アプリを多言語対応する3つの方法!ただ翻訳するだけはNG
結論から言うと、アプリを多言語対応する方法は「OS標準のローカライズ機能」「翻訳管理ツールとの連携」「開発会社による独自設計」の3つに大別されます。そして最も重要なのは、どの方法を選ぶ場合でも「ただ翻訳するだけ」では成果につながらないことです。当社も実際にアプリの多言語化を行っていますが、成果を出すには直訳では不十分で、ネイティブユーザーの行動を意識した、最適化された意訳(ローカライズ)が必要だと実感しています。本記事では、多言語化の具体的な方法・費用・進め方から、外注時のチェックポイントまでを解説します。
本記事では、アプリ開発会社「株式会社ペンタゴン」で代表を務める筆者が、「アプリの多言語化」について詳しく解説します。当社はアプリの多言語化にも対応しています。ご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
アプリを多言語対応する3つの方法
多言語化の実装方法は、アプリの規模と更新頻度によって選び方が変わります。代表的な3つの方法を紹介します。
方法① OS標準のローカライズ機能を活用する
iOS・Androidには、アプリ内の文言を言語別のファイルに分けて管理する仕組みが標準で用意されています(iOSのString Catalog、Androidのstrings.xmlなど)。端末の言語設定に応じて表示が自動で切り替わるため、メニューやボタンなど「アプリに埋め込まれた文言」の多言語化の基本形です。FlutterやReact Nativeなどのクロスプラットフォーム開発でも、同様の仕組み(Flutterならarbファイルによるローカライズ)が用意されており、iOS/Android両対応アプリを一度に多言語化できます。
方法② 翻訳管理ツール(TMS)と連携する
PhraseやLokaliseに代表される翻訳管理ツール(TMS)を開発フローに組み込む方法です。文言の追加・変更があるたびに翻訳者へ自動で連携され、翻訳済みテキストがアプリに反映されます。アップデートのたびに文言が増える運用中のアプリや、3言語以上に対応する場合は、手作業でのファイル管理が破綻しやすいため、この仕組みが有効です。
方法③ 開発会社に依頼して独自設計で実装する
ニュースや商品情報など「サーバーから配信される動的なコンテンツ」も含めて多言語化する場合は、データベースやAPIの設計から多言語を前提にした作りが必要です。言語ごとのコンテンツ管理画面、アプリ内での言語切り替えUI、翻訳の更新運用まで含めて、アプリの要件に合わせた独自設計になります。埋め込み文言だけでなく「中身」まで多言語化したいアプリは、この方法を開発会社に相談するのが現実的です。
アプリの多言語化にかかる費用・期間の目安
多言語化の費用は「翻訳費」と「実装・テスト費」の2階建てで考えます。翻訳費の相場は、セルフ翻訳ツールを使う場合で日本語→英語が1文字あたり5〜10円、UI表示の確認や修正まで含むローカライズ専門会社に依頼する場合で1文字12〜16円程度(一般的な翻訳会社の1.5〜2倍にあたる水準)とされています(出典:Alconost社の解説記事(2025年))。例えばアプリ内の文言が1万文字なら、翻訳部分だけで1言語あたり12万〜16万円程度が概算の目安です。
これに加えて、文言の抽出・言語ファイル化などの実装費と、言語ごとの表示崩れを確認するテスト費がかかります。期間と費用を大きく左右するのは「いつ多言語化するか」です。新規開発の設計段階から多言語を前提に作れば追加コストは小さく済みますが、日本語専用に作られたアプリへの後付けは、文言がコードのあちこちに埋め込まれているため、抽出と作り直しの工数が大きく膨らみます。海外展開が少しでも視野にあるなら、設計段階で開発会社に伝えておくことが最大の節約になります。
アプリの多言語化を進める流れ
多言語化は「翻訳の発注」から始めるのではなく、「本当に必要か」の検討から始めます。4つのステップで進めましょう。
STEP1 多言語化の必要性を検討する
まず「その言語のユーザーの中に、狙うべき顧客が本当にいるか」をデータで確かめます。アプリの分析ツールで海外からのアクセスや端末の言語設定を確認する、ストアのレビューに外国語のコメントが付いていないかを見る、といった方法で実需を検証してから投資を判断します。訪日外国人は2025年に4,268万人と過去最高を更新しており(出典:日本政府観光局(JNTO)の発表・2026年1月)、海外在住者だけでなく訪日客や日本在住の外国人がターゲットになるアプリも少なくありません。
STEP2 対応する言語を選定する
「とりあえず英語」で決めず、STEP1のデータから優先順位を付けます。参考として、2025年の訪日客は韓国(約946万人)・中国(約910万人)・台湾(約676万人)・米国(約331万人)の順に多く(出典:JNTO 訪日外客統計)、アプリの分野によっては英語よりも韓国語・中国語(簡体字・繁体字)の優先度が高いケースがあります。言語が1つ増えるごとに翻訳費とテスト費が積み上がるため、最初は1〜2言語に絞り、成果を見て広げるのが定石です。
STEP3 多言語化の具体的な方法を検討する
対応範囲(埋め込み文言だけか、動的コンテンツも含むか)と更新頻度から、「OS標準のローカライズ機能」「翻訳管理ツール連携」「独自設計」の3つの方法のどれで実装するかを決めます。ここで「翻訳をどう調達するか」(機械翻訳+ネイティブチェック、翻訳会社、ローカライズ専門会社)もあわせて決めておくと、後工程がスムーズです。
STEP4 多言語化を行う開発会社を選定する
実装を外注する場合は、多言語対応の実装経験がある会社を選びます。確認すべきは「対応範囲」「対応言語でのテスト体制」「多言語アプリの実績」の3点です。それぞれの見方を次章で解説します。
アプリの多言語対応を外注する際にチェックすべきこと
外注先には、次の3点を必ず確認してください。
- 対応範囲:翻訳そのものは対応してくれるのか、実装のみか。ストア掲載文(説明文・スクリーンショット)やプッシュ通知、利用規約などアプリ外のテキストまで含むか
- 対応言語でのテスト体制:翻訳を入れた後、その言語の画面で表示崩れ・文字化け・不自然な改行を確認するテストを誰がどう行うか。ネイティブによる表現チェックの有無
- 多言語アプリの実績:多言語対応のアプリを実際に作った経験があるか。翻訳の意訳や文化対応(ローカライズ)まで踏み込んだ経験があるとなお良い
「翻訳データを渡せば組み込みます」という会社と、テストや表現の最適化まで伴走する会社では、仕上がりが大きく変わります。見積もりの金額だけでなく、対応範囲の違いを揃えて比較しましょう。
アプリの多言語化を成功させるポイント
多言語化の成否を分けるのは、実装方法よりも「翻訳の質」への向き合い方です。3つのポイントを解説します。
ポイント① 機械翻訳のみでの対応はNG?
