AIを使った業務改善に関心はあるものの、何から始めればよいかわからない。そんな中小企業の経営者に向いているのが、AI顧問という支援の形です。
AI顧問は、単にAIツールの使い方を教えるサービスではありません。経営者や部門長と壁打ちしながら、業務の整理、AI活用テーマの選定、社内での進め方、実務への落とし込みまで一緒に考える伴走支援です。
AIは誰でも使えるようになりましたが、ITの専門家や現役エンジニアと、普段ITに詳しくない方との間には大きな経験の差があります。エンジニアにとっては当たり前の考え方でも、一般の会社では業務改善に直結する知見になることがあります。
本記事では、中小企業のAI活用を推進する筆者が、AI顧問の役割、自社に必要かどうかの判断基準、相談できる内容、料金の考え方、失敗しない選び方、相談前の準備までをまとめてご紹介します。
すでに依頼先を探している段階であれば、解説より先にAI顧問ハカドルくんのサービス内容(月2回のミーティングとチャット相談、月5万円から)をご覧ください。 ≫無料相談はこちらから
AI活用を始める前の考え方は、中小企業のAI活用は、ツール選びから始めないで詳しく整理しています。
AI顧問とは何か
AI顧問とは、会社のAI活用について継続的に相談できる外部パートナーです。
主な役割は、AIツールを紹介することではなく、自社の業務や経営課題を整理したうえで「どこにAIを使うべきか」「どの順番で試すべきか」「社内でどう運用するか」を一緒に決めることです。AIツールを代わりに売る人ではなく、会社の状況に合わせて判断を前に進める相談相手と考えるとイメージしやすくなります。
AI顧問の中心は壁打ちと業務整理
中小企業のAI活用でつまずきやすいのは、ツールを知らないことだけではありません。
むしろ多いのは、次のような状態です。
- ChatGPTを触ってみたが、仕事での使い方がわからない
- 社員に使ってほしいが、情報漏えいが怖い
- 便利そうなAIツールが多すぎて、選び方がわからない
- 経営者は進めたいが、現場にどう伝えればよいかわからない
- AIで効率化できそうな業務があるが、優先順位を決められない
AI顧問は、このような曖昧な悩みを言語化し、業務の流れに沿って整理します。そのうえで、すぐ試せる改善テーマに落とし込みます。
AIツール導入より先に考えること
AI活用では、最初からツールを決めると失敗しやすくなります。同じAIツールでも、会社の業務、扱う情報、社員のITリテラシー、確認体制によって成果が大きく変わるからです。
先に整理すべきなのは、次の3つです。
- どの業務に時間がかかっているか
- どの作業ならAIに任せてもリスクが低いか
- 誰が確認し、どこまでを社内ルールにするか
この順番で考えると、AI活用は単なる流行ではなく、現場で使える改善施策になります。
中小企業にAI顧問は必要か
AI顧問が必要かどうかは、AIを「個人で試すだけ」なのか「会社の業務改善に結びつけたい」のかで変わります。個人でChatGPTを触るだけならAI顧問は不要です。一方、会社として業務に定着させたいなら、相談相手がいる方が確実に進めやすくなります。
中小企業ではAI専任担当者がいないことが多く、経営者、管理職、情報システム担当者が兼務で進めることになります。その状態で、業務選定、社内ルール、セキュリティ、ツール選定、社員教育、効果測定まで考えるのは負担が大きすぎます。AI顧問は、こうした判断を一緒に整理する役割です。
AI顧問が必要になるサイン
検討すべきわかりやすいサインは、AI活用の話が社内で何度も出るのに、実行が進まない状態です。
- ツール名は調べているが、対象業務が決まらない
- 社員が個人判断でChatGPTを使っているが、会社としてルールがない
- AI研修を受けたのに、現場で使われていない
- 社員ごとにAI活用の差が大きい
- 議事録、資料作成、問い合わせ対応に時間がかかり続けている
- 経営者が継続的に相談できる相手を探している
この状態の原因は、知識不足だけではなく、進め方の設計不足です。AI顧問は、何を学ぶかより先に「どの業務で、どの順番で、どこまでAIを使うか」を整理する相手になります。
AI顧問が不要なケース
逆に、次のような会社ではAI顧問以外の選択肢が合う場合があります。
- 個人でChatGPTを試す段階で、社内情報をまだ扱わない
- すでに社内にAI活用チームや十分なエンジニアがいる
- 作りたいAIシステムが明確で、要件も決まっている
