決めること② 外注か自社開発か
アプリを開発するときは、制作会社に外注する方法と自社で内製する方法の2つがあります。以下はそれぞれの特徴をまとめた表になります。
外注 | 高いクオリティが期待できる。 専門知識を持つプロが開発を担当し、スムーズな開発が可能 |
自社開発 | 費用を抑えることが可能。 開発プロセスを自社で管理し、ノウハウを蓄積できる。 |
独自の業務アプリを開発する際、外部に依頼することがおすすめです。
最大のメリットは、専門知識を持つ開発会社に開発を任せることで、質の高いアプリを効率よく構築できる点です。プロの開発チームは、業界の最新技術やトレンドを把握しており、ユーザーのニーズや特定業界の要件に即したアプリを作成できます。そのため、品質面での安心感があり、企業にとって競争力のあるアプリを提供できます。
さらに、開発後の運用や保守も開発会社が対応するため、セキュリティインシデントやバグの発生時の対応を専門家に委ねることが可能です。これにより、自社での負担や手間を軽減し、コア業務に集中できる環境が整います。特に、業務アプリはリリース後の運用が重要で、外部の専門的な支援があることで継続的な改善がスムーズに行えます。
一方で、外注のデメリットとしては、自社開発と比較して費用がかかる点が挙げられます。しかし、社内に高度な開発スキルを持つ人材がいない場合や、社内リソースで対応するには時間やスケジュールの制約がある場合、費用をかけてでも外注することが長期的に見て効率的であると考えられます。特にクオリティを重視する場合には、外部の専門家に任せることで、期待に沿ったアプリを実現しやすいのです。
このような理由から、独自の業務アプリを開発する際には、初期費用がかかったとしても外注を検討することが強く推奨されます。
決めること③ スクラッチ開発・パッケージ開発・ノーコード開発
下記のアプリ開発手法の比較表をご覧ください
◆アプリ開発手法の比較表
スクラッチ開発 | ゼロからオーダーメイドで開発する方法。 オリジナルなものが作れるが開発コストが高くなりがち。 |
パッケージ開発 | 既存のシステムをカスタマイズして制作する方法。 カスタマイズできる範囲に制限があるが、スクラッチ開発よりも開発コストや制作時間を抑えられるのが特徴。 |
ノーコード開発 | プログラムをかかなくてもシステムを構築できる。 できることに限りがあったり、独自性が出せないなどデメリットもあるが、エンジニアでなくても業務システムを組むことができ、大幅にコストを抑えられる。 |
業務アプリを商品化する場合、スクラッチ開発が基本となります。これは、自社のサービスや顧客のニーズに応じて柔軟にカスタマイズできるためです。スクラッチ開発により競争優位性を高める独自機能を盛り込むことが可能となり、他の市場製品との差別化を図ることができます。また、製品品質の細部にまでこだわることができるため、顧客の満足度向上にもつながります。
一方で、業務アプリを自社内で利用する場合は、パッケージソフトやノーコード開発を検討することが基本となります。パッケージソフトは業界や用途に特化した機能を既に備えており、短期間での導入が可能です。ノーコード開発は、プログラミングの専門知識がなくても社内メンバーでアプリを作成・カスタマイズできるため、コストや開発スピードの面で有利です。これらの方法を活用することで、効率的かつ柔軟な業務運用を実現できます。
業務アプリの開発にかかる費用は300万円~
業務アプリの開発を検討する際、費用感が大きな要素となります。一般的に、業務アプリの開発費用は300万円以上のケースが多いです。これは、アプリの基本的な機能を構築するための初期費用です。もちろん、仕様や要件によって変動します。以下では、費用が増減する主な要因を解説します。
開発費用に影響する主な要素
1. アプリの規模と機能
業務アプリの機能要件が複雑であればあるほど、開発工数が増加し、費用も上昇します。例えば、複数のシステムとの連携や高度なデータ管理機能、特定業務に特化した機能が求められる場合は、より多くのリソースが必要となります。一方、基本的な業務を支援するアプリであれば、比較的低コストでの開発が可能です。
2. 開発手法の選択
業務アプリの開発には、スクラッチ開発、パッケージ導入、ノーコードツールなど複数の選択肢があります。スクラッチ開発は、完全なカスタマイズが可能で独自性を生み出せますが、その分費用も高くなる傾向があります。反対に、既存のパッケージやノーコードツールを活用する場合、初期費用は抑えられる可能性が高いです。
3. 運用・保守費用
開発後の運用・保守にも費用が発生します。セキュリティ対応やシステムのバージョンアップ、バグ修正を行うためには、継続的なメンテナンスが必要です。このような費用を見込んでおくことも重要です。
次の記事でも運用保守費について詳しく解説しています。
「アプリはリリース後にも費用がかかる!運用保守費の相場とは」
費用を抑えるための工夫
業務アプリの開発費用を抑えるためには、初期段階から要件を明確にし、優先順位を決めることが重要です。必要最低限の機能からスタートし、利用状況に応じて段階的に機能を追加することで、予算を最適化することが可能です。また、外注先の選定やプロジェクト管理を徹底することも、コスト削減に寄与します。