結論:機械翻訳を下訳に使うのは有効ですが、そのままリリースするのは避けるべきです。機械翻訳の精度は年々上がっているものの、アプリのUI文言は文脈が極端に短く(「戻る」「登録する」など)、誤訳や不自然な表現が起きやすい領域です。ボタンの文言が1つ不自然なだけで、ユーザーは「このアプリは自分向けに作られていない」と感じて離脱します。機械翻訳+ネイティブによるチェック・修正を最低ラインと考えてください。
ポイント② 単なる翻訳ではなく「ローカライズ」を行う
これは当社が実際にアプリの多言語化を行う中で強く実感していることですが、成果につながる多言語化に必要なのは「正確な直訳」ではなく、ネイティブユーザーの行動を意識した、最適化された意訳です。同じ機能でも、言語圏によってユーザーが期待する表現のトーン、情報の順序、行動を後押しする言い回しは異なります。日本語の丁寧な説明文をそのまま訳すと、海外ユーザーには回りくどく映って行動をためらわせることがあり、逆に簡潔すぎる直訳は不親切に受け取られることもあります。
だからこそ、翻訳の正確さだけでなく、「その言語のユーザーがどう行動するか」を理解した上で文言を作り直す(ローカライズする)ことが重要です。日付・通貨・単位の表記、色や画像の文化的な受け取られ方まで含めて調整すると、「翻訳されたアプリ」ではなく「その言語で作られたアプリ」として使ってもらえます。
ポイント③ デザインに与える影響を考慮する
同じ意味の文言でも、言語によって長さは大きく変わります。日本語で2文字の「設定」が、ドイツ語では「Einstellungen」と13文字になるように、翻訳後の文字数を想定していないデザインは、ボタンからの文字あふれや不自然な改行を起こします。アラビア語のような右から左に読む言語では、レイアウト自体の反転も必要です。多言語化を見据えたアプリは、文字数の変動に耐えるレイアウト設計を最初から行っておくことが大切です。
アプリを多言語化するメリットと課題点
多言語化のメリット
- 市場の拡大:海外ユーザーの獲得により、ターゲット市場が国内から一気に広がる
- ダウンロード数の増加:対応言語のストアで検索・発見されやすくなる
- 訪日客・在日外国人の取り込み:過去最高を更新する訪日客(2025年4,268万人)や日本在住の外国人も、国内アプリの重要なターゲットになる
- 信頼性の向上:自分の言語で丁寧に作られたアプリは、それだけでユーザーの信頼を得やすい
多言語化の課題点
- 開発・翻訳コスト:言語が増えるほど翻訳費・実装費・テスト費が積み上がる
- 翻訳の品質担保:ネイティブチェックの体制がないと、不自然な文言がそのまま公開されてしまう
- UI/UXの崩れ:文字数の変動や表記方向の違いによるレイアウト崩れへの対応が必要
- ストア審査・運用の負担:ストア掲載情報も言語ごとに用意が必要になり、アップデートのたびに全言語の文言更新が発生する
課題の多くは「後から場当たり的に対応する」ことで深刻になります。設計段階から多言語化を見据えておくこと、そして翻訳の品質に責任を持つ体制を作ることが、課題を小さく抑える鍵です。ストア審査への備えは以下の記事も参考にしてください。
まとめ:多言語化は「翻訳」ではなく「ローカライズ」。株式会社ペンタゴンにご相談ください
今回はアプリの多言語化をテーマに解説しました。方法は3つに大別されますが、成否を分けるのは実装方式よりも「ただ翻訳するだけ」で終わらせないことです。ネイティブユーザーの行動を意識した意訳と、言語ごとのテスト・デザイン調整まで含めて、はじめて成果につながります。
株式会社ペンタゴンは、自社でもアプリの多言語化を実践しており、設計段階からの多言語対応、ローカライズを見据えた文言設計、リリース後の運用までご支援できます。「どの言語から始めるべきか」という段階のご相談も歓迎です。多言語化にかかる継続的な運用費は以下の記事も参考になります。
「株式会社ペンタゴン」の開発実績については、こちらをご覧ください。
下記よりお問い合わせできますので、お気軽にご相談ください!