- すぐに大規模なシステム導入を進めたい
すでに要件が固まっているなら、開発会社やシステム会社に直接相談した方が早いこともあります。AI顧問は、あくまで「何をすべきかを整理し、小さく実行する」段階に向いている支援です。
社内だけで進める場合との違い
社内だけでAI活用を進める場合、担当者が情報収集、ツール比較、ルール作成、社員説明までを通常業務と兼務することになります。優先順位が下がり、途中で止まりやすいのが実情です。
AI顧問を使うと、月ごとに相談する場ができ、「次にやること」を毎回決められます。外部に丸投げするのではなく、社内の判断を前に進める壁打ち相手として使うことで、導入が止まりにくくなります。最初の方向性を間違えて時間を失うリスクを減らせる点も、外部の相談相手を持つメリットです。
AI顧問で相談できること
相談できる内容は会社の状況によって変わりますが、特に多いのは次のようなテーマです。
| 相談テーマ | 相談できる内容 | 成果物の例 |
|---|---|---|
| 業務整理 | AIを使える業務、使わない方がよい業務を分ける | 業務棚卸し、優先順位表 |
| ChatGPT活用 | 社内で使う場面、プロンプト、確認方法を決める | 活用ルール、プロンプト例 |
| 社内教育 | 社員がAIを使えるようにする進め方を決める | 研修テーマ、社内説明資料 |
| マーケティング | 記事制作、営業資料、リード獲得にAIを使う | 記事構成、営業資料案 |
| セキュリティ | 入力してよい情報、禁止事項、確認体制を整理する | AI利用ガイドライン |
| 費用対効果 | AI導入前に、投資すべき領域を判断する | 施策候補、実行ロードマップ |
重要なのは、最初から大きなDX計画を作ることではありません。まずは、経営課題や現場業務の中から「小さく試せるテーマ」を見つけることです。
実際に試しやすい業務を知りたい場合は、AIでできることを仕事別に解説を先に読むとイメージしやすくなります。
業務別の具体的な相談例
「AIを導入したい」という大きな相談よりも、業務別に分けると具体化しやすくなります。実際に相談しやすい業務の例は次の通りです。
| 業務 | AI顧問に相談できること |
|---|---|
| 議事録 | 議事録AIの選び方、要約フォーマット、確認ルール |
| メール | 部署別の返信テンプレート、プロンプト例 |
| 提案書 | 構成案、顧客課題整理、営業資料の改善 |
| 問い合わせ対応 | FAQ整理、回答例作成、品質基準 |
| 社内マニュアル | 属人化業務の棚卸し、手順書化 |
| 記事制作 | SEO/LLMOを意識した構成、編集体制 |
| 社内ルール | 入力禁止情報、利用範囲、確認フロー |
業務別に分けることで、AIに任せる作業と人が確認する作業も明確になります。AI顧問は、この分解を一緒に行い、最初に試す業務を選びます。
筆者の実感としては、現在のAI顧問の相談は「時間短縮」よりも「売上につながるAI活用」が中心です。SEO・LLMO・AIO・SNSマーケティングなど、集客に関するテーマの相談が多く、SEOの基礎知識から一緒に学びながらAI導入までサポートする形が増えています。実際に、「AIを集客に活用したい」という相談に対し、AIツールの前にSEOの基礎から支援した結果、ホームページ経由の問い合わせ獲得につながった例もあります。
経営者が相談しやすいテーマ
経営者から多い相談は、AI活用の方針づくりです。「全社でAIを使うべきか」「社員にどこまで任せるか」「費用をかけるならどこからか」といった判断は、現場だけでは決めにくいテーマです。
AI顧問では、経営者の考えを聞きながら、会社としての優先順位を整理します。最初に方針を決めておくことで、社員がAIを使うときの迷いも減ります。
現場担当者が相談しやすいテーマ
現場担当者から多いのは、日々の作業をどう効率化するかという相談です。議事録、メール文面、提案書、社内マニュアル、問い合わせ回答、Excel作業、記事制作などが典型です。
この場合は、いきなり自動化を目指すよりも、まず「AIで下書きを作る」「AIで要約する」「AIで確認観点を出す」といった補助的な使い方から始める方が定着しやすくなります。
マーケティングで相談しやすいテーマ
BtoB企業では、AIをコンテンツマーケティングに活用しやすいです。SEO記事の構成案、顧客の悩みの整理、導入事例の下書き、営業資料の改善、ホワイトペーパーの企画、AI検索への対応などです。