業務アプリを9つの種類に分けて解説
次に、業務アプリにはどのような種類があるでしょうか。
業務アプリは、一般的な大分類として基幹業務アプリと情報系アプリに分けられます。以下に9種類を挙げてみましたが、そのうち「生産管理」「在庫管理」「受注管理」「販売管理」「財務・会計」「人材管理」は基幹業務アプリ、「データ分析」「グループウェア」「社内SNS」は情報系アプリに分類されます。
業務アプリの種類①生産管理
生産管理アプリは、製造業において原材料・資材の購入および生産を計画的に管理するためのツールです。生産管理アプリの利用で、製品のマーケットにおける需要を予測し、売上が見込める数量を定めたうえで、生産各工程の稼働計画を立てられます。
モバイルに対応すれば、好きな時間と場所から製造現場の現状を把握することができ、刻々と変化するマーケット需要に対応した適切な生産管理が可能です。
業務アプリの種類②在庫管理
在庫管理アプリは、倉庫にある製品の在庫量などの情報を管理できます。需要に応じた適切な数量に在庫を保つように管理できるので、在庫が余ってしまったり、品切れを起こしてしまったりすることを回避できます。
さらに、在庫管理アプリでは、在庫の情報の登録・編集・検索・確認ができ、在庫を写真で登録しておくことや、商品のバーコードやQRコードと在庫情報をリンクさせて扱うことも可能です。
業務アプリの種類③受注管理
受注管理アプリは、顧客からの受注関連業務を管理します。顧客からの注文を受けて内容を確定し、出荷を管理するシステムにつなぎます。
受注管理アプリを導入することで、紙やExcelなどでの煩雑な作業を能率化や自動化でき、あってはならない受注漏れなどのヒューマンエラーを未然に防止することができるでしょう。
また、社員間で常時最新の受注状況を共有できることで、電話やメールでの細かい問い合わせを減らすことにもつながります。
業務アプリの種類④販売管理
販売管理アプリは、製品・サービスの名称やコード、価格など、販売を適正に管理するためのアプリです。例えば、現金出納帳などの文書を自動で出力してくれるので、販売に関する数字やデータを細かく入力する必要がなくなり、エラーや事故のリスクも低減できます。
業務アプリの種類⑤データ分析
データ分析アプリは、自社・他社・マーケットなどの各種データを収集・分析し、業務および経営戦略に有用な情報を取り出せるアプリです。データ分析アプリを上手に活用すれば、人間の頭脳思考だけではたどり着けなかった事実やアイディアを発見できるかもしれません。
業務アプリの種類⑥財務・会計
財務・会計アプリは、業務遂行にかかったコストや売り上げた金額などの情報を入力して、損益計算書や貸借対照表を出力するアプリです。財務・会計の書類を自動で作成してくれるため、企業経営の透明性を高められ、人的ミスやエラーの削減にも有効です。
業務アプリの種類⑦人材管理
人材管理アプリは、勤怠・シフト管理をメイン機能とするシステムです。紙のタイムカードに代わって、PCやスマートフォンから出退勤時間の打刻ができ、管理の方も容易に行えます。ほかにも、採用や教育・評価などに関わる社員情報を一元的に管理できる機能付きのアプリもあります。
業務アプリの種類⑧グループウェア
グループウェアは、社内での情報共有をスムーズに行うためのさまざまなツールがまとめて組み込まれたアプリです。グループウェアにはメールやチャットなどのコミュニケーションツールが1つに組み込まれているので、デバイス上で同時にいくつものツールを立ち上げておく煩わしさから解放され、軽快に仕事の情報共有が可能です。
業務アプリの種類⑨社内SNS
社内SNSでは、LINE・Facebookなど一般のSNSと同じように、タイムラインへの投稿、メッセージの送受信、データのアップロードおよびダウンロードなどの機能が利用できます。
社内SNSの導入によって、社員間のコミュニケーションを活発にして組織力を高め、エンゲージメントの上昇や離職防止の効果が得られます。さらに、グルーピング機能ではデータを簡単かつ効率的に送信できるため、利便性にも優れます。
業務アプリ開発の依頼時に押さえておきたい4つのポイント
それでは制作会社に業務アプリの開発を依頼するとき、どういったポイントを押さえておく必要があるのでしょうか。
代表的な4つのポイントをそれぞれ解説します。
ポイント①実現したいアプリのイメージを固めておく
開発を依頼する前に実現したい業務アプリのイメージを自社でしっかりと固めておきましょう。どの業務に使うアプリなのか、どのような機能があれば自社の業務の流れにマッチして状況を最適化できるのか、具体的に考えておくことが大切です。
そして、業務アプリの開発依頼が必要な理由を明確にできたら、開発会社に伝えることも忘れてはなりません。開発して欲しい業務アプリのイメージは、提案依頼書に明記して開発する企業に提出しましょう。
提案依頼書は自社がアプリ開発に関する要件をまとめて、発注先の開発会社に具体的・詳細に提案するための資料です。提案依頼書に盛り込む内容としては、開発依頼に至った背景・目的・予算規模・スケジュール・機能要件・運用・保守要件などがあります。説明資料を十分に準備せずに口頭だけで提案しようとすると、想定外のミスや失敗に繋がるかもしれません。自社の業務戦略に沿って、計画的に提案依頼書を作成しておきましょう。