ただし、AIに文章を書かせるだけでは成果につながりません。誰に向けて、どの悩みに答え、どのサービスへつなげるかを設計する必要があります。
BtoBマーケティングやAI検索からの流入も強化したい場合は、LLMO対策とは?中小企業が今からできるAI検索時代の情報設計も関連テーマです。
AI研修・DXコンサル・ITベンダーとの違い
AI顧問は、AI研修やDXコンサル、ITベンダーと混同されやすいサービスです。ただし、役割はそれぞれ違います。AIコンサル全体の類型と費用相場から整理したい場合は、AIコンサル会社のおすすめ9選!費用相場と失敗しない選び方にまとめています。
| 比較項目 | AI研修 | DXコンサル | AI顧問 |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | AIの基礎知識を学ぶ | 全社的な業務改革やシステム刷新 | 自社で使うAI活用テーマを決める |
| 進め方 | 講義・ワークショップ中心 | 調査、設計、導入計画中心 | 壁打ち、業務整理、実行支援中心 |
| 向いている会社 | まず知識を広げたい会社 | 大規模な改革を進めたい会社 | 小さく試しながら定着させたい会社 |
| 成果物 | 研修資料、学習内容 | 計画書、要件定義、システム導入 | 活用方針、改善テーマ、運用ルール |
| 費用感 | 研修単発で変動 | 比較的高額になりやすい | 月額で始めやすい |
AI研修は知識習得に向いている
AI研修は、AIの基礎知識やツールの使い方を短時間で学ぶには有効です。社員全体に最低限の知識を広げたい場合にも向いています。
ただし、研修を受けただけでは、自社のどの業務に、誰が、どう使うかまでは決まりません。「勉強にはなったが、結局いつもの業務は変わらなかった」という状態になる会社もあります。AI活用を現場に定着させるには、知識を得たあとに「自社では何をするか」を決める支援が必要で、AI顧問はまさにこの研修後の実務定着に向いています。
AI研修が社内で使われない理由は、AI研修を受けても社内で使われない理由で詳しく解説しています。
DXコンサルは大きな改革に向いている
DXコンサルは、全社的なシステム刷新や大規模な業務改革に向いています。
一方で、中小企業にとっては費用や期間が大きくなりすぎることがあります。現場の小さな困りごとから始めたい場合、最初から大規模な計画を作るより、まずは1つの業務で効果を確認する方が現実的です。
ITベンダーはツール導入が決まってから
ITベンダーや開発会社は、システム開発、ツール導入、連携、保守に強い相談先です。すでに導入したいツールや作りたいシステムが決まっている場合は、ITベンダーに直接相談する方が適しています。
AI顧問は「そもそも何から始めるべきか」「ツール導入前に何を整理すべきか」「社員にどう使ってもらうか」という前段階に向いています。どちらが上という話ではなく、AI顧問で課題を整理し、必要に応じてITベンダーにシステム導入を依頼する流れも自然です。
AI顧問、AI研修、DXコンサルのどれを選ぶべきか迷う場合は、AI顧問とAI研修・DXコンサルの違いで目的別の選び方を確認できます。
AI顧問の料金相場と費用対効果
AI顧問の料金は、支援範囲によって大きく変わります。一般的には、相談や壁打ちが中心であれば月額数万円から、研修や資料作成、社内展開、個別のシステム連携まで含めると月額数十万円以上になることもあります。
月5万円でできること
月5万円のAI顧問では、大規模なシステム開発までは含めず、経営者との壁打ち、業務整理、AI活用方針の相談を中心に進めるのが現実的です。
たとえば、次のような支援ができます。
- 月数回のオンライン相談
- 業務課題の整理
- AI活用テーマの優先順位づけ
- 社内ルールや活用方針の壁打ち
- BtoBマーケティングでのAI活用相談
- ChatGPTや生成AIの使い方に関する実務相談
小さく始めたい会社にとっては、最初の相談相手として使いやすい形です。料金や支援条件は、LPの料金セクションにもまとめています。
月5万円では難しいこと
一方で、月5万円の範囲では難しいこともあります。
- 専用AIシステムの開発
- 社内データベースとの大規模な連携
- 全社員向けの大規模研修
- 常駐支援
- 複数部署をまたぐ大規模な業務改革
このような内容が必要な場合は、別途見積もりや開発支援を検討する方がよいでしょう。月5万円の範囲でできることの詳細は、月5万円のAI顧問で相談できること。料金と支援範囲を解説にまとめています。
費用対効果はどう考えるべきか
AI顧問の費用対効果は、月額費用だけでなく、削減できる時間、改善できる業務、避けられる失敗で考えるべきです。安いツールを入れても、使われなければ費用対効果はゼロです。
最初から大きな売上増加だけで判断しない方が現実的です。見るべき観点は次の通りです。
- 作業時間がどれだけ減ったか
- 社員が使い続けられる状態になったか
- 社内ルールが整備されたか
- ツール選定の失敗を避けられたか
- 営業やマーケティングの成果に近づいたか
- 経営者の判断時間が減ったか
参考までに、筆者の実務では、Claude Codeのスキルやサブエージェントを活用する仕組みを作ったことで、約8時間かかっていた記事執筆が1時間程度になっています。あくまで筆者の体感値ですが、仕組み化まで進めると作業時間は大きく変わります。また、効果は時間短縮だけではなく、SEOやSNSマーケティングなど集客・売上につながるAI活用にも表れます。
社内ルールが整って情報漏えいリスクを下げられる、社員がAIを使う心理的ハードルが下がる、といった数字にしにくい効果も、検討のうえでは重要です。AI顧問は、大きな費用をかける前に「何に投資すべきか」を判断するための支援として使うのがおすすめです。
AI顧問の進め方
AI顧問は、一般的に次のような流れで進めます。
1. 現状のヒアリング
まず、会社の業務、困っていること、AIで改善したい領域を整理します。
この段階では、ツール名を決める必要はありません。どの業務に時間がかかっているか、どの判断に迷っているか、どこに成果を出したいかを確認します。
2. 活用テーマの選定
次に、AIを使って試すテーマを選びます。
最初は、議事録、資料作成、問い合わせ対応、営業資料、記事制作、社内マニュアルなど、成果が見えやすい業務から始めるのがおすすめです。
テーマを選ぶときは、次の基準で考えると判断しやすくなります。
| 判断基準 | 見るポイント |
|---|---|
| 頻度 | 毎週または毎日発生しているか |
| 時間 | 担当者の作業時間を大きく使っているか |
| リスク | 機密情報や最終判断をAIに任せすぎないか |
| 成果 | 時間削減、品質改善、売上貢献が見えやすいか |
| 定着 | 社員が無理なく使い続けられるか |
3. 小さく試す
選んだテーマで、実際にAIを使って試します。
ここでは、プロンプトを整えるだけでなく、誰が使うか、どの成果物を確認するか、情報管理上の不安はないかも整理します。
最初から完璧な仕組みにする必要はありません。1つの業務で「これなら使える」という手応えを作ることが重要です。
4. 改善して定着させる
試して終わりではなく、使い方を改善しながら社内に定着させます。うまくいった業務は、手順化したり、他の部署に展開したりできます。
社内ルールやセキュリティが不安な場合は、ChatGPTを会社で使うときのセキュリティ注意点も参考になります。
導入後にどのような変化が起こるかを具体的に見たい場合は、AI顧問の導入事例も参考になります。
AI顧問を選ぶときのチェックポイント
AI顧問を選ぶときは、料金やAIの知識量だけで判断しない方がよいです。流行のツールに詳しくても、自社の業務改善に落とし込めなければ成果につながりません。東京・関東圏で相談先を探している場合は、東京でおすすめの「AIコンサル」7選!大手から顧問型まで比較も参考になります。
現役でAIやITを使っているか
AIは変化が早い領域です。資料だけで説明する人よりも、日常的にAIやITを実務で使っている人の方が、現場で使える知見を持っています。
特に、非エンジニア向けに説明できる現役エンジニアであれば、技術的な難しさをかみ砕きながら、現実的な進め方を提案しやすくなります。
業務整理から相談できるか
AI活用は、ツール導入だけでは進みません。会社の業務、担当者、確認フロー、情報管理、成果物の品質まで見ながら、どこにAIを使うかを決める必要があります。
ツールありきではなく課題から考えてくれるか、社内ルールやセキュリティも含めて相談できるか、実務で使うプロンプトやテンプレートまで一緒に作れるかを確認しましょう。
実績や得意領域が合っているか
AI顧問にも得意領域があります。マーケティングに強い人、業務改善に強い人、システム開発に強い人、研修に強い人では、提案内容が変わります。