また、業務で使うアプリの場合は、ディスプレイに表示する情報量が多くなる場合もあります。スマートフォンアプリだけではなく、タブレット版のアプリや、PCのブラウザでも使えるWebアプリも視野に入れて、検討しておくといいでしょう。この点については、実現したいアプリのイメージに含めて考えておき、提案依頼書に盛り込んでおきたいポイントです。
ポイント②要件定義書・仕様書を確認
依頼先の開発会社から提出される要件定義書および仕様書をよく確認しておきましょう。これらの書類によって双方の確認が取れたうえで、開発企業は業務アプリの開発を進めます。また、要件定義書と仕様書で規定された内容に沿って、実際の開発が正しく進行しているかを、自社の方でも定期的にチェックするようにしましょう。
要件定義書および仕様書は、開発の土台となる資料です。ここで両者に認識のずれや間違いがあると、後から大変なやり直し作業が必要になる恐れがあります。
ポイント③業務アプリの制作実績がある企業をパートナーに選ぶ
業務用アプリの制作実績が豊富な開発企業を選ぶようにしましょう。誇れる制作実績はコーポレートサイトにも明記されているので、必ずチェックしておきましょう。
特に、システム開発なら守備範囲の広い企業よりも、「業務アプリに強い」と明言している開発企業を選ぶことをおすすめします。
候補の企業が複数社決まった段階で、「提案依頼書」などをもとに見積もりを行いましょう。
ポイント④継続的な改善が可能か
開発後も継続したアプリの改善対応が可能であるか、というポイントも重視しましょう。
開発にスピード感が必要なのはもちろんですが、開発後に現場ユーザの声を反映し改善を行えるシステムの柔軟性は大切です。
業務アプリの開発・運用においてもPDCAサイクルを繰り返し行う姿勢が肝心です。業務アプリが完成したら終わりではなく、継続してアフターサポートにも誠意を持って対応してくれる開発企業を選ぶようにしましょう。もしくは、自社で容易に改善作業を行えるように業務アプリを設計してもらいましょう。
業務アプリを利用する4つのメリット
前述のとおり、業務アプリの種類は非常に多岐にわたります。では、実際に業務アプリを利用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。主要なものをいくつかご紹介します。
メリット①業務効率化を実現できる
業務のIT化が不十分な場合、情報共有・スケジュール管理・名刺管理・経費精算などは紙媒体による共有や、Excelデータのやり取りなど、少々複雑な方法をとらなければなりません。
業務アプリを導入すれば、PCやモバイルデバイス端末から好きなタイミングで簡単に管理や共有が可能です。また、煩雑な記入作業や入出力作業も効率的に行えるので、ヒューマンエラー発生のリスクも軽減できます。
メリット②リモートワークに有効
業務アプリの導入は、リモートワークにも有効です。オフィスとは離れた場所にある社員のデバイスで利用できる業務アプリを導入すれば、場所や時間の制約が軽くなり、働き方改革の推進にも大きな効果があります。加えて、会社への出社の必要性も最低限に抑えられるため、遠方の人や家庭の事情などで出社が難しい人でも働けるようになり、採用の幅が広がることにもつながるでしょう。
メリット③業務の機動性や利便性が高まる
業務アプリをモバイルデバイスに最適化することによって、業務遂行の機動性や利便性がより高まります。業務アプリのモバイルデバイスへの最適化には、アプリの起動時間の短縮、操作性の向上、遅滞のないスムーズなコミュニケーションの実現などが含まれます。移動中や外出中でもアプリを使って業務を進められます。
業務アプリを活用することで、さまざまなやりとりや意思決定を高速化することにつながります。
メリット④属人化の解消につながる
業務の中には、「作業工程の管理は決まった人しかできない」「書類作成はいつも特定の社員に任せている」など、属人化が進んでしまっているものもあるでしょう。このとき業務アプリの導入によって業務の仕組みや流れが誰にでも分かるように一般化され、業務の属人化の解消につながることがあります。
誰もが業務を遂行しやすいように作られているので、業務の詳細が特定の人しか分からない、という状況に陥ることはありません。また、業務の属人化が解消されることによって、担当者の異動や退職が発生した際の引継ぎがしやすくなります。
まとめ
今回は、業務アプリとは何か、業務アプリの種類、業務アプリ利用のメリット、自社に業務用アプリを導入する方法、業務アプリ開発のポイントについて解説しました。
業務アプリの開発をご検討中の場合は、ぜひPentagonまでご相談ください。Pentagonには、高い技術力はもちろん、魅力的なデザインの提案などいくつもの強みがあります。お客様のご要望に沿って最適なコスト・内容の業務アプリを開発いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
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