自社が相談したいテーマが、相手の得意領域と合っているか、中小企業向けの支援経験があるかを確認しましょう。たとえば、BtoBマーケティングでAIを使いたい会社であれば、記事制作、SEO、LLMO、営業資料、リード獲得などに詳しい相手の方が相談しやすくなります。
あわせて、月額費用と支援範囲が明確か、オンラインで継続相談できるかといった実務面も確認しておくと安心です。
AI顧問で失敗しやすいパターン
AI顧問を活用しても、進め方を間違えると成果が出にくくなります。
ツール導入が目的になる
よくある失敗は、「AIツールを入れること」が目的になることです。
ツールを契約しても、誰が、どの業務で、どの成果物に使うかが決まっていなければ、利用は広がりません。AI顧問を使う場合も、ツール名より先に業務課題を整理することが大切です。
社員に丸投げする
経営者が「若い社員ならAIを使えるだろう」と考えて、現場に丸投げしてしまうケースもあります。
しかし、社員側からすると、どこまで使ってよいか、ミスが起きたら誰が責任を持つか、評価されるのかがわからないことがあります。会社として使うなら、経営者や部門長が方針を示す必要があります。
社員に使ってもらう前に決めることは、AIの社内での使い方。社員に使ってもらう前に決めることでも解説しています。
一度試して終わる
AI活用は、一度試して終わりではありません。
最初の出力が期待通りでなくても、指示の出し方、入力する情報、確認手順を変えることで使いやすくなることがあります。小さく試し、改善し、手順化する。この繰り返しが定着につながります。
筆者自身、自社でAI活用を進めたとき、最大の気づきは「AI導入そのものが目的化しやすい」ことでした。先に業務の棚卸しをして、どの業務のどの部分にAIを使うかを決めてから進めた方が、結果的に定着まで早くなります。
AI顧問に相談する前の準備リスト
AI顧問への初回相談で、完璧な資料は必要ありません。むしろ、課題が曖昧な段階で相談しても大丈夫です。曖昧な悩みを整理すること自体がAI顧問の役割だからです。
詳細な要件定義書、ツール比較表、投資対効果の試算、全社の業務フロー図は不要です。最初から資料を作り込みすぎると、現場の実態より資料の完成度を優先してしまうことがあります。困っている業務、不安なこと、今使っているツールを素直に話せる状態の方が役立ちます。
そのうえで、次の準備をしておくと初回相談の質が上がります。
目的を1文にしてみる
「AIで効率化したい」ではなく、「毎週の議事録作成時間を減らしたい」「問い合わせ回答の品質をそろえたい」のように、目的を1文にしてみてください。
1文にできない場合は、まだ目的が曖昧な状態です。そのまま相談しても問題ありませんが、「目的を一緒に整理したい」と伝えると、AI顧問側も業務選定から話を始めやすくなります。
相談前チェックリスト
次の項目を簡単にメモしておくだけで十分です。空欄があっても相談できます。
| 項目 | メモする内容 |
|---|---|
| AIを使いたい理由 | 時間削減、品質改善、社員教育、売上支援など |
| 困っている業務 | 議事録、メール、資料作成、問い合わせ対応など |
| 発生頻度 | 毎日、毎週、毎月、繁忙期だけなど |
| 現在の進め方 | 誰が、どのツールで、どのくらい時間をかけているか |
| 不安なこと | 情報漏えい、誤情報、費用、社員の抵抗感など |
| 使っているツール | Google Workspace、Microsoft 365、ChatGPTなど |
| 関係者 | 最終判断をする人、実際に使う人、確認する人など |
| 相談したい範囲 | 壁打ち、業務整理、社内ルール、研修、実務支援など |
ポイントは3つあります。1つ目は、AIで自動化できるかどうかを自分で判断しないこと。「時間がかかっている」「面倒だ」「品質にばらつきがある」業務を出すだけで構いません。2つ目は、不安なことも先に伝えること。情報漏えいが最も不安なら入力禁止情報のルール作りから、社員の定着が不安なら業務別プロンプト例から、と初回相談で話すべき順番が変わります。3つ目は、ツール名より情報の流れを話せるようにすること。問い合わせがメールで届き、スプレッドシートに転記され、担当者が返信する、という流れがわかるだけで、AIを入れる場所が見えてきます。
初回相談で聞くべき質問
相談先の説明を聞くだけで終わると、自社に合うか判断しにくくなります。次のような質問を用意しておくと、相手の得意領域や支援姿勢が見えやすくなります。
- 当社の状況なら、最初にどの業務から試すべきですか?
- ChatGPTを社内で使う場合、最初に決めるルールは何ですか?
- 月額顧問の範囲で、どこまで相談できますか?
- 研修、ツール導入、資料作成は別費用ですか?
- 初回相談後、最初の1か月は何をするのがよいですか?
- 自社のような中小企業では、どんな失敗が多いですか?
答えが具体的で、自社の業務に引き寄せて説明してくれる相手であれば、相談しやすい可能性が高いです。ツール名や一般論だけで終わる場合は、実務への落とし込みが弱いかもしれません。
相談後は小さな一歩に分解する
相談して終わりにすると、AI活用は進みません。初回相談の後は、次のように整理すると実行につながります。
- 相談で出た候補業務を3つ以内に絞る
- 最初に試す業務を1つ決める
- AIに任せる部分と人が確認する部分を分ける
- 入力してはいけない情報を決める
- 1〜2週間で小さく試す
- 結果を見て、続けるか改善するか判断する
最初は、1つの会議の議事録、1種類のメール文面、1つの営業資料など、範囲を小さくした方が成果を確認しやすくなります。相談のたびに「次回までの小さな宿題」を決めて結果を見直すことで、抽象的なAI活用が実務の改善に変わっていきます。
よくある質問
AIに詳しくなくても相談できますか?
相談できます。むしろ、AIに詳しくない経営者や部門長が、最初の方針を整理するために使うのがAI顧問です。
専門用語を覚えることよりも、自社の業務で何に使えるかを理解することが大切です。
ChatGPTをまだ使っていなくても大丈夫ですか?
大丈夫です。
使ったことがない場合は、まず業務の棚卸しを行い、リスクが低く効果が見えやすい業務から試すのがおすすめです。初めて仕事でAIを使う場合は、ChatGPTで仕事を効率化する使い方も参考になります。
相談前に資料を作った方がよいですか?
作り込む必要はありません。困っている業務、時間がかかっている作業、不安なことを箇条書きでメモする程度で十分です。本記事の相談前チェックリストを埋められれば、初回相談で「どこから始めるべきか」を具体的に話せます。
社員教育も相談できますか?
相談できます。
ただし、最初から全社員向けの大規模研修を行うより、まずは経営者や一部の担当者で小さく試し、社内に展開しやすい使い方を固める方が進めやすいです。
どのくらいで成果が出ますか?
テーマによります。
議事録、資料作成、メール文面、記事構成などは比較的早く効果を感じやすいです。一方で、社内ルール作りや複数部署への展開は、数か月かけて整える必要があります。
AI顧問と開発会社はどちらに相談すべきですか?
まだ何を作るべきか決まっていない場合は、AI顧問に相談する方が向いています。
すでに作りたいシステムが明確で、要件も決まっている場合は、開発会社に相談する方がよいでしょう。
まとめ
AI顧問は、AIに詳しい人が社内にいない中小企業にとって、最初の一歩を整理するための支援です。
AIツールの使い方だけでなく、自社の業務のどこにAIを使うか、どの順番で試すか、どう定着させるかを一緒に考えられます。会社としてAIを業務改善に結びつけたいのに、社内だけでは進め方を決めにくい。そんな状態なら、AI顧問を検討する価値があります。
特に、経営者自身が方針を整理したい会社、社員任せにする前に社内ルールを決めたい会社、BtoBマーケティングや業務改善にAIを使いたい会社には相性がよい支援です。
最初から大きな投資をする必要はありません。まずは時間がかかっている業務と不安なことをメモするところから始めて、壁打ちを通じて自社でAIを使うべき業務を整理してみてください。
自社の場合はどこから始めるべきか知りたい方は、無料AI活用診断で現状の業務と課題から一緒に整理できます